SUPERTFZ DECO.5

こんにちは。今回は 「SUPERTFZ DECO.5」です。前回に引き続き、6月21日に国内販売を開始した「SUPERTFZ」(旧 TFZ)の新しいオーディオアダプター製品です。1万円台の小型アダプターながら、4.4mmのバランス接続似対応し、DACにはデュアル構成の「CS43198」を採用。高出力と低ノイズを実現し独立ボリューム、ゲイン調整など機能面でも手堅くまとまっています。

■ 製品概要と購入方法について

「SUPERTFZ」は「TFZ」の最近のブランド名で日本でも多くのファンを持つ老舗の中華イヤホンブランドのひとつとして知られています。2016年のブランド誕生以降様々な進化を続け多くのファンを獲得し有名メーカーとなりました。製品自体は結構安定して手堅いイメージがあります。またワイヤレス製品やオーディオアクセサリーなどの周辺製品も多くはありませんがリリースしています。

今回の「SUPERTFZ DECO.5」はSUPERTFZブランドのオーディオアダプター製品。。最近はスマートフォンによるストリーミングでのリスニングが一般的となったこともあり、高音質な有線イヤホンをリリースしているオーディオブランドの場合、自ら自社イヤホンをスマートフォンで楽しむために最適化されたアダプター製品をリリースするのがちょっとしたトレンドになっているようです。

SUPERTFZ DECO.5」は航空グレードのアルミニウム合金をCNC切削加工により成形され、表面はアルマイト加工により耐酸化性、耐摩耗性を高めており、シンプルかつ美しい外観をもっています。また優れた放熱効率を実現しています。
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SUPERTFZ DECO.5」は1万円台のエントリークラスの超小型アダプターながら、4.4mmのバランス接続端子を備え、DACチップには多くの最新DAP(デジタルオーディオプレーヤー)や2万円~3万円超のオーディオアダプター製品での搭載も増えている高性能チップCirrus Logics製「CS43198」をデュアルで搭載。32bit/768kHz PCM、ネイティブDSD256オーディオ信号をサポートします。またバランス接続時でS/N比≥130dB、ノイズフロア<1.5uVという極めて高いノイズ制御性能を実現。

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側面にはボリューム調整、ゲイン切り替え、デジタルフィルターの切り替えなどに使用する物理ボタンを搭載。音量調整は独立した調整が可能です。Android、iPhone/iPadのほか、Mac/Windowsなどさまざまなデバイスへの接続に対応。また「+」ボタンを押しながら接続することでUAC1.0モードに変更することが可能でゲーム機などへの接続も可能になります。
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SUPERTFZ DECO.5」の国内販売価格は14,800円です。
購入は国内代理店の伊藤屋国際の各公式ショップまたは主要専門店等にて。
Amazon.co.jp(伊藤屋国際): SUPERTFZ DECO.5


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして 伊藤屋国際 様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SUPERTFZ DECO.5」のパッケージは、同時発売の「AQUARIUS」と同じライトブルーのシンプルなデザインのボックスになりました。前回記載の通り「テ○フ○ニーブルー」なハコで、同じカラーの布製ポーチのなかに製品が入っています。まさにシルバーアクセ風ですね(^^;)。
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パッケージ内容は、本体、USB Type-C OTGケーブル、クリーニングクロス、布製ポーチ、説明書。

本体は4.4mmに対応した小型オーディオアダプターとしてはコンパクトで使いやすいサイズ感および重量です。メッシュ部分から放熱および内部基板のLEDの店頭を確認できる合理的な設計ですね。側面には「+」「-」ボタンがあり、音量および各モードの変更ができます。専用アプリなどは用意されていませんが、シンプルな操作性で利用に迷うことは少ないでしょう。
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具体的な操作としては「+」「-」による音量調節のほか、「HIGH」「LOW」の出力レベルを変更できます。またゲーム機などと互換性のある「UAC1.0モード」(「+」を押しながら対応デバイスに接続)、4種類のフィルターモードは「+」「-」の長押しで切替ができます。
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本体側面「+」「-」ボタンの音量操作以外の操作は次の通り。
「UAC1.0」モード 「+」ボタンを押しながら端末へ接続 

出力ゲイン変更 「+」「-」両ボタンを同時に押してどちらか片方を離す
 ・ LOW : 1回点滅、1Vrms(SE)、2Vrms(BAL)
 ・ HIGH: 2回点滅、2Vrms(SE)、4Vrms(BAL)

