こんにちは。 今回は「Kiwi Ears Forteza」です。相次いでリリースされる新モデルがどれも話題でマニアの注目度も向上している「Kiwi Ears」の新しい低価格モデルです。美しいレジンシェルに1BA+2DD構成を搭載したハイブリッド仕様で60ドル以下、1万円以下の価格設定も魅力的なイヤホンですね。音質的にもバランスの良いドンシャリ傾向で濃厚さのあるパワフルサウンドがとても楽しい印象です。
■ 製品概要と購入方法について
「Kiwi Ears」は2021年に登場した新しい中華イヤホンのブランドで、8BA構成の「Orchestra」および先日レビューした「Orchestra Lite」、ベリリウム(コート)ドライバーと3Dプリントシェルを採用しつつ低価格を実現した「Cadenza」、そしてマルチドライバー構成の「Quartet」や「Quintet」など、美しいデザインと質の高いサウンドで多くのマニアから注目を集めています。最近では低価格平面駆動ドライバー構成の「Melody」も好評ですね。
今回の「Kiwi Ears Forteza」は美しいレジンシェルに1BA+2DD構成を搭載したハイブリッドモデルで60ドル以下、1万円以下の価格設定も魅力的なモデルです。一般的にこの構成の場合は1BA+1DDのハイブリッドから低域を強調した製品が多くありますが、「Kiwi Ears Forteza」の場合は高域~中高域を担う1基のBAと、中音域用の10mmダイナミックドライバー、そして低域用の10mmダイナミックドライバーによる3Way構成となっている点が特徴です。
各ドライバーユニットは自社製で、複合振動板を備えた低域用の10mmダイナミックドライバーに追加の中音域用ダイナミックドライバーをシャーシ内に加えることでより豊かな低音域と色彩豊かで温かみのある中音域を実現。さらにBAドライバーは優れたTHD-SPL特性を備えていることがテストされています。「Kiwi Ears Forteza」ではフラットさより豊かさを意識したチューニングが施されており、高音域、中音域、低音域のレスポンスが一致するように慎重に組み合わせています。
。「Kiwi Ears Forteza」はハンドメイドによるレジン製シェルで0.78mm 2pin仕様のコネクタを備えており、取り外し可能なケーブルが付属します。
「Kiwi Ears Forteza」の購入はLinsoulの直営店、AliExpressおよびAmazonの各店舗にて。
カラーバリエーションはブラック、ブルー、パープルの3色。
価格は59.00ドル、アマゾンでは9,380円です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「Kiwi Ears Forteza」のパッケージは同社の製品を踏襲した製品画像を載せたパッケージ。製品カラーをイメージした鮮やかなカラーリングの化粧カバーで、今回もゴデザインがクールな印象です。
パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは3種類、それぞれS/M/Lサイズ、ケース、説明書。低価格モデルながらしっかりとしたケースが付属するのは有り難いですね。
パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは3種類、それぞれS/M/Lサイズ、ケース、説明書。低価格モデルながらしっかりとしたケースが付属するのは有り難いですね。
シェルは鮮やかなクリアカラーのレジン製で、シェル形状は同社の「Quartet」など上位モデルを踏襲したデザインとなっています。ラメ模様のフェイスプレートも鮮やかで60ドル以下の低価格モデルとしてはかなり高級感のある印象ですね。レジン充填ではないため本体は非常に軽量です。耳にフィットするデザインから装着性および遮音性もまずまず良好です。
ケーブルは中華2pinタイプの銅線ケーブルで、こちらも「Quartet」の付属ケーブルと同様の線材のようです。被膜は柔らかく取り回しは良い印象。コネクタは一般的な2pin仕様のため手頃な銀メッキ線などへのリケーブルを検討するのも良いでしょう。
