TRN Azure Dragon (青龍)

こんにちは。今回は 「TRN Azure Dragon青龍」です。第2世代の14.6mm平面磁気駆動ドライバーを搭載し、同社としては上位グレードに属する200ドル級のイヤホンとして仕上げられたモデルです。製品名の「青龍」をイメージした特徴的なフェイスデザインと、ニュートラルかつ鮮明なリスニングサウンドで非常に楽しイヤホンに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

TRN Azure Dragon (青龍)」は第2世代の14.6mm平面駆動ドライバーを搭載したフラグシップ級のモデルで、既存モデルで14.5mm平面駆動ドライバーを搭載した「TRN Kirin」の上位モデルになります。製品名の「青龍(Azure Dragon)」は中国の四神獣のひとつに由来し、蒼龍としても知られています。中国の二十八宿における四象(4方向を司る聖獣)においては東方の7つの星座を示すシンボルで、少陽と春を象徴します。「TRN Azure Dragon (青龍)」においては、龍の神秘的な威厳を象徴するようなフェイスデザインが特徴的ですね。
TRN Azure Dragon (青龍)2TRN Azure Dragon (青龍)
TRN Azure Dragon (青龍)」では第2世代の14.6mm平面磁気駆動ドライバーを搭載。均一なパフォーマンスを持つ優れた全周波数応答を備えています。振動板は僅か2μmの極薄かつ高精度で微細加工されたエッチング回路が特徴です。さらにこの平面磁気駆動ドライバーは両面アレイ構造のN52ネオジム磁石を採用。上面7個+下面7個のN52磁石によりテスラレベルの強力な磁束を生成し、超低歪みでよりクリーンでクリアなパフォーマンスを実現します。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)
この「TRN Azure Dragon (青龍)」のドライバーユニットは長年の経験を持つ音響エンジニアによって調整され、正確な中音域表現と精緻な高音域を備えた深みのある低音レスポンスを実現します。
そして、「TRN Azure Dragon (青龍)」では3種類のチューニングノズルが付属。高品質の金メッキ真鍮素材を使用した各ノズルは長さおよび内径などのしようが異なり、異なるバランスのサウンドを提供します。ノズルを変更することで自分の好みのサウンドを選択することが可能です。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)

TRN Azure Dragon (青龍)」の購入はアマゾンおよびAliExpressなどの公式ストアおよび各セラーにて。価格は210ドル~前後、アマゾンでは31,888円前後です。
※AliExpressで利用可能な10ドルOFFクーポンコード「0CS2UDIUJAED」を提供いただいています。

AliExpress(TRN Offical Store): TRN Azure Dragon  ※掲載時185.68ドル、追加クーポン利用可。


Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN Azure Dragon   ※掲載時28,950円で販売中


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TRN Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRN Azure Dragon (青龍)」のパッケージは既存モデルの「Kirin」同様にTRN製品のなかでは豪華版のパッケージサイズを採用しています。パッケージアートもより高級感のあるものになっていますね。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)

パッケージ内容はイヤホン本体、ミックス線ケーブル、交換用プラグ(3.5mm/2.5mm/4.4mm)、交換用ノズルフィルター(固定金具付き)、イヤーピースは「TRN T-Eartips」および通常の黒色タイプがそれぞれ3サイズ(S/M/L)、ウレタンタイプが2ペア、レザーケース、説明書ほか。
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本体は金属製でハウジング部の形状は「Kirin」とやや近いものの多少厚みが増した印象。フェイス部分は「Kirin」が同社の同時期の低価格モデルにやや近い印象だったのに対し「TRN Azure Dragon (青龍)」は青龍をイメージしたかかなり凝ったデザインになっています。フェイスの黒い部分はメッシュ状のデザインとなっていますが塞がっているようで音漏れなどはありませんでした。また実際比べてみると高級感は段違いですね。サイズ的にはコンパクトで耳穴にすっぽり収まる感じです。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)

3種類の交換式ノズルフィルターは真鍮製の金属ノズルはそれぞれ長さが異なっており、また装着部の樹脂線リングのカラーでどのタイプか判断できるようになっています。形状及びサイズ的に「Kirin」二付属しているフィルターと同じようにも見えますが(特に赤リングと黒リングの2種類は同じかも)、標準で付属している「Reference」のみメッシュ部分の部品が異なり背面のフィルター材も異なるようです。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)
フィルターは一番短いタイプが黒色のシリコンリングを付けた「Transparency」(透明)で、名称通りおそらく最もイヤホンからの音をダイレクトに伝えるタイプ。そして、標準で装着されているグリーンのリングのタイプが「Reference」で、ノズルの長さは少し長く、メッシュパーツの裏面には薄いフィルター材が確認出来ます。そして最もノズルが長いのが赤色のリングの「Atmospheric Immersion」。ノズルの長さだけで無く、内部の厚みも大きく最も抑制されるフィルターであることがわかります。
TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)
ケーブルはプラグ交換式の4芯ミックス線が付属します。最近のTRNの一定グレード以上の製品で採用されるミックス線タイプのケーブルで、ブラウンとグレーの線材の撚り線となっています、被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く、プラグ交換式のため最初からリケーブルの必要な無いのは良いですね。またイヤーピースも個人的に愛用している「TRN T-Eartips」が各サイズ付属します。またケースも従来の円形メタルケースからより大きいレザーケースになりました。この辺もとても有り難いアップデートですね。


