Pentaconn Scyne α01

こんにちは。今回は 「Pentaconn Scyne α01」です。ポータブルオーディオのマニアにとっては「いろいろお世話になってる」ブランドのひとつである「Pentaconn」ですが、同社が5月から満を持してイヤホン製品をリリースし、ちょっと注目を浴びてますね。今回はそんな最新ハイエンドモデルを「Pentaconn」ブランドを展開する株式会社日本ディックス様よりレビュー用に1ヶ月間お借りできる機会をいただきました(ありがとうございます)。

■ 製品概要と購入方法について

「Pentaconn(ペンタコン)」は日本ディックスのブランドで、最近ではAcoustuneなど複数のブランドで採用されているイヤホン用コネクタ「Pentaconn Ear」を思い浮かべる方も多いでしょう。ただ元々の「Pentaconn」は「JEITA規格 RC-8141C」つまり一般的に「4.4mm バランス接続端子」と呼ばれるインターフェースを指します。現在ではDAPなどポータブルオーディオの世界でバランス接続といえば4.4mmが主流ですが、この流れは2016年にソニーが「NW-WM1A」でバランス端子に日本ディックス製「Pentaconn」インターフェースを初めて採用したことが発端となり、その後幅広く認知され普及していくことになります。このような経緯もあり、日本ディックスでは「Pentaconn Ear」や「Pentaconn」(4.4mm端子)を備えたハイグレードケーブル製品や独自のイヤーピースなどを販売しておりマニアからも高い評価を受けています。

Pentaconn Scyne α01そして同社が満を持して「Pentaconn」ブランドで投入したイヤホン製品が「Pentaconn Scyne(サイン) α01」です。実績ある部品メーカーとしての個々の高い実力を組み合わせより高い相乗効果(シナジー)を生み出すべく部材ひとつひとつまで厳選し吟味して生まれた製品ということで、このような製品名称が名付けられたそうです。

Pentaconn Scyne α01」は10.2mm「LCPドーム+LSRエッジ複合振動板」ダイナミックドライバーをシングルで搭載します。ドーム部分は樹脂素材のなかでも軽量かつ高硬度の特性を持つLCP(液晶ポリマー)を採用し歪みや付帯音、共振点でのピークを最小に抑えています。またエッジ部には逆に柔らかくスムーズな動きを可能にするLSR(液体シリコンラバー)を採用。全体として歪み感を抑制しクリアかつフラットな周波数特性を実現しています。
Pentaconn Scyne α01さらに14T以上の強力な磁束密度を持つN52ネオジム磁石を採用することで過渡応答を高め立ち上がれや余韻を正確に再現します。

また音質に大きく影響するキャビティの内部形状は約1,000通りもの試作を繰り返し設計を実施。さらにリアチャンバーを二重化すし2つの音響空気室をもつ構造を採用することで空気圧を最適化。タイトな低域や繊細な高域の表現などドライバーの解像度を最大に引き出します。

そして「Pentaconn Scyne α01」ではETL音響モジュールを搭載。このモジュールの「HDSS技術」によりチャンバー内の反射波を適切に吸収・放出することで振動板への影響を低減し、歪みの空くなクリアなサウンドと自然な臨場感を実現します。
Pentaconn Scyne α01Pentaconn Scyne α01
本体は真鍮製の金属シェルで表面はプラチナめっき加工により長期間白く輝く美しさに加え、優れた耐候性と強度を持ち音質的にも貢献しています。
ケーブルはコネクタに「Pentaconn Ear」を採用した6N OFC銀コート線4芯ケーブルが付属。イヤーピースにも金属コアを内蔵した「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」を付属しています。全ての部材のはPentaconn自社開発で、イヤホン本体の生産も日本で行っています。
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Pentaconn Scyne α01」の購入はPentaconnオフィシャルショップまたは主要専門店にて。
価格は132,000円(税込み)です。
Pentaconn Offical Shop(pentaconn.com): Pentaconn Scyne α01

免責事項:
本レビューは 日本ディックス(Pentaconn)様 より製品をお借りしての紹介となります。レビュー機会をいただけたことに感謝いたします。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Pentaconn Scyne α01」のパッケージはとしてもシンプルなデザインのキューブ型のボックス。今回はレビュー用のレンタルですが未開封の新品で送っていただきました(^^;)。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、通常タイプのイヤーピース(S/M/Lサイズ)、「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーケース、クリーニングクロス、説明書、保証書など。
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本体は真鍮製で表面にはプラチナめっき処理が施されています。本体は非常にコンパクトで重量も片側8.6gと非常に軽量です。「Pentaconn Ear」のコネクタは脱着も非常にスムーズで使い勝手の良さがあります(本当にもっと普及してくれないかなぁと思っています)。
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付属品も充実しており、特にイヤーピースは通常タイプと金属コアを内蔵している特徴的な「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」も付属しているのが嬉しいですね。実際に試して見ると両者のイヤーピースで結構印象に変化があることがわかります。
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ケーブルは「Pentaconn Ear」コネクタ、「Pentaconn(4.4mmバランス)」プラグの6N OFC銀コート線の4芯ケーブルが付属します。ケーブル全体を覆う樹脂被膜はやや硬めの手触りですが適度な段量があり非常にしなやかで取り回しも良い印象。また見た目の印象に対しタッチノイズもほぼ無くとても使いやすい高級感のあるケーブルです。
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ケーブルは耳掛け加工はしていませんが、「Pentaconn Ear」コネクタとコンパクトなイヤホン本体によりしっかり耳にホールドし装着性は良好です。


