こんにちは。今回は 「INTUAURA Luna Plume」です。正確には「INTUAURA」の「Lunaシリーズ」でモデル名が「Plume」ということのようです。そのため「INTUAURA Plume」と表記する場合の方が多いようですね。高精細3Dプリントによる美しシェルに高品質な10mm ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、独自のチューニングを行ったモデルです。
■ 製品概要と購入方法について
「INTUAURA」は「Angeldac Audio Store」が取り扱う中華イヤホンブランドで私のブログでは先日複合合金両面コート振動板ドライバーを採用した「VIEW Splendor(逸彩)」を紹介しています。
今回の「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」はDLC振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載したモデルで、HeyGears の高度な 3Dプリント技術による高品質シェルによる精密音響構造と「AWCT音響チューニング技術」による高度なチューニングを実施しています。
「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」が搭載する10mmダイナミックドライバーは、ナノレベルコーティングによるDLC振動板、CCAWボイスコイル、N52マグネットを採用。ドライバーユニットはゼンハイザーやB&Oなどのブランドの開発作業にも携わった経験のあるサプライヤーから供給されており、成熟した技術力を反映した仕上がりになっています。シェルはHeyGears の高度な 3Dプリント技術により生成され、独自の「A.W.C.T(音響調整テクノロジー)」による高度なチューニングにより、不調和エネルギーのピークを吸収しリアルで詳細な表現力と質感のある快適なサウンドを実現しています。
ケーブルは0.78mm 2pin仕様の8芯銀メッキ線ケーブルを採用。充実した付属品を揃えており、満足度の高いパッケージとなっています。
「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」の購入はAngeldac Audio Storeにて。価格は149ドルです。
※購入ページでは他にもケーブル等のオプション付きのセットも選択可能。また現在は全てのセットで特製アクリルスタンドが付属します。
AliExpress(Angeldac Audio Store): INTUAURA Luna Plume
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Angeldac Audio Store より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージはキャラクターが前面に描かれた大きめのボックス。前回の「VIEW Splendor(逸彩)」がわりとシンプルなパッケージデザインだったのに対し、こちらは萌え方面に全振りですね(^^;)。
パッケージ内容は、本体、ケーブル、イヤーピース、ハードケース、ロゴメタルステッカー、交換用メッシュパーツ、キャラクターデザインのカード。イヤーピースは一般的な形状の黒色タイプがもS/M/Lサイズで2ペア、開口部の広い白色タイプがもS/M/Lサイズで3ペア、さらに半透明の通常タイプがもS/M/Lサイズで1ペアずつ入っていました。
本体は、3Dプリントによるレジン製。出力は「VIEW Splendor」と同じく「HeyGears」の高精細3Dプリンターを使用して成形されています。シェルサイズは「VIEW Splendor」よりシェイプされ、より耳にフィットしやすい形状になっています。
使用している樹脂も「VIEW Splendor」同様にクリアブラックのレジンを使用しており、透明度が高い材質のため反対側に光が透過するとまるで透明のように見えるという、高級感のある仕上がりになっています。またブラックを基調とした手描きによるフェイスプレートのデザインも非常に格好良いですね。
ケーブルは8芯タイプの銀メッキ線でやや太めのケーブルが付属します。被膜はやや弾力がありますがしっかり編み込まれており取り回しは比較的良好です。
イヤーピースは3種類が付属します。付属のイヤーピースのほか、よりフィット感のあるものを選ぶのも良いでしょう。私は例によって最近大量買いした「TRN T-Eartips」を合わせています。またパッケージとは別にオマケのアクリルスタンドも付属していました。
■ サウンドインプレッション
「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」の音質傾向はU字またはW字のバランスを描くハーマンターゲットカーブ寄りのサウンドバランス。付属の銀メッキ線ケーブルは銅線傾向が強めの線材で、再生環境にもよりますが高域をやや抑えた中低域寄りの印象になります。また特徴として中低域付近に特徴的な響きがあり奥行きのある音場感を演出しています。ボーカル域は主張がありより近くで定位するため音場の広さは一般的からやや狭い印象ですが、この特徴的な鳴り方により雰囲気と臨場感を高めています。
インピーダンス18Ω、感度127dB/mWと音量自体は比較的取りやすいものの、再生環境によっての変化は大きく、十分な駆動力のある再生環境が望ましいでしょう。また開封直後にくらべて100時間~200時間程度の鳴らし込みにより全体の明瞭感や伸びやかさが向上する印象があります。DLC振動板を採用する製品では長時間のエージングが推奨される製品が多いですが、「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」も十分に鳴らした方がよさそうです。
ちなみにAngeldacのサイトでは数種類のバランスケーブルとのセットも選択できますが、選択できる「NICEHCK BlackCat」の4.4mmケーブルを組み合わせて見ると中高域の透明感や見通しが向上しよりハッキリした印象に変化し、同時に中高域がやや強めに出る印象となりました。ボーカルがより近くで鳴るため、「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」の特徴である響きのある音場感はあまり感じなく鳴ります。リケーブルを行う場合は、銀メッキ線より情報量の多いOCC線などの高純度銅線を選択する方が相性が良いかも知れませんね。
「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」の高域は明瞭で伸びのある音を鳴らします。付属のケーブルを組み合わせた場合はやや主張を抑え暗めになるため相対的に聴きやすい印象。十分な慣らし込みを行い、駆動力のある再生環境で鳴らすことでスッキリした印象になります。情報量の多いケーブルへリケーブルすることでより明瞭さが増し鮮やかさを持った高音に変化しますがやや主張が強めに出るため、ハイゲインで音量を下げて再生するなどの調整が必要がある場合もあります。
中音域は癖の無い音を鳴らします。ボーカル域を中心に主張がありより近く定位します。ハーマンターゲット寄りの多くの製品と同様に女性ボーカルの高音など中高域付近にアクセントがあり明瞭さを感じさせます。男性ボーカルは自然な輪郭ですが解像感は高く、演奏との分離も良好です。中低域付近に奥行きを感じさせる独特の響きがあり臨場感ととも演奏の粒立ちを向上させています。ボーカルが近いため音場は広くはありませんが、この響きにより窮屈さは無く心地よいリスニングができます。ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲と相性が良いサウンドですが、臨場感のある鳴り方のためインストゥルメンタルも結構楽しめました。
低域は自然な量感と厚みのある音を鳴らします。十分な量感がありますが、ミッドベースも少し下がっておりボーカル域を下支えする印象。自然な輪郭で中高域との分離は良好です。重低音は深さがありますが重量感は一般的。ニュートラル方向のバランスの良い低域です。
■ まとめ
というわけで、「INTUAURA Luna Plume(羽墨)」は3Dプリントと手描きフェイスプレートによる美しいブラックシェルに品質の良いドライバーを搭載し、ボーカル曲を中心としたポップスリスニングなサウンドバランスに仕上げつつ、「INTUAURA」による独自の響きを持つチューニングで個性的な味付けを行っている点が特徴的なイヤホンでした。
「VIEW Splendor」のレビューでも記載しましたが、「INTUAURA」も科学的な検証による音作りを行っているという点で「AFUL」などの新しいブランドと共通した堅実さのなかにもしっかり個性を感じる印象を持ちました。ただ他のブランドと比べると根本の部分でよりマニアックな部分もありそうで、その点でややマイナーな印象になっている部分もありそうです。確かに万人向けの製品ではありませんが、仕上がりは非常に良いイヤホンですので、複数の製品を持つマニア諸氏であればコレクションに加える価値は十分にあるイヤホンだと思いますよ(^^)。