こんにちは。今回は 「MUSE HiFi M5 Ultra」です。ESS「ES9038Q2M」DACチップを搭載し、ハイレゾ対応のUSB-DACとして、さらにLDAC/aptX Adaptive対応のハイレゾワイヤレスアンプとしても利用できるアイテムです。最大の特徴として2基の「JAN6418」真空管を搭載し、「真空管アンプ」モードによる心地よいサウンドを有線でもワイヤレスでも楽しめる点が挙げられます。
■ 製品概要と購入方法について
「MUSE HiFi」は2022年に中華系メーカーのエンジニアが独立し誕生した新興のポータブルオーディオブランド。個性的なイヤホン製品を相次いでリリースしているブランドですが、同時にリケーブル製品やオーディオアダプター製品にも注力しており、オーディオアダプターでは「M1」「M1 Smart」「M3」「M3 II」と性能アップとともに進化し、「M4」でBluetoothワイヤレスレシーバー機能を搭載し好評を得ました。
今回の「MUSE HiFi M5 Ultra」は「M4」の高音質・高機能なデジタル性能を踏襲しつつ、新たに真空管アンプを搭載し、デジタルとアナログの両方の長所を体感できるフラグシップ仕様のモデルです。
真空管には2基の米国製 RAYTHEON「JAN6418」軍用グレードの小型直熱五極管 NOS 真空管を搭載。真空管モードと通常のトランジスタ モードを簡単に切り替えることができます。また真空管の配置には専用ショックアブソーバーを設計。カスタマイズされたゴム部品とサスペンションにより全方位の緩衝および衝撃吸収特性が得られ、マイクロフォニックノイズから保護されます。
「MUSE HiFi M5 Ultra」のDACチップには「M4」の仕様を踏襲しESS「ES9038Q2M」を採用しつつ、真空管アンプに最適化した「6418 Hi-Res アーキテクチャ」を採用。Bluetooth信号伝送による電磁干渉で発生する真空管アンプでのノイズ問題を解消。USB-DACとして、最大384kHz/32bit PCMとDSD256のハイレゾ音源に対応します。そしてBluetoothワイヤレス部にQualcomm「QCC5125」を採用。BluetoothレシーバーとしてLDACおよびaptX Adaptiveのハイレゾコーデックに対応します。
またMQAレンダラーにも対応します。
「MUSE HiFi M5 Ultra」はインターフェースに3.5mmステレオと4.4mmバランス接続に対応し、内蔵ディスプレイによりモードやステータスが表示されシンプルな操作性を実現しています。
「MUSE HiFi M5 Ultra」の価格は299ドルで販売されています。
HiFiGo(hifigo.com): MUSE HiFi M5 Ultra ※11.11セール価格で販売中
Amazon.co.jp(HiFiGo): MUSE HiFi M5 Ultra
「MUSE HiFi M5 Ultra」はインターフェースに3.5mmステレオと4.4mmバランス接続に対応し、内蔵ディスプレイによりモードやステータスが表示されシンプルな操作性を実現しています。
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免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
既存の「M4」までのモデルは通常のボックスタイプのパッケージでしたが、今回の「MUSE HiFi M5 Ultra」はよりしっかりしたケースタイプのパッケージです。今回はサンプルの受取りでちょっとしたトラブルがあったため、少し遅れてのレビューとなりました。
パッケージ内容は、本体、レザーケース、USB OTGケーブル、USB Lightningケーブル、USB Type-A変換コネクタ、充電用USBケーブル、説明書。
本体はメイン基板をガラスフェイスで露出させた「M4」のデザインを踏襲しつつ、2本の真空管を搭載するためひとまわり大型になっています。2基の「JAN6418」真空管は左側側面に縦に並んで配置され、側面のスリットおよび上面よりオレンジ色に点灯しているを確認出来ます。
右側側面は電源および操作ボタン、下部には3.5mmおよび4.4mmコネクタ、USB-DAC用USBコネクタ及び充電用USBコネクタ(ともにType-C)が配置されます。上面にはインジケーターディスプレイが追加され、各種モードやレート等が表示されます。
スイッチは左側側面に「電源および再生/停止」ボタンと「マルチファンクション」ボタン、戻り/送りボタンとなっています。「マルチファンクション」を押すと表示エリアが順に点滅し、戻り/送りボタンで設定を変更します。
設定変更は表示順で「インターフェース」(Bluetooth、USB)、「ゲイン」(Low/Mid/High)、「フィルター」(F1~F7)、「モード」(VT:真空管、TM:トランジスタ)の各モードを変更できます。シンプルな操作性ではありますが、インターフェースやゲインの切替はもう少しボタンを押す回数が少ない方が使いやすいかもですね。
