こんにちは。今回は 「SOUNDPEATS Air4 Pro」です。コストパフォーマンスに優れたワイヤレスイヤホンで定評のあるSOUNDPEATSから、インイヤー型の「Air4」「Air4 Lite」に続き、カナル型モデルで「全部入り」の高機能モデルが登場しました。優れた装着性とともに最大-45dBの高性能アクティブノイズキャンセリング機能や「aptX Lossless」「aptX Voice」といった「Snapdragon Sound」の機能を完全に網羅しており、8千円台の価格設定ながらさまざまなニーズに対応出来る万能モデルに仕上がっています。
■ 製品概要と購入方法について
低価格TWS(完全ワイヤレス)イヤホンの「定番ブランド」として日本でもすっかり定着した印象のある「SOUNDPEATS」ですが、最近では低価格ながら高性能ANC搭載やアプリ対応など機能面でのアップデートも著しい印象ですね。なかでも同社の「Air」シリーズは特にコストパフォーマンスの高さで毎回高い人気を持っています。今回の「SOUNDPEATS Air4 Pro」は「AirPods」タイプのインイヤー型「Air4」に対するカナル型モデルで、構成としてはいわゆる「AirPods Proタイプ」のデザインを採用したイヤホンとなります。
特徴としては「Air4」同様に「Snapdragon Sound」に対応。ハイレゾコーデックの「aptX Adaptive」に加え、ロスレス仕様の「aptX Lossless」にも対応します。さらに高音質通話機能の「aptX Voice」や高性能のアダプティブノイズキャンセリング(ANC)機能や装着検知機能など、まさに「全部入り」仕様にアップグレードされています。
ドライバーは「Air4」シリーズ同様の13mmの大口径ダイナミックドライバーを搭載。振動板には独自開発のバイオセルロース複合振動板を採用します。複合素材による特性を最大限に生かし、クリアな中音域とダイナミクス、そしてより自然なサウンドを実現しているとのこと。また最大-45dBの高性能なアダプティブANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載します。また装着したまま会話やアナウンスが聴ける外音取り込み機能にも対応します。
さらに再生音質だけでなく通話音質についても「aptX Voice」を搭載し、通常の通話の2倍の
広帯域音声通話を実現。cVc通話ノイキャン機能とあわせて6基のマイクにより周囲の雑音を除去し大切な会話で声を正確に伝えます。
ほかにも、「SOUNDPEATS Air4 Pro」は「装着検知機能」「マルチポイント対応」「本体6.5時間、ケース込み26時間の長時間再生」「IPX4の防水性能」「低遅延のゲームモード」「アプリ対応」など文字通り「全部入り」仕様となっています。
またカラーバリエーションは「ブラック」と「ホワイト」の2色が選べます。
ドライバー | 13mm 大口径 バイオセルロース複合振動板 ダイナミックドライバー |
---|---|
Bluetooth | 5.3 |
テクノロジー | Snapdragon Sound 対応 |
コーデック | aptX Lossless / aptX Adaptive / AAC / SBC |
ANC | アダプティブANC搭載 (最大-45dB) |
ENC | aptX Voice / Qualcomm cVc |
機能 | ・装着検出機能 ・ゲームモード ・マルチポイント接続 |
防水性能 | IPX4 |
再生時間 | 最大約6.5時間 / ケース込み26時間 |
重量 | 3g(片側) / 36g(ケース込み) |
アプリ | 「SOUNDPEATS」アプリ (Android / iPhone用) |
Amazon.co.jp(SOUNDPEATS Audio直営店): SOUNDPEATS Air4 Pro
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免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして SOUNDPEATS より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは本体画像を載せたお馴染みのもので、充電ケースの形状にあわせて、やや長方形だった「Air4」「Air4 Lite」に対して正方形のボックスになっています。
パッケージ内容は、イヤホン本体および充電ケース、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書、保証書など。
本体はいわゆるAirPods Pro型のデザインで、耳への収まりも良く使い勝手の良いデザインです。以前レビューした「Capsule3 Pro」より大口径のドライバーを搭載しますが、本体サイズは大きくなることはなくインイヤー型の「Air4」シリーズとほぼ同様で、さらにカナル型デザインとなることで遮音性が高くしっかり装着出来ます。
また充電ケースは330mAhと容量は一般的ですが非常に軽量でコンパクトサイズにまとめられています。丸みを帯びたデザインで使いやすい形状ですね。
