SHANLING EH3

こんにちは。今回は 「SHANLING EH3」です。日本では10月27日より発売開始となった据置き型USBおよびマルチファンクションに対応したDAC/AMPのハイグレードモデルです。ESSの最新フラグシップ級DACチップ「ES9039PRO」を採用し、さらに高出力なアンプ性能とさまざまな再生方法への対応を実現。Shanlingらしさを追求した抜群の音質はもちろん、機能面でも非常に高性能な製品ですね。

■ 製品概要と購入方法について

ポータブルオーディオの世界で高い実績により確固たるポジションを築きあげている「Shanling」ブランドの据え置き型の最新モデルが今回の「SHANLING EH3」です。高性能DACおよび最新鋭のオーディオデザインの採用、豊富な入出力系統を備えた、高性能マルチファンクションDAC/AMPとして登場しました。

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最新世代のESS製DAC「ES9039PRO」を採用し、Shanlingによる35年におよぶHi-Fi開発技術により製品化。さらにフルバランス構成のアンプ回路、CPAF ローパスフィルタリング、SHANLING 独自開発 I/V変換回路、そして新開発の第4世代FPGAの採用と新たなデュアルクリスタル回路の採用といった核となる基板構成による最新鋭のオーディオ設計を実施しています。
SHANLING EH3またUSB-DACモードを含む幅広いデジタル入力系統に加え、「LDAC」や「aptX HD」などのハイレゾコーデックに対応したBluetooth接続および「DLNA」および「Airplay」によるWiFi接続、RCAアナログ入力、USBローカルファイル再生機能など様々な入力方法をサポート。
出力では「SHANLING EH3」はシングルエンド 1900mW@32Ω、バランス出力 5300mW@32Ωの高出力アンプを備え、3段階のGain設定と低出力インピーダンスを備えたパワフルな出力を有し、幅広い機器へのマッチングを可能とします。

SHANLING EH3そして出力インターフェースには、3.5mm/6.35mmのシングルエンド出力、4.4mmおよび4ピンXLRバランス出力に対応し、高感度なインイヤーモニターから鳴らしにくいハイグレードヘッドホンまで幅広い出力環境に対応。さらに背面にはRCA(ステレオ)/XLR(バランス)のプリアウト/ラインアウトに対応します。
また背面のUSBポートへストレージを接続することでポータブルアンプの「H7」「H5」でも好評を得ているローカルファイル再生機能に対応。リモートコントロール用アプリ「EddictPlayer」をインストールしたスマートフォンと「SyncLink」機能でペアリングを行なうことで「SHANLING EH3」の機器設定や、USBメモリ上の音楽ライブラリへアクセスしリモート再生が可能です。ほかにも「アナログ入力」や「I2S入力」にも対応し、出力では「USBオーディオ出力」も可能です。
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SHANLING EH3」の詳細な製品内容および仕様についてはMUSIN社サイトをご覧ください。
MUSIN 公式サイト「SHANLING EH3」製品ページ

SHANLING EH3」の価格は138,600円(税込み/アマゾン公式ストア価格)です。
カラーバリエーションは「ブラック」と「シルバー」の2色が選択可能です。
Amazon.co.jp(MUSINストア): SHANLING EH3