PCMフィルターモード 「+」「-」両ボタンを1秒以上長押し
 ・Mode1: Fast roll off, Low latency filter
 ・Mode2: Fast roll off, Phase compensated filter
 ・Mode3: Slow roll off, Low latency filter
 ・Mode4: Slow roll off, Phase compensated filter
 ・Mode5: Non over sampling filter
フィルターは「Mode1」から「Mode5」までの5種類。フィルター変更ごとに点滅し、Mode5のみ2回点滅しますので、「Mode5」を基準に各モードの違いを確認してみるのが良いでしょう。


■ サウンドインプレッション

SUPERTFZ DECO.5SUPERTFZ DECO.5」の音質傾向はニュートラルで、また1万円台のオーディオアダプター製品としては特にバランス接続で十分な高出力と同時に非常に優れたノイズ特性によるクリアなサウンドを実感出来ます。この価格帯で多いESS系の複合チップセットを使用した製品でみられるエッジを効かせたメリハリのあるサウンドとは一線を画した印象で、透明感のある見通しの良いサウンドを実現しつつ、自然な輪郭による滑らかさと豊かさを実感出来ます。また僅かな温かみを持つ色彩表現があり、ニュートラル系にありがちな淡泊さもほぼ感じず、自然な広がりと厚みを感じさせます。

標準ではUAC2.0(USB Audio Class 2.0)モードで接続され、AndroidやiOS/iPad OS、Macなどのデバイスでドライバー無しで接続可能です。Windowsの場合は現時点ではASIOドライバーは用意されていないようですので標準ドライバーでの接続(Windows11など)となります。また前述の通りスイッチ切替で「UAC1.0」モードに変更することも可能で、このモードでは再生可能な周波数は規格内に制限されますがSwitchなどのゲーム機に接続することも可能になります。
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2種類のゲイン調整により、SUPERTFZのイヤホン製品に限らず、多くのイヤホンや一般的なヘッドホンとの組み合わせでも十分に実用的な印象。音量ボタンが端末側のボリュームと独立しているため、端末側の音量を上げたうえで、「SUPERTFZ DECO.5」の音量ボタンで微調整したり、より高いゲインに設定したりすることができるのは色々便利でしょう。

SUPERTFZ DECO.5また、音量をアップしても一次曲線的なゲインコントロールを実現しており、多少駆動力を必要とするヘッドホンでも実用的な出力を確保出来ます。一般的に低電力大出力のアンプチップというとスマートフォンや小型DAPなどに搭載されるデジタルアンプのような二次曲線的で音量を上げるほど大きい歪みを発生させるパターンが多いのですが、複合モジュールのようなアンプ部を持たないDACである「CS43198」による、より高性能のアンプを組み合わせるができるメリットを発揮していると思われます。
さらに同様の「CS43198」チップを搭載している既存の他社製品と比べ、透明感が非常に高く、また高い駆動力を併せ持つことでニュートラルで滑らかだが非常にハッキリしていて鮮やかなサウンドを実現している点はSUPERTFZ製のイヤホンとの相性も良く、一般的にも使いやすいサウンドといえるでしょう。


■ まとめ

というわけで、「SUPERTFZ DECO.5」は1万円台の小型オーディオアダプターとしてはかなり実用性の高いアイテムという印象でした。シンプルで落ち着いたデザインの金属製のボディは耐久性にも優れ、どのような場面でも違和かなく使えるため、普段使いアイテムとしてガンガン利用する用途にも最適でしょう。お手頃価格で音の良いオーディオアダプターを検討している方には良い選択肢のひとつになると思います。
SUPERTFZ DECO.5ウィークポイントをあえて挙げるとすると、「AQUARIUS」のレビューでも記載した通り、やっぱりもろテ○ファ○ーなパッケージは、元ネタをよく知っている方の場合のリアクションは両極端の可能性があります。好意的というか寛容に捉える方もいるいっぽうで、ウチの奥さんとかは普通に引いてました(汗)。「AQUARIUS」もそうでしたが製品以外のところでの「やらかし」はTFZのお家芸とはいえやっぱり気になりますね。
とはいえどちらの製品も完成度は高く価格的にも手頃ですので、十分にお勧めできると思いますよ(^^)。