
こんにちは。今回は 「ROSESELSA RS9039」です。最近また新製品のリリースが活発化してきた老舗のイヤホンブランド「Rose Technics」(または「ROSE」)からもオーディオアダプター製品がリリースされました。ただ他社とはちょっと毛色が違っていて、DACチップには据置きでの採用が多い「ES9039Q2M」を搭載し、高いノイズ性能とともに最大300mWのハイパワー出力に対応するなど、低価格だけどなかなかの高音質、だけど結構なマニア仕様、というちょっと興味深いアイテムに仕上がっています。
■ 製品概要と購入方法について
「Rose Technics」(または「ROSE」)は10年以上の歴史のある老舗の中華イヤホンブランドのひとつで、私のブログでもいくつかの製品をレビューしています。今回の「ROSESELSA RS9039」は同ブランドによるオーディオアダプター製品ですね。最近はスマートフォンによるストリーミングでのリスニングが一般的となったこともあり、高音質な有線イヤホンをリリースしているオーディオブランドの場合、自ら自社イヤホンをスマートフォンで楽しむために最適化されたアダプター製品をリリースするのがちょっとしたトレンドになっているようです。


「ROSESELSA RS9039」はDACチップにESS製の「ES9039Q2M」を搭載。定評ある「ES9038Q2M」の後継としてリリースされた高性能DACチップで、現時点では据置きのUSB-DAC製品での採用がメインですが、「ROSESELSA RS9039」ではポータブル製品として初めて採用しました。超低歪みと高 SNR パフォーマンスでクラス最高のパフォーマンスを実現しています。インターフェースには3.5mmシングルエンドと4.4mmバランス出力に対応し、最大出力はバランス接続で300mW、シングルエンド240mWの高出力を実現しています。


また、低ノイズ LDOパワー チップを搭載し、最大 126dB の超高 SNRを実現し、バックグラウンドノイズがほぼ「0」のクリーンな出力を実現します。
「ROSESELSA RS9039」の本体は高品質のアルミニウム合金を使用し、CNC 加工プロセスを使用して製造されています。高級感のあるマット仕上げの落ち着いた外観で耐久性にも優れています。


「ROSESELSA RS9039」の購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンのストアページにて。購入時に通常の「Type-Cケーブル」セットと、「Type-Cケーブル+Lightningケーブル」セットが選択可能です。
HiFiGoでの価格は通常セットが67.63ドル、Lightningケーブルセットが80.09ドルです。
HiFiGo(hifigo.com): ROSESELSA RS9039
HiFiGoでの価格は通常セットが67.63ドル、Lightningケーブルセットが80.09ドルです。
HiFiGo(hifigo.com): ROSESELSA RS9039
アマゾンでは通常セットが12,475円、Lightningケーブルセットが14,715円で購入できます。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「ROSESELSA RS9039」のパッケージはシンプルなデザインで光沢のある化粧カバーで覆われたコンパクトなボックス。ROSE製品はボックスの中にハードケースが入っていて製品を保護しているパッケージングが特徴的で、これまでもTWS製品や一部のイヤホン製品などで採用されていますね。


パッケージ内容は、製品が入っているハードケースのほか、オーディオアダプター本体、OTG Tpe-Cケーブル、説明書。Lightningケーブルセットの場合はさらにLightningケーブルが追加で付属します。


「ROSESELSA RS9039」の本体はアルミ合金製で、サイズは48mm×22mm×12mm、14.5g。4.4mmバランス出力に対応しているオーディオアダプター製品の中では若干コンパクトな部類ですね。ただ本体にボリュームスイッチなどは無く、非常にシンプルなデザインです。また側面には小さいLEDがあり、再生するサンプリングレートに合わせてカラーが変更するようです。


背面には回路図がラインアートで描かれており、記載内容からDACの「ES9039Q2M」のほか、USBインターフェースチップには「SA9137L」が採用されていることが伺えます。そして付属するUSB Type-C OTGケーブルはケーブル部分が布張り仕様で耐久性のあるデザインとなっています。


