こんにちは。今回は 「Kinera Celest Plutus Beast」です。中華イヤホンメーカー「Kinera」のサブブランドのひとつとして優れたコストパフォーマンスでスペックやデザイン面などで個性的な製品を相次いでリリースしている「Celest」ラインのアンダー100ドル級モデルで、美しいフェイスカバーを備えた3Dプリントシェルに独自のSPD(角形平面ドライバー)+高域用BA+BC(骨伝導ドライバー)によるトライブリッド構成を採用。骨伝導によるパワフルな低域が特徴的なモデルですね。
■ 製品概要と購入方法について
「Kinera」は2011年に設立された自社でBAドライバーの製造を行う規模の製造メーカーのひとつで、自社ブランドの「Kinera」としては2016年に最初のイヤホンをリリースすることでスタートしています。その後急速にラインナップを拡充し、マニアの間で幅広く認知されるようになりました。同社では「Kinera」のほかハイエンド向けの「Kinera Imperial」と姉妹ブランドの「QoA」といったブランドで製品を展開しています。そして2022年に新たなブランドとして「Celest」をスタート。自社開発の「SPD(Square Planar Driver)」ドライバーを搭載するなど低価格ながら最新技術を織り込み、中国の古代神話になぞらえた製品展開で注目を浴びています。
今回の「Kinera Celest Plutus Beast」は「Celest」ブランドでは定番となった角形平面ドライバー「SPD」の第2世代ユニットと10mm 骨伝導ドライバー ユニット、高性能バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーによる「SPD+BA+BC」のトライブリッド構成を採用しています。
「Kinera Celest Plutus Beast」のドライバー構成は、カスタマイズされた「10mm 骨伝導ドライバー」 ユニット、1基のバランスド アーマチュア(BA)ドライバー ユニット、そして特許取得済みの音響構造設計を備えた第2世代の角形平面ドライバー (SPD)ユニットによる、独自に開発された「SPD+BA+BC」のトライブリッド構成を採用しています。ベースとして第2世代のSPDドライバーがフルレンジで駆動し、高域用のBAドライバーは優れた伸びを示す鮮明な高周波レスポンスを、新しい骨伝導ドライバー低域を強化し、より物理的でより正確なレスポンスを提供します。
「Kinera Celest Plutus Beast」のシェルはHeyGearsの高精細3Dプリント技術により成型されており、フェイスカバーは手描きにより美しく豪華な仕上がりになっています。フェイスデザインは「ダズリング ゴールド」と「ダイヤモンド ブルー」の 2つのカラーバリエーションから選択できます。
「Kinera Celest Plutus Beast」の購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンにて。
価格は89.00ドル、アマゾンでは13,536円です。
HiFiGo(hifigo.com): Kinera Celest Plutus Beast
Amazon.co.jp(HiFiGo): Kinera Celest Plutus Beast
■ サウンドインプレッション
「Kinera Celest Plutus Beast」の音質傾向は骨伝導らしい深みのある低域が印象的で、同時に高域用のBAがV字のバランスを取るためにやや派手めになります。骨伝導ドライバーの場合は直接振動を耳に伝えるため、いわゆるf値の測定結果などではあまり反映されない場合も多いですが、印象としてはかなり低域強めメリハリ強めのドンシャリ傾向に感じられます。また感度は108dB/mWと一般的なものの、インピーダンス8Ωとかなり低く、SPD(角形平面ドライバー)を搭載しているわりに相当敏感な印象のイヤホンです。駆動力のあるアンプやDAPではローゲインでもかなりメリハリ強めの印象となるかもしれません。長時間のエージングにより若干の変化はあるようにも感じましたが、特にバランス接続では中音域の凹みが大きく、SPDによる中音域はやや鳴りを潜める印象もあります。
そのため今回4.4mmタイプのケーブルで届きましたが、あえて3.5mmのシングルエンドに変換して聴く方が各ドライバーの特徴がより感じられ、バランス的にも好印象でした。小型のオーディオアダプターで小音量で聴く場合を除き、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはシングルエンドを選択した方が良さそうですね。
