こんにちは。今回は 「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」です。様々な特許技術に裏付けされた魅力的なサウンドで人気の「AFUL」から、11.11セールに合わせて最新モデルがリリースされました。今回は2DD+4BA+マイクロ平面駆動ドライバーという特殊な7ドライバー構成のハイブリッドモデルです。高域及び低域をブーストしつつ、さらに磨きのかかった特許技術により、非常にレベルの高いサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「AFUL Acoustics」は中国の新進気鋭の中華イヤホン(IEM)ブランドで、これまでにリリースされた製品はすべて数々の独自特許技術に裏付けられた質の高いサウンドにより高い評価を受けています。
今回の「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」はAFULの代表的なモデルである「Performer」シリーズの最新モデルで、2DD+4BA+1マイクロ平面ドライバーの7基のドライバー構成によるハイブリッドモデルです。既存の「Performer」シリーズでも採用される同社の特許技術をブラッシュアップし音響性能を大幅に向上させました。またフェイスプレートには蘇州にある庭園の禅の間をイメージした東洋的な美しさをモチーフにデザインしています。
「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」には、2基の6mm ダイナミックドライバーをY字構造で並列配置し、さらに中音域用に2基、高域用に2基による4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。そして超高域用にはマイクロ平面ドライバーユニットを搭載する2DD+4BA+1Micro Planar構成を採用。7基のドライバーユニットをAFULの数々の特許技術により最適にチューニングすることで優れた音響特性を実現しています。
高精細3Dプリント技術により出力されたシェルは内部に同独自の音響管構造を設計。さらに「Performer」シリーズの特徴である同社特許のクロスオーバー技術「RLC ネットワーク周波数分割補正技術」(RLC Network Frequency Division Technology)を組み合わせた3Dクロスオーバー技術を導入し、各ドライバーユニットごとの精密なチューニングを実現。特に高域のBAユニットは静電型に匹敵する滑らかで緻密なサウンドを実現しています。
さらに「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」では「AFUL」の特許技術である「高減衰空気圧バランスシステム」により、装着時の外耳道内の気圧を逃がし空気圧のバランスを整えることで長時間の利用でも装着疲労を軽減し、さらに低域の弾力性も向上します。
「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」は片側に7基のドライバーを搭載するマルチドライバーシステムですが、効率が高くより駆動しやすい設計となっており、さまざまな再生環境で優れた音質が得られます。ケーブルは3.5mmまたは4.4mmモデルを選択することができます。
「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」の価格は239.99ドルです。
11月12日より国内版も39,800円で販売開始となります。
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Amazon.co.jp(HiFiGo): AFUL Performer 5+2 (Performer 7) ※37,607円(プライム在庫あり)
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免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして AFUL Acoustics より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
今回は4.4mmケーブル付属版で届きました。「Performer」シリーズ共通の横長のパッケージですが、パッケージアートもより洗練されてきた印象がありますね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(3種類、それぞれS/M/Lサイズ)、メタルケース、説明書など。ケースは「Performer5」と同じメタルケースとなっています。
今回も3Dプリントによるシェル形状。グリーンの格子状のフェイスデザインが非常に格好良いですね。
ステムノズルからの音導管は3系統で、メーカー画像によると、2DDおよびマイクロ平面ドライバー、中音域用2BA、高域用2BAの3系統の音導管設計になっているようです。
既存の「Performer」シリーズと比較すると、シェルサイズは「Performer8」とほぼ同様で、「Performer5」よりひとまわり大きいことが分かります。サイズは大きくなっていますが耳へのフィット感に優れた形状で装着性は良好です。
イヤーピースは3種類のタイプが各サイズ付属します。付属品のほか、よりフィット感の良いイヤーピースを選択するもの良いと思います。今回はラディウスの「ディープマウントZONE」を選択しました。同様のタイプだと「Softears U.C.」なども良いと思います。
ケーブルは144本の高純度銅線材による8芯 撚り線タイプのケーブルでコネクタは0.78mm 2pin。プラグは購入時に3.5mmと4.4mmを選択できます。被膜は多少弾力がありますが比較的柔らかく取り回しは良いようです。
