iBasso DC-Elite

こんにちは。今回は 「iBasso Audio DC-Elite」です。小型オーディオアダプター(ドングル型DAC/AMP)製品で7万円オーバーという価格設定ながら、12月15日にリリース後、初回分は即完売。次回入荷も争奪戦と噂のある製品です。チタニウム合金製のハウジングに同社のフラグシップDAPの「DX320」シリーズと同様のROHM「BD34301EKV」DACチップを搭載し、「DX320」のスペシャル級モデル「DX320MAX」で搭載される自社開発24段アッテネーターなど随所にこだわりを見せた「ドングル版DX320MAX」ともいえる、まさにフラグシップ級オーディオアダプターですね。

■ 製品概要と購入方法について

中国のオーディオブランド「iBasso」はDAPやポータブルアンプ製品、さらにはイヤホンなども含めオーディオマニアにはお馴染みのブランドで、高音質のポータブルプレーヤー(DAP)製品やコストパフォーマンスに優れたオーディオアダプター(ドングルDAC/AMP)製品の「DCシリーズ」はマニアの間でも定評がありますね。個人的にはDAP製品については「DX150」、「DX220」、そして最近「DX320」とグレードアップしながら購入しており、「DCシリーズ」の各製品も順次購入するなどして利用しています。

この「DCシリーズ」のフラグシップとして登場したのが今回の「iBasso DC-Elite」です。iBassoのスペシャル級DAP「MAXシリーズ」にも通じる最先端の技術と最新鋭のパーツを採用し、高性能DAP製品に匹敵するアーキテクチャをコンパクトなサイズに凝縮。さらに筐体にはチタニウム合金を採用しており、まさに「コンパクトMAX」という異名にも相応しい、フラッグシップオーディオアダプターとなっています。
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iBasso DC-Elite」は同社のフラグシップ級DAP「DX320」シリーズでも搭載されるハイエンドオーディオ級の電流出力DACチップROHM「BD34301EKV」を採用。デスクトップクラスの電流出力DACチップを小型オーディオアダプター製品で採用するのは前例がない取り組みで、高精度で洗練された回路設計技術により、限られたサイズの中で最大限にDACチップの性能を引き出すことに成功しました。また自社開発のFPGA技術を採用しNDK製フェムトクロック水晶振動子をクロックソースに採用しています。これらのチップを中心に6つのデュアルオペアンプを搭載するなど、コンパクトなサイズのなかにフラッグシッププレーヤーに匹敵する高度かつ大規模な精密回路を搭載します。
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さらに「iBasso DC-Elite」ではアナログボリュームを採用し、「DX320MAX」にも搭載した自社開発の24段4セクションステップアッテネーターを搭載。ドングルDAC/AMP製品のなかでは類を見ないSNRスペックにより最高峰の静寂性とクリアリティを体感することができます。

iBasso DC-Elite」のプラグは3.5mmシングルエンド/SPDIF兼用と4.4mmバランス仕様のデュアルコネクタを採用。最大768kHz / 32bit PCM、DSD512に対応します。
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iBasso DC-Elite」の直販価格は74,000円(税込み)。購入はiBasso正規国内代理店「MUSIN」直営の「HeyListenショップ」、または楽天、アマゾンの直営店、取扱いの各専門店などにて。
Amazon.co.jp(MUSIN公式ストア): iBasso DC-Elite
楽天市場(MUSIN公式ストア): iBasso DC-Elite


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

iBasso DC-Elite」のパッケージは同社のDAP製品同様のシンプルなデザイン。小型のドングルDACとはいえフラグシップモデルらしく内箱も高級感のあるタイプです。
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パッケージ内容は、本体、OTGケーブル2種(Type-C、Lightning)、Type-A変換コネクタ、レザーケース、ケーブル用ポーチ、説明書、保証書ほか。国内版では初回使用時の注意書きも同梱されています。この辺の細やかさは有り難いですね。
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iBasso DC-Elite」は同社のスペシャル級DAPであるMAXシリーズを彷彿とさせるチタニウム合金製。本体の材質にまでこだわっている点もまさにフラグシップという風格です。
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本体サイズは64mm×35mm×14.5mm、重量60.5gとドングル型オーディオアダプター製品としては大きめですが思ったほどではなく、十分に実用的な印象。最近はこのサイズ感の製品も増えており、そこまでの違和感はないですね。「FiiO BTR7」などをUSB-DACとして使用している方ならむしろよりコンパクトに楽しめるでしょう。
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プラグは3.5mmと4.4mmで、3.5mmはSPDIF兼用。同軸出力でもUSBと同じ32bit / 768kHzに対応するようです。またコネクタ周りの部品も質の高いものが使用されていることが伺えます。
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ほかにも付属品としてUSB Type-CおよびLightning用のOTGケーブルが付属。最初から2種類のケーブルが付属するのは既存のiPhoneなどを使用しているユーザーには有り難いですね。またレザーケースも標準で付属します。ひと通りの付属品が最初から揃っていますので購入してすぐに使用することができます。

iBasso DC-EliteiBasso DC-Elite」は本体の大きなアナログボリュームに加え、3.5mmのモード変更やPCMのデジタル音量を変更できるボタンが側面に付いてます。
またAndroid用にリリースされている iBassoの専用アプリ「iBasso UAC」で、より詳細な設定変更が行えます。「iBasso DC-Elite」が対応する「iBasso UAC」のバージョンは「V1.6.8」以降ですが、レビュー掲載時点では「Google Play」に掲載されていないため、MUSIN社のサポートサイトでのダウンロードおよびインストールが必要となります。
MUSINサイト: DC-Elite 互換「iBasso UAC」について
既に従来バージョンの「iBasso UAC」がインストールされている場合はアンインストールし、.apkファイルからのインストールを行います。これにより各種設定が可能になります。