「Kinera Celest Plutus Beast」の高域は、BAらしい硬質でスッキリした印象の音を鳴らします。4.4mmケーブルを選択しバランス接続するとやや鋭さも強調され派手さを感じますが、刺さり等はある程度コントロールされている印象。3.5mmシングルエンドでは過度にゲインを上げなければギラつきは適度に抑えられ直線的な伸び感のある音になります。
中音域はV字傾向の印象のため曲によって多少凹みます。ただSPDによる出力は確保されているため音像はニュートラルで特に男性ボーカルや演奏は癖の無い音を鳴らします。女性ボーカルの高音など中高域付近は強めのアクセントがあるため高域と併せてやや派手めに感じる場合があります。寒色系のサウンドで分離は良く解像感も価格帯としては一般的な水準をクリアしています。音場はドンシャリ傾向らしい広さと奥行きがありますがやや人工的な定位感と感じる場合があります。また再生環境によっては派手さが目立ち音場感も変化することがあります。
低域は骨伝導ドライバーによるブーストが非常に良く効いていて深く切れの良い音を鳴らします。非常に軽量で薄い樹脂シェルに仕上げられているため、これまでにレビューした骨伝導ドライバー搭載の製品と比較しても「箱鳴り」による伝達性は最も高い製品ではないかと思われます。
多くの骨伝導ドライバー搭載のイヤホンはエッセンスを加える、くらいの存在感である場合が多いのですが、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはかなり分かりやすく主張するチューンイングとなっています。さすがにゲーミングイヤホンのバイブレーションのような振動感ほどあからさまではありませんが、重低音をより深く伝達し、しっかりとした分離感をもったまま余韻や残響による厚みも感じさせるアプローチは非常に興味深いものですね。
またミッドベースは適度な締まりと弾力がありスピードは一般的ながら心地よい分離感もあります。
■ まとめ
「Kinera Celest Plutus Beast」はドンシャリによるリスニング傾向のイヤホンとして骨伝導ドライバーをおそらくこれまでの製品のなかでも最も活かしている製品のひとつだと感じました。同シリーズの製品では以前レビューした「Celest PhoenixCall」も個性的なドライバー構成をはっきりしたV字傾向にまとめたイヤホンでしたが、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはバランスとしてはSPDを中心としたニュートラル方向の音作りをしつつ、骨伝導ドライバーの主張を軽量シェルによる箱鳴りで前面に出し、高域用BAで補うことで非常に楽しいサウンドを実現しています。デザイン的にも美しく、質の良いケーブルやケースなど付属品も充実しつつ100ドル以下にまとめるなど製品としてのまとまりも良く、エネルギッシュな低域をもったリスニングサウンドや骨伝導を手軽に楽しみたい方には最適なイヤホンに仕上がっていると思いました。
「Kinera」は2011年に設立された自社でBAドライバーの製造を行う規模の製造メーカーのひとつで、自社ブランドの「Kinera」としては2016年に最初のイヤホンをリリースすることでスタートしています。その後急速にラインナップを拡充し、マニアの間で幅広く認知されるようになりました。同社では「Kinera」のほかハイエンド向けの「Kinera Imperial」と姉妹ブランドの「QoA」といったブランドで製品を展開しています。そして2022年に新たなブランドとして「Celest」をスタート。自社開発の「SPD(Square Planar Driver)」ドライバーを搭載するなど低価格ながら最新技術を織り込み、中国の古代神話になぞらえた製品展開で注目を浴びています。
今回の「Kinera Celest Plutus Beast」は「Celest」ブランドでは定番となった角形平面ドライバー「SPD」の第2世代ユニットと10mm 骨伝導ドライバー ユニット、高性能バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーによる「SPD+BA+BC」のトライブリッド構成を採用しています。
