BGVP DMA

こんにちは。今回は 「BGVP DMA」です。実績のある「BGVP」ブランドの300ドル級モデルで、Knowles製BAおよびSonion製BAとデュアル骨伝導ユニット、独自ダイナミックドライバーを組み合わせた2BA+1DD+2BCDのハイブリッド構成モデルです。ミドルグレードらしい高い質感を持ちつつ抜けの良さと深さを持ったハイブリッドサウンドを実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

「BGVP」はマニアにはお馴染みの老舗ブランドのひとつで、これまでに低価格機からハイグレードまで数多くのイヤホンをリリースしています。そのなかでもヒット作と呼べる製品もコンスタントに登場している印象がありますね。私のブログでも2017年頃から割と定期的に紹介しているブランドです。

今回の「BGVP DMA」は2基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーと1基のダイナミックドライバーに2基の骨伝導ユニットを備えた「2BA+1DD+2BC」のハイブリッド構成のミドルグレードモデルです。またデュアルキャビティ構造のハウジングは4種類のドライバーユニットによる4Way出力を備えています。
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BGVP DMA」のフェイス部分にはスリット上のベント(空気孔)があり、内部では3カ所の音響ダクトを備えて空気圧を最適化。ステムノズルには2種類のBAと1基のダイナミックドライバーによる3系統の出力が確保され、さらにシェル背面には骨伝導ドライバーからの出力を直接耳に伝える出力部を持ちます。この4Wayによる出力を可能にするため「BGVP DMA」のシェルは定評のある「HeyGears」システムによる高精細3Dプリントによる出力を行っています。
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BGVP DMA」のドライバーは、低域用「9.2mm ニッケルコートダイナミックドライバー」と「Knowles製の高域用BA」(RADシリーズ)、中高域には「Sonion製のフルレンジBA」(2300シリーズ)、さらに「Sonion製の骨伝導デュアルドライバー」ユニットを搭載。300ドル近い価格設定に相応しいハイグレードな内容となっています。サウンドデザインはハーマンターゲットカーブ(H2017 Target)を意識した音響特性にチューニングされています。
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BGVP DMA」はコネクタ部にMMCXを採用し、ケーブルは6N 高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルを採用。プラグは交換式で3.5mmと4.4mmプラグが付属します。また「BGVP DMA」のカラーバリエーションはシルバー(Dianthus Silver)とブルー(Dark Blue)の2色が選択可能です。

BGVP DMA」の購入はAliExpressのAngelears Audio Storeにて。価格は299ドルです。
AliExpress(Angelears Audio Store): BGVP DMA


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Angelears Audio Store より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

BGVP DMA」のパッケージは黒いボックスを化粧箱で覆う構造で新しいBGVPのロゴマークがサイドでワンポイントになっていますね。大きいサイズのハードケースが付属するため、箱はちょっと大きめです。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ(4.4mm)、イヤーピース(シリコンタイプ2種類がそれぞれS/M/Lサイズおよび装着済み1ペア、ウレタンタイプ1ペア)、レザーケース、説明書など。
大きいサイズのレザーケースは「BGVP Melody」に付属しているものと同じタイプで、サイズや形状的には「TANCHJIM Prism」のケースとも似た結構大きくしっかりしたタイプです。
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BGVP DMA」のシェルは透明度の高いレジンで充填された3Dプリントのハウジングを金属製のフェイスプレートで覆うタイプ。「HeyGears」のプリントシステムによるシェルは高級感があり、びっしりドライバーが詰まっている感じはMoondropの「Blessing2」「Blessing3」などにも近い印象がありますね。300ドル級、4万円台のイヤホンらしい高級感です。
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これだけのドライバーが詰まったイヤホンですがシェルサイズ自体は比較的コンパクトにまとめられており、ステムノズルは太いものの装着感は良好です。イヤーピースは装着済みの柔らかいシリコンタイプのほか2種類のシリコン製と1種類のウレタン製が付属します。骨伝導ユニットによる出力をしっかり受けるため、イヤーピースはシェルがしっかり耳にフィットできるものを選択します。付属品のほかにも必要に応じてよりフィット感の良い製品に交換するのも良いでしょう。私は小さめでより耳奥まで装着できるイヤーピースを選択しました。
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ケーブルは4芯タイプの高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルでクリアブラックの樹脂被膜で線材を覆うことでブロンズ色のメタリックカラーに仕上げられています。プラグは3.5mシングルエンドと4.4mmバランスに交換可能。被膜はやや硬く弾力がありますが撚り線タイプのため取り回しは比較的良好です。


