KAEI-TAP2

こんにちは。今回は 「KAEI-TAP2」です。かつては知る人ぞ知るブランドだった「KAEI DESIGN」が日本でも精力的にマーケティングを進めており、同社のアンプ製品をより手軽に体験、入手できるようになってきました。今回は100ドル程度で購入できる低価格の高出力・高音質のアナログポータブルアンプです。

■ 製品概要と購入方法について

ポータブルアンプ製品を製造している中華メーカーとして以前から知る人ぞ知るという感じだった「KAEI DESIGN」ですが、最近になって日本でも露出を強化しており、ブランドサイトを立ち上げ、日本でも試聴会を繰り返し開催するなど精力的なアプローチを実施しています。
また同社は「CVJ Audio」や「KBEAR / TRI Audio」などのブランドとのコラボも精力的に実施しており、いくつかの製品は私のブログでも紹介しています。
→ 過去記事(一覧): 「KAEI DESIGN」製品及びコラボ製品のレビュー

今回の「KAEI-TAP2」は同社の定番製品の真空管ポータブルアンプ「KAEI-TAP1」よりリーズナブルな価格設定でリリースされた製品です。「JAN6418」ミニチュア真空管を2基搭載し、さらにオペアンプとして標準モデルは「OPA2132」を搭載し、ハイエンドチップの「MUSE02」へのアップグレードも可能です(ユーザーによる交換は保証の対象外)。

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3.5mmアナログ入力のポータブルヘッドホンアンプをベースモデルに、バリエーションとして、オペアンプの「MUSE02」の換装するほか、4.4mmの疑似バランス接続仕様、さらにUSB-DAC搭載モデルはDACチップにデュアル「CS43198」を搭載します。
最大1000mWの高出力ポータブルアンプとして小型オーディオアダプタやDAP等と組み合わせることで手軽に駆動力をブーストすることが可能で、モードスイッチにより「真空管(TUBE)モード」と「バイパスモード」を切替えることで、真空管サウンドを気軽に切替えることが可能です。

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KAEI-TAP2」の価格は直販価格で通常モデルが100ドル、さらにDAC/MUSE02/4.4mmの最上位モデルが270ドルです。それぞれのバリエーションも含めメーカー直販サイトで選択、購入できます。

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして KAEI DESIGN よりレビュー用の製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回はベースモデル構成の「KAEI-TAP2」でサンプル機は届いています。

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パッケージ内容は、本体、ミニミニケーブル(3.5mm)、充電用USBケーブル、固定用シリコンバンド×2個、説明資料。届いたのはベースモデルの「TAP2」ですが、レビューサンプル機ではUSB-DAC機能も搭載した「TAP2-DACs」の外装となっています(実際の製品は製品説明の画像のように多少異なります)。
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本体は金属製の筐体で、サイズは12cm × 7cm × 2.4cm、重量は260g。いわゆる「ポータブルアンプ」としては一般的なサイズ感で、6インチ級のiPhoneとシリコンバンドで重ねて組み合わせてちょうど良い大きさになるサイズ感です。前面にライン入力、ヘッドホン出力、ゲイン変更スイッチ、ボリュームノブ、後面に「TUBE」「BYPASS」切替スイッチがあり、USB-DACモデルは「DAC」および「Line」モードの切替スイッチと後面にDAC用USBポートが追加されます。
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本体上部には基板に固定された「JAN6418」ミニチュア真空管が2基、ガラス部分から確認することが出来ます。電源はボリュームノブを回すことでONとなり背面のPower LEDが点灯します。また「TUBE」モードでは真空管も点灯しますが、「BYPASS」モードでは真空管は点灯しません。


■ サウンドインプレッション

KAEI-TAP2」は最大1000mWの高出力で、小型のポータブルアダプターやDAP等に3.5mmミニミニケーブルで接続するだけでラインアンプとして動作し、より高い駆動力を提供します。バイパスモードではD級アンプとして音源を増幅します。「OPA2132」は低価格ながらニュートラル系のオペアンプですが「KAEI-TAP2」では濃密さがアップした印象になります。組み合わせるオーディオアダプターやDAP等のアンプチップの傾向を反映し増幅するため、上流のチップセットの違いやアンプチップの有無などで結構印象が変わるのを実感出来ると思います。

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そして「KAEI-TAP2」のもっともメインモードともいえるTUBEモードでは、真空管らしい線の柔らかさと僅かに温かみのあるサウンドが楽しめます。音場感も広がるため、見通しが向上し、アコースティックな音源ではより透明感が向上し、中音域付近は色彩がより豊かになる印象で、原音忠実性の高いヘッドホンやイヤホンと組み合わせることでより鮮やかさを感じることができます。

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またアナログ接続でもノイズ特性は高く、多少敏感なイヤホンを接続してもホワイトノイズを拾うようなことはありません。手軽に駆動力アップや真空管サウンドを楽しめるアイテムとして持っていると結構便利そうですね。


■ まとめ

とうわけで、久しぶりにアナログ専用のポータブルアンプをレビューしましたが、10年くらい前にiPodやFiiOの初期のDAP等にアンプを組み合わせていた頃と比べると、100ドル程度の低価格ながらアンプ出力の透明感の高さや自然な音質に驚きました。私も2016年~2018年くらまではアナログアンプも何種類か購入して使っていましたが、当時に中古でやっと数万円くらいで購入できた製品と比較しても遜色無いかそれ以上に感じる音質に隔世の感がありますね。
特に普段オーディオアダプター製品や小型DAP等を使用している場合は、持っていると様々なヘッドホンやイヤホンでの利用範囲が一気に広がるためとても便利だと思います。