■ サウンドインプレッション

iBasso DC-EliteiBasso DC-Elite」を実際にスマーフォンに接続して利用してみた印象はおおよそ「ドングル型DAC」でイメージできるものとは異なり、ハイグレードDAP並の上質なサウンドを体感できます。
オーディオアダプター的な製品で「スマホがDAPに化ける」みたいな記述はわりとよく見かけますが、「今度はホンモノだぞ」という印象です。据置き並みの高出力アンプを必要としない用途であれば、「iBasso DC-Elite」は見通しの良い空間表現と精緻に描写されるディテール感は数万円クラスのDAP製品を軽く凌駕する質感がありますね。

音質傾向としては手持ちの「DX320」とも共通感のある完全なニュートラルなサウンド。「FiiO M15」のような多少派手さもありリスニング寄りサウンドとは異なり、高級DAP的ともいえる原音忠実性の高いモニター的な印象です。いっぽうで解像感は極めて高く広く立体的な空間表現のなかで明瞭な輪郭で粒立ちよく描写されます。同時にシルキーな滑らかさもあり、接続したイヤホンやヘッドホンの実力を引き出しよりクリアで美しく再生してくれる印象です。派手さはありませんが、より上質なサウンドをオーディオアダプターで体感したい方には間違いなく最適なアイテムといえるでしょう。

スペック上の出力は4.4mm バランスで 280mW@32Ω、300Ωだと70mWですが、独自回路により内部の駆動力は想像以上に高く、全般的に十分に余裕を持った鳴り方をする点も、一般的な小型アダプタとは思えないサウンドを実現できる要素だと思われます。
iBasso DC-Eliteさらに「iBasso DC-Elite」は「DX320MAX」同様の「24段4セクションステップアッテネーター」により音量を上げてもクリアランスが維持され歪みのないサウンドを体感できます。そのため、一般的にはバッテリーを搭載しないアダプターでは鳴らしにくいようなヘッドホン製品でも音が平坦になったり歪みが発生すること無く十分な実力を発揮します。例えば「HiFiMAN Edition XS」(平面駆動ドライバー仕様のヘッドホン)でも本体ダイヤル(24段アッテネーター)を最大にしたうえでスマートフォン側で音量を調整することで最適な音量を確保し、さらに十分に奥行きのあるサウンドを実感出来ました。

なお、本体ダイヤルはボリュームノブというより「24段アッテネータの回転式切替えスイッチ」と解釈した方が良いでしょう。切替えごとに段階ごとに内部の抵抗器がスイッチされる仕様のため切替え時には音声が途切れる仕様になっています。あらかじめ使用するイヤホンやヘッドホンにあわせたステップに切替を行っておき、そのうえで音量そのものはスマートフォンなどの端末側、または側面ボタンによるコントロールを行うという使い方が「正解」となります。これが初心者なども対象としたドングル製品の場合だと「操作性に難あり」ということになるかもしれませんが、「iBasso DC-Elite」については、いろいろな事を分かったうえで音質重視で購入されるマニア向けだと思いますので、むしろより柔軟なコントロールができる、という意味で個人的にはポジティブに解釈できる機能だと感じました。
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もちろん、「iBasso DC-Elite」は専用アプリのあるAndroid端末以外にも、Lightning-OTGケーブルによりiPhoneに接続したり、MacやWindowsなどのPCで利用することも可能です。Macの場合はUAC2.0(USB Audio Class 2.0)で接続されドライバーなしで高音質USB-DACとして利用できます。WindowsもMUSIN社サポートサイトにてWindows用のASIOドライバーが公開されていますので問題なく利用できます。


■ まとめ

iBasso DC-Eliteというわけで、「iBasso DC-Elite」の実力はドングル製品としては抜きん出ている印象のアダプターでした。ちなみに私もDAPやバッテリ内蔵のアンプ製品も多用していますが、それらの製品と比較して、というのはややナンセンスかもしれません。このクラスの製品を検討される方は既に複数の再生環境を持っていて、そのうえで小型オーディオアダプターでもより高音質を、と考えていらっしゃると思います。このような用途ではリリース前からの高い期待に十分応える仕上がりだと感じました。
実際初回分は早々に完売しており、次回入荷分も世界中で争奪戦の様相という噂も聞きます。利用するヘッドホンやイヤホンなどの組み合わせによってはそれなりに端末側のバッテリーも消費しそうですが、そういった側面も含め、今後もよりじっくりと利用していこうと思っています。高性能・高級オーディオアダプター型の製品を検討しているマニア向けとして、「iBasso DC-Elite」は価格に十分見合ったお勧めできる製品だと感じました。