「Kinera Celest Plutus Beast」のドライバー構成は、カスタマイズされた「10mm 骨伝導ドライバー」 ユニット、1基のバランスド アーマチュア(BA)ドライバー ユニット、そして特許取得済みの音響構造設計を備えた第2世代の角形平面ドライバー (SPD)ユニットによる、独自に開発された「SPD+BA+BC」のトライブリッド構成を採用しています。ベースとして第2世代のSPDドライバーがフルレンジで駆動し、高域用のBAドライバーは優れた伸びを示す鮮明な高周波レスポンスを、新しい骨伝導ドライバー低域を強化し、より物理的でより正確なレスポンスを提供します。
「Kinera Celest Plutus Beast」のシェルはHeyGearsの高精細3Dプリント技術により成型されており、フェイスカバーは手描きにより美しく豪華な仕上がりになっています。フェイスデザインは「ダズリング ゴールド」と「ダイヤモンド ブルー」の 2つのカラーバリエーションから選択できます。
「Kinera Celest Plutus Beast」の購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンにて。
価格は89.00ドル、アマゾンでは13,536円です。
HiFiGo(hifigo.com): Kinera Celest Plutus Beast
Amazon.co.jp(HiFiGo): Kinera Celest Plutus Beast
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「Kinera Celest Plutus Beast」のパッケージはシェルデザインにあわせた落ち着いたデザイン。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ケース、クリーニングブラシ、メタルアクセサリー、説明書。
本体はHeyGearsの3Dプリントシェルで非常に軽量です。シェルサイズは一般的ですが耳に収まりやすい形状にまとめられています。ステムノズルは長く耳奥まで挿入するタイプの形状ですが、やや太めのため、耳穴が小さい方はイヤーピースを工夫した方が良さそうです。また非常に軽量で薄いシェルのため装着時にペコペコとなる感じもあります。骨伝導による伝達性を高めるために意図的にこのようなシェルにしているようですね。
フェイスパネルがハンドメイドによる装飾が行われており、アンダー100ドル級のイヤホンとしては高級感を感じるデザインに仕上がっていますね。イヤーピースは2種類が付属しますが、骨伝導ドライバーを搭載している性格上、必要に応じてシェルがより耳にフィットできるイヤーピースに交換するほうが良いでしょう。
今回「Kinera Celest Plutus Beast」と併せてDIVINUS「VELVET」イヤーピースのサンプル品も提供いただきました。アマゾン含めHiFiGoから販売されているものは3ペアセットのため、1ペアあたりでは国内版の半額程度と結構お買い得だと思います。
ケーブルは0.78mm 2pinコネクタ仕様で高純度5N銀メッキ銅ケーブルが付属します。48本の銅線により構成された8芯タイプで取り回しも良い印象のケーブルです。プラグは3.5mmと4.4mmを選択可能で、今回は4.4mmタイプが届きました。
「Kinera Celest Plutus Beast」のパッケージはシェルデザインにあわせた落ち着いたデザイン。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ケース、クリーニングブラシ、メタルアクセサリー、説明書。
本体はHeyGearsの3Dプリントシェルで非常に軽量です。シェルサイズは一般的ですが耳に収まりやすい形状にまとめられています。ステムノズルは長く耳奥まで挿入するタイプの形状ですが、やや太めのため、耳穴が小さい方はイヤーピースを工夫した方が良さそうです。また非常に軽量で薄いシェルのため装着時にペコペコとなる感じもあります。骨伝導による伝達性を高めるために意図的にこのようなシェルにしているようですね。
フェイスパネルがハンドメイドによる装飾が行われており、アンダー100ドル級のイヤホンとしては高級感を感じるデザインに仕上がっていますね。イヤーピースは2種類が付属しますが、骨伝導ドライバーを搭載している性格上、必要に応じてシェルがより耳にフィットできるイヤーピースに交換するほうが良いでしょう。
今回「Kinera Celest Plutus Beast」と併せてDIVINUS「VELVET」イヤーピースのサンプル品も提供いただきました。アマゾン含めHiFiGoから販売されているものは3ペアセットのため、1ペアあたりでは国内版の半額程度と結構お買い得だと思います。