ちなみに「ROSESELSA RS9039」の形状は「ROSE RZ-500」という製品と同じ形状です。「ROSE RZ-500」は同社の「ROSE QT-X」(後期仕様)に同梱しています。こちらはDACチップに「ES9038Q2M」を採用しており、SNR120dB、出力125mWという仕様となっています。比較すると「ROSESELSA RS9039」はDACチップ以外にも大幅に性能をアップグレードしているのがわかりますね。
■ サウンドインプレッション

本体に音量ボタンなどがないため、ボリュームは接続した端末側での操作となるため、敏感なイヤホンでは最適音量に調整するのが微妙な場合がありますが、ホワイトノイズ等は皆無で、非常にクリアなサウンドが楽しめます。また高出力によりヘッドホンなどでも歪むこと無く十分なゲインを確保できます。「ROSESELSA RS9039」はこの高出力により音場感にも窮屈さが無く、滑らかさと優れた解像感と同時に、臨場感のあるサウンドを楽しむことができます。


また、「ROSESELSA RS9039」のバランス接続での最大出力300mWという仕様も小型オーディオアダプターとしては十分に高出力ですが、さらにシングルエンドで最大240mWというのは同等以上の製品と比較してもトップクラスに強力です。シングルエンドでインピーダンス250Ωといったかなり鳴らしにくいヘッドホンでも最大音量まであげなくても十分に再生できました。このようなモニターヘッドホンや(音量調整が合えば)CIEMなどのニュートラルなイヤホン、ヘッドホンと相性の良さを感じますね。
なお、「ROSESELSA RS9039」はAndroidおよびiPhone/iPadなどのほか、MacやWindowsなどでもUSB Audio Class 2.0仕様により利用ができます。実際にMacに接続し、Audirvanaで仕様を確認すると、ステータスの製品名称は「ROSE RZ-500S」と表示されます。前述の「RZ-500」ではモデル名称のまま表示されますのでこのRZ-500Sというのが当初設定していたモデル名称なのでしょうね。


現時点で「ROSESELSA RS9039」のWindows用ASIOドライバーは公開しておらず、Windows10/11の標準ドライバーでの接続となります。「Amazon Music」や「Apple Music」などでは特に問題はありませんが「foobar2000」などのASIO対応のソフトウエアを使用したい場合は注意が必要です。ちなみに「Rose Technics」のサイトには「RT-5000/RZ-500」用のドライバーをダウンロードできるQRコードが記載されています。「ROSESELSA RS9039」も実は「RZ-500S」というモデルらしいですし、USBインターフェースチップは「RZ-500」と同じ「SA9137L」が採用されていますのでこのASIOドライバーが利用できる可能性もありますね(特にサイト明記はありませんので試される方は自己責任でお願いします)。

そこで実際にさまざまなレートの音源でさらにアップサンプリングなどを調整し再生することでカラーを確認してみました。確認した範囲ですが、44.1/48kHzが「ブルー」、88.2/96kHzが「グリーン」、176.4/192kHzが「ライトグリーン」、352.8/384kHzが「ライトブルー」、DSDが「レッド」でした。
■ まとめ
というわけで、「ROSESELSA RS9039」は音量ボタンが無い、Windows用ASIOドライバーが(もしかしたら使えそうなのは見つけましたが)今のところ正式にはリリースしていない、側面のインジケーターのカラーがマニュアルにも記載されていない、など、この価格帯のオーディオアダプター製品を利用する多くのライトユーザー層にとっては「かなり不親切」な製品といえるでしょう。また音質傾向的にもキレやメリハリ重視のチューニングではないため、やはりドンシャリ傾向の明瞭なサウンドをイヤホンを中心に利用しているユーザーにはちょっとウォームさを感じるかもしれません。