■ サウンドインプレッション

BGVP DMABGVP DMA」の音質傾向は明瞭かつ癖の無い音を鳴らしつつ弱ドンシャリからU字に近い自然なバランス。Sonion製の骨伝導ユニットは低域から中音域付近で深さを感じさせる影響があり、フェイス部分のダクトによる開放型の構造により抜けが良く広さを感じさせます。
300ドル前後の価格帯には前述の「Moondrop Blessing3」や「THIEAUDIO Hype 2」など評価の高い製品が多くかなりの激戦区ですが、これらの製品と比較しても遜色のないサウンドバランスで仕上げつつ、BGVPのハイブリッドらしい強く深い低域を持っており、さらにKnowlesおよびSonion製の高品質ドライバーの質感やキャラクターを活かした音作りが印象的です。「Blessing3」のようなニュートラルさや「Hype 2」のように際立った重低音の表現など突出したキャラクターではないものの、良い意味でハイブリッドらしいサウンドで、さらに骨伝導ユニットがより深く多層的な豊かさ感じさせます。

BGVP DMABGVP DMA」はインピーダンス17Ω、感度106dB/mWと比較的鳴らしやすく、オーディオアダプターなどでも十分に堪能できる印象ですが、ノイズによる影響は比較的受けやすいためよりS/Nの高いクリーンな再生環境を選択した方が良いでしょう。また骨伝導ユニットによる効果をより実感するためにはあまりゲインを上げすぎないほうが良い場合もあります。もしバランス接続の場合に多少うるさく感じるようでしたら敢えてシングルエンドにプラグを交換してみるのもよさそうです。リケーブルをする場合、合金線などを選択するとスッキリした印象で良い方向の変化が得られる可能性が高そうです。

BGVP DMA」の高域は、明瞭でスッキリした印象の音を鳴らします。高域用にはKnowles製RAD型番のBAユニットを採用しており、いわゆるWBFKの音ですがノズル部のフィルターで刺さりやすい帯域は調整されており聴きやすさを維持しています。ただJ-POPやアニソンなどの高域成分が多く強めにコンプレッションされた音源ではゲインを上げると若干うるさく感じる場合があります(例えばラン○ィス系のハイレゾとか^^;)。

BGVP DMA中音域はニュートラルで癖の無い音を鳴らします。ボーカル域は存在感があり凹むことはありません。フェイス部のダクトにより開放型の構造を採用しているため音抜けは良く、広さのある音場で分離感があります。骨伝導ユニットの効果もありパワフルな低域とともに中低域もエネルギッシュでボーカル域も豊かさがあります。
音質面で定評のあるSonion製の2300系フルレンジBAを採用することで明瞭さと質感を両立しており、クロスオーバーはPCB基板上の抵抗とステム部のフィルターで制御されているため、ドライバーの特徴を活かしたメリハリを感じさせつつ、他の音域に影響することなく分離感を維持しています。とはいえ構造上ゲインを上げすぎない再生環境が望ましいです。中音域はニュートラル方向に調整されていますが良い意味でハイブリッドらしい音で、滑らかさや温かさとはちょっと異なる印象。キレやスピード感のある音が好みの方には好印象な音作りです。

BGVP DMA低域はBGVPらしいパワフルで力強い音を鳴らします。バランスとしてはややミッドベースが強調されているものの全体としてはU字に近いニュートラルで、強い量感があるわけではありませんが、骨伝導ユニットが深さを与え重低音を増幅するため実際の量感以上に強い低域を感じさせます。中高域との分離は良く、ミッドベースは鮮明で締まりがあります。こちらも開放型の構造のため抜け感が良く明るさがあるため聴き疲れしない印象になっています。通常であれば開放型の構造ではミッドベースに対して重低音が軽くなるのですが、「BGVP DMA」ではSonion製のデュアル骨伝導ユニットがしっかり耳に重低音を伝達します。重低音もスピード感があり解像感とキレを感じさせます。ニュートラルだけど開放的でパワフルな低域、という、いかにもハイブリッドだからこそなサウンドを楽しめる印象です。


■ まとめ

というわけで、「BGVP DMA」は300ドル級のミドルグレードの中で「高性能ドライバーの採用」によるメリハリのサウンドに「フェイス部のバルブによる開放型の構造」による抜けの良い音場感と強力な「骨伝導ユニット搭載」による深さと強さを得ることでニュートラル方向のバランスでも質の良いハイブリッドサウンドを実現していました。
BGVP DMA最近のミドルグレード以上のハイブリッド製品に多い徹底的なクロスオーバー処理による一体感や滑らかさ、といった音作りとはある意味で真逆のアプローチですね。個々のドライバーの特性を活かすチューニングでは、ドライバーの質感とともによりメリハリがあり楽しいサウンドを楽しめますが、いっぽうで音源の種類によっては前述の通りややキツめに感じる場合もあります。もし気になる場合は十分にS/Nの高いDAP等ならローゲインで鳴らす、合金系のスッキリした変化のあるケーブルに換える、あるいはアッテネーター等を組み合わせるという方法もあるかも知れませんね。競合する同価格帯の製品と比べるとやや地味な印象もありますがこのグレードを検討している方には興味深い選択肢のひとつだと感じました。