こんにちは。今回は 「CCZ BC02 (Symbol)」です。Easy系のブランドである「CCZ」からカーボンナノチューブ(CNT)振動板を採用し、20ドル以下、2千円台で購入できる新モデルが登場しました。CNT振動板らしい明瞭でキレのあるサウンドで低価格ながら幅広いジャンルの曲で楽しめるリスニングイヤホンに仕上がっています。
■ 製品概要と購入方法について
「CCZ」は2021年に登場した新鋭のブランドで、個性的な低域が特徴の低価格1DDモデル「Coffee Bean DC-1」が好評を得て以降、1BA+1DD構成の「Emerald」および「Melody (BC-1)」、そして3BA+1DD構成の「CCZ Warrior (勇士)」といった50ドル以下の低価格モデルを相次いでリリースしています。今回の「CCZ BC02 (Symbol)」は20ドル以下の低価格モデルながら10mmサイズのカーボンナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーを搭載したモデルとなります。
「CCZ BC02」はシングル構成のダイナミックドライバーを搭載するモデルで、振動板にはアップグレードされたカーボンナノチューブを採用。さらにN52強力マグネットなどの採用により優れた応答速度とサウンドを実現しています。
本体は軽量な樹脂製ハウジングを採用し、フェイスプレートには金属製のプレートを透明な樹脂カバーで多いメタルフレームで装飾する質の高いデザインを採用。ケーブルは高純度無酸素銅線を仕様し、0.78mm 2pin仕様のコネクタを採用しています。
「CCZ BC02 (Symbol)」の購入はAliExpressのEasy EarphonesまたはアマゾンのYinyoo-JPにて。
価格は17.99ドル~、アマゾンでは2,399円です。
AliExpress(Easy Earphones): CCZ BC02
Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): CCZ BC02 ※レビュー掲載時10% OFFクーポン配布中
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Easy Earphones より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「CCZ BC02」のパッケージはCCZ製の低価格モデルのデザインを踏襲したコンパクトなボックスで外箱は引き出し式になっています。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、説明書。今回は2種類のイヤーピースが付属していますね。
「CCZ BC02」のシェル形状はCCZの従来のモデルの形状を踏襲した軽量な樹脂製で、フェイス部分は「CCZ Warrior」のようなメタルフレームで覆ったデザイン。ただ今回はフェイス面もパターン印刷されたメタルプレートを透明の樹脂パネルで覆うデザインとなっています。
ただし、背面は耳にフィットしやすいデザインの樹脂製となり、従来のCCZ製イヤホンのようなラバー製のイヤーウイングの構造は採用されなくなりました。それでも耳にフィットしやすい形状で装着性は良好な印象です。イヤーピースは従来までの独自タイプではなく一般的な形状のシリコンタイプが2種類(各サイズ)付属します。白色タイプのほうが柔らかい素材でグレーのほうがコシがあります。ただイヤーピースについてはよりフィット感の良いものに交換することがおすすめ。私は例によって「TRN T-Eartips」を選択しました。
付属ケーブルは従来機種と同じ銅線タイプでコネクタはTFZと互換性のある2pin仕様を採用しています。リケーブルではTFZタイプのコネクタのほか、通常の中華2pinおよびCIEM 2pinのケーブルが利用できますが、KZなどのqdcタイプのものは利用できないので注意ください。
■ サウンドインプレッション
「CCZ BC02」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。キレのある寒色傾向のサウンドで「いかにもカーボンナノチューブ(CNT)ぽいサウンド」ともいえるでしょう。サウンドバランス自体は聴きやすいリスニング向けのチューニングで癖の無い音色は幅広い用途で楽しめる印象です。ドンシャリ傾向で中音域はやや凹むためボーカル域も若干離れて定位しますが、音場は広く、キレのある明瞭なサウンドのため見通しも良く不足を感じることは少ないでしょう。バランスとしては「CCA CRA+」などに似ていますがより寒色傾向でキビキビした印象がありますね。
「CCZ」の従来のモデル(「Plume」を除く)は「Coffee Bean DC-1」で採用された低域ゴリゴリのダイナミックドライバーをベースにモデルを増やしていましたが、今回はメインとなるダイナミックドライバーを新しいCNT振動板のユニットに変更。そのため低域メインのサウンドから「CCZ BC02」ではより癖の無いバランスの良いリスニングサウンドに仕上がっています。
いっぽうで従来モデルのラバー製イヤーウイングや独自イヤーピースなどは採用されず、文字通り「CNT振動板ドライバーに全振り」することで20ドル以下の価格設定を実現した仕様となりました。
確かにアンダー20ドル、2千円台という設定は従来のCNT振動板搭載のイヤホンを考慮すると結構な価格破壊で、初めてCNT振動板のイヤホンを体験したい方にも最適なモデルといえるでしょう。最近は20ドル級の超低価格モデルでも魅力的な製品が増えていますが、「CCZ BC02」はそこに王道路線で攻め込んできた感じですね。
「CCZ BC02」の高域は明瞭さと伸びの良さがあり、刺激を抑えつつスッキリした伸びの良さがあります。硬質でドライな音で鋭さや煌めきもありますが刺激は適度にコントロールされています。金属質になりすぎずCNTらしいキレの良さも感じさせます。ただし多くの寒色傾向のイヤホン同様に、高域成分が多い曲ではやや聴き疲れしやすいかも知れません。
中音域は曲によっては若干凹みますが、明瞭でスピード感のある音のため十分な見通しの良さも確保されています。寒色傾向のキレ重視のサウンドのため、高域同様にドライな音でこのクラスのイヤホンとしては解像感は高めの印象です。ボーカル域は女性ボーカルの高音など中高域付近にアクセントがありスッキリした印象があります。音場は適度な広さと多層的なレイヤー感のある奥行きを感じさせます。ただし定位は必ずしも正確ではなく、1音1音の分離も価格なりのため神経質なリスニングには向かず、あくまでリスニングイヤホンとして手堅くまとまっているという印象です。
低域はパワフルで力強い音を鳴らします。「Coffee Bean DC-1」の重く地響きのような低域とは異なりますが「CCZ BC02」も十分な量感があり、締まりも良好です。中高域との分離も良くミッドベースはスピード感のある音で中音域を下支えします。重低音もある程度の深さと解像感を持っており、ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲を中心としたリスニングでは十分な品質と言えるでしょう。わかりやす寒色傾向ながら昔のKZやTRNのハイブリッドのように派手すぎず、リスニングイヤホンとしてまとめられていますので幅広いジャンルの曲で楽しいリスニングができる印象です。
■ まとめ
というわけで、「CCZ BC02」はわかりやすく「CNTドライバー全振り」という仕様のイヤホンのため、音質傾向的にもドライバーのキャラクターをシンプルに感じられる仕上がりになっています。とはいえバランスの良い寒色系のドンシャリで20ドル以下、2千円台の製品というのも、もちろん個々価格帯でCNTドライバーを採用している製品も結構レアなため、マニアはもとより幅広いライトユーザーにもお勧めしやすいイヤホンではないかと思います。さらにリケーブルでこのドライバーのポテンシャルをさらに引き出してみるのも楽しいと思います。とにもかくにも低価格で仕上がりの良いイヤホンですので、とりあえず買っておいても損はない製品だと思いますよ。