また標準で3種類のイヤーピースが付属しますが他にもよりフィット感を高めるため定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、SpinFit「CP100+」、TRN「T-Eartips」などへの交換も良いと思います。
■ サウンドインプレッション
「Kiwi Ears Forteza」の音質傾向はバランスの良いドンシャリ傾向のサウンド。高域用のBAが結構ハッキリとした音を出すため開封直後はやや寒色系の印象となりますがしっかりと鳴らすことで2基のダイナミックドライバーが覚醒し、濃密ながらも明瞭なサウンドを楽しめます。またリケーブルでの変化も比較的大きい印象です。インピーダンス32Ω、感度103dB/mWという仕様でどのような再生環境でも比較的音量は取りやすい傾向ですが、特に付属のケーブルでは駆動力のある再生環境でハイゲインでならした方が全体のバランスが良く、より濃さを感じるサウンドになります。
「Kiwi Ears Forteza」の高域は、スッキリとした明瞭な音を鳴らします。解像感も高く分離も良い印象。低価格BAにありがちな金属質のギラつきは無いものの、硬質な音で鋭い音は鋭く鳴らすため刺激を感じるもいらっしゃると思います。また曲によっては僅かに歯擦音を感じる場合もあります。とはいえ全体的に非常に濃厚でパワーのあるサウンドのため全体的なバランスでBAの刺さり等はあまり気にならずに楽しめると思います。
中音域はドンシャリ傾向のバランスのため僅かに凹みますがボーカル域へ見通しは良く、しっかりとした主張があります。十分なエージングを経ても中音域~中低域付近にもう少し迫力が欲しいと感じた場合は情報量の多いケーブルにリケーブルするかよりパワーのある再生環境での利用をお勧めします。しっかり鳴らすことでエネルギッシュでより臨場感のあるサウンドを楽しめます。
ダイナミックドライバー部は低域用DDと中音域用DDがひとつのシャーシに収まった2DD構造を採用しているため、双方のドライバーにより増幅され濃密さが増した音を鳴らします。これらのドライバーが採用する複合振動板は優れたレスポンスを持っており、分離も良好な印象のため、音場は自然な広さと濃密さのなかでも奥行きをしっかり感じさせます。ボーカルは癖の無い音で若干下がって定位しますが存在感と主張があり、楽しいリスニングができます。
低域は十分な量感でパンチ力のある音を鳴らします。中高域との分離は良くミッドベースは直線的に刻まれます。寒色系ながら派手すぎない自然な印象の音で、濃密さのなかで僅かに温かみも感じます。いっぽうで中音域同様にスピード感があり、このクラスとしては十分な解像感を持っていますね。重低音は深く沈み、しっかりした再生環境で鳴らすことで重量感のあるサウンドが楽しめます。
分かりやすくV字傾向のリスニングチューニングで、かつパワフルかつ濃密な音作りですので、ハードロックなどを思い切り鳴らすような楽しい使い方に最適なイヤホンです。重低音の質からEDMでも楽しく、またエネルギッシュなアニソンとも相性が良いですね。
■ まとめ
というわけで、「Kiwi Ears Forteza」は製品説明でも「フラットでニュートラルなサウンドではない」と明記されているとおりドンシャリ系の非常に楽しいサウンドでした。とはいえ全体の傾向自体は最近の傾向をある程度踏襲しているなど音作りにおけるバランス感覚の良さも感じさせます。そして美しいシェルデザインを採用しつつ、ドライバー構成をシンプルにすることでコストを抑え、購入しやすい価格帯に仕上がっている点も好印象ですね。
低音にインパクトのある低価格イヤホンというと最近では「JUZEAR Clear」なども興味深い製品でしたが、「Kiwi Ears Forteza」はそこまで低域特化ではなく、より分かりやすくバランスの良いドンシャリ傾向でオールランドに楽しめる音作りをしている印象です。ただ付属ケーブルでは相当駆動力をかけないと本気を出さないため、リケーブルで「覚醒」させる使い方がおすすめです。リケーブル前提ですが、それでもお手頃価格ですし、とにかく楽しいイヤホンを探している方には良い選択肢となるでしょう。