
こんにちは。今回は 「TWISTURA D-Major」です。結構個性的なデザインの金属シェルにフィルター交換ギミックやUSB Type-Cケーブル等の充実した付属品、そしてベリリウムコート複合振動板による結構「攻めてる」サウンドなど、マニア向けではあるものの結構楽しいイヤホンだと思います。
■ 製品概要と購入方法について
「TWISTURA D-Major」は低価格ながら精巧な職人技と最先端の技術を融合しています。ベリリウムメッキ複合振動板を採用した10mm 二重磁気回路デュアルチャンバーダイナミックドライバーを搭載。交換式のフィルターノズルや強化された音響エアフロー設計、柔らかく快適なシリコン製イヤーチップなどさまざまな特徴を備えています。
「TWISTURA D-Major」のシェルは亜鉛合金製でメッキ加工により鏡面処理されたリアチャンバー部とつや消しの酸化処理を施したフロントチャンバー部は耐久性および耐食性に優れ、フェイス部分は透過性のある樹脂素材を採用し優美なデザインと高い品質の両立を実現しています。


ドライバーには10mm ベリリウムメッキ複合振動板と二重磁気回路デュアルチャンバーダイナミックドライバーを搭載。振動板には軽量かつ高い剛性を持ち歪みを軽減するベリリウムメッキドームと、各音域の音質向上とより広い音場とクリアなサウンドを実現するPU サスペンションによる複合振動板を採用。さらにテスラレベルの磁石による二重磁気回路により優れた音響制御を実現します。


またステムノズルは交換式のフィルターノズル仕様となっており、デフォルト(ブラックリング)に加え、2種類のフィルターを付属。クラシカル(レッドリング) とポップ(ブルーリング)を加えた、3種類のサウンドを楽しむことができます。またシェル側面には内部の空気圧を制御する音響エアフロー設計を採用。最適なエアフローを可能する指向性エアベントが採用されておりダイナミック レンジが拡大やオーディオ パフォーマンスの向上を実現しています。


「TWISTURA D-Major」の価格は49ドル。アマゾンでは国内正規品が8,800円で販売されています。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TWISTURA D-Major」は新しいブランドの製品ですが低価格ながらパッケージや付属品も充実しており、有名な製造メーカーやブランドと関係があるかもしれませんね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用ノズルフィルター(2種類)および金属製の台座、イヤーピース(2種類S/M/Lサイズ)、USB Type-C変換ケーブル、レザーポーチ、説明書。50ドル級のイヤホンとしてはかなり充実した内容ですね。


「TWISTURA D-Major」の本体は亜鉛合金製でアルファベットの「D」をイメージしたような結構個性的なデザインです。側面は0.78mm 2pinコネクタと音響エアブロー構造のためのベント(空気孔)があります。


サイズ的には耳に収まりやすいサイズ感ですが、耳にフィットするというよりはイヤーピースで固定するタイプのイヤホンですね。亜鉛合金製でアルミ製のイヤホンよりは重量があるため、耳から落ちないようにしっかり固定する必要があります。「TRN T-Eartips」とほぼ同じサイズの柔らかいタイプのイヤーピースが付属しますが、装着角度などのあって耳に合わない場合は他のイヤーピースを組み合わせて最適なもの選択することをお勧めします。


そして、交換用フィルターを採用しており、装着済みの標準(ブラックリング)タイプ以外に金属製の台座にクラシカル(レッドリング) とポップ(ブルーリング)の2種類のフィルターが付属します。どちらも標準タイプより長さがあり最も長いクラシカル(レッドリング)はネジ側もメッシュ加工されています。


