Elysian Acoustic Labs PILGRIM

こんにちは。今回は 「Elysian Acoustic Labs PILGRIM」です。Sonion製の3基のBAと独自のLSR(液晶シリコンラバー)ドライバーによるハイブリッド構成で、カスタムIEM分野でも非常に評価の高い自然で調和のとれたElysianのサウンドチューニングを実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

「Elysian Acoustic Labs」 は、2016年に設立されたはマレーシアに拠点を置く新興カスタムIEMメーカーで、「ANNIHILATOR」や「DIVA」など高評価の製品をリリースしています。
今回の「Elysian Acoustic Labs PILGRIM」(以下「Elysian PILGRIM」)は、9.2mmサイズのLSR(液晶シリコンラバー)ダイナミックドライバーと3基のSonion製BAドライバーを搭載したハイブリッドモデル。内部チャンバーには高品質のアルミニウムと精密 3Dプリントを組み合わせ、優れた耐久性と完全な一貫性を実現。そして高評価のElysianによる自然でまとまりのある調和のとれたサウンドチューニングが施されています。

Elysian PILGRIM」は、独自のLSR(Liquid Silicon Rubber/液晶シリコンラバー)テクノロジーを採用した9.2mmダイナミックドライバーを搭載し、より深く印象的な低音域を生成。振動板にはMg-Al(マグネシウム・アルミニウム)合金を採用し、自然でディテール豊かな全周波数接続を実現します。
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さらに2種類のSonion製バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載し最適に調整されています。中音域用の「Sonion 2300」BAはバランスのとれた自然なサウンドを生成し、高域用に2基の「Sonion E50」BAツィーターにより高音域を拡張し明瞭さと輝きを提供します。一貫性のある3Wayクロスオーバーのチューニングによりスムーズで一貫性のあるサウンドを実現します。

また、内部チャンバーとサウンドチューブには高精度の3Dプリントが使用され歪みを最小限に抑えながら、高速、奥深く、正確なパフォーマンスを実現します。
Elysian Acoustic Labs PILGRIMElysian Acoustic Labs PILGRIM
そして「Elysian PILGRIM」のシェルはは高品質のアルミニウム製で軽量かつ優れた耐久性を持っています。フェイスデザインは穏やかな地層のような地形からインスピレーションを得ています。
Elysian PILGRIM」のケーブルは高品質の銀メッキ線ケーブルが付属し、コネクタには「Pentaconn Ear」を採用しています。プラグは3.5mmまたは4.4mmが選択可能です。またイヤーピースは「SpinFit」の高密着シリコンイヤーピースが各サイズ付属します。
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Elysian Acoustic Labs PILGRIM」の価格は399ドル
購入はHiFiGoおよびAliExpressおよびアマゾンのHiFiGoストアにて。
HiFiGo(hifigo.com): Elysian Acoustic Labs PILGRIM


アマゾンでも販売を開始しました。価格は 65,244円です。5月21日時点でプライム在庫ありです。
Amazon.co.jp(HiFiGo): Elysian Acoustic Labs PILGRIM


※6月17日から23日までの期間限定でアマゾンで「Elysian PILGRIM」が10% OFFとなる特別クーポンが当ブログ限定で発行いただきました。期間中に特別クーポン「bisonicr10」を利用すると、
通常販売価格 65,224円 → 割引後 58,719円 となります。
今回だけの超特価ですので是非ご利用くださいませ。

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Elysian Acoustic Labs PILGRIM」のパッケージはハイグレードなIEMメーカーの400ドル級の製品ということもあり、シンプルなデザインのなかにも高級感があります。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(SpinFit、S/M/Lサイズ)、クリーニングブラシ、クリーニングクロス、ケース、説明書、保証書など。
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アルミニウム合金製のハウジングはソリッドなデザインで結構無骨な外観ですが、実際は比較的軽量にまとまっています。地層ような階層をイメージしたフェイスデザインも幾何学的なイメージがありますね。同心円状のフェイスデザインのなかにスリット状にベント(空気孔)があり、空気圧を調整する仕様になっています。そのため静かな部屋では若干の音漏れがあります。大きめのシェル形状ですが耳への収まりは良く装着性はまずまずの印象です。
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ケーブルコネクタはPentaconn Earを採用。個人的にはPentaconnはもう少し採用するメーカーが増えても良さそうに思うのですが、部品供給元が限られるためか相変わらず珍しい存在になっていますね。付属ケーブルも質感の良い線材でアルミ製のコネクタやプラグ部品なども一貫性のある質感ですね。
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またアクセサリも大きめのケースやクリーニングブラシ、クロスなど充実しており、イヤーピースにはSpinFit CP100が各サイズ付属します。