本体背面のロゴマーク部分がタッチセンサーになっていて、各種操作に対応します。感度もちょうど良く使い買っては良好です。シングルタッチでは音量の増減、ダブルタッチで再生/停止および受話/終話のタイプですね。低遅延のゲームモードにも左側3回タッチで対応します。
再生/停止 | 2回タッチ(右or左) |
---|---|
音量UP | 右側 タッチ |
音量DOWN | 左側 タッチ |
曲送り | 右側 1.5秒ロングタッチ |
ANC切替 | 左側 1.5秒ロングタッチ |
受話/終話 | 着信時2回タッチ(右or左) |
着信拒否 | 1.5秒ロングタッチ(右or左) |
通話切替 | 2秒ロングタッチ(右or左) |
音声 アシスタント | 右側 3回タッチ |
ゲームモード | 左側 3回タッチ |
手動 ペアリング | 充電ケースのマルチボタンを 3秒間長押し |
電源ON | 自動:充電ケースから取り出す 手動:1.5秒ロングタッチ |
電源OFF | 自動:本体をケースに戻す 手動:10秒ロングタッチ |
■ ペアリングおよび専用アプリについて
「SOUNDPEATS Air4 Pro」の最大の特徴である「Snapdragon Sound」の各機能を利用するためにはペアリングするスマートフォンなどのデバイスが対応していることが必要ですが、Androidの最近のモデル/OSバージョンであれば「Snapdragon Sound」完全対応の機種でなくてもハイレゾコーデックの「aptX Adaptive」でのペアリングが行われます。なおiPhone/iPadなどは従来どおりAACコーデックでの接続となります。
今回使用したのは「XPERIA 1 III」で、「aptX Adaptive」には対応していますが、「Snapdragon Sound」完全対応ではないため「aptX Losless」と「aptX Voice」は利用できませんでした。
ペアリング後「SOUNDPEATS」アプリを起動するとカスタマイズで詳細な設定が可能です。同社のアプリはひとつの画面に必要な機能がまとまっているので分かりやすいですね。「ANC」モードは標準ではOFF(通常モード)になっており、「ゲームモード」や「装着検出機能」のON/OFFもこの画面で行うことができます。
イコライザー(EQ)については標準では「SOUNDPEATSクラシック」という状態になっています。ここで「ロック」などのジャンルや「高音強調」や「低域軽減」など8種類(クラシックも含めれば9種類)のプリセットモードが選択できます。このプリセットは結構実用的で、多くの場合はこのモードを選択するだけで十分に満足のいくサウンドを楽しめそうです。もちろん自分でEQをゴリゴリ設定したい方は「イコライザー(EQ)カスタマイズ」で個別のチューニングも可能です。
また「アダプティブイコライザー」では聴覚テストに基づき最適なサウンドモードを調整することができます。簡易的なテストのため必ずしも好みのチューニングになるわけではないようですが、自分に合ったチューニングを探す上では良い機能だと思います。
■ サウンドインプレッション
「SOUNDPEATS Air4 Pro」の音質傾向は、癖の無いニュートラルな傾向で、バランスは中低域寄りの弱ドンシャリ。味付けの無い音作りと比較的深く厚みのある低域および臨場感のある空間表現が特徴的です。「SOUNDPEATS」の主力モデルで共通したチューニングで、一万円以下の比較的購入しやすい製品ながら派手すぎずバランスの良いサウンドで好感が持てますね。ニュートラルな傾向は、より幅広い層を対象に、基本はアプリを使って好みの音色にアレンジする、という使い方を前提とした音作りです。また解像感や滑らかさなどの点でも「Air3」シリーズや「Capsule3 Pro」などの既存モデルより確実に向上しており、この価格帯としては十分な音質と言えるでしょう。
またBluetooth 5.3対応により、対応端末ではさらに接続性が向上しています。都心の主要駅などの電波環境が混雑する環境でも適切なビットレートを維持し、ほぼ途切れることのない安定した接続で利用できます。aptX系のコーデックは圧縮率が高く、電波環境での影響の少なさも特徴のひとつですが、よりビットレートの高いハイレゾコーデックを利用しても安定した接続を実感出来ました。
またアダプティブANC機能は完全に無音というわけではありませんが、不快な帯域のノイズを効果的にカットし、特に街中での利用や混雑した電車内や駅のプラットフォームなど環境ノイズの大きい環境で効果的に働きます。そのためノイズ音は大きな音も含め結構しっかり消してくれるいっぽうで、音楽再生を行わずにANCのみを有効にすると女性アナウンスなどの声などの中高域は若干は聞こえる感じとなります。逆に静かな部屋でANCを使用すると中高域が若干籠もり気味になりますが、適時ON/OFFを使い分ければかなり有効な機能と言えるでしょう。
高域は、明瞭感があり思ったよりスッキリした印象。それでも全体としては派手さを抑えつつ聴きやすくまとめられています。以前のモデルと比較すると解像感なども向上しておりハイハット等の細かい音もしっかり描写します。またマニュルで調整すると結構良い感じにチューニングできるようです。
