SIVGA Nightingale

こんにちは。今回は 「SIVGA Nightingale」です。14.5mmの平面駆動ドライバーを搭載したモデルで同社らしい高級感のあるウッドデザインにややウォーム方向ながらニュートラル傾向の上質感を持ったサウンドが特徴的です。
先月くらいからいろいろ忙しくなっており相当に未レビューがたまってきました。今回の記事も結構前からの書きかけだったりします(スミマセン・・・)。ぼちぼち催促もいただいているので頑張って仕上げていきたいと思います(汗

■ 製品の概要について

Sivga Audio」は2016年に中国で設立されたSivga Electronic Technology社のオーディオブランドで、主にハイエンドヘッドホンの市場で製品を展開しています。またイヤホン製品も種類は多くありませんが個性的なアイテムをリリースしていますね。私のブログでもこれまでさまざまな同社製品を紹介してきました。
→ 過去記事(一覧): SIVGA製ヘッドホン/イヤホンのレビュー

今回の「SIVGA Nightingale」は14.5mm平面駆動ドライバーをシングルで搭載したモデルで、ハイエンドメーカーらしく14mm級の平面駆動ドライバーを搭載した多くの他社製品よりひとつ上のアンダー300ドルクラスの価格設定とハイグレード路線の仕様となっています。
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またSIVGAといえばヘッドホン製品で積極的に高級木材を使用したハウジングが特徴的ですが、「SIVGA Nightingale」もCNC加工した水滴型のシェルに削り出しの木製フェイスプレートを装飾した高級感のあるデザインを採用。ハンドメイドにより丁寧に仕上げられています。

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ドライバーには14.5mmの大型の平面駆動ドライバーを搭載。自社開発の極薄の複合振動板とデュアル磁気アレイ構造を採用。より高感度で、バランスの取れたサウンドステージと優れた過渡応答を備えています。 磁気力学を利用して 二組の高性能な希土類焼結磁石(ネオジム・鉄・ボロン磁石)を合理的に適合させ、通常の磁気回路と比較して効率を大幅に向上させます。

本体はソフトで快適な装着性を実現し、0.78mm 2pin仕様のケーブルは日本製の銀メッキ銅線を使用したハイグレードな4芯ケーブルを採用します。
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SIVGA Nightingale」の価格は279ドル。AliExressのオフィシャルストア、HiFiGo、Linsoulのほかアマゾンの直営店でも購入可能。アマゾンでの価格は39,800円で購入可能です。
Amazon.co.jp(SIVGA): SIVGA Nightingale


また「SIVGA Nightingale」はSIVGAの国内代理店「01Diverse株式会社」の公式サイトおよび直営サイト「HAKONIWA LAB」でも同価格で購入が可能で、こちらでは延長保証の追加もできます。
01Diverse公式サイト: SIVGA Nightingale(国内流通モデル)
HAKONIWA LAB(代理店直営店): SIVGA Nightingale(国内流通モデル)


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして SIVGA Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SIVGA Nightingale」のパッケージはシンプルながら重厚感のあるブラックのボックス。ヘッドホン製品同様に質実剛健なイメージですね。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル(4.4mmプラグ)、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ハードケース。
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本体は水滴型、まあどちらかというとタマゴ型のシェルデザイン。樹脂コートされたウッドパネルが高級感があります。ハウジング部分はアルミニウム合金製で重厚さのある外観のわりに軽量です。やや大きめですが厚さは抑えられており、耳穴を覆うような装着感となります。ステムノズルはややリーチが短めですので、耳が大きい方はやや大きめのイヤーピースを選択した方が良いかも知れませんね。
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付属のイヤーピースはやや浅めで丸みのあるデザインのグレーのものと、昔のソニーのイヤーピースぽいカラーの軸で柔らかいブラックのタイプ。ブラックの方はコシが少ないため標準の方が合わない方むけという印象。また標準タイプのほか各社のイヤーピースを組み合わせてフィット感をより高めるのもおすすめです。私は例によって「TRN T-Eartips」を使用しました。
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ケーブルは4芯タイプの銀メッキ線ケーブルで弾力のあるブラックの樹脂被膜により取り回しは良好です。珍しく付属ケーブルは4.4mmのバランスのみの仕様で、いまのところ3.5mmなどの選択肢は用意されていません。この価格帯の製品であればDAPなどの再生環境を使用しないほうが少ないと思いますが、もともと非常に駆動力を必要とする製品らしく、このような仕様にしたぽいですね。
そういった意味で、「スマホ直挿しはナシで」という意図を端的に伝える手段として、4.4mmのみ、という構成は結構アリなのかもしれませんね(3.5mmのみのポタアン等を利用するレベルのマニアならどうせリケーブルとか変換コネクタとかで対応するだろう、みたいな感じもありそうですね)。個人的にはこういう割り切りは嫌いではありません(^^)。


