こんにちは。今回は「EarFun Wave Pro」です。コストパフォーマンスに優れた完全ワイヤレスイヤホンを数多く手がける「EarFun」から初めてのワイヤレスヘッドホンがリリースされました。
ヘッドホン製品においても「LDAC」コーデックに対応し機能面でも充実した仕上がりになっています。
■ 製品概要と購入方法について
「EarFun」は現在では日本でも低価格&高性能なワイヤレス製品のブランドとして広く認知されています。特に完全ワイヤレスイヤホン(TWS)製品では高性能ANC搭載モデルを中心に高い人気があります。
今回の「EarFun Wave Pro」は同社が手がけるオーバーイヤー型のワイヤレスヘッドホン製品で、大口径の高性能ドライバーに強力なANC機能とLDACコーデックによるハイレゾ対応などフルスペックを網羅しつつお手頃な価格を実現した話題のモデルです。
ドライバーには40mmサイズの大口径DLC複合振動板ダイナミックドライバーを搭載。DLC(Diamond-Like Carbon)ドームとPETフィルムエッジによる複合振動板を採用し、パワーのある低音と明瞭で透明感のある中高音を実現。またBluetoothオーディオコーデックとしてLDACモードをサポートし、24bit/96kHzに対応。ハイレゾ&ハイレゾワイヤレス認証を取得しています。
さらにハイブリッド式のアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)技術を搭載し、業界トップクラスの最大-45dBのノイズ低減を実現しています。また音声通話用のENC通話ノイキャン技術により環境ノイズを抑えたクリアな通話が可能です。
さらにわずか268gの軽量設計ながら大容量バッテリーと優れた低消費電力設計により最大80時間(ANC OFFモード時)の連続再生が可能。さらにANCモードを有効にしても連続最大55時間の再生が可能で、急速充電に対応することで10分間の充電で10時間再生が可能です。
さらに最大55msの超低遅延ゲームモードを搭載し、ANC/SBCコーデック利用時はマルチポイント接続も利用可能です。これらの機能は「EarFun Audio」専用アプリで設定可能で、ANCモードの変更、イコライザー設定などが可能です。
「EarFun Wave Pro」はアマゾンの公式ストアまたは主要専門店にて購入可能で価格は9,990円です。
Amazon.co.jp(EarFun公式ストア): EarFun Wave Pro
※アマゾンのセールにあわせて、現在20% OFFの7,990円で購入可能です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして EarFun Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「EarFun Wave Pro」のパッケージは同社イヤホン製品同様に製品画像を乗せたシンプルなパッケージデザイン。裏面には製品仕様等が記載されています。パッケージ内容は、ヘッドホン本体、充電用USB Type-Cケーブル、有線接続用3.5mmプラグケーブル、ヘッドホンケース、説明書、保証カード。
「EarFun Wave Pro」の本体は樹脂製のシンプルな形状で楕円形のイヤーカップを中心にすっきりとまとまった洗練されたデザインですね。高性能なワイヤレスヘッドホンながら軽量で、イヤーパッドは低反発クッション素材を採用することで側圧は比較的強めながら柔らかいフィット感でしっかり耳を覆い、長時間のリスニングでも痛くならない印象の装着感ですね。
「EarFun Wave Pro」本体の右側下部には電源ボタンと+/-ボタン、NCボタン、さらに有線接続用のAUXポートがあり、左側下部に充電用USB Type-Cポートが配置されます。+/-ボタンは音量調整のほか2回押しで曲送り/戻しができます。NCボタンではANCモードの変更ですね。アプリが使用できない専用プレーヤーやPC/Macなどでペアリングした場合もボタンで一通りの操作が可能です。さらにこれらのボタン設定は後述の通りアプリで割当てを変更することが可能です。
■ 接続コーデックおよび専用アプリについて
「EarFun Wave Pro」のペアリングは非常にスムーズに行えますが、高音質の「LDAC」モードを利用するためには専用の「EarFun Audio」アプリで設定を変更する必要があります(初期設定では「AAC」コーデックでペアリングされます)。設定変更はアプリの右上の設定ボタンから「Bluetoothオーディオの品質」から「音質優先」の「LDAC」のスイッチをONにします。再接続後に「LDAC」コーデックが有効になります。