■ サウンドインプレッション

Elysian Acoustic Labs PILGRIMElysian PILGRIM」の音質傾向はいわゆるハーマンターゲットカーブに準拠した印象のU字方向のニュートラルサウンド。Sonion製BAドライバーの明るくモニター的な音色を活かしつつ驚くほど滑らかにチューニングされており、さらに独自のLSRドライバーはBAと違和感のない音を鳴らしつつ非常に深く自然な音場感を演出しています。
Elysian PILGRIM」の場合、3BA+1DD構成の明瞭感のあるハイブリッド、という仕様からは想像ができない滑らかさと自然な空間表現を実現しており、より深く没入させ、それぞれの演奏を精緻に描く表現力の高さはハマると結構クセになる魅力があります。またいわゆるU字傾向のバランスのため、ボーカル域もやや前傾しており、僅かな温かみのある自然な印象で瑞々しく描写します。もともとよりハイグレードな製品を手がけているメーカーらしく非常に質の高いサウンドでまとめられている印象です。

Elysian Acoustic Labs PILGRIMまたこの価格帯の製品ながら「Elysian PILGRIM」は比較的鳴らしやすく、小型のオーディオアダプタなどでも十分に楽しめる印象。再生環境にはあまり依存しませんが、パワフルに鳴る環境ではややソリッドさが増す印象となります。適度な解像感を持ちつつ優れた音場感など表現力の高さを実感するためにはある程度優れたノイズ特性や安定した出力のある上流を選ぶ方が良いでしょう。
またPentaconn Earを採用しているためリケーブルの選択肢はあまり多くはありませんが、通常は付属ケーブルで十分なサウンドを得られます。あえてサウンドバランスの変化を見たい、という場合など以外はリケーブルは不要でしょう。

Elysian PILGRIM」の高域は、明瞭かつ伸びやかさを持ちつつ、自然な質感も感じられる印象。BAドライバー的で多少金属質な寒色傾向の印象ではあるものの過度に硬質にならず綺麗な音を鳴らします。直線的な伸びで天井は高いものの突き抜けるような印象ではなく、適度にエアリーで滑らかさも感じられます。シンバル音などの明瞭感と高域全体の滑らかさのバランスが非常に良く高い質感を実現しています。

Elysian Acoustic Labs PILGRIM中音域は凹むことなく鳴るニュートラルな印象で、自然な空間表現のなかで描写される、深さや豊かさ、そして鮮やかさは特筆すべきものでしょう。
演奏はボーカル域と綺麗に分離し性格に定位し、ピアノ、ストリングスは生々しく、ブラスは鮮やかに、1音1音のディテールまで美しく表現されます。
音場は音源をありのままに再生し、過度に広さを強調させることはありませんが、圧倒的に正確かつ深く没入できる表現力の高さがあり、ちょっとクセになる魅力がります。

ボーカルは僅かに温かみのある自然な輪郭ですが、同時に十分な解像感のある鮮明な印象で中音域のなかでは少し前傾して再生されます。女性ボーカルは抜けが良く伸びやかで、男性ボーカルは豊かさと厚みがあります。また息づかいや余韻などを瑞々しく描写しており非常に鮮明でエモーショナルな印象を受けます。

Elysian Acoustic Labs PILGRIM低域はレスポンスが良く解像感も高い印象ですが、中音域同様に過度にタイトにならず、自然な質感で音源を綺麗に表現します。量感は過不足ない印象で、重低音もしっかり沈み厚みのある音を鳴らします。いっぽうで過度な響きや膨らみは無く、直線的です。ミッドベースは直線的で、重低音も分離の良いキレのある音を鳴らします。またハイブリッドながらSonion製BAが担っている中高域の違和感は無く非常に滑らかに表現される印象。LSRドライバーによる表現力の高さが伺えます。またこのドライバーの振動板にMg-Al(マグネシウム-アルミニウム)合金を使用している点も中高域のSonion製BAと音色を合わせて違和感の無いチューニングを行う上で貢献しているかもしれません。この振動板はBAユニットの振動板と材質が近いためかハイブリッド化した場合の相性が良い印象がありますね。


■ まとめ

Elysian Acoustic Labs PILGRIMというわけで、「Elysian Acoustic Labs PILGRIM」は399ドルと中華イヤホンとしては決して安価な背品ではありませんが、価格相応かそれ以上の完成度の高さを持っており、特に質の高い音場表現は結構ハマりそうな心地よさを感じさせるイヤホンでした。その表現力の高さかから、オーケストラ演奏されるクラシックからさまざまな種類のスタジオ音源、ライブ音源とジャンルを問わす楽しめるイヤホンといるでしょう。さらに、このようなインストゥルメンタルが美しいタイプの製品のなかでは割と珍しくボーカル域も非常に鮮やかでエモーショナルに表現してくれる点も大きなポイントと言えるでしょう。
アッパーミドル級の高音質イヤホンのなかでもリスニング特化という意味ではトップクラスの選択肢のひとつになるかもしれません。個人的には海外のレビューなどで同価格帯の「Moondrop DUSK」と結構近い傾向を持っている「らしい」という話があるのが結構気になっていたりします。最近未レビューがたまっている関係で(未レビューと多少でも円安が)落ち着いたら買おうかなと思っていたところですので、その際は比較してみたいですね(^^)。