■ サウンドインプレッション

SIVGA NightingaleSIVGA Nightingale」の音質傾向は僅かにウォーム寄りの印象ながら中音域寄りのニュートラル。敢えてバランスとしては低域を抑えめにすることで、大口径の平面駆動ドライバーによる低歪みで存在感のある低域を活かしたフラット方向の印象にする、という傾向は「DUNU Talos(平面モード時)」などでも見られたアプローチですが、「SIVGA Nightingale」ではより中音域の主張を増した、いわゆるカマボコ的な調整を行うことで「Talos」の無味無臭感とは異なる、よりミッドセントリックで「エモさ」も感じさせるリスニングサウンドに仕上げられています。
重低音を低めに調整することでスッキリした印象にしつつ全体としては各音域は十分な存在感を感じさせるアプローチはオーバーイヤーのハイグレードヘッドホンでよく見られるチューニングですが、耳穴全体を覆うような水滴型デザインのハウジングと大口径平面駆動ドライバーにより同様のアプローチを取っている「SIVGA Nightingale」は、実績のあるヘッドホンメーカーらしい音作りという印象もありますね。

なお、前述の通り、「SIVGA Nightingale」をしっかり鳴らすためには十分に駆動力のある再生環境が必要です。私は最初から「FiiO K9 PRO LTD」などの据置き環境や「Shanling H7」のようなアンプで聴いていたので開封直後でもあまり気にならなかったのですが、たとえ4.4mmバランス接続可能でも小型のオーディオアダプターやDAPでは本気を出せない可能性も高そうです。なお100時間~200時間程度の長時間エージングにより多少鳴らしやすくなるような気もします。まあ、この鳴らしにくさも、「ハイグレードヘッドホンぽい」と言えなくもないですね。

SIVGA Nightingale」の高域は非常に滑らかで自然な伸びがあります。歯擦音などの刺激はほぼ無く聞きやすい印象ですが、鋭さが無いわけではなくある程度の煌めきもあります。またウォームになりすぎないように高高域にアクセントがあり伸びやかさとスッキリ感も維持しています。

SIVGA Nightingale中音域は過度にボーカル寄りにならない程度に主張があり、存在感のある音を鳴らします。ボーカルは前傾で定位しますが自然な広さをもった音場感が有り、過度に広がりや立体感を強調しているわけではありませんが、アコースティックな音源やオーケストラでも自然に感じる空間表現があります。女性ボーカルやピアノの高音などの中音域にアクセントがあり伸びやかさを感じさせつつ、全体としては柔らかめの輪郭で若干のウォーム寄りに感じさせます。ジャズ、ロック、フュージョンなどの音源は非常に「エモさ」があり、ちょっとニヤニヤしてしまいました。いっぽうでポップス、アニソンなどの最近のボーカル曲もしっかり楽しめる実力があります。

低域はミッドベースが主体で全体としてはニュートラルにまとめられています。なんというか、ざっくりいうと「SIVGA」の上位グレードのウッドハウジングヘッドホン製品を聴いているような低域です(^^)。前述の通り、同社のヘッドホンでの音作りをイヤホンで実現することも「SIVGA Nightingale」の方向性のひとつであることは間違いないでしょう。重低音は控えめに仕上げられていますが、大口径平面駆動ドライバーによる低歪みで直線的に沈む印象をしっかり反映し高い質感で不足を感じさせない印象です。ミッドベースは存在感があり適度な響きを持ちますがやはり直線的で自然な締まりがあります。ニュートラルバランスを好まれる方には最適な質感を持っていると思います。


■ まとめ

SIVGA Nightingaleというわけで、「SIVGA Nightingale」はハイグレードヘッドホンメーカーの「SIVGA」のエッセンスをしっかり反映させた高音質イヤホンとして、多くの14mm級平面駆動ドライバー搭載の他社製品として一線を画す印象がありました。ひとことで言えば質実剛健で自然な温かみのあるニュートラルサウンド、となりますが、適度にミッドセントリックなチューニングによるアコースティック音源での心地よさは他ではあまり得られないものかも知れませんね。スペックに対して価格的には決して安価とは言い難い内容ですし、4.4mm仕様が標準で相応の再生環境も必要とするなど結構なマニア仕様でユーザーは選ぶかもしれませんが、完成度は高く良いイヤホンだと思いました。興味ある方は挑戦いただければと思います。