「EarFun Wave Pro」がサポートするコーデックは「LDAC」「AAC」およびBluetooth標準の「SBC」で、iPhone/iPadなど「LDAC」に対応しない危機は「AAC」または「SBC」でペアリングされます。また「Bluetoothオーディオの品質」で「安定した接続が優先」を選択する場合、「マルチデバイス接続」を有効にする場合は「LDAC」モードは無効にする必要があります。設定メニューでは他にも音声ガイダンスの言語変更など細かな設定変更が行えます。
そして「EarFun Audio」アプリの起動画面では「ANC」モードの詳細な変更も行えます。「ANC」強度は3段階に変更が可能で、さらに外音取り込み(アンビエント)モード、ノーマルモードの変更ができます。同じ画面で設定画面にも項目がある「ゲームモード」のON/OFF、「キーのカスタマイズ」(ボタン設定の変更)も可能となっています。
またイコライザーの設定は「デフォルト」のほか「プリセット」と「カスタマイズ」が可能で、「プリセット」では「Rock」「Pops」「Country」「R&B」「Classical」「Jazz」「低音ブースト」「高音ブースト」「低音を弱める」「高音を弱める」の10種類が用意されています。そのため、多くの場合はプリセットのなかで選択することで好みのモードを選べそうです。
さらに「カスタマイズ」では選択した「デフォルト」または「プリセット」のモードをベースにして直感的な変更が可能です。この価格帯の製品としてはかなり作り込まれた設定といえるでしょう。
■ サウンドインプレッション
「EarFun Wave Pro」の音質傾向は中低域寄りの弱ドンシャリ。DLC系振動板らしい柔らかい印象があり、全体としてはややウォーム寄りで聴きやすい印象のサウンドに仕上げられています。ANCは強力で効果的に環境ノイズを削減してくれますが、いわゆる「無音」の状態を作るタイプのANCではなく、気になりそうな周波数帯のノイズを低減してくれるタイプ。そのため、静かな室内などでは「ノーマル」モードのほうがより解像感が向上し、輪郭がよりはっきりする印象となります。
オーバーイヤー型の密閉型の設計のため、「ノーマルモード」でもある程度の遮音性は確保でき、再生時は十分に没入感があるため、通常は「ノーマルモード」を使用するほうがよいでしょう。
そのうえで、「屋外などで風切り音が気になる場合」、「オフィスなど話し声が聞こえる環境」、そして「電車の車内やプラットホームなど強めの騒音がある場合」といったシチュエーションに応じて3種類のANCをONにする、という使い方が向いているようです。
「EarFun Wave Pro」のイコライザのチューニングでは「デフォルト」モードでは高域は聴きやすく低域は適度な厚みがあるウォームな印象となります。このモードでは中音域は曲によってはやや距離がある印象です。
そのため多くのボーカル曲ではプリセットの「Rock」または「Pops」モードのほうが好印象となる場合が多いでしょう。どちらの設定もバランスに違いはあるもののドンシャリ傾向を高める設定で、よりメリハリと音場感が増し「EarFun Wave Pro」の音色傾向と相性が良い印象です。高域はスッキリした明瞭感が有り、低域も適度にパワフルで臨場感があります。ボーカルもより鮮やかになり、音場感も増します。
いっぽうで「Classical」や「Jazz」などのモードでは音源によってはやや粗さを感じる場合があります。価格帯的に仕方ない、というより、もともと分析的なリスニングよりロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲を楽しむのに最適なサウンドといえるでしょう。
ただ、動画視聴やゲームなどの利用では「デフォルト」のモードのほうが定位感を掴みやすいため、リスニング時は「Rock」や「Pops」など(好みに応じて「カスタマイズ」)、ゲームをプレイ時は「デフォルト」で「ゲームモード」をON、という使い方が良さそうですね。また有線での利用では「デフォルト」に準じたサウンドとなりアプリでの設定変更は一切できないため、「ゲームモード」よりさらに遅延の無いサウンドで利用したい場合のみ使用するのが良いでしょう。
■ まとめ
というわけで、「EarFun Wave Pro」は1万円以下の価格設定で、「LDAC」コーデックによるハイレゾ対応、強力なANC機能、アプリによる詳細な設定ができるなど一通りの機能を網羅したモデルとして仕上がっていました。音質傾向的にはライトユーザーにも使いやすく、人気が出るのも頷けますね。
もちろんメジャーメーカーの数万円クラスのワイヤレスヘッドホンと比較すると解像感や分離性などコスト的に割り切った感のある部分もありますが、アプリでのチューニングにより自分好みのサウンドにすることで、幅広いユーザーにとって「これで十分」と感じさせる実力もありそうです。手頃な価格で機能面には妥協したくない方には最適な製品のひとつになりそうですね。