CVJ BiDong

こんにちは。今回は 「CVJ BiDong」です。6BA+1DD構成ハイブリッド仕様のミドルグレードモデルです。200ドル近い価格設定のしっかりとマニア向けのモデルです。発売時期が2月と言うことで、限定版「Valentine's day limited editon」として、誰得なのかギフトボックス仕様の豪華パッケージにアクスタ付きという謎仕様でリリースされました。レビュー時点では「現在も限定版で購入可能」という、やっぱり攻めてる角度が違うCVJらしい製品となっています(^^;)。

■ 製品概要と購入方法について

「CVJ」は2019年に誕生した中華イヤホンのブランドで、個性的な低価格イヤホンを中心に最近存在感を一気に増している印象がありますね。中国国内のブランドサイトをみると自社工場を中心とした製造メーカーであることがわかります。現在は同社の「ちょっと攻めた製品」がより際立っている印象もありますね。

今回の「CVJ BiDong」はアンダー200ドル級のミドルグレードモデルで構成は6BA+1DDのハイブリッド。航空グレードのアルミニウム・マグネシウム合金による金属シェルに綿密な3Way構成による電子的・物理的なクロスオーバー処理により非常にクリアで最適なサウンドを実現しています。
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CVJ BiDong」は高域用のカスタム2BAユニットを2基(4BA)、中音域用のカスタム2BAユニットが1基(2BA)の合計6基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーに、低域用として10mmサイズのAl-Mg合金(アルミニウム-マグネシウム合金)振動板ムービングコイル型ダイナミックドライバーを搭載。当然種類は異なるはずですが、シェル材質と振動板の両方ともがAl-Mg合金というのもなかなか興味深いですね。これら3種類、7基の各ドライバーの配置および2本の音導管に音響ダンパーによる物理的な調整とネットワーク回路による電子的クロスオーバー制御により最高のパフォーマンスで動作し、インパクトのある低音、緻密な中音域、きらびやかな高音を実現します。
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ケーブルは高純度銀メッキ線ケーブルを使用し、コネクタはフラットタイプの2pin仕様、プラグは3.5mm、2.5mm、4.4mm、そしてUSB Type-Cの各プラグに交換可能で、幅広いオーディオデバイスとの接続性に対応しています。
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CVJ BiDong」の初回出荷版のパッケージは限定版の「Valentine's day limited editon」となっています。豪華なギフトボックス仕様でパッケージデザインにあわせたアクリルスタンドが付属します。
CVJ BiDong」の価格は189ドルです。

AliExpress(CVJ Official Store): CVJ BiDong


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして CVJ Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、パッケージは一応バレンタイン前に届きました。レビューがホワイトデー前になっちゃいましたね(汗)。つわけで「誰得」感あふれる限定豪華版パッケージとオマケのアクリルスタンドです。
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パッケージを空けると仕掛け箱になっていて、箱の中にはバラの飾りが敷き詰められていたりします。このバラはプリントでは無くちゃんと花びらを造形した模造花を8輪敷き詰めてクリアカバーで覆っています。いやー、本当に誰得ですね。とりあえず奥さんに「こーゆー空き箱とか、要る?」と伺ってみたところ引き気味にお断りされました。そりゃそうですよね・・・
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このバラのギフトボックスとアクスタなど限定版パッケージ以外の内容は、イヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ(3.5mm、2.5mm、4.4mm、USB Type-C)、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、メタルケース、説明書など。
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本体はCNC加工されたアルミニウム・マグネシウム合金製。CVJでは「Mei(魅)」も同様の合金製のシェルを採用していますね。アルミニウム合金(ジュラルミン)よりさらに軽量で耐久性があるのが特徴で、音質的にはアルミより反響が少なく箱鳴りを抑えた印象になることが多いですね。
最近のCVJはスイッチ付きが基本、みたいなところがありましたが、「CVJ BiDong」についてはスイッチ無しのモデルです。うん。やっぱりシンプルがいいですね。シェルは多少厚みがあり大きめの印象を受けますがフェイス形状はKZやTFZあたりの製品と似たサイズ感でステムノズルは太めですが装着感は一般的です。
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コネクタはいわゆるqdcタイプではなく、フラットな2pin仕様。説明では0.75mmとのことですが、これはKZ(ZSTXなど)やTRNのフラット2pinと同じ仕様で、リケーブル時には0.78mmのCIEM 2pinまたは中華2pinタイプがそのまま利用できます。
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ケーブルはゴールドとシルバーの線材による撚り線タイプの銀メッキ線。プラグは交換式でUSB Type-Cタイプも付属しています。イヤーピースは標準タイプのみが3サイズ付属。付属品のほか「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、AZLA、SpinFitなど定番イヤーピースを組み合わせるのも良いでしょう。私はいつもの「TRN T-Eartips」かと思いきや、今回はラディウス「ディープマウント」を合わせました。ステムノズルが太いイヤホンではこっちのほうがしっくりくることも多いですね。


