
こんにちは。今回は 「ND X12」です。個性的なデザインのアルミ合金製シェルに5BA+1DDのハイブリッド構成を収容。寒色傾向のハイブリッドサウンドをベースにしつつ、スイッチ切替で全く異なる、しかも完成度の高いサウンドバランスで楽しめる、マニア向けの楽しいイヤホンですね。
■ 製品概要と購入方法について
私のブログでは2機種目の「ND」ブランドの製品です。今回の「ND X12」は5BA+1DDの片側6ドライバー構成のハイブリッド製品。さらにチューニングスイッチ付き、個性的デザインの金属シェルを採用し、それでいてアンダー50ドル級という結構攻めたモデルですね。


「ND X12」のドライバーは、①低域用「10mm カーボンナノ振動板二重磁気回路ムービング・コイル型ダイナミックドライバー」、②中音域用「50024」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバー×4基、③高域用「30095」BAの3種類、5BA+1DDのハイブリッドで構成されます。ドライバーの特性と配置、さらにネットワーク回路によるクロスオーバー処理により自然で明確なサウンドを実現しています。


シェルは航空グレードのアルミニウム合金をCNC加工により成形されており、軽量かつ堅牢な設計で構成されます。音響キャビティは合理的な設計と背面ベントによりクリアな音質を実現しています。
さらに「ND X12」では側面にチューニングスイッチを備えており、さまざまな音楽スタイルに合わせて 3レベルのチューニングでカスタマイズが可能です。スイッチ回路の調整により、低域、中域、高域の調整が可能で、パーソナライズされたサウンドを提供します。


カラーバリエーションは「ブラック」と「シルバー」、ケーブルはマイクの有無が選択可能です。
「ND X12」の購入はAliExpressのAngeldac Audio Storeにて。価格は42.49ドルです。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Angeldac Audio Store より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、今回は「ND X12」の「ブラック」「マイク付き」モデルがとどきました。製品画像を描いたシンプルなパッケージですが、ちょっと高級感もありますね。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2タイプ、それぞれS/M/Lサイズ)、レザーポーチ、説明書ほか。


本体はCNC加工で切削されたアルミ合金製。5BA+1DD構成としては比較的コンパクトにまとめられており、軽量なサイズ感です。カラフルなフェイスデザインはシンプルなデザインですが非常にモダンで個性的ですね。ステムノズルは太めですが耳への収まりは良い印象です。


イヤーピースは2種類のタイプが付属します。付属品のほかより耳にフィットしやすいイヤーピースを組み合わせるのも良いでしょう。私は例によって「TRN T-Eartips」を最終的に組み合わせました。ケーブルは銀メッキの撚り線タイプ。コネクタはKZやTRNの「タイプC」と同じqdcとカバー形状の互換性のあるタイプです。そのためリケーブルの選択肢も結構多いと思います。


