こんにちは。今回は購入済み未レビューのイヤホン等を紹介する「棚からレビュー」です。今回私の棚から出してきたイヤホンは「THIEAUDIO HYPE 4」です。掲載時で購入から3ヶ月程度経過しています。
「THIEAUDIO HYPE 4」は以前レビューした「HYPE 2」同様に独自技術「IMPACT²」によるアイソバリック方式の2DDユニットを採用し、さらにSonion製の高域用2BA・中音域用2BAの4BAを加えた4BA+2DD構成のミドルグレードイヤホンです。
■ 製品概要と購入方法について
「THIEAUDIO」は中国のオーディオメーカー・セラーの「Linsoul」系のブランドとして、非常にハイスペックのシリーズから、100ドル前後のプライスパフォーマンスに優れた製品まで幅広いイヤホン製品をラインナップしています。
今回の「THIEAUDIO HYPE 4」は、同社の新シリーズである「HYPE (Hybrid Performance) 」シリーズとして以前レビューした「HYPE 2」に次いでリリースされた上位モデルです。Sonion製の26AとE50シリーズの2種類のBAドライバーと、「IMPACT² (Impact Squared)」を採用した「アイソバリック方式(Isobaric/等圧配置方式)」の2DDサブウーファーユニットを搭載する、4BA+2DD仕様のハイブリッドモデルです。
THIEAUDIOの最新技術である「IMPACT²」が採用する「アイソバリック(Isobaric)方式」は2基以上の同一のウーファーがタンデム稼働する仕組みで、同サイズのウーファーより1.5倍~2倍のパワーを発揮する特徴が有ります。「IMPACT²」では、独自のアイソバリック・チャンバーを自社開発することで、イヤホン用ドライバーでもアイソバリック方式を実現。2基の10mmダイナミックドライバーを対向で配置した状態でも出力周波数や音圧を一定に保ち、音色を犠牲にすること無く質の高い低域を実現したそうです。
また「THIEAUDIO HYPE 4」専用にカスタム実装された最新のSonion製BAドライバーを搭載。「Soinion E50」シリーズ「Hummingbird」は、デュアル(2BA)構成のウルトラツィーターで、Sonionの従来の高音用ドライバーと比較しても優れた技術仕様を備え、ESTや平面ドライバーに匹敵する優れた超高音拡張と、高出力時のドライバー振動と高調波歪みの低減を実現しています。
さらに中音域には「Sonion 26A」シリーズのBAドライバーを2基搭載。優れた出力対THD比が得られ、中音域と高音域で解像度、テクスチャ、レイヤーが向上します。 「Sonion 26A」の採用により、特に中音域および低音域へのつながりで優れた音色バランスが実現され、目標とする曲率にほぼ完璧に一致しています。
カラーバリエーションは「ブラック」「ブルー」「ホワイト」の3種類が選択できます。
「THIEAUDIO HYPE 4」の価格は399ドル、アマゾンでは掲載時58,073円です。
また代理店を経由した国内正規品は63,880円程度で販売されています。
Linsoul(linsoul.com): THIEAUDIO HYPE 4
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): THIEAUDIO HYPE 4
楽天市場(国内正規品): THIEAUDIO HYPE 4
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「THIEAUDIO HYPE 4」のパッケージは大きめの写真付きパッケージで存在感があります。
私は「ブルー」を購入しました。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(白色シリコンタイプ、黒色ウレタンタイプ、の2種類、それぞれS/M/Lサイズ)、清掃用クロス、大きめのハードケース。
本体は質の高いレジン製で、「ブラック」は黒を基調としてブラーのフリッター模様のフェイスプレートが落ち着いたデザインで高級感があります。メッシュパーツによるベントが側面にあるのが「HYPE」シリーズの特徴のひとつです。
シェル形状も金属製のステムノズルは太めながら耳に収まりやすいサイズ感で装着性は良好。この辺は「Legacy」シリーズの上位機種や「Oracle」以上のマルチドライバーモデルともある程度共通した手堅い作りですね。
付属ケーブルはTHIEAUDIO製品ではわりと定番の銀メッキOCC線ケーブル「THIEAUDIO ESTケーブル」のブロンズカラーのケーブルが付属します。なおケーブルのコネクタ仕様は「中華2pin」タイプですが、イヤホン側は中華2pinの僅かな出っ張り部分が隠れる程度の浅い窪みがあります。
