HIDIZS MP143 Salt

こんにちは。今回は 「HIDIZS MP143 Salt」です。14.3mmの平面駆動ドライバーを搭載したモデルで、先行する「MP145」の兄弟モデルになります。質の高いサウンドは踏襲しつつ、よりリスニング向けに調整され、100ドル級のお手頃価格を実現しています。2024年8月8日より Kickstarterにて独占先行販売を開始しており、アーリーバードでは99ドルで購入が可能です。

■ 製品概要と購入方法について

Hidizs」はコンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスマートデバイス用のオーディオアダプターの分野で人気の高いブランドですね。さらに最近ではイヤホンも高音質・高品質な新製品を精力的にラインナップしており、どのモデルもユーザーから高い評価を受けています。

今回の「HIDIZS MP143 Salt」はHidizsが開発した「FAST 2」14.3mm平面駆動ドライバーを搭載した搭載モデルで、HIDIZS の「Ocean Planar ファミリー」として、14.5mm平面ドライバーを搭載する「MP145」の兄弟モデルとしてリリースされました。「HIDIZS Acoustic Lab」の豊富な経験を反映しておりH-2019に準拠した豊かで自然なディテールを備えた正確で忠実度の高いサウンドを実現します。
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HIDIZS MP143 Salt」では「MP145」のドライバーよりわずかに小さい「FAST 2」14.3mm 平面駆動磁気ドライバーを搭載。独自の「FAST 2」は、片面7個×2のN52H マグネットを正確な配置し完全に対称的な磁気回路を構成。高調波歪みを抑制し、磁気回路効率を向上させ、1 テスラに近い磁気ギャップの最大磁束を得ることでクリアで透明な音質を提供します。「MP145」より振動板のサイズは若干小さくなるものの同様のオーディオパフォーマンスを実現します。
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また「HIDIZS MP143 Salt」のシェルは精密CNC加工されたアルミニウム合金によるハウジングで構成され、そのデザインは、クジラの海洋の波をイメージしたシェル形状と14本の繊細なラインが刻まれており、ユニークでな外観を生み出しています。
3種類の空気圧サウンドチューニングフィルターに対応。3種類のフィルターは「シルバー」(高域強調モード)、「ピンクゴールド」(バランス)、「レッド」(低域強調)に対応します。フィルターを交換することで様々な音楽ジャンルに合わせ、3種類の異なるオーディオ体験を楽しむことができます。
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HIDIZS MP143 Salt」のカラーバリエーションは「ブルー」「シルバー」「ブラック」の3色、接続プラグは3.5mmまたは4.4mmが選択できます。

HIDIZS MP143 Salt」の予定販売価格は159ドルですが、2024年8月8日より9月7日までKickstarter限定で先行販売(アーリーバード)を開催しています。初回300個(スーパーアーリーバード)は79ドル、以降のアーリーバードでは99ドルの特別価格で購入可能です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Hidizs Technology社 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回はブルーの4.4mm仕様で届きました。「HIDIZS MP143 Salt」のパッケージはブラックを基調としたパッケージデザインで、100ドル以下のモデルと言うこともあり「MP145」のようなプラケースでは無く通常のボックス仕様でした。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズ)、サウンドフィルター(透明ケース入り)、レザーポーチ、説明書、保証カード。
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HIDIZS MP143 Salt」のクジラをイメージした本体デザインは結構大きめで、個性的なシルエットをしています。かなり大きめで耳には全然収まりきらないサイズで、通常の耳掛け型のイヤホンと比べるとかなり特徴的なデザインのため装着位置は少し戸惑うかも知れません。耳穴からは当然はみ出すサイズですが、イヤーピースのサイズ合わせて装着角度をずらしながらしっくりする位置を探る感じですね。しっかり装着できれば実際の装着感は思ったよりしっかりした印象です。
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付属のイヤーピースは一般的な黒色のタイプと柔らかいシリコンの白色タイプの2種類ですが、個人的にはどちらのイヤーピースでも今ひとつだったため、よりフィット感の得られるものに交換しました。イヤーピースは交換を前提にしておいた方が良いかもしれません。私は例によって「TRN T-Eartips」を組み合わせました。また付属のレザーポーチも本体のサイズに比べると結構小さいため、より大きいサイズのイヤホンケースを別途用意しました。この辺はコストとの折り合いと割り切ったほうが良さそうですね。
HIDIZS MP143 SaltHIDIZS MP143 Salt

HIDIZS MP143 Salt」のシェル形状は結構大きめですが、「MP145」と比べると若干ですがコンパクトになっていることが分かります。また「MP145」のフェイス部分にあるスリット状の意匠は無く、多少フラットなデザインになっていますね。「HIDIZS MP143 Salt」のほうが小さくなっていますが、装着性としては「MP145」のほうがフロントキャビティの形状がフィットしやすいかもしれませんね。
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ケーブルは高純度OFCの撚り線タイプで銀色の線材を透明な被膜で覆っています。被膜は適度な弾力があり適度に柔らかく取り回しは良い印象。

ノズルフィルター「MP145」が被せるタイプの「フタ」状の形状だったのに対し、「HIDIZS MP143 Salt」ではネジ上に挿入する形状でステム口径は若干ですが小さくなっています。フィルターは「シルバー」「ローズゴールド」「レッド」の3種類が付属し、「ローズゴールド」タイプが最初から装着されていました。
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裏面のフィルター材の厚みによる調整で、「シルバー」が高域強調、「ローズゴールド」がバランス、「レッド」が低域強調となっています。実際には「シルバー」は裏面のフィルター材無し、「ローズゴールド」と「レッド」がそれぞれ薄いフィルター材と濃いフィルター材、といった違いですね。


