TINHIFI P1 MAX II

こんにちは。今回は 「TINHIFI P1 MAX II」です。14.2mm平面駆動ドライバーを搭載した「P1 MAX」がリニューアルし、よりクールなシェルデザインとリスニング方向にアップデートしたサウンドが楽しめます。アンダー150ドル級の手頃な価格でバランスの良いサウンドに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

「TINHIFI」(当初は「TIN Audio」)は、もともと優れた製品を製造するOEM/ODMメーカーでしたが、自社ブランドとして定番モデルとなった「T2」ラインなどの「Tシリーズ」で知名度を高めました。さらに独自の平面駆動ドライバーを採用した「P1」が登場し、「Pシリーズ」も上位グレードの「P2」ラインなども含め、評価の高い製品でマニアの間で好評を博しています。そして「P1」も2022年に14.2mmドライバーを搭載した「P1 MAX」にグレードアップ。そして今回の「TINHIFI P1 MAX II」は「P1 MAX」のアップデートモデルとなりますね。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II

TINHIFI P1 MAX II」では次世代の14.2mm平面駆動ドライバーを採用。高品質素材による2μmの振動板に最適化され、N52デュアル磁気回路とデュアルチャンバー設計により、さらに純粋で正確なサウンドを提供します。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II
また「TINHIFI P1 MAX II」はHeyGearsの高精度 3Dプリント技術で成形され、片側わずか3.8gの超軽量で長時間の装着にも負担無く楽しめる設計を採用しています。フェイスデザインはより高級感のあるデザインで仕上げられています。ケーブルは高純度無酸素銅線と銀メッキ銀による4芯ミックス線を採用。コネクタは0.78mm 2pin仕様です。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II

TINHIFI P1 MAX II」の購入は「Linsoul」(linsoul.com)またはアマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
価格は139.00ドル、アマゾンでは23,580円です。
Linsoul(linsoul.com): TINHIFI P1 MAX II
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): TINHIFI P1 MAX II ※掲載時10% OFFクーポン配布中


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TINHIFI P1 MAX II」のパッケージは以前の「P1 MAX」と同様の大きさのボックスで、今回もパッケージにパンダのキャラクターが描かれたポップなデザインですが、以前の白箱よりちょっとパッケージデザインもグレードアップ(?)していますね。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(0.78mm 2pin)、イヤーピース(シリコン2タイプ、S/M・Lサイズ)、ウレタンイヤーピース(ホワイト)1ペア、説明書、保証カードです。「TINHIFI P1 MAX II」で価格が30ドルほど値下げされたこともあり、若干シンプルな構成になりましたね(円安の関係で日本では「P1 MAX」の当時の価格より高くなっていますが・・・)。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II

レジン製のシェル形状は「P1 MAX」を踏襲していますが、フェイスデザインのほかステムノズル形状も若干の変更が行われています。また側面にモデル名称のプリントがされていますね。今回もTINHIFIらしいシンプルなデザインですが、フェイスデザインは以前のメッシュ柄より若干高級感がアップしてるかもですね。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II
14mm級の大口径の平面駆動ドライバーを搭載しているためシェルサイズはそれなりの大きさがありますが、形状的にも耳への収まりが良い印象。またとにかく軽量なので耳から落ちることはまず無く装着性も結構高いですね。また遮音性も比較的高いデザインのようです。
TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II
ケーブルは銀メッキ線とOFC線のミックスの4芯ケーブル。ブラックのイヤホン本体に白黒のカラーリングのケーブルで「パンダ」のイメージというわけですね(^^)。それなりに太さがありますが撚り線タイプで取り回しも良く、線材としても以前の「P1 MAX」より確実にグレードアップしているのは好感できますね。イヤーピースは付属品のほかよりフィット感の高いモノに好感する方が良いでしょう。私は今回も「TRN T-Eartips」を使用しました。