イヤーピースはシリコンタイプとウレタンの2種類が付属しますが、ほかにも、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」や「Softears U.C.」などの密着製が高いタイプなどを組み合わせて装着感を高めるのも良いと思います。
■ サウンドインプレッション
「THIEAUDIO HYPE 4」の音質傾向は自然なU字を描くニュートラルなバランスの弱ドンシャリ。しかし同時に「IMPACT²」による低域は力強さがあり、厚みと深さをもちつつ非常に解像感の高い音を鳴らします。以前レビューした「HYPE 2」(2BA+2DD)と同様の、いわゆる○○ターゲット的なバランスでまとめられていますが、搭載するSonion製BAがグレードアップすることで、高音域〜中音域の質感および解像感が向上しており、より自然な印象で豊かさを持っています。高・中・低のトラディショナルな3Way構成で、同様の4BA+2DD構成の「DUNU x Gizaudio DaVinci」の5Way仕様と比較するとよりハイブリット的な印象は感じられますが、各ドライバー間のチューニングはTHIEAUDUIOの上位モデル同様に安定しており、リスニングイヤホンとして適度な鮮やかさがあり、同時にどのようなジャンルの曲も手堅く再生できる自然な印象があります。
ちなみに「THIEAUDIO HYPE 4」は「HYPE 2」と比較するとより全体としてのまとまりの良さを重視した音作りで、「IMPACT²」によるアイソバリック構成の低域などよりメリハリのあるサウンドを楽しみたい場合は「HYPE 2」のほうが向いているかもしれませんね。
「THIEAUDIO HYPE 4」の高域は明瞭な印象を持ちつつ直線的な滑らかさを持った音を鳴らします。適度に刺さりなどの刺激を抑えつつ伸びやかで見通しの良い音を鳴らします。「HYPE 2」と比較して高域の解像感や透明度は向上しており、同時に再生環境によっては主張もやや強めに感じます。特にリケーブルによってバランス接続をするなど情報量を向上させることでより高域の主張は強く感じられるかも。個人的にはこれくらいの高域のほうが好みですが、気になる方は付属ケーブルまたは銅線や合金線ケーブルなどに換えてみるのも良いかも知れませんね。
中音域は凹むことなく癖の無い音を鳴らします。解像感は高くボーカル域との分離も良好ですが、ボーカル域には僅かな温かみもあり、全体として滑らかさを感じます。ボーカル域は自然な位置で定位し、女性ボーカルの高音などの中高域に適度なアクセントがあり抜けの良い明瞭さがあり、男性ボーカルも豊かな印象です。演奏との分離は良好で、定位も捉えやすいですが、音場は広すぎず、特に付属ケーブルではニュートラルな範囲でまとめられています。リケーブルにより明瞭感や分離感、音場についてはレイヤー感による奥行きなどに変化があり、自分好みのチューニングを楽しめるという側面もありますね。この辺は前述の「DaVinci」の滑らかさのある中音域とは結構違いを感じやすいですね。
低域はバランスとしてはニュートラル方向でまとめつつも、力強くパンチ力がある音を鳴らします。同時にキレの良さがあり、明瞭でスピード感があります。アイソバリック構成の「IMPACT²」技術によって生み出させる低域は「HYPE 2」同様に非常に質が高く、このシリーズの大きな特徴といえます。
ただ「THIEAUDIO HYPE 4」では全体としてはよりニュートラルなバランスにチューニングされているため、パワー重視の低音イヤホンを好まれる方のニーズとは異なる印象です。ミッドベースは直線的で締まりがあり、適切なインパクトとスピード感のあるアタックがあります。また濁りなどはほぼ皆無で明瞭な分離と解像感を持つ質の高さが印象的です。重低音もミッドベース同様にドライな印象ですが非常に深く、重く、底の方で鳴る厚みがあります。同時にこちらもスピード感があり音数の多い曲でも正確に描写します。
■ まとめ
というわけで、昨年に「HYPE 2」、今年の前半に「DaVinci」のレビューを行って、違いについて気になっていた「THIEAUDIO HYPE 4」を購入してみました。そのためレビュー内容もこの2製品との比較が中心となっています。印象としては「THIEAUDIO HYPE 4」も「HYPE 2」や「DaVinci」と同様のU字傾向のバランスですが、アイソバリック構成の低域の印象を含め多少メリハリが強調された「HYPE 2」に対して、「THIEAUDIO HYPE 4」は同様の低域を持ちつつよりニュートラルで、オールラウンドなTHIEAUDUIOらしいサウンドに仕上げられています。またより「DaVinci」はより温かみと滑らかさがあり、比較すると「THIEAUDIO HYPE 4」のほうがハイブリッド的ですが、リケーブルによる変化などを得やすく、より自分好みに追い込める点はマニアにはメリットに感じる可能性もあります。いずれも高評価の製品だけに良さがありますね。