■ サウンドインプレッション

HIDIZS MP143 SaltHIDIZS MP143 Salt」の音質傾向は、「H-2019」準拠によるバランスの良い弱ドンシャリ。ニュートラルでU字方向のバランスだった「MP145」と比較しても良く似た傾向ですが、「HIDIZS MP143 Salt」のほうが若干ですがより分かりやすいV字方向にチューニングされている印象。平面駆動ドライバーのためある程度は駆動力のある再生環境のほうが望ましいですが、「MP145」と比較すると多少鳴らしやすくなっている印象です。そのためHidizs製の小型DAPやオーディオアダプターとの相性は「HIDIZS MP143 Salt」のほうが良く感じます。

3種類のフィルターでは標準の「ローズゴールド」と高域強調の「シルバー」は比較的近いバランスで、「シルバー」のほうがより高域が明瞭な印象になります。
HIDIZS MP143 Salt個人的には「シルバー」のほうがスッキリとして見通しが向上しており好印象でしたが、再生環境や楽曲の好みに応じてこの辺は変化しそうです。また「シルバー」および「ローズゴールド」でも低域は十分にパワフルに鳴ってくれるため特に不足は感じない印象でした。
いっぽうで「低域強調」の「レッド」のフィルターは中高域~高域付近がかなり抑制され、相対的に低域が強くなるタイプのため、音量もちょっと下がる印象になります。バランス的にも高域が気になる方以外はあまり合わないかも知れませんね。

HIDIZS MP143 Salt」の高域は、標準の「ローズゴールド」フィルターでは適度に主張があり、明瞭感のある直線的な音を鳴らします。刺さりなどの刺激を抑えつつ平面駆動らしい歪みの無い直線的な印象です。高高域の伸びについては「MP145」に比べると見通しの良さや抜け感では多少の違いがありますが、ボーカル曲を中心としたリスニングでは曇ること無く十分な明瞭感があります。「シルバー」フィルターでは中高域から少し上くらいの帯域を中心に抜け感が向上し、ある程度駆動力のある環境ではよりスッキリした印象になります。「レッド」フィルターでは中高域から高域にかけてかなり減衰するため全体的に暗く下がった印象になります。

HIDIZS MP143 Salt中音域は癖の無い自然な印象の音を鳴らします。「ローズゴールド」および「シルバー」フィルターではV字方向のバランスのため曲によっては僅かに凹みますが、ボーカル域に適度な主張があり不足はありません。「シルバー」フィルターは女性ボーカルやピアノの高音などの中高域付近で主張が増し、よりスッキリした印象となります。アニソンやJ-POPなどでより明瞭感のあるサウンドを好まれるかたは「シルバー」フィルターのほうが相性が良くなりそうです。「ローズゴールド」のフィルターでも「MP145」より多少メリハリがありリスニング的な楽しい印象。平面駆動らしく解像感や分離も高い印象ですが、「HIDIZS MP143 Salt」のほうがリスニング寄りのミッドセントリックな印象で、音場は広さがあるものの空間表現自体はやや平面寄りに感じます。そのため特に上流を整えた再生環境では「MP145」のほうが空間表現や定位は正確さがあります。この辺は価格なりの違いというか、よりボーカル曲を中心としたリスニングチューンの「HIDIZS MP143 Salt」に対して、ニュートラル方向に調整された「MP145」という違いもありそうですね。

HIDIZS MP143 Salt低域は、全体としてのバランスを維持しつつ、重低音を中心に量感のある音を鳴らします。大口径の平面駆動ドライバーらしい低歪みで質の良さを感じさせます。ミッドベースは分離が良く、直線的で適度な締まりがあります。重低音は非常に深く沈み、エネルギッシュな印象で鳴ります。3種類のどのフィルターでも低域は十分な量感があり、力強いインパクトと締まりが良くスピード感のある音を鳴らすことでリスニング的な楽しさを感じさせます。そして「低域強調」の「レッド」フィルター高域を抑え、中音域も全体的にゲインを下げることで相対的に低域の質感を強調するタイプのため音量が少し下がります。そのため再生環境によっては少し籠もり気味感じる場合があるため、より駆動力が必要になるかもしれませんね。


■ まとめ

HIDIZS MP143 Saltというわけで、8月8日よりKickstarterが開始された「HIDIZS MP143 Salt」ですが、既にリリースされている「MP145」と比較しても同様の平面駆動ドライバー搭載イヤホンらしい低歪みのニュートラルなサウンドを踏襲しつつ、手頃な価格設定にあわせて、より幅広い再生環境やユーザーに適用できるよう僅かにV字傾向を強化し、よりポップスチューンのサウンドに仕上げられています。
「MP145」がフィルターや再生環境によってはリスニングモニター的なニュートラルさがあったのに対し、より鮮やかさが増し、「HIDIZS MP143 Salt」は質の良いリスニングイヤホンとしてまとめられている印象です。
Kickstarterでも手許に届くのは少し先になりますが、興味のある方はアンダー100ドルで購入可能なアーリーバードを利用されるのも良いと思います。今回も良いイヤホンですよ。