
こんにちは。今回は「TINHIFI T2 MK2」です。購入したのは少し以前になりますが、最近同社のモデルを立て続けに紹介しておりますので、改めてレビューを仕上げることにしました。「T2」シリーズは「TINHIFI」をまさに代表するモデルで、同社にとって最初の製品から繰り返しブラッシュアップを繰り返しているアイテムでもであります。今回の「TINHIFI T2 MK2」ではオリジナル同様の同軸は位置の2DD構成を採用し、名称通り初期の「T2」「T2 Pro」に次ぐ製品として登場しました。
■ 製品概要と購入方法について
中華イヤホンの製造メーカーおよびブランドとしてマニアの間でも広く認知されている「TINHIFI」ですが、同社のメインラインともいえる「T」シリーズは各グレードの製品でモデルチェンジや派生モデルのリリースが多い事でも知られます。特に同社の定番である「T2」はこれまでに何度も関連モデルが登場していますが、今回の「TINHIFI T2 MKII」は、この「T2」ラインでの最新モデルとなります。
→ 過去記事(一覧): TINHIFI(TIN Audio)製イヤホンのレビュー
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「TINHIFI T2 MKII」では6mmおよび10mmの2基のダイナミックドライバーを同軸配置する2DD構成を採用。「T2」ラインでは最初の「T2」以降さまざまな製品をリリースしていますが、2DD構成は最初の「T2」とその次の「T2 Pro」のみで、「TINHIFI T2 MKII」は久々といえます。


「TINHIFI T2 MKII」では「T2」以降の伝統的なタンク型デザインを採用し、ハウジング内では中高域用の6mmダイナミックドライバーと、低域用の10mm複合振動板ダイナミックドライバーが同軸配置されます。この配置で調整されることで潜在的な位相の問題が最小限に抑えられ、正確で自然なサウンドを実現しています。また新しいドライバーは細やかな調整が行われ、よりクリーンでタイトなサウンドを提供。ドライバーユニットの再キャリブレーションにより、よりクリアで透明感のあるサウンドを実現し、正確な定位とより豊かな奥行き感を強化します。


本体は軽量なアルミニウム製ハウジングは「T2」シリーズの特徴であるタンク型のフォルムを踏襲しつつ新たなデザインを採用。耳の輪郭にぴったりと密着し、長時間の使用でも快適さを保証します。またアルミニウムの高い硬度により、優れた耐久性と耐摩耗性を実現しています。コネクタも「T2」「T2 Pro」を踏襲しMMCXを採用し、交換可能なケーブルが付属します。


「TINHIFI T2 MKII」の購入はAliExpressおよびアマゾンの主要セラー、またはTINHIFI直営のショップにて。通常価格は59ドル程度で販売され、アマゾンでは9,880円でした。
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): TINHIFI T2 MKII ※掲載時10% OFFクーポン配布中
AliExpress(HiFiGo): TINHIFI T2 MKII
AliExpress(Shenzhenaudio): TINHIFI T2 MKII ※49ドルで販売中
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TINHIFI T2 MKII」のパッケージはいつもの「T2」のサイズの箱で外箱および内箱の外装はグレーで落ち着いたカラーリング。内箱も「T2」「T2 PRO」同様にブック状に開く形状です。前回の「T2 DLC」あたりからオリジナルを意識した原点回帰のパッケージングになっていますね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、シリコンイヤーピースが2種類(S/M/L各サイズ)、ブルーのウレタンイヤーピース(1ペア)、説明書、保証書。ウレタンイヤピは袋に入って押しつぶされていたので写真撮影時も潰れていますが、その後本体の形状に戻っています。


「TINHIFI T2 DLC」の本体はアルミニウム合金製で非常に軽量です。本体サイズおよび形状は「T2」シリーズを踏襲していますが、よりエレガントな形状にリファインされておりシンプルながら結構凝ったデザインになっています。注目すべき点はスピーカーのコーンのような形状になっているフェイスの中心部に3カ所ベント(空気孔)のようなものがある点ですね。


コネクタはMMCXを採用。最近の「T2」ラインの製品は2pin仕様でしたが、こちらも原点回帰ですね。ケーブルも後期型の「T2」に採用されている撚り線タイプと同様にみえるMMCXケーブルですが、耳掛け加工が施されています。


イヤーピースはウレタンとシリコン2種の3種類が付属します。他にも定番のJVC「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、あるいは「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」などの密着感のあるタイプなどのイヤーピースに交換するのも良いと思います。例によって今回も「TRN T-Eartips」を合わせました。
■ サウンドインプレッション

インピーダンス16Ω、102dB/mWという仕様ですが、小型のオーディオアダプター等でも比較的鳴らしやすく使いやすい印象を持ちます。いっぽうでドライバーのポテンシャルは高く、高ゲインの環境で鳴らしても破綻することはありません。相応のアンプで鳴らすことで瑞々しさや奥行きなどの深みが増し、より楽しいリスニングが可能になります。

中音域は女性ボーカルなどの中高域はもちろん、中低域に近い部分も含めた音域全体で前傾した主張があり、バランスとしてはフラット方向ながら多少カマボコ寄りの印象にまとめられています。全体として寒色傾向ですが非常にエネルギッシュな印象の音色で鮮明なブラスや、豊かさと光沢も感じるギターやバイオリンなどのストリングやサックスが非常に心地よい印象。
ボーカルも伸びやかな女性ボーカルとともに、厚く深みのある男性ボーカルの豊かさが印象的です。音場は奥行きや上下の広がりは一般的ですが左右に広く、想像以上に立体的な印象があります。フラット寄りのサウンドバランスもあり定位はかなり性格で分離も自然な印象。前述の通り、十分にS/Nが高く駆動力のある再生環境ではより深みのあるサウンドが楽しめます。

全体的にフラットで特に低域は強調感の無い音作りですが、リスニング的に貧弱に感じることはなく、あくまで自然に、かつ非常にカラフルかつエネルギッシュに仕上がっているのがとても興味深い印象です。
■ まとめ
というわけで、「TINHIFI T2 MKII」は、最初期の「T2」および「T2 PRO」を改めて見直し、最新の技術で改めてブラッシュアップしたイヤホン、という印象のサウンドでした。この2機種以降の「T2」ライン、つまり「T2 PLUS」「T2 EVO」「T2 DLC」といった1DDモデルはすべて「亜種」で、改めて2DD構成を採用し、大胆にフラット方向のサウンドに仕上げた今回の「TINHIFI T2 MKII」が本来の「T2」を継承したモデルなのかな、と感じさせました。

どのような再生環境でもそれなりに鳴らせますが、しっかり追い込めばさらに深みを増す印象で、聴いてるうちに結構エモい音域があったりと、なかなかのスルメっぽいイヤホンかもしれませんね。
60ドル以下と最近のTINHIFIのなかでも比較的手頃な価格設定ですし、より多くのマニアに試していただきたい楽しイヤホンだと感じました。