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回レビュー用にMUSIN様より発売開始前の段階で「SHANLING EH3」の提供をいただきました。パッケージは初回分の「WiiM Mini」バンドル版です。また併せて同時発売となったUSB Type-Cケーブル「SHANLING L7」も一緒に提供いただきました。
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SHANLING EH3」の製品自体のパッケージ内容は、本体、電源ケーブル、USBケーブル(タイプA-B)、リモコン、説明書など。MUSIN社の保証が得られる日本国内版では日本語の製品マニュアルおよび日本語の「EddictPlayer」のマニュアルが付属します。製品自体もアプリも非常に多機能なためマニュアルは必読ですが、それだけに日本語版を付属してくれているのは非常に有り難いです。
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本体サイズはW188 ×D238 ×H59mm、重量2.8kgと、据置き型のUSB-DACとしてもなかなかの重量級の製品です。ちなみに私がメインで使用している「FiiO K9 PRO LTD」(DACは「AK4499」)がW200×D250×H77mm、2.75kgと筐体は「SHANLING EH3」よりやや大きく、重量は若干軽いとわりと近い印象ですね。ESS系で使用している「Sabaj D5」や「TOPPING DX7 Pro」(どちらもDACは「ES9038PRO」)と比較すると明らかに格上感があります。
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前面はシングルエンドが3.5mmと6.35mmが別系統になっているのは個人的にはありがたい仕様です。またアナログ入力は「FiiO K9 PRO」にもありますがこちらも実は結構便利です。そして「I2S」端子(メニューでは「IIS」と表記)はHDMI型のコネクタ形状でShanlingのCDプレーヤー「ET3」用のモードの他にModel1~4の「I2S」規格に対応しています。あとローカルファイル用は「H7」「H5」がmicroSDスロットだったのに対して「SHANLING EH3」は一般的なUSB-A端子となっており、ここにUSBメモリやSSDなどのストレージを接続して使用する仕様になっています。
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なお、初回版で付属する「WiiM Mini」についてですが、「SHANLING EH3」自体の機能が非常に豊富で長文になっているため、今回は説明を割愛します。ただし、個人的に上位バージョンの「WiiM Pro」を購入して所有していますので、今後別記事で「WiiM Pro」および「WiiM Mini」の両方を紹介するレビューを掲載しようと思っています(しばらくお待ちくださいね)。
そして同時発売となった「SHANLING L7」ケーブルはUSB Type-CとUSB-B端子のケーブル。Type-CとUSB-Aのケーブルは普通にありますが、BとCの組み合わせはそういえばオーディオ用としてはありそうで無かったですね。2千円程度と価格も手頃ですし、品質も良く、スマートフォンやMacBookなどへの接続には便利ですのでぜひとも一緒に購入しておきたいアイテムですね。


■ BluetoothおよびWiFi設定と「EddictPlayer」について

リモコンまたは本体の入力切替で「Bluetooth」モードにすることでスマートフォン等のペアリングが可能になります。対応コーデックは標準のSBCのほか、「LDAC」「aptX HD」のハイレゾコーデックおよび「aptX」「AAC」コーデックに対応。Bluetoothバージョンは5.0で室内での利用を前提に十分に安定した接続性を持ちます。
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また「SHANLING EH3」は初期設定で「SyncLink」機能が有効になっているため、スマートフォンに
「EddictPlayer」をインストールしBluetoothを有効にした状態であれば入力モードに関係なくペアリングか可能です。接続後設定アイコンを押すと「SHANLING EH3」の詳細設定が確認出来ます。この画面で入力切替やゲインの変更などリモコン代わりとしとして使用することもできます。
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また「SHANLING EH3」は「EddictPlayer」の「USBデバイスコントロール」にも対応。USB-DACモードで「EddictPlayer」をインストールしたスマートフォンと接続し(ここで「SHANLING L7」ケーブルを使用)、「USBデバイスコントロール」を選択すると、USB経由での設定変更も可能です。
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本体付属のリモコンは電池を入れたあと、いちど本体に向けて「DAC」ボタンを押して使用可能にします。
WiFiは初期状態ではOFFになっているため、本体の設定でWiFi機能を有効にします。WiFiの登録は「EddictPlayer」の「ワイヤレス配信」から設定メニューに入り、SSIDおよびパスワードを入力し接続します。
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また本体側で「DLNA」「AirPay」機能を有効にすることでWiFi経由でのオーディオ再生が可能になります。「DLNA」は使用できる再生アプリが限られますがiPhone/iPadでの利用であればBluetoothより「AirPlay」のほうが確実に高音質での再生が可能になります。
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特にApple Musicのロスレス音源はコーデック変換無くそのまま「SHANLING EH3」に送られるのでUSB-DACモード並の高音質を楽しむことができます。


■ サウンドインプレッション

SHANLING EH3SHANLING EH3」の音質傾向は、癖の無いニュートラルな音ながら中音域に存在感のあるShanlingらしいサウンドです。ESS系DACらしい硬質さは若干感じるものの他メーカーの「ES9038PRO」製品のようなエッジの効いたメリハリ感は少なく、むしろAKM製チップセットの「SHANLING H7」の自然な輪郭のサウンドとも類似した印象があります。これがShanlingによるチューニングによるものなのか最新チップセットの「ES9039PRO」の特性によるものかは不明ですが、個人的にはとても安心できる「Shanlingサウンド」とった感じです。
またポータブル兼用の「H7」も十分な駆動力がありましたが、強力なフルバランス回路を持つ「SHANLING EH3」の透明感と出力は別次元で、どのようなヘッドホンやイヤホンと組み合わせても余裕を感じさせる印象で鳴らしてくれます。特に最大5,300mWという驚異的なパワーを持つバランス出力ではかなり駆動力の必要とするヘッドホンなどでもMediumゲインでドライブできるほどの余裕があります。いっぽうでCIEMなど反応の良いイヤホンを小音量で再生する場合もノイズ面は全く問題なく非常に見通しの良い音を鳴らします。確かに「FiiO K9 PRO LTD」などと比べるとLowゲインでも結構出力は強めに出るため音量調整は若干慎重になる必要がありますが、小型オーディオアダプタ等では表現できないエネルギッシュなサウンドを楽しめます。特に多くのドライバーを搭載しつつ低インピーダンス・高感度の「多ドラ」仕様の製品の場合、敏感であると同時に全てのドライバーを十分に駆動させるために十分な電流量を必要とするため、高出力DAC/AMPはメリットがあるわけですね。