■ サウンドインプレッション

CVJ BiDongCVJ BiDong」の音質傾向はマルチドライバーらしい情報量の多さを感じつつ滑らかな印象の弱ドンシャリでバランスの良いU字方向のサウンドです。ダンパーおよびPCBによるクロスオーバー制御は効果的に行われており、各音域のつながりは非常に良く、ハイブリッド特有の音域ごとの壁や谷のような印象はほぼ皆無に近い印象。同時に寒色系でマルチドライバーによる鮮やかさと解像感を持った音を楽しめます。
高域は硬質でスッキリした伸びの良さがあり明瞭な印象で、中音域はBAらしい情報量の多さを持ちつつ多ドラ特有の籠もるような感覚は無く、聴きやすく見通しの良い音を鳴らします。また低域も音色に一貫性があり近い寒色系の印象を持ちつつ弾むような厚みのある音で合金振動板らしい豊かさのある低域を鳴らします。
インピーダンス28Ω(±15%)、感度112dB(±3dB)と様々な再生環境で使いやすい仕様ですが、駆動力により鮮やかさや音場感などはかなり変化するため、十分に駆動力のあるDAPやアンプとの組み合わせが望ましいでしょう。

CVJ BiDong印象としては同価格対の8BA構成モデル「Kumo」もある程度踏襲しており共通した設計を感じさせる部分もあります。「CVJ BiDong」は搭載されているドライバーの型番等は記載されていませんが、高4BA+中2BA+低1DDという仕様で、「Kumo」も高4BA+中2BA+低2BAという構成であることから、この低域用2BAを「Al-Mg合金振動板ダイナミックドライバー」に置き換えて、シェルのサイズ感や材質の違いなど多少異なるチューニングを加えたハイブリッド構成モデルが「CVJ BiDong」という可能性もありますね。

CVJ BiDong」の高域は、の4基の高域用BAの並列稼働により歪みを抑えつつ明瞭で直線的な音を鳴らします。金属質なギラつきを抑制し十分な主張とともに直線的な伸びやかさを実現しています。「Kumo」の高域とも近い印象ですが、刺さりやすい帯域の刺激は抑えつつスッキリした印象で鋭さや煌めきを感じつつ、より聴きやすい印象にまとめられています。

CVJ BiDong中音域は凹みはほぼ感じず自然な主張のある明瞭でスッキリした音を鳴らします。ボーカル域は少し前方に定位し癖の無い音を鳴らします。女性ボーカルは伸びやかさがあり、男性ボーカルは適度な厚みと僅かな温かみがあります。Al-Mg振動板のダイナミックドライバーが組み合わせられ絶妙にクロスオーバーを制御しており、またアルミとマグネシウムの合金シェルを採用することで「Kumo」ほどドライになりすぎず、滑らかさを感じる印象でまとめられています。そのためエッジの効いた寒色系の中華ハイブリッドのようなキレ感とは異なるため、再生環境によってはやや混雑した印象に感じる場合もあります。高性能のDAPやアンプなど十分にS/Nが高くクリーンでしっかり駆動力を掛けることで分離感が向上し音場もより広くレイヤー感を得られると思います。

低域は、十分な量感とと厚みがあり、弾むような印象で全体的な豊かさを下支えします。バランスとしてはニュートラル方向で過度に低域を強調する印象ではありませんが、十分な存在感があります。ミッドベースは適度な締まりとともに躍動感はありますね。重低音も深く沈みつつ明瞭で、キレの良さを強調する印象ではありませんが十分なスピード感はある印象。合金振動板により音色的にもBAによる中高域と自然なつながりがあり、全体として明瞭ながら滑らかさがあります。


■ まとめ

CVJ BiDongというわけで、8BAモデルの上位グレードなのにの萌え絵パッケージの「Kumo」に引き続き、よりぶっ飛んだ印象のパッケージングのインパクトが強すぎる「CVJ BiDong」でしたが、音作りについては非常に真面目で手堅く仕上げられています。TRNの上位マルチBAモデルでも採用されている複数BAの並列稼働による歪みを抑えた安定した出力や、「Kumo」でも導入されている高品質ダンパーやネットワークによる高度なクロスオーバー制御、そして中華BAと近い音色を持つ(実際BAドライバーの振動板に使われることも多い)Al-Mg合金振動板ダイナミックドライバーの採用による寒色系ハイブリッドながら滑らかさのあるサウンドなど、裏付けされた技術も確かなものです。
とりあえず、このパッケージのネタ感にめげず、音質重視で選んでも十分に価格に見合う高音質イヤホンだと感じたことだけはお伝えしたいと思います(^^;)。