こんにちは。今回は 「ARTTI R1」です。3基のダイナミックドライバーを搭載する3DD構成のイヤホンです。「ARTTI」は以前レビューした「T10」で低価格ながら大口径平面駆動ドライバーを搭載し質の高いニュートラルサウンドを実現しましたが、今回も本体のポテンシャルは高くコストパフォーマンスに優れた構成で、ドンシャリ傾向の楽しいサウンドを実感出来ます。
■ 製品概要と購入方法について
「ARTTI」は、オーディオ関連の中華系ECサイトを運営する「VOLKCHOI」のオリジナルブランド。「VOLKCHOI」は今年2月頃からサービス開始以降直販サイト「volkchoi.com」やAliExpress、日本のアマゾンにも公式ストアを展開し数多くの製品を販売しています。
以前同社の最初の製品である14.2mmの平面駆動ドライバー搭載モデル「ARTTI T10」をレビューしました。低価格で質の高いサウンドを実現したことでマニアからの評判も良好でしたね。
→ 過去記事: 「ARTTI T10」のレビューそして今回の「ARTTI R1」は2基の6mm 複合ダイナミックドライバーと1基のベリリウムコート複合振動板ダイナミックドライバーの組み合わせによるトリプルドライバー構成を採用したモデルです。本体は航空グレードのアルミニウム合金製を採用しています。
ドライバーにはPUサスペンションエッジおよびチタニウムドームによる6mm 複合振動板を採用したダイナミックドライバーを2基、8mm ベリリウムコート複合振動板ダイナミックドライバーを1基による2+1構成のダイナミックドライバーを搭載。内部では物理的およびPCB基板による電気的な3wayセパレーションによりクロスオーバーを制御し、バランスの良いサウンドを実現しています。
また本体シェルは6063 航空宇宙グレードのアルミニウム合金のCNC加工により成形されており美しく耐久性のある仕上がりとなっています。
ケーブルは216本の線材を使用した高純度銅線を使用し、0.78mm 2pinコネクタを採用します。プラグは3.5mmと4.4mmを購入時に選択可能です。
「ARTTI R1」の価格は79ドル、アマゾンでは11,829円です。購入は「VOLKCHOI」の直販サイト「volkchoi.com」およびAliExpress、アマゾンの公式ストアで購入可能です。
Amazon.co.jp(Volkchoi 公式ストア): ARTTI R1 ※掲載時20% OFFクーポン配布中
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして VOLKCHOI より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「ARTTI R1」のパッケージ製品画像を載せたシンプルなデザインで背面にはスペックなどが記載されています。ボックスサイズは同社の「ARTTI T10」と同様のものです。また先日レビューした「AOSHIDA E20」とも同じサイズ、デザイン系統のデザインだったりします。「ARTTI T10」は「LETSHUOER」に製造を委託している製品でしたが今回の「ARTTI R1」も同様のようですね。
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ハードケース、説明書、保証書ほか。
本体はアルミニウム合金合金製の金属シェル。ブルーグリーンのカラーリングでシンプルながら個性的なフェイスデザインが特徴的です。側面に3つの穴のベント(空気孔)があります。シェル形状は耳にフィットしやすく装着性は良好です。
付属のイヤーピースのほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」などよりフィット感を得られるイヤーピースに交換する方がおすすめです。
付属ケーブルは高純度銅線の4芯撚り線タイプでこちらも「AOSHIDA E20」同様に「LETSHUOER D13」に付属していたものとほぼ同じ線材のようです。
■ サウンドインプレッション
「ARTTI R1」の音質傾向はバランスが良く明瞭感のあるドンシャリ系のサウンド。バランスとしては若干のW字方向の印象もある傾向です。また3基のダイナミックドライバーによる分離は良好な印象です。高域は明瞭でスッキリした伸びの良さがあり、また3DD構成らしく適度な響きと厚みのある音を鳴らします。
ただし開封直後は結構暗めでウォーム方向の印象でしたが多少鳴らし込むことで明瞭なサウンドになりました。また、今回届いたのは3.5mmモデルでしたが、バランス接続のほうがより分離感が向上し明瞭な印象になります。情報量の多い銀メッキ線のバランスケーブルなどへのリケーブルもポテンシャルを引き出すうえで有効だと思います。ケーブルを替えることでかなり分かりやすく「化ける」ため、リケーブルは必須と思った方が良いかも知れませんね。
「ARTTI R1」の高域は付属ケーブルではややウォームで暗めの印象で鳴ります。エージングによりある程度明瞭な印象になりますが、よりスッキリした伸びの良さを求める方は適度な銀メッキ線のケーブル等にリケーブルをしたほうが良いでしょう。付属ケーブルではやや暗く感じるかわりに聴きやすく、鋭さを抑えた印象となるため、ボーカル域を中心により聴きやすいサウンドが好みの方は付属ケーブルのほうが交換する場合もあるかもですね。
中音域は癖の無い印象で比較的主張があります。付属ケーブルではややウォーム気味に感じさせますが音像の輪郭は比較的ハッキリしておりある程度の解像感や分離性は確保されています。
リケーブルにより高域および低域のキレが向上しよりドンシャリ感が増しますがそれでも過度に凹むことはなくボーカル域はしっかりと存在感がありますね。
ボーカル域はやや前面で定位します。主張は強めなもののバランスとして中音域は印象としてはフラットに近く、3DD構成のイヤホンでイメージする印象と比べて「思ったより」解像感も良好です。音場は一般的ですがドンシャリ傾向らしい広がりと奥行きを得られます。まあ原音忠実性とかはあまり気にしない方向のサウンドです(^^)。
低域はパワフルでアタックも力強さががあります。十分な厚みがありますが締まりも良く、適度な響きを持ちつつ分離の良い音を鳴らします。この辺の仕上げ方に製造元(と思われる)LETSHUOERぽさも感じさせますね。ミッドベースは伸びの良さがありスムーズでキレより響きを重視したような印象ですがスピード感もしっかり感じさせます。重低音は深さがあり適度な温かさと響きがあります。低域の質感はこの価格帯の製品としては優れており、多くの方が好感できそうな印象です。ボーカル曲を中心に様々なジャンルで楽しめるリスニングイヤホンに仕上がっています。
■ まとめ
というわけで、「ARTTI R1」は3DD構成という特徴を活かし、エネルギッシュで質の良い低域と明瞭なドンシャリ傾向のサウンドを楽しめるリスニングイヤホンに仕上がっていました。ケーブルやイヤーピースについては本体のポテンシャルに追いついていない印象も感じさせ、より「本気を出させる」ためには交換、リケーブルが望ましいと思いますが、その辺も「マニア向けの楽しみ」と考えれば、コストを抑えて製品化している点がポジティブに感じるケースも多いかもですね。
ちなみに、「ARTTI R1」はインピーダンス20Ω、感度102dB/mWとスマホ直挿しには向きませんが多くのドングル型のオーディオアダプターとの組み合わせでも十分に楽しめる印象です。この辺の使いやすさも含め、セラーブランドとしてマイナーさを感じる製品ではありますが、価格を抑えつつバランスの良いサウンドを入手したい方には最適な製品のひとつかなと感じました。