なおUSB-DACモードで使用する場合、他の製品同様に、MacなどUSB Audio Class 2.0によりドライバーなしで利用できます。Windows環境ではASIO対応ドライバーのインストールが必要です(いちおうドライバーなしでも認識はします)。ドライバーおよび最新ファームウェアはMUSIN社サイトのサポートページで入手しインストールします。
→ MUSIN社サイト「SHANLING EH3」サポートページ

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また「SHANLING EH3」は同時発売の「SHANLING L7」ケーブルを使用することで、USB Type-C仕様のスマーフォフォンおよびタブレット、もちろんiPhone15およびiPadへの接続も可能です。特にAndroid環境では「EddictPlayer」を使用し、前述の「USBデバイスコントロール」でSRCの設定を変更し、より高音質での再生も可能になります。
ちなみに「SHANLING EH3」はワイヤレス(Bluetooth)での「EddictPlayer」接続も安定性が高くスマートフォンをリモコン代わりとしても非常に快適に利用できます。USBメモリやNAS経由の再生など多くの機能が利用できますので、今後もじっくり使用していこうと思います。
「EddictPlayer」での「ローカルファイル再生機能」については過去記事の「SHANLING H7」のレビューで詳しく紹介していますのでよろしければ併せてご覧ください。
過去記事:「SHANLING H7」のレビュー

また初回特典で付属していた「WiiM Mini」についてもSPDIF接続で「SHANLING EH3」に接続して利用してみました。もっとも「SHANLING EH3」自体がAirPlayやDLNAに対応しているためこの組み合わせは実際にはあまり意味が無いかもしれませんが、WiiM用アプリもとても便利ですのでその辺でのメリットはありそうですね。
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さらに「IIS」入力(一般には「I2S」「I²S」または「I2S/LVDS」)についても、手持ちの「I2S」出力対応のUSB-DDC「Douk Audio U2 PRO」を接続してMacから384kHz PCMおよびDSD音源の再生を行い問題なく利用できました。「SHANLING EH3」の「I2S」端子は同社のCDプレーヤー「ET3」用の専用モードを含めた5種類のIISモデルに対応していますが、接続時にモデル設定は不要で「IIS」モードに切り替えるだけで利用することができました(ちなみに「Douk Audio U2 PRO」の詳細についてはこちらの記事を参照ください)。

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あと、「SHANLING EH3」はAUX入力(RCA端子からのアナログ入力)もサポートしていますので、ほぼ余興的に手持ちのサウンドバーガー(オーテクの「AT-SB727」)を接続してバランス接続した「HD800」で聴いてみました。サウンドバーガーはレコードプレーヤーのなかでも半分オーディオ半分ガジェット的な存在ですし、AUXからの有線接続はゲイン固定で出力もそれほど高くはないのですが、「SHANLING EH3」を通すと「HD800」でも結構堪能できるサウンドになりましたよ(^^)。こういう趣味的な楽しみもポータブルオーディオの醍醐味のひとつではないかと思います。


■ まとめ

SHANLING EH3というわけで「SHANLING EH3」は10万円オーバーのUSB-DACとして十分な音質を持っていることはもちろん、多彩なインターフェースと機能により「マルチファンクション仕様」としてお買い得感を強く感じる製品でした。サウンドとしてはまさに安定のShanlingといった印象で、かつ抜群の透明感とパワーで聴かせるのはとても心地よい体験です。また今回は久々の据置き型ということで例によって色々遊んでしまいましたね。だいぶ文章を減らしたのですがそれでも結構長文になってしまいました。私の環境でも今後もメイン機として活躍しそうです。