■ サウンドインプレッション

Pentaconn Scyne α01Pentaconn Scyne α01」の音質傾向は明瞭で伸びの良いスッキリした高域と適度に主張を持ちつつニュートラルな中音域、自然な弾力をもちつつエネルギッシュな存在感のある低域と各音域が非常にバランス良く再生され、どのようなジャンルの曲もそつなくこなせる印象。
バランスとしてはU字方向に近い弱ドンシャリという印象で、標準イヤーピースのほうが多少柔らかく、「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」を使用することでキレが増しメリハリの良さが向上します。
インピーダンス16Ω、感度110B/mWと結構鳴らしやすく敏感なチューニングのため、小型のオーディオアダプターなどでも十分に再生できますが、本来の優れた透明性を実感するためには十分に高いノイズ特性を持ち安定した駆動を提供できる再生環境を利用することが望ましいでしょう。またある程度出力の大きいアンプなどでも破綻すること無く再生できるポテンシャルの高さもあります。

Pentaconn Scyne α01Pentaconn Scyne α01」の高域は非常にスッキリした伸びのある音を鳴らします。ドーム部に採用されているLCP(液晶ポリマー)らしい硬質感のある明瞭な音ですが、ハウジングによる調整が素晴らしく、どのような音源でも雑味を排した透明感のある音を綺麗に鳴らしてくれる印象。あくまで派手すぎず自然な音色ながら鮮やかさを感じる表現力の高さにハイエンド的な非凡さを実感します。
標準のイヤーピースでも見通しは良くとても伸びやかですが、「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」を組み合わせることで突き抜けるような明瞭感を味わうことができます。刺激などが苦手な方には多少鋭すぎると感じる可能性もありますが、高域の質の高さにこだわりたい方にはこの組み合わせはかなり好感できるのではと思います。

中音域は癖の無いニュートラルな音で再生しつつ適度な主張があり凹むことなく鳴ります。高域同様に雑味の無い非常に透明度の高いサウンドのため、輪郭なども硬質すぎない自然な描写ながらフォーカスは極めて鮮明で、1音1音を非常に高い解像感で描写してくれます。
Pentaconn Scyne α01中高域付近にアクセントがあり、女性ボーカルやピアノの高音なども美しく伸びやかで、音抜けも良好な印象。男性ボーカルもキレのある明瞭な印象ながら中低域には適度な密度感があるため、深い厚みのある質感も自然に描写しており、息づかいや余韻も実感出来ます。音場は自然な広さがあり、演奏との分離もよく定位も正確です。広いホールでのオーケストラ演奏などもそれぞれの楽器の音をしっかり捉えることができ、リスニング的な楽しさを感じつつも分析的なリスニングにも耐えうる実力を発揮します。
イヤーピースで「Pentaconn COREIR - AL ALLOY」を使用すると多少キレ重視の印象になるもののメリハリが向上することで奥行き感が増し、よりリスニング的な楽しさも向上すると思います。

低域はミッドベースを中心に若干ブーストされいる印象もありますが、全体としてはニュートラルな範疇で調整されており、十分な量感とスピード感があり心地よく鳴ってくれます。
Pentaconn Scyne α01高域および中高域と比べると、低域は多少弾力があり、印象としては柔らかさを感じるためキレの良さを強調する音でありませんが、分離は良くベースラインは明瞭で直線的です。また重低音もしっかりとした深さと強さがあり解像感も高い印象です。
中低域からの密度感と自然な印象で厚みを感じる低域のおかげで、突き抜けるように明瞭な高域や中高域をもちつつも全体としては自然で聴きやすいサウンドにまとまっているようで、シングルドライバーのハイエンドイヤホンとしては結構興味深いチューニングだと感じます。


■ まとめ

というわけで、「Pentaconn Scyne α01」は製品説明にも記載されていたとおり、個々の部材、さまざまな要素にひとつひとつしっかりこだわって品質を向上させ丁寧に仕上げているイヤホンだと実感させる事が非常に多い「日本製らしい」イヤホンでした。複合振動板における材質ごとの特性を活かしつつ、さらにハウジング構造などで徹底的にこだわることで歪みの無い圧倒的な透明感を実現しており、1音1音の質感はハイエンドに相応しいものだと感じました。
Pentaconn Scyne α01いっぽうで、サウンドチューニングは10万円超えのイヤホンとしては非常にアグレッシブで、ニュートラルバランスで広い音場感と正確な定位と実現しつつも、非常に明瞭で楽しいサウンドで仕上げられています。このクラスのイヤホンは「原音忠実性」を高めるためより無味無臭に近い製品や、逆に好き嫌いがハッキリ分かれそうな濃い音が特徴的だったりする場合もあります。そのなかで、「Pentaconn Scyne α01」のアプローチは同価格帯で比較すると結構個性的なのかもしれませんね。またイヤーピースや再生環境での変化も大きいため「遊べる」要素を意図的に用意していると感じさせる部分もこのクラスでは興味深い部分でしょう。
とはいえこれらの要素は特にミドルグレード製品からのステップアップとしては非常に分かりやすくて良さそうです。店頭で試聴される際は思ったより「鳴りやすい」点と結構「楽しい」点をあらかじめ考慮しておくと魅力をより実感出来るのではと思いますよ。