ケーブルはOFC銀メッキ線タイプでコネクタはCIEM 2pin仕様。コネクタ部の窪みは深くありませんが、本体カバー部分も含めると中華2pin仕様のケーブルではピンを奥まで挿入できないようです。そのためリケーブルでは埋め込みタイプも可能なCIEM 2pinタイプのケーブルを利用ください。
■ サウンドインプレッション
「TWISTURA D-Major」の音質傾向はベリリウムコートらしいキレの良さと樹脂振動板の弾力のある反応の良さを感じさせ、多くの再生環境では結構派手めに鳴る印象のサウンド。各音域の主張が強めのため全体的なメリハリは強いもののバランスとしては中高域寄りの弱ドンシャリ。ただリケーブルや再生環境での印象の変化はかなり大きく、駆動力のあるDAPやアンプでもメーカーによっては明るい印象の音ではあるものの派手さは多少抑えてニュートラルな印象に感じる場合もあります。試した限りでは、Shanling やiBassoなどの多くのDAPやアンプではメリハリ強めの印象、FiiOではニュートラルな印象でした。またリケーブルでも銀メッキ線では派手さが多少強調されるケースも多いですが、情報量の多い同軸やリッツ線構造のスッキリした印象の高純度銅線タイプではニュートラル寄りの印象になります。
またノズルフィルターですが、この手の交換式のフィルターノズルが付属するタイプでは標準のノズルが最もニュートラルでそれを基準に高域強化と低域強化、というパターンを想像すると思います。しかし、「TWISTURA D-Major」では標準もかなり明るめのサウンドで、高域の刺激も強めに出ます。ここで青ノズルを使用するとさらに中高域寄りとなり、再生環境によってはかなりキツめの印象となります。前述のようにケーブルや再生環境の組み合わせによっては標準でも適度にニュートラルに鳴る場合もありますが、通常は赤ノズルがもっともニュートラルな方向でバランスの良い印象で好感されそうな気がします。
正直なところ、これはどの再生環境が正解?とも思ったのですが、製品に付属するUSB Type-Cの変換ケーブルでスマートフォンに接続して聴いてみた際も、標準フィルターはかなり派手でシャリ付きのある音で再生されたため、やはり「標準」は「派手なサウンド」という解釈で合っているみたいですね。
「TWISTURA D-Major」の高域は、明るく煌びやかな印象の音を鳴らします。やや硬質さがあり、一般的な再生環境では「標準(黒)」または「ポップ(青)」フィルターでは多少歯擦音が気になる場合があります。「クラシカル(赤)」フィルターではニュートラル方向に高域が抑制され聴きやすく鳴りますが、バランス的にはこのフィルターが最も自然で適切な伸びでスッキリした印象を楽しめます。リケーブルや再生環境により高域の印象はかなり異なるため、最適な組み合わせを模索する必要があるかもしれませんが、解像感は高く、ベリリウムコートらしい硬質ながらギラつきを抑えた直線的なディテールの表現があるため、しっかり追い込めば高域好きの方にも好感される印象となるかもしれませんね。中音域も適切な主張があり、中高域を中心に明瞭でキレのある音を鳴らします。やはり多くの再生環境では「標準(黒)」フィルターでも多少腰高な印象となるため、女性ボーカルの伸び感や高音の主張の強さに比べて、男性ボーカルなどはやや淡泊に感じる場合もあります。
ここで「クラシカル(赤)」フィルターでは中音域全体が適度な主張となり、全体としてはキレの良い印象ながらより豊かさを感じられる印象となります。どのフィルターでもボーカル域は多少前傾しますが、「クラシカル(赤)」が最も自然な定位で音場も広く、「ポップ(青)」は最も前面に出て音場も狭くなります。付属のUSB Type-CのアダプタではDAPなどを使用する場合と比べて解像感が多少さがりますが、小音量でのポップやロックと相性が良い印象。ただ中高域付近の音数の多いJ-POPやアニソンなどは音が混雑し多少騒々しい感じになるかもしれませんね。個人的には「クラシカル(赤)」が最も好印象でした。低音は各フィルターによって量感が変化し、「ポップ(青)」が最も控えめで、「クラシカル(赤)」が最も厚みを持ちます。ただどのフィルターでもニュートラル方向で弱ドンシャリ程度のバランスの範囲内で調整されており過度に強調されることはありません。ミッドベースはタイトでスピード感があり、中高域との分離も良く多少あっさりした印象。重低音にはアクセントがあり、インパクトを感じさせるチューニングとなっています。
ただ全体的に腰高な印象になりがちなサウンドと言うこともあり、もっとも低域を強調した「クラシカル(赤)」でも重低音の深さは一般的で、より深く重い低域を好まれる方には多少物足りないかもしれません。全体的に中高域に力点を置いたイヤホンのため、「クラシカル(赤)」フィルターでニュートラルなバランスにすると低域の(質的な)物足りなさが際立つ、という側面もありそうです。この辺が黒フィルターのチューニングが「標準」である理由というか、このイヤホンの音作りなのだろうと感じさせます。■ まとめ
というわけで、「TWISTURA D-Major」はアンダー50ドル級と「低価格イヤホン」の範疇ながら、個性的なデザインと高いスペック、そして充実した付属品を備え、音質面も結構「攻めた」印象で非常に興味深いイヤホンだと感じました。最近は低価格帯でもハーマンターゲット寄りのバランス重視の製品が多い中で、かなり中高域寄りでエネルギッシュなサウンドに調整されており、さらに再生環境なケーブル等でユーザーに最適なチューニングを委ねるようなポテンシャルの高さも面白さがあります。万人受けという感じの製品ではありませんが、多少キワモノ寄りのだけどちゃんとしたベースもあり実用的にも楽しめる、という点と、日本でも1万円以下で購入できる価格設定も含め気になる方は購入してみるのも良いと思います。