■ サウンドインプレッション
「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」の音質傾向は、U字寄りの弱ドンシャリで、バランスとしては4BA+1DD構成の「Performer5」の低域および高域強化型といった印象。2基の6mmダイナミックドライバーの並列駆動による低域は非常にパワフルで、マイクロ平面ドライバーによりブーストされた高域は非常に伸びやかで鮮明な印象があります。
また「AFUL Performer 5+2」はインピーダンス15Ω(±20%)、感度109dB/mWという仕様ながら比較的どのような再生環境でも駆動しやすく調整されており、小型のオーディオアダプタなどでもそれなりに楽しく再生することが可能です。いっぽうで駆動力のある再生環境ではよりV字方向に強調され、リケーブルによる変化も比較的大きい印象です。
しかし多くのドライバーを搭載するハイブリッドイヤホンの場合、メーカー側が想定しないケーブルや再生環境の組み合わせによりバランスが崩れるケースも少なくはありませんが、「AFUL Performer 5+2」ではもともとのポテンシャルが高く設計されているらしく同様のケースでの破綻は少なく、自分好みへ「追い込む」マニア的な楽しみ方にも十分に対応出来る印象があります。
「AFUL Performer 5+2」の高域は明瞭で直線的な伸びやかさがあります。AFULの代表的な特許技術である「RLC ネットワーク周波数分割補正技術」によるクロスオーバー処理は最初の「Performer5」から採用されていますがモデルを重ねることにより進化していることを実感させます。「Performer5」では各ドライバー間のつながりをいかに滑らかにするか、というアプローチでこの技術は利用されていましたが、高域についてBAらしい金属質は音は感じられ、ハイブリット的なメリハリ感も共存する印象があります。これが「Performer8」ではより自然な印象となりニュートラル方向に調整されました。
そして今回の「AFUL Performer 5+2」では高域を担うBA部分も癖の無い直線的な印象となり(メーカー資料では「静電型に匹敵する~」と記載されている要素ですね)、超高域のマイクロ平面ドライバーと一体的に鳴ることで、非常に滑らかでピーキーさを感じさせない伸びやかさを実現しています。適度に主張があり見通しも良くシンバル音も鮮明に再生されます。いっぽうで刺激も刺さる手前でコントロールされ聴きやすさもあります。
中音域はニュートラルで癖の無い音を鳴らしますが、U字寄りのバランスのためボーカル域は適度に前傾して定位します。また駆動力のある再生環境や情報量の多いケーブルに換えた場合はV字方向に強調されるため若干凹む場合があります。それでも全体の見通しは良く不足はありません。音場は左右に広さがあり、再生環境によりV字方向への変化に合わせて奥行きのレイヤー感も増します。
女性ボーカルの高音など中高域には適度なアクセントがあり伸びやかさの抜けの良さがあります。男性ボーカルは豊かさと厚みがあり、どちらも心地よい主張があります。全体として自然な印象ながら明瞭な解像感により正確性のある音像を描きます。全体としては多少スッキリめの印象で分離も良くエネルギーのある高域やパワフルな低域のなかでも埋もれること無くハッキリと表現される印象です。楽器も自然な音色ながら鋭すぎず、適度な鮮やかで再生されます。キレ重視のハイブリッド的な音では無く自然な温かみもある「AFUL」らしい「Performer」らしさもしっかり継承されています。
低域は非常にパワフルで量感のある音を鳴らします。重低音は非常に深くインパクトがあり、同時に解像感も高く、ミッドベースは直線的で締まりが有り、レスポンスも良好です。非常に「強さ」のある低域ですが見通しは良く描写も正確さがあり、パワフルながら滑らかさもある低域です。「Performer」シリーズの中でも低域の質の良さでは特筆すべき進化を遂げており、これは200ドル~300ドル級のアッパーミドル級のイヤホンの中でもかなり上位の質感と言えるかも知れませんね。
これまでの「Performer5」や「Performer8」と比較すると「AFUL Performer 5+2」の主張はより強調されており、全体としてさらにドンシャリ傾向に感じさせる要素となっています。実際の量感はそれほど大きな違いは無いものの、並列駆動する2基のドライバーにより「強さ」が増していると言えるでしょう。このクラスでは「THIEAUDIO HYPE2」「HYPE4」や「Moondrop Blessing3」「DUSK」のように2基のダイナミックドライバーを対向配置して「強さ」をブーストさせるアプローチもあり、これまでの「Performer8」では比較してネックとなっていた要素でもあったため、「AFUL Performer 5+2」も独自のアプローチで対抗してきた、とも捉えられますね。結果的に「AFUL Performer 5+2」は同社でも非常に優れた低域を持ったイヤホンとして完成した感があります。
■ まとめ
というわけで、「AFUL Performer 5+2 (Performer 7)」は2DD+4BA+1マイクロ平面、という変則的な7ドライバー構成を採用し、これまでの同社の技術をブラッシュアップして採用することで、200ドル台、3万円台のイヤホンとしては非常に高い完成度を実現している印象があります。
価格帯としては「THIEAUDIO HYPE2」あたりが競合となるレンジですが、全体的なバランスと、特に低域の質感はより上位の「DUNU DaVinci」や「Moondrop DUSK」と言った製品と比較しても遜色無いレベルに仕上がっています。そういった意味ではかなり「クラス最強」に近い音質のイヤホンといえるかもしれませんね。実はプリセール段階でもかなり販売好調らしいのですが、実際に販売開始されてからもさらに人気モデルとなるのは間違いなさそうですね(^^)。