TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

こんにちは。今回は 「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」です。
TANGZUの人気低価格モデル「Wan'er S.G」がよりニュートラルでモニター方向のチューニングでリニューアル。搭載ドライバーを刷新し、新しいデザインとともに生まれ変わりました。

■ 製品概要と購入方法について

「TANGZU Audio」は新しい中華イヤホンブランドで、2021年に「T Force Audio」というブランド名で最初の製品をリリース。その後ブランド名を現在の「TANGZU Audio」に改名しました。「Wan'er S.G」は同社の同社の「王朝シリーズ」のエントリーモデルに位置づけられます。この名称は、「上官婉児」の英語表記で、中国史上唯一の女帝「武則天(Wu Zetian)」に仕えた才女とされます。
→ 過去記事: 「TANGZU Wan'er S.G」 流麗なパッケージに聴きやすく絶妙なバランスの良さが特徴的。U20ドル&2千円台を実現した低価格中華イヤホン【レビュー】

TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」は「Wan'er S.G」をベースに新たなドライバーを採用し、新たなサウンドシグネチャーと新たなフェイスデザインを採用した新モデルです。
TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

TANGZUは今回の「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」では新たな10mmサイズのダイナミックドライバーを搭載。より軽く高剛性のPET振動板、強力なN52マグネットと二重磁気回路、デュアルキャビティ構造により、歪みを抑え、正確で速いレスポンス、解像度も向上されました。
TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

併せて新たなフェイスデザインを採用。カラーバリエーションは「ブラック」と「ホワイト」の2種類が選択可能です。サウンドシグネチャーは色付けが少ないニュートラルなバランスで自然な音と楽器の忠実な再現にこだわり、解像度と明瞭度にフォーカスしています。

TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」の購入は国内代理店の「01Drivers」の公式ストアまたはアマゾンのストア、各専門店等にて。価格は4,560円です。

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして 国内代理店の「01Drivers」様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」のパッケージは「Wan'er S.G」にも増して低価格イヤホンとは思えないくらいしっかりしていますね。カバーアートも非常に綺麗です。
TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースが2種類でグレーのタイプの3サイズ、「AET07」風のタイプが4サイズ、そしてカバーアートと同じデザインのクリーニングクロスが付属します。付属のクロスは両面で片方が黒色タイプ、反対側が白色タイプのカバーアートがプリントされています。
TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition

TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」の本体はクリアカラーの樹脂製でステムノズル部分は金属製。低価格イヤホンとしては一般的な外観ですが癖の無いデザインで使いやすい印象。コネクタはqdcと互換性のあるカバータイプの2pin仕様ですね。

TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition
ケーブルは「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」では多少アップグレードされ少し太さが増しています、黒い被膜の撚り線タイプで耳掛け部分は針金をいれて被膜で覆っており、装着時に耳に合わせて形状を変化させることが出来ます。
TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition
イヤーピースはグレーの一般的なものに加えて、いわゆる「AET07」タイプのものが4サイズ付属しているのは有り難いですね。多くの場合はこのイヤーピースで問題ないでしょう。また他にも各社のイヤーピースでよりフィット感を高めるのも良いと思います。


■ サウンドインプレッション

TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」の音質傾向はバランスの良いニュートラルサウンド。「Wan'er S.G」の音質傾向を踏襲しているものの、こちらはもともとやや高域が抑え気味で多少中低域寄りに感じた之に対し、「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」では中高域から高域にかけての伸び感などが改善され、さらにモニター的なニュートラル感のあるサウンドになりました。20ドル台、5000円以下の低価格イヤホンの場合、フラット方向のサウンドバランスではドライバーの粗さが目立つことが多いのですが、「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」の場合、解像感や分離などはより高価格帯の製品に及ばないものの、その辺をある程度割り切って音作りを行うことで全体としては自然でさほど違和感を感じさせない印象に仕上がっています。

比較すると「Wan'er S.G」のほうがややウォームで気軽なリスニングに適しています。いっぽうで「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」はよりモニター的なクリーンさと明瞭さがあり、神経質な使い方をしなければステージモニターとしてもある程度利用できそうな音質を低価格で実現しており、リスニングイヤホンとしてもニュートラル傾向を求める方には手頃な選択肢となります。

TANGZU WAN’ER S.G Studio EditionTANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」の高域は多少主張が増すことで印象を改善しつつ刺激などはコントロールされる印象で、適度な明るさと鮮やかさがあります。KZなどの寒色系ドンシャリ傾向のイヤホンのような伸び感や明瞭さとは多少異なりますが、自然に伸び、自然な解像感でシンバル音なども綺麗に描写し、耳障りにならない程度の適度な煌めきがあります。

中音域は凹むことなく自然な量感で癖の無い音を鳴らします。歯擦音などは無く、高域同様に聴きやすい印象。僅かに温かみを残しつつ、よりクリーンで見通しが良い印象で、ボーカル域は「Wan'er S.G」ほどではありませんが僅かに前傾します。適度に主張を持ちつつ自然な距離感で定位する印象で、「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」のほうがよりモニターライクなチューニングであることを実感させます。女性ボーカルは明瞭で高音に多少のアクセントがあり、男性ボーカルは自然で適度に締まりがあります。音場は広すぎず適度な空間表現のなかで自然な定位感があります。

TANGZU WAN’ER S.G Studio Editionまた低域は自然な量感があり、直線的かつスピード感のある印象で全体としてニュートラルなバランスを維持します。ミッドベースは多少強調されており、スピード感もありますが、解像感やキレの良さを強調するより自然な鳴り方で全体を下支えする印象。そのため音数の多い曲では、キレ重視のイヤホンに比べて音像が若干滲むように感じる事もあります。重低音は自然な沈み込みと響きがありますがあまり強調されておらず少しあっさりした印象。低価格ながらモニター的なチューニングを行う上での度レードオフと考えた方が良いでしょう。それでも全体としてはバランスの良い低域という印象です。


■ まとめ

TANGZU WAN’ER S.G Studio Editionというわけで、「TANGZU WAN’ER S.G Studio Edition」は低価格なモニター的バランスのニュートラルサウンドという、本来は音質的にかなり難しい分野で、どの程度を基準とするか、という捉え方の違いはありそうですが、多くの方がある程度及第点またはそれ以上と感じられる仕上がりにはまとまっているのではと感じます。
低価格イヤホンでは伝統的なV字方向か、あるいは最近より増えているU字(またはW字)方向のリスニングイヤホンが多い中で、お手頃な価格で、よりモニター的なサウンドも楽しめるというのは結構魅力的かもしれませんね。
カラーバリエーションで外観の印象も結構違うようですので、興味のある方は好みのカラーで購入して試していただくのも良いのではと思います。