ZiiGaat Cinno

こんにちは。今回は 「ZiiGaat Cinno」です。前回に引き続き「ZiiGaat」ブランドから、コンパクトなシェルに4BA+1DDのハイブリッド構成を収容したモデルとなります。各ドライバーのクロスオーバーを絶妙にコントロールすることで明瞭さを感じつつ豊かで一体感のあるサウンドを実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

「ZiiGaat」は10年以上にわたってOEM/ODMで製品を提供してきた中国の製造メーカーが新たに立ち上げた独自ブランドです。同ブランドのイヤホン製品としては前回レビューした「NUO」と今回の「Cinno」が2023年の秋頃にリリースされています。

今回紹介する「ZiiGaat Cinno」は4BA+1DDのハイブリッド構成のモデルです。10mmのLCP振動板ダイナミックドライバーと超高域用ツィーターBAを2基、中高域用のBAが2基の4BAの組み合わせにより構成されており、全周波数帯域で全高調波歪みを最小限に抑える最適なチューニングを行っています。

ZiiGaat CinnoZiiGaat Cinno
各ドライバーはパッシブクロスオーバーネットワークを使用して一貫性のある調和のとれたサウンドにチューニングされており、長時間のリスニングでも快適で楽しめるシグネチャーにデザインされています。ハウジングはドライバー構成に比べて非常にコンパクトにまとめられており耳への収まりも良く軽量です。
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ZiiGaat Cinno」の購入はLinsoulの直営店、AliExpressおよびAmazonの各店舗にて。
価格は99.00ドル、アマゾンでは14,800円です。


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

前回の「NUO」同様にパッケージは非常にシンプルで内容もイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、保証書と最小限の構成となっています。
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本体は樹脂製で4BA+1DDという構成ながら前回のNUOよりさらにコンパクトなシェルに収まっています。外観については正直なところ99ドルのイヤホンとしてはかなりチープな印象は否定できませんね。なお写真はブラックに見えますが実際は本体部分は濃いめのグレーの樹脂が使われています。
ZiiGaat CinnoZiiGaat Cinno
ただ非常にコンパクトにまとまっていますので装着性は良く、耳の小さい方でも装着するうえで困ることは少ないでしょう。また樹脂製の一体形成は耐久性が高い、という捉え方もできます。
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付属ケーブルは樹脂被膜の2芯タイプ。「NUO」付属のケーブルより被膜は弾力があり取り回しは良い印象です。イヤーピースは柔らかいシリコン製。耳穴が大きい方にはややコシの無さが気になるかも。他にもよりフィット感を高めるため定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、SpinFit「CP100+」、TRN「T-Eartips」などへの交換も良いと思います。


■ サウンドインプレッション

ZiiGaat Cinno」の音質傾向はフラット寄りで中音域に主張があり若干のカマボコ方向のバランス。ボーカル域は前傾し存在感がありますが定位は自然で音場は適度な奥行きがあります。また高域はBAらしいスッキリした印象もあり、低域もミッドベースを中心に力強く音を鳴らします。
印象として各ドライバーのクロスオーバーを中音域の前後で自然な範囲で重ねることで全体としてのまとまりの良さを生み出しています。
ZiiGaat CinnoBAやLCP振動板のドライバーの特徴もしっかり感じさせつつ、ハイブリッド特有の音域ごとの人工的な感じ(あるいは違和感)がほぼ無いのが興味深いですね。全体としては中華ハイブリッドで多い寒色系の音作りとは異なり、「ZiiGaat Cinno」では明瞭さや透明感を持ちつつ適度な温かさや豊かさを感じさせる部分が特徴的な自然だけどメリハリのあるサウンドに仕上がっているようです。
ZiiGaat Cinno」の仕様はインピーダンス32Ω、感度107dB/mWと前回レビューした「NUO」と同様のスペックが記載されていましたが、実際には「ZiiGaat Cinno」のほうがより音量が取りやすく鳴らしやすい印象を受けました。付属ケーブルでも十分に明瞭で豊かなサウンドを楽しめます。

ZiiGaat Cinno」の高域は明るくスッキリした音を鳴らします。BAらしいやや硬質感のあるドライな音ですが金属質になりすぎず直線的な伸びやかさを持っているのは好印象。中音域に若干カマボコ寄りのアクセントがあるため相対的に高域の量感は控えめですが、ハッキリとした主張あるため一般的なボーカル曲などではほぼ気にならないレベルでしょう。このバランスのため刺激などは抑制されスッキリしつつ聴きやすい印象にまとめられています。

ZiiGaat Cinno中音域は中高域用の2BAとLCP振動板ドライバーによる音域が重なることでより強めの主張を持って鳴ります。双方のドライバーの出力を絶妙にコントロールすることで音域の断層は無く滑らかさとは異なる印象ながらある種の一体感を構成しています。中音域そのものは癖の無い印象ですがスピード感のあるレスポンスで1音1音に小気味良さが生まれ、ボーカルは際立ち、演奏は生々しさを演出します。2種類のドライバーがクロスオーバーする構成上、解像感などは質の良いシングルドライバーや寒色系でキレ重視のハイブリッドと比べると及びませんが、自然な分離感により見通しの良さと同時に豊かさや僅かに温かみも感じさせる印象です。音場も自然な広さと奥行きを感じさせます。

低域は明瞭でミッドベースを中心に力強さとスピード感があります。中高域との分離は良く締まりも良い印象。重低音はやや軽く感じる場面はあるものの深さは十分で、ニュートラルなバランスの中でエネルギッシュな印象を与え、全体を色彩豊かなサウンドにしてくれます。


■ まとめ

ZiiGaat Cinnoというわけで「ZiiGaat Cinno」はコンパクトさは特徴ですが、それでもかなり地味でプラッキーな外観に対して、4BA+1DDのハイブリッド構成を非常に上手くまとめたイヤホンに仕上がっていました。外観からは全く想像できないのですが、100ドル級のイヤホンとしてはかなり「上質なサウンド」という印象です。前回の「NUO」同様、突出して優れた特徴があるわけではありませんが、各ドライバーのクロスオーバーのチューニングはかなり高度で、ハイブリッドの特徴を活かしつつ一体感のあるリスニングサウンド、という仕上がりは結構好感が持てます。フラット方向のニュートラル傾向として「Truthear HEXA」あたりが結構近い印象となりますが、同様のバランスでもモニター的な表現力としてはHEXAのほうが優れているものの、リスニング的には「ZiiGaat Cinno」のほうが豊かでより心地よく感じます。間違いなく技術力および実力は相当高いメーカーであろうことを再認識しました。正直なところ、同社がこれまでにOEM/ODMで手がけた製品が結構気になってしまいますね(^^;)。