ケーブルは0.78mm 2pinコネクタ仕様で高純度5N銀メッキ銅ケーブルが付属します。48本の銅線により構成された8芯タイプで取り回しも良い印象のケーブルです。プラグは3.5mmと4.4mmを選択可能で、今回は4.4mmタイプが届きました。
■ サウンドインプレッション
「Kinera Celest Plutus Beast」の音質傾向は骨伝導らしい深みのある低域が印象的で、同時に高域用のBAがV字のバランスを取るためにやや派手めになります。骨伝導ドライバーの場合は直接振動を耳に伝えるため、いわゆるf値の測定結果などではあまり反映されない場合も多いですが、印象としてはかなり低域強めメリハリ強めのドンシャリ傾向に感じられます。また感度は108dB/mWと一般的なものの、インピーダンス8Ωとかなり低く、SPD(角形平面ドライバー)を搭載しているわりに相当敏感な印象のイヤホンです。駆動力のあるアンプやDAPではローゲインでもかなりメリハリ強めの印象となるかもしれません。長時間のエージングにより若干の変化はあるようにも感じましたが、特にバランス接続では中音域の凹みが大きく、SPDによる中音域はやや鳴りを潜める印象もあります。
そのため今回4.4mmタイプのケーブルで届きましたが、あえて3.5mmのシングルエンドに変換して聴く方が各ドライバーの特徴がより感じられ、バランス的にも好印象でした。小型のオーディオアダプターで小音量で聴く場合を除き、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはシングルエンドを選択した方が良さそうですね。
「Kinera Celest Plutus Beast」の高域は、BAらしい硬質でスッキリした印象の音を鳴らします。4.4mmケーブルを選択しバランス接続するとやや鋭さも強調され派手さを感じますが、刺さり等はある程度コントロールされている印象。3.5mmシングルエンドでは過度にゲインを上げなければギラつきは適度に抑えられ直線的な伸び感のある音になります。
中音域はV字傾向の印象のため曲によって多少凹みます。ただSPDによる出力は確保されているため音像はニュートラルで特に男性ボーカルや演奏は癖の無い音を鳴らします。女性ボーカルの高音など中高域付近は強めのアクセントがあるため高域と併せてやや派手めに感じる場合があります。寒色系のサウンドで分離は良く解像感も価格帯としては一般的な水準をクリアしています。音場はドンシャリ傾向らしい広さと奥行きがありますがやや人工的な定位感と感じる場合があります。また再生環境によっては派手さが目立ち音場感も変化することがあります。
低域は骨伝導ドライバーによるブーストが非常に良く効いていて深く切れの良い音を鳴らします。非常に軽量で薄い樹脂シェルに仕上げられているため、これまでにレビューした骨伝導ドライバー搭載の製品と比較しても「箱鳴り」による伝達性は最も高い製品ではないかと思われます。
多くの骨伝導ドライバー搭載のイヤホンはエッセンスを加える、くらいの存在感である場合が多いのですが、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはかなり分かりやすく主張するチューンイングとなっています。さすがにゲーミングイヤホンのバイブレーションのような振動感ほどあからさまではありませんが、重低音をより深く伝達し、しっかりとした分離感をもったまま余韻や残響による厚みも感じさせるアプローチは非常に興味深いものですね。
またミッドベースは適度な締まりと弾力がありスピードは一般的ながら心地よい分離感もあります。
■ まとめ
「Kinera Celest Plutus Beast」はドンシャリによるリスニング傾向のイヤホンとして骨伝導ドライバーをおそらくこれまでの製品のなかでも最も活かしている製品のひとつだと感じました。同シリーズの製品では以前レビューした「Celest PhoenixCall」も個性的なドライバー構成をはっきりしたV字傾向にまとめたイヤホンでしたが、「Kinera Celest Plutus Beast」についてはバランスとしてはSPDを中心としたニュートラル方向の音作りをしつつ、骨伝導ドライバーの主張を軽量シェルによる箱鳴りで前面に出し、高域用BAで補うことで非常に楽しいサウンドを実現しています。デザイン的にも美しく、質の良いケーブルやケースなど付属品も充実しつつ100ドル以下にまとめるなど製品としてのまとまりも良く、エネルギッシュな低域をもったリスニングサウンドや骨伝導を手軽に楽しみたい方には最適なイヤホンに仕上がっていると思いました。