USB接続モードでは、AndroidやiOS/iPadOSなどのスマートフォン、タブレット、Mac、WindowsなどマルチOSに対応します。接続はUSB AudioClass 2.0に対応し、USBモードで接続してすぐに利用できます。またWindows用はMUSE HiFiのWebサイトにてASIOドライバーを入手可能です。
スイッチは左側側面に「電源および再生/停止」ボタンと「マルチファンクション」ボタン、戻り/送りボタンとなっています。「マルチファンクション」を押すと表示エリアが順に点滅し、戻り/送りボタンで設定を変更します。
設定変更は表示順で「インターフェース」(Bluetooth、USB)、「ゲイン」(Low/Mid/High)、「フィルター」(F1~F7)、「モード」(VT:真空管、TM:トランジスタ)の各モードを変更できます。シンプルな操作性ではありますが、インターフェースやゲインの切替はもう少しボタンを押す回数が少ない方が使いやすいかもですね。
USB接続モードでは、AndroidやiOS/iPadOSなどのスマートフォン、タブレット、Mac、WindowsなどマルチOSに対応します。接続はUSB AudioClass 2.0に対応し、USBモードで接続してすぐに利用できます。またWindows用はMUSE HiFiのWebサイトにてASIOドライバーを入手可能です。
またBluetooth接続では「LDAC」「aptX Adaptive」といったハイレゾコーデックのほか幅広いコーデックに対応します。USB-DAC、Bluetooth接続のどちらでも本来の音量ボタンは接続デバイス側の音量とは独立しており、ゲイン切替えとあわせて細かな音量調整が可能です。なお、USB-DACモードとワイヤレスモードでは特にトランジスタモードの場合で透明感や解像感などで相応に違いが出るため、用途に合わせて使い分けるほうが良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「MUSE HiFi M5 Ultra」の音質傾向はニュートラルで癖の無い印象。トランジスタモードの場合、アンプチップ以外はほぼ「M4」と近い仕様ですが、実際には「M4」がボーカル域を中心に多少濃さを感じる音作りだったのに対し、「MUSE HiFi M5 Ultra」ではより無色透明に近く、バランスもフラットに近い印象です。一般的に小型のオーディオアダプターはアンプ部分の弱さを補うため、若干カマボコ寄りにチューニングされていることが多いため、特に低いゲインで再生できるイヤホンの場合は比較すると「MUSE HiFi M5 Ultra」のトランジスタモードのほうが多少スッキリめに感じるかもしれませんね。ESS系DACチップらしい明瞭感のある印象でやや寒色系のサウンドです。
そして「MUSE HiFi M5 Ultra」のメインとも言えるVT(真空管)モードですが、ベースとなっているサウンドがニュートラルなため、良い具合に「真空管らしさ」が乗った、ゆったりとした広がりのある印象のサウンドに変化します。ポータブルオーディオの世界で幅を利かせている(?)「NuTube」のようなリスニング性と真空管らしさのいいとこ取りを目指したサウンドとは異なり、2基の「JAN6418」真空管を搭載する「MUSE HiFi M5 Ultra」は、「いわゆる真空管アンプ」のウォームさを楽しめる印象で、エッジの効いたキレの良さやスピード感とは少し離れた柔らかいサウンドになります。
なお、真空管アンプというとノイズが心配になりますが、「MUSE HiFi M5 Ultra」のノイズ特性は高く、感度の高いイヤホン等でもクリアなサウンドを楽しめます。また本体に3000mAhの大容量バッテリーを搭載し、デジタルアンプとしても余裕のある仕様のため鳴らしにくいヘッドホンでも快適に駆動させることが出来ます。
■ まとめ
というわけで、「MUSE HiFi M5 Ultra」は300ドル級のオーディオアダプター兼ワイヤレスアンプという位置づけの製品ながら、真空管アンプを搭載し、トランジスタモードと切替えて利用できるという非常に意欲的なアイテムでした。音質面ではやはりUSB-DACモードで利用したほうが格段に良くなりますが、Bluetoothのワイヤレス接続についても、配信されるストリーミング曲をスマートフォンから手軽に真空管サウンドで堪能できる、という点は音楽の楽しみ方のひとつとして結構面白い製品なのでは、とも感じます。
正直なところ「トランジスタモード」だけで捉えれば、より音質面で優れた製品は同価格帯でもベストであるとは言えませんし、「真空管モード」は楽曲によって向き不向きがあるため、「真空管サウンドを楽しみたいとき」用とある程度は割り切ったほうが良いかも知れません。そういった意味では何種類か同様、同クラス以上の製品を持っていて、ケースに合わせて使い分ける、というユーザー向けのアイテムでしょう。それでもわりと唯一無二の存在ではありますし、マニア向けとしては良い製品だと思います。