JUZEAR Butterfly 61T

こんにちは。今回は 「JUZEAR Butterfly 61T」です。アワビの貝殻を使用した美しいフェイスデザインに6BA+1DDのハイブリッド構成で仕上げられた200ドル級の製品です。自然なU字方向のサウンドバランスに仕上げつつ個々のドライバーの特徴を活かし、滑らかさと明瞭な楽しさを両立したとても心地よいリスニングイヤホンだと思います。

■ 製品概要と購入方法について

「JUZEAR」は独立した中華イヤホンブランドのひとつで、これまでにハイブリッド仕様の「41T」や「51T」、平面駆動型の「TBS-01」、そしてコラボモデルの「FLAME」など、100~200ドル程度のモデルを中心にリリースしている印象のメーカーです。最近では以前レビューした低価格モデル「Clear」がシェルデザインの美しさと低域メインの個性的なサウンドで話題になりましたね。同社が新たにリリースしたミドルグレードの6BA+1DD構成のモデルが今回の「JUZEAR Butterfly 61T」です。
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JUZEAR Butterfly 61T」のドライバーには10mmサイズのCCP(複合カーボンコートPU)振動板ダイナミックドライバーとKnowles製BA(EDシリーズ)を2基(2BA)、「31736」カスタマイズ2BAユニットを2基(4BA)により6BA+1DDのハイブリッドを構成。DLP 3Dプリントの音響キャビティ構造と慎重に設計されたダクトチューブにより適切に制御され、最適なサウンドを実現しています。
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本体は高精度DLP 3Dプリントによる樹脂シェルにCNC加工された美しいフェイスプレートをデザイン。フェイスカバーにはバタフライデザインの装飾も施されています。ケーブルは18AWG 6N OFC銀メッキ線を使用した4芯ケーブルを付属します。
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JUZEAR Butterfly 61T」の購入はの購入はHiFiGoの直営店、AliExpressまたはアマゾンの店舗にて。
3.5mmまたは4.4mmタイプが選択可能で、価格は219.99ドル、アマゾンでは36,316円です。
HiFiGo(hifigo.com): JUZEAR Butterfly 61T




免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、今回は「JUZEAR Butterfly 61T」の3.5mmモデルが届きました。パッケージは製品写真を掲載したタイプです。
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パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ、Mサイズ装着済み)、ウレタンイヤーピース1ペア、クリーニングクロス、ケース、説明書など。
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シェルは3Dプリントされた樹脂製で、貝殻を利用したフェイスパネルが非常に美しいですね。シェルサイズはやや大きめで、金属製のステムノズルも太さがあります。
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シェルが大きめのためある程度イヤーピースをしっかり併せて装着する感じになります。付属のイヤーピースはシリコン部分が柔らかく円錐状に長さのあるタイプ。付属品以外のイヤーピースを使用する場合は軸部分がある程度太さのあるタイプを使用する必要がありますね。
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ケーブルは銀メッキOFC線の4芯撚り線タイプ。結構太さのある線材をしようしており大きめのシェルとの組み合わせでもしっかりホールドしてくれる印象です。


■ サウンドインプレッション

JUZEAR Butterfly 61TJUZEAR Butterfly 61T」の音質傾向は自然なU字を描くニュートラルなバランスの弱ドンシャリ。いわゆる○○ターゲット的なバランスでまとめられていますが、3種類のドライバーによるハイブリッド的な個性も感じられ、滑らかさとともに楽しさも感じられるサウンドです。特にCCP(複合カーボンコートPU)振動板による低域は重すぎず軽すぎず、適度な存在感と豊かさを提供しており、広く深さのある音場感を構築しています。またおそらく定番の「ED-29689」を2基搭載していると思われるKnowles製2BAによる中音域はニュートラルに鳴らしつつ高い質感を担保しており、優れた解像感と明瞭さがあり、ボーカル域はエネルギッシュな印象があります。そしてSWFKと同じ型番の高域用のカスタム2BAユニットも2基(4BA)が並列動作することでBAらしいスッキリした硬質感を持ちつつ歪みを抑え中音域を鮮やかに補完します。
サウンドバランスとしては「AFUL Performer5」などの製品とも近い印象ですが、徹底的にクロスオーバーを調整し自然な滑らかさを追求している「Performer5」に対し、「JUZEAR Butterfly 61T」は自然なチューニングにまとめつつ個々のドライバーの特徴を活かしたハイブリッドらしい音作りで、生き生きとした印象と豊かな音場感を持っています。この辺は良し悪しというより、好みの世界になってきますね。