側面のチューニングスイッチは3系統ですが、製品サイトでは設定可能なチューニングのうち3種類のみが推奨モードとして記載されています。記載されているモードは①「011」(Shocking low frequency)、②「101」(Soft Vocal)、③「110」(Enhanced frequency)の3種類です。ただ初期値ではすべてOFFになっているため、3種類のどれかに設定する必要がありました。この辺はちょっと不親切かもしれないですね。
■ サウンドインプレッション
「ND X12」のサウンドは、前述の通り3種類のスイッチによるチューニングが可能で、モードによってかなり印象の異なるサウンドとなります。実際3つの推奨モードは全てインピーダンスおよび感度が異なり、推奨以外のモードでもさらに異なる印象となります。全体的に明るく明瞭な寒色系のハイブリッドサウンドである点は共通しており、3種類の推奨モードはどれも破綻の無い印象にまとまっています。
モードごとの違いをざっくり言うと、①「011」が「聴きやすくニュートラルなU字寄りの傾向」、②「101」は「ドンシャリ傾向ながらボーカルが前傾するW字方向」、そして③「110」は「ドンシャリのメリハリの良さと音場感が楽しめるV字傾向」といったイメージですね。
ちょっと残念なことは、この製品の開封時のスイッチ設定が3種類のどのモードでも無い、全てOFF「000」の状態になっており、やや不親切であること。何も考えずにこの「000」モードで聴くと、明るすぎるバランスで「かなり残念な印象」になります。またスイッチ切り替え用のピンは付属していないため、このイヤホンを楽しむためには最低限、まずスイッチ切替のためのピンを別途用意してスイッチを適切に切替えることが必要です。もっとも各モードでの音質面の完成度や製品自体のビルドクオリティに対する価格などを考慮すると、製造工程で「モードを設定する」という工程をひとつ入れるかどうかで追加されるコスト(人件費)は無視できないレベルかもしれません。実際この製品を購入される層のユーザーは全く気にしないと思いますが、逆に言えば不文律でちゃんと理解できるような「マニアのための製品」となりますね(ビギナーやライトユーザーを想定した製品はこの辺に気をつかうのに結構なコストがかかったりしますから)。
「ND X12」の高域は明るく明瞭な音を鳴らします。スッキリした伸びのある寒色傾向で、推奨される3種類のモードでは刺激はコントロールされており硬質な煌びやかさを持ちつつ聴きやすい音を鳴らします。ただし開封直後の「000」モードでは無駄に腰高な印象となり、耳に負担がかかるバランスの崩れた高域となるため注意が必要です。U字方向のニュートラルなバランスになる①「011」のモードがもっとも聴きやすく落ち着いた印象となりますがスッキリした明瞭感は維持されます。②「101」および③「110」のモードではドンシャリ傾向でより高域が強調され適切なバランスで鳴ります。③「110」はインピーダンスが他の2つのモードより高く透明感が増す印象となり、インストゥルメンタル曲との相性が向上します。中音域はハイブリッドらしいややドライで印象です。ボーカル域などは癖の無い音で、明瞭かるキレの良い音を鳴らします。モードによる低域や音場の変化は結構大きい印象。
最もニュートラルなのが①「011」でU字傾向のバランスで適度に近く定位し自然な音場感があります。
②「101」と③「110」では分かりやすくドンシャリ傾向に変化しますが、②「101」はボーカル域が前傾しており近めに定位するためバランスとしてはメリハリのあるW字、といった印象になります。そして③「110」は最も分かりやすいドンシャリで中音域は多少凹みますがレイヤー感のある奥行きをより実感し、広く臨場感のある音場を楽しめます。また(インピーダンスの変更により)見通しの良さも③「110」では向上するため、ボーカルはやや下がって定位するものの不足はほぼ感じません。どのモードも分離は良くハッキリしたサウンドのため寒色傾向のサウンドを好まれる方には好印象となるでしょう。低域はナノカーボン(たぶんCNT)振動板らしいスピード感とキレのある音を鳴らします。多ドラ構成でCNT振動版のハイブリッドの低価格イヤホンというと「TRN VX PRO」のような製品を思い浮かべますが、派手めの硬質な音を鳴らす中華BAの中高域と組み合わせる低域用のドライバーとして同様に硬質でキレの良いCNTは相性が良いと感じます。「ND X12」は3つのどのモードでも低域についてはほぼ変更は無く、中高域の変化により相対的にバランスが変わる印象です。ミッドベースは直線的で締まりも良く、重低音もスピード感とキレがあり沈み込みも良好です。
■ まとめ
というわけで、「ND X12」は個性的でビルドクオリティに優れた外観と3種類のモードの完成度の高さから、言われなければアンダー50ドル級とは気付かない仕上がりだと感じました。よくよく見るとステム部分のパーツや付属ケーブル等でコストダウンを行っていますし、前述の通り初期のスイッチ値が設定なされていないなど製造およびチェック工程での人件費を削減する工夫もあって実現できている価格という側面も垣間見えます。しかし、この辺の事を理解したマニアであれば、スイッチ、ケーブル、上流などをしっかり追い込むことでかなりレベルの高いサウンドを低価格で楽しめるのではと思います。こういう面白い製品が普通に出てくるところが、中華イヤホンの醍醐味、という感じがしますね(^^)。