■ サウンドインプレッション

TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II」の音質傾向は最近のハーマンターゲット寄りのニュートラルなバランスで、14mm級平面駆動ドライバーらしい歪みの無い音を鳴らしつつ、既存の「P1 MAX」に比べて僅かにV字方向に調整され、よりリスニング的な印象のサウンドに仕上げられています。
既存の「P1 MAX」は同時期(2022年頃)に発売された14mm級平面駆動ドライバー搭載の製品のなかでも無味無臭感のあるフラット方向の音作りで、キレの良い寒色傾向の「LETSHUOER S12」や、より低域の厚みがありV字方向の「7Hz Timeless」と比較して、突出した特徴は無いものの適度に温かみをもちつつ滑らかで自然なサウンドが特徴でした。
今回の「TINHIFI P1 MAX II」も滑らかさや中音域の僅かな温かみなどの自然な印象は踏襲し、全体のバランスもニュートラルさを維持しつつ、高域はよりスッキリした伸びと主張が増し、低域はより重低音の深さとインパクトが向上するなどリスニング方向でのアップデートが行われています。
なお、インピーダンスは16Ωですが感度は98dBと結構低めのため、しっかり鳴らすためにはある程度駆動力のある再生環境が必要です。小型のオーディオアダプタなどを使用する場合はバランスケーブル等へのリケーブルを行うのも良いかもですね。

TINHIFI P1 MAX IITINHIFI P1 MAX II」の高域は直線的な伸びが向上し、比較的明瞭な音を鳴らします。よりスッキリした印象で主張が増しているため、曲によってはメリハリのあるドンシャリ感を楽しめます。ただし「P1 MAX」もそうでしたが、全体としてはボーカル域から低域をメインとして高域はバランスを取りつつ下支えしている印象です。そのため高高域も平面駆動ドライバーらしく歪みの無い印象ですが解像感は一般的。この辺は「P1 MAX」同様に刺さりやすい帯域を多少コントロールすることで良く言えば聴きやすく、高域に注目している方にはもう少し鮮やかな表現力が欲しい印象になるかもしれませんね。

中音域は、曲によっては僅かに凹みを感じることもありますが、自然な主張で癖の無い音で滑らかに再生されます。過度にエッジを強調しない自然な輪郭ながら平面駆動らしい分離の良さと解像感があり、同時に適度な温かみとエネルギーが加わることで、150ドル以下のイヤホンとしてはかなり質の高い中音域です。
TINHIFI P1 MAX II既存の「P1 MAX」ではより無味無臭感のあるニュートラルサウンドでしたが、「TINHIFI P1 MAX II」ではリスニング方向にしっかりアップグレードされているのを実感します。
ボーカル域は多少前傾して定位し存在感があります。それでも必要以上に強調した印象は無く、分かりやすいドンシャリ傾向のイヤホンと比べると多少あっさりした音に感じるかも知れませんね。特に男性ボーカルは厚みよりスピード感や粒立ちの良さを実感しやすい印象。いっぽうで中高域には適度なアクセントがあり女性ボーカルは鮮やかさがありますが、演奏ともしっかり分離します。音場は自然な広さのなかで前後のレイヤー感があり定位も自然です。

TINHIFI P1 MAX II低域は全体のニュートラルなバランスは維持しつつ、「P1 MAX」よりミッドベース、重低音とも存在感が増し、スピード感と深さが向上しています。ミッドベースは膨らむこと無く中高域との分離も良好。締まりのある歪みの無い直線的な印象でパンチの効いた音を鳴らします。重低音は量感がアップし、より深く沈む印象で、「TINHIFI P1 MAX II」における最大の改善点と言ってもよいでしょう。ドンシャリ傾向ののようなブースト感はありませんが、スピード感やキレの良さもあり、平面駆動らしい質の良い低音を鳴らしてくれます。


■ まとめ

というわけで、「TINHIFI P1 MAX II」は「P1 MAX」の滑らかさのあるニュートラルサウンドを踏襲しつつ、よりリスニング方向にアップグレードし完成度が増しています。外観やケーブルも高級感がアップし、音質面でもよりエネルギッシュで色彩豊かな中音域や量および質の向上した低域により、リスニングイヤホンして幅広く楽しめる製品に仕上がりました。
TINHIFI P1 MAX IIウィークポイントとしては、平面駆動ドライバー搭載イヤホンらしくしっかり鳴らすためには相応の再生環境を必要とするため、小型のオーディオアダプターの利用などにはあまり向かない点と、円安のため日本では2万円超えになっているものの、ドル建てでは「値下げ」となったことで付属品が少なくなっているため、どのようなジャンルにも合わせやすいサウンドながら、同価格帯の製品の中ではわりとマニア向けになってしまうかもなところでしょうか。それでもボーカル曲を中心に質の良い平面駆動ドライバー搭載イヤホンを検討している方には良い選択肢のひとつになると思いますよ。