JUZEAR Butterfly 61Tちなみに、「JUZEAR Butterfly 61T」の仕様はインピーダンス46Ω、感度115dB/mWで、小型のアダプターなどではちょっと鳴らしにくいかもしれません。またレビュー機は今回3.5mmタイプで届きましたが、同様の仕様の4.4mmケーブルで試したところ、バランス接続のほうが見通しが良くよりスッキリしてニュートラルな印象に感じました。3.5mmも中低域を中心に音場感を楽しむうえでは雰囲気が楽しめますが、個人的にはより明瞭感のあるバランス接続での利用が好印象でした。

JUZEAR Butterfly 61T」の音域は明瞭で見通しの良い音を鳴らします。BAらしい金属質な煌めきのある音ですが、全体的にニュートラルなバランスに調整され聴きやすく感じさせます。なお3.5mmのシングルエンドの場合はゲインを上げることで多少高域の主張が強くなりよりハイブリッド的な印象が強くなるかもしれません。これに対しバランス接続では音量を上げても過度に主張が強まることは無く自然な印象を維持します。4基のツイーターによって高高域を補完することでスッキリした伸びの良い明瞭感を与えており、分離も良い印象です。

JUZEAR Butterfly 61T中音域は多くの場合凹むことなく鳴り、全体としてはニュートラルな印象ながら、ボーカル域は若干前傾するU字傾向らしいバランスに調整されています。自然なバランスの中でエネルギッシュさを感じさせる中音域ですが、全体とのバランスや分離感は調整されており、ある意味ハイブリッドらしい、メリハリ感もあるサウンドに仕上がっています。この派手というほどでは無いものの、完全なニュートラルに適度に鮮やかさが乗ったくらいの塩梅がけっこう絶妙で、聴いていて非常に楽しく、心地よく感じさせます。女性ボーカルやピアノの高音などの中高域には適度なアクセントがあり伸びやかさのある印象で、男性ボーカルは中低域付近に厚みがありエネルギーが加わることで心地よい豊かさを感じさせます。また音場は広く空間表現も適切です。ただバランス接続と比較してシングルエンドの場合は音数の多い曲で若干の滲みを感じました。この辺が気になる場合は、情報量が多く明瞭感のある銀メッキ線ケーブルでバランス接続することをお勧めします。

低域は自然な量感を持ちつつ豊かさのある音を鳴らします。印象としては重すぎず軽すぎず、かつ十分な存在感で鳴り、また自然な響きを持ちつつ解像感やスピード感も良好で、中高域を心地よく下支えする印象です。ミッドベースは少し控えめな印象もありますが、それ故に自然な輪郭ながら中高域との分離も良く、適度な温かみとスピード感のあるアタックを両立しています。重低音は厚みとともに深い響きがあります。解像感を感じさせつつも自然な温かみがあり、低域に濃密な印象を与えます。また低域も中音域同様にバランス接続ではよりスッキリした印象で見通しの良さや締まりも向上しますが、より柔らかく響きのある低域を好まれる場合はシングルエンドも良いかもしれませんね。


■ まとめ

JUZEAR Butterfly 61Tというわけで、「JUZEAR Butterfly 61T」は200ドルを少し超える程度の価格設定のなかで、質の良いマルチドライバー仕様のハイブリッドとして「絶妙にちょうど良い」感じのサウンドバランスに仕上げられたイヤホンという印象でした。サウンドバランス的には各社ほぼ似たようなターゲットで調整しているため突出した個性を出すのはなかなか難しい気もしますが、滑らかさ重視や低域など特定の音域の個性でキャラクターを感じるといったアプローチではなく、聴いてて楽しいと普通に感じるイヤホンに仕上げるのは案外難しいのかもしれません。
そういった意味では、「JUZEAR Butterfly 61T」は外観は非常に特徴的で個性を感じるデザインながら音作りは「ハイブリッドらしい」手堅い印象で個人的にはとても好感を持ちました。よろしければ検討いただくのも良いと思いますよ。