中音域は癖の無い音を鳴らしつつボーカル域は適度に前傾し心地よいメリハリのある印象で鳴ります。音場も適度に広く自然な臨場感があります。派手さは無く僅かに温かみも感じるものの、女性ボーカルも比較的明瞭で男性ボーカルも力強さと厚みがあります。こちらも解像感は多少向上している印象で、自然な輪郭ながら最近のポップスなどをストリーミングで楽しむ上ではスッキリした明瞭サウンドを楽しむことができます。また映像コンテンツやゲームなども臨場感とともに位置の把握がしやすく「ゲームモード」による低遅延での利用も良いと思います。
低域は従来の「SOUNDPEATS」同様にニュートラルなバランスを維持しつつミッドベースを中心に力強さがあり心地よい印象。低域の表現力は他の音域に比べても高いようですね。重低音の沈み込みの比較的良好です。中高域との分離も比較的良く籠もることはありません。
■ 「Air4」「Air4 Lite」との比較
今回、SOUNDPEATSより製品比較用に既存モデルの「Air4」と「Air4 Lite」も送っていただきました。既存の「Air4シリーズ」と今回の「SOUNDPEATS Air4 Pro」の最も分かりやすい相違点は、既存モデルが「インイヤー型(AirPods型)」なのに対して「SOUNDPEATS Air4 Pro」が「カナル型(AirPods Pro型)」だという点。まあ「Pro」のネーミングルールがAirPodsと同じなので分かりやすいですね。
性能面については搭載ドライバーは3機種との13mmのダイナミックドライバーを搭載しており、実際に聴いてみても全体的なチューニングそのものは非常に類似しています。しかし、ソフトな装着感が得られるかわりに遮音性の面ではほぼオープンなインイヤー型の場合、環境ノイズに打ち消されないように低域を厚く高域の主張が強めのドンシャリ傾向が若干強めに調整されています。そのため低域は少し響きのある印象になります。しかし同様の他社製品と比較しても「Air4」および「Air4 Lite」は標準の設定ではかなりニュートラルな印象に感じるバランスになっていますね。
機能面では「Air4」は「Snapdragon Sound」を搭載し「aptX adaptive Lossless」に対応するなど今回の「SOUNDPEATS Air4 Pro」に非常に近い性能を持っています。また「インイヤー型」ながら「ANC機能」を搭載する点も特徴ですね。「SOUNDPEATS Air4 Pro」ではカナル型の遮音性に加え-45dBとANC機能が強化され、通話音質を向上させる「aptX Voice」に対応しています。いっぽうの「Air4 Lte」は異なるチップセットを搭載し「LDAC」コーデックに対応。ANC機能などを除く代わりにより音質重視の設計になっています。
もちろん「Air4」および「SOUNDPEATS Air4 Pro」は「Snapdragon Sound」の機能である「aptX Lossless」が利用できるため、16bit/44kHzのCD音質に関してはロスレス転送が可能です。ただしこの機能が利用できるのは「Snapdragon Sound」対応端末のみで、基本的にQualcomm製の対応SoCを搭載している製品に限られます。例えば私が使用している「XPERIA 1III」の場合はSnapdragonの世代の関係で「aptX adaptive」や「LDAC」といったハイレゾコーデックには対応していますが「aptX Lossless」と「aptX Voice」は利用できません。このような端末を利用した場合では静かな部屋でANCをOFFにした同環境ではビットレートの高い「LDAC」仕様の「Air4 Lite」が最も自然な印象のサウンドとなりました。
「SOUNDPEATS Air4 Pro」は基本性能が非常に高い製品のため、全ての機能に端末側が対応してなくてもそのメリットは十分に実感出来ますが、「全部入り」を「全部」使いこなしたい場合にはスマートフォンなどの端末側も「全部入り」であることが必要、ということは一応認識しておいた方がよさそうですね。
■ まとめ
というわけで、「SOUNDPEATS Air4 Pro」は8千円台、セール中は6千円の低価格で購入できる製品ながらポテンシャルの高いドライバー性能と「全部入り」の充実した機能を備えた、「SOUNDPEATS」らしいコストパフォーマンスの高いモデルに仕上がっていました。
手頃な価格で音質的にも機能的にも妥協したくない方にはうってつけの製品といえるでしょう。既存のインイヤー型デザインが好みの方には「Air4」「Air4 Lite」という選択肢もありますので、このシリーズだけでも非常に多くの要望をカバーできそうですね。音質的にもこの価格帯のTWS製品としては十分なレベルだと思いますし、アプリで自分好みにチューニングできる点も安心です。
このようにデメリットをほぼ感じない製品ですが、あえてウィークポイントを挙げるとすると、ペアリングするスマホ側が最新のハイエンド機で無い場合、「全部入り」をより実感するためにスマホ自体を買い換えたくなった事くらいでしょうか(笑)。まあそんなことを考えるのは私含めごく少数だと思いますので(^^;)、多くの方にお勧めできる製品だと思いますよ。