■ サウンドインプレッション

TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)」の音質傾向はニュートラル方向のU字寄りのサウンドで、バランスとしては緩やかな弱ドンシャリ。既存の「Kirin」が14mm級の平面駆動ドライバーを搭載した製品の中では分かりやすい寒色のV字傾向で「TRNらしさ」を結構前面に出した印象でしたが、今回の「TRN Azure Dragon (青龍)」ではいわゆる○○ターゲット的なバランスに移行しており、従来より上位グレード感のあるリスニングサウンドに仕上がっています。
また煌びやかさを感じ伸びのある高域や、深く重量感のある低域などTRNらしいハッキリとした傾向も継承しており、明瞭感のあるサウンドも印象的です。またボーカル域は前傾して存在感があり、ギターやピアノの音色は光沢と響きの良さから非常に鮮やかに再生されます。音場は適度に広がりがあり、包み込むような空間表現の描写により、リスニング的に非常に心地よい印象にまとめられています。

TRN Azure Dragon (青龍)3種類のフィルターは、ブルーのリングの「Transparency」(透明)フィルターがより高域の煌びやかさが増し寒色傾向が強くなり、逆にレッドリン夫の「Atmospheric Immersion」フィルターでは中高域より上の帯域が減衰されることで相対的に中低域から低域が増した印象になります。通常は「Kirin」より改善されたノズルデザインを採用している標準の「Reference」フィルターが最も好印象となることが多いでしょう。より伸びのあるスッキリした高域を好まれる方は「Transparency」フィルターを、より低域が多い方が好みの方、または屋外など多少環境ノイズのある環境では「Atmospheric Immersion」フィルターが好感されるかもしれませんね。
またインピーダンス32Ω、感度108dB/mWと平面駆動ドライバーを搭載しているイヤホンとしてはかなり鳴らしやすく、小型のオーディオアダプター等でも十分に利用できます。ただある程度駆動力のあるDAPやアンプのほうがより立体的な音場感と鮮やかさを感じる傾向となるようです。

TRN Azure Dragon (青龍)TRN Azure Dragon (青龍)」の高域はTRNらしい明瞭で伸びのある明るい音を鳴らします。直線的な伸びのある寒色傾向の音で解像感も高い印象。煌びやかさもあり、鋭い音はある程度鋭く鳴るため、「Reference」および「Transparency」フィルターでは多少刺激を感じる場合があります。この場合は付属ケーブルの場合は3.5mmのシングルエンドでの接続を行うほうが好印象かもしれません。また「Atmospheric Immersion」を使用することで明瞭感を維持しつつ、やや主張が抑えられるため煌めきは多少下がりますがより聴きやすく鳴ります。

中音域は凹むことなく鳴り、ボーカル域はやや前傾し、非常に鮮明かつ存在感のある音で再生されます。音源に沿った癖の無いニュートラルな印象ながら、ボーカルおよび演奏とも密度感がある濃い音でエネルギッシュに鳴るのが特徴的です。
TRN Azure Dragon (青龍)中高域にアクセントがあり女性ボーカルは伸びやかで抜けの良い音を鳴らし、男性ボーカルは寒色傾向らしくタイトな印象ながら十分に厚みがあります。またピアノやギターは光沢と心地よい響きがあり鮮明に鳴ります。平面駆動らしく解像感は高くボーカルと演奏の分離も良好。音場は自然な広がりを持ちつつレイヤー感が有り、曲によっては包み込むような印象で非常に心地よく感じます。
インストゥルメンタル、ボーカル曲どちらも相性が良いですが、ロック、ポップスやアニソンなどをより楽しくリスニング出来るイヤホンで、逆に穏やかなバラード曲などはややメリハリの強さが気になるかも知れません。

低域は十分な量感を持ちつつ、より直線的でタイトな印象にまとめられています。ミッドベースは「Kirin」より直線的ですが十分な存在感があり、締まりの良さと力強いインパクトを楽しめます。重低音は適度に深く、重量感がありますが、どちらかというと中高域に重点を置いた音作りで解像感やキレの良さよりまとまりを重視した印象。それでも平面駆動らしい歪みの無い自然な質感で、200ドル級のイヤホンとして十分に比較できる品質は維持できていると思います。


■ まとめ

TRN Azure Dragon (青龍)というわけで、「TRN Azure Dragon (青龍)」は14mm級平面駆動ドライバーを搭載し、より本格的に特徴を活かして音質面でブラッシュアップした印象に感じました。TRNらしい明瞭感のある傾向を維持しつつ、バランス的にはよりニュートラルとなり、平面駆動ドライバーらしい直線的で癖の無い質の高いサウンドに仕上がっています。同時に煌びやかで鮮明な印象の高域や、エネルギッシュな中音域と包み込むような音場感など200ドル級のリスニングイヤホンとして完成度を高めてきている点も好感できますね。完全にかつての低価格イヤホンのブランドとしての印象とは隔世の感があります。とはいえTRNらしい寒色系のリスニングサウンドというアイデンティティーは踏襲していますので、200ドル級のイヤホンを検討している全ての層にオススメできるわけではありませんが、それでも強力な選択肢のひとつとして存在感のあるイヤホンだと感じました。