
こんにちは。今回は 「KBEAR KS10」です。同ブランドの低価格ラインでは久しぶりの「KS」シリーズの最新モデルです。4BA+1DDのハイブリッド構成で40ドル以下。シェル形状は「KS」および「鳥」シリーズを採用し、クールなフェイスデザインにダイナミックドライバー部分にはフルレンジのCNT複合振動板を採用したコストパフォーマンスに優れたモデルですね。
■ 製品概要と購入方法について
中国のイヤホンブランド「KBEAR」はEasy Earphonesなどのセラーを中心に販売されるブランドで、姉妹ブランドの「TRI Audio」と併せて意欲的な新製品を数多くリリースしています。同社自体はファブレスのため、製造を行うファクトリーごとに複数のラインが存在しまが、同社エンジニアによる一貫したチューニングにより、ブランドとして統一性のあるサウンドを実現しているのも特徴的です。
「KBEAR KS10」は片側4BA+1DD構成のハイブリッドモデルで、フルレンジ仕様の10mm複合カーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーをベースに高域用3BAと超高域用ツイーター1BAによる4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを加えた仕様となっています。


「KBEAR KS10」のフェイスプレートは5軸CNC加工されたアルミニウム合金製を採用。優れた質感を実現しています。ドライバー構成はフルレンジ仕様の10mmサイズの複合カーボンナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーをベースユニットに搭載し、3+1構成の高域用バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーで補完する仕様。3基の高域用BAと、ステムノズル部に装備される1基の超高域用ツイーターBAユニットで構成されます。これらのドライバーユニットはクロスオーバーを電子制御し最適化が行われています。


「KBEAR KS10」のチューニングにおいてはBAとダイナミックドライバーの統合を最適化し、フルボディの中低域のレスポンスを提供し、高周波ノイズを低減し、中高周波の純度と解像度を高めています。
「KBEAR KS10」はカラーバリエーションが「シルバー」「パープル」「ブルー」の3色を用意しており、日本向け(アマゾン)限定で「ブラック」のフェイスプレートバージョンを用意しています。
※掲載時アマゾンで「ブラック」は完売のため次回入荷待ちとなっています。


「KBEAR KS10」の購入はAliExpressのEasy EarphonesまたはアマゾンのYinyoo-JPにて。
価格は39.94ドル~、アマゾンでは5,899円です。
Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): KBEAR KS10 ※レビュー掲載時400円 OFFクーポン配布中
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Easy Earphones より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
今回は「シルバー」の通常モデルと日本向け限定版の「ブラック」が届きました。どちらもパッケージはいわゆるKZのボックス大で、ラインアートによるシンプルなパッケージ。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースが2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、説明書。低価格モデルと言うこともあり必要最小限ですがイヤーピースが2種類付属するところが同社らしいですね。


本体は「KS」シリーズで共通した若干厚みを抑えた樹脂製のハウジングにCNC加工されたアルミ製のフェイスプレートというデザイン。このシェル形状は最近では「PECKER」や「Rosefinch(朱雀)」などのシリーズと同様のサイズで、樹脂製のハウジング、アルミのステムノズルの構成になります。


今回の「KBEAR KS10」はシンプルながらクセの無いフェイスデザインに仕上がっており、左右で赤/青のワインポイントがカラーリングされているのが印象的ですね。「KS」シリーズでハウジングの形状は踏襲しており、KZやTFZなどのイヤホンと同様のサイズ感ですが、装着部分の角度の違いなどから、より装着性が高い印象を受けます。


ケーブルは銀メッキ線タイプで、従来より厚めの樹脂被膜で覆われており、最近のKZやCCAのケーブルを彷彿とさせます。いっぽうコネクタは「KS」シリーズ共通でTFZタイプの2pin仕様。TFZタイプのほか、中華2pinまたはCIEM 2pinが使用でき、リケーブルの選択肢は選びやすいですね。
イヤーピースは付属品のほか「KBEAR 07」(Acoustune「AET07」とほぼ同等品)や、KBEARの姉妹ブランドのTRI Audioから「TRI Clarion」などに交換するのもお勧めです。他には定番の「スパイラルドット」や「SpinFit CP100+」、「TRN T-Eartips」など自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション

ちなみに、50ドル以下の多くの低価格中華ハイブリッドでは、特に明記はされていませんが、ダイナミックドライバーはフルレンジで鳴っています。例えば1BA+1DDの「KZ ZSTX」基本はダイナミックドライバー部で全ての音域を鳴らし、ステムノズル部のBAはツイーターユニットとして高域を「補完している」というのが正確なところ。

このような視点でいえば「KBEAR KS10」の製品説明でダイナミックドライバー部がフルレンジ仕様と明記しているのも別に特別なことではなく、ドライバーの配置なども含め、ほぼKBEARが手がける「KZ ZS10 Pro」みたいな機種、という見方もできるわけです。
ただ最近の主流になりつつある100ドルオーバーのグレードでは、ハイブリッドを含むマルチドライバー機は音域ごとに分割してドライバーを配置することが「普通」なので、それらと比べて「あえて」フルレンジと記載した、という感じでしょう。

また比較的鳴らしやすいイヤホンですが、再生環境により多少覚醒したような変化があり、リケーブル効果も大きい印象。ある程度鳴らしこんだ上で色々試して変化を楽しむのも良いでしょう。
「KBEAR KS10」の高域は硬質感のあるスッキリとした印象で明瞭な音を鳴らします。高域に3基、高高域に1基のBAを割り当てており、ドライバーの配置からも「KZ ZS10 Pro」シリーズの機種を意識した音作りであることが伺えますね。

中音域はV字傾向のため曲によって多少凹みます。解像感のあるキレの良い印象ですが、中低域を中心に厚みがあり、より自然な印象で癖の無い音を鳴らします。ボーカル域は若干前傾し、女性ボーカルは適度にアクセントがあり抜けが良く、男性ボーカルは厚みがあります。全体としてはドライですが高域ほど寒色にならず僅かに温かみのある自然な印象です。ここで高域の主張を少し抑え定位を下げることで全体として違和感の無いバランスになっているようですね。音場は一般的で広さを強調することはありませんが、ドンシャリ傾向特有の前後のレイヤー感があります。また演奏との分離も適切なため定位は捉えやすいでしょう。この辺はより情報量の多いケーブルに換えることで解像感が向上し音場も立体的に変化しますね。

基本的にロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲向けのサウンドですが心地よいドンシャリ傾向のため幅広いジャンルで楽しめそうです。
■ まとめ
