INAWAKEN DAWN Ms

こんにちは。今回は 「INAWAKEN DAWN Ms」です。先月から書きかけになっていたレビューのひとつです(^^;)。50ドル級、8千円以下の手頃な価格設定ながら、美しいシェルデザインと、こだわりのあるダイナミックミックドライバーを搭載し、マニア的にも結構楽しめるバランスの良さを実現した「良い感じ」のイヤホンです。

■ 製品概要と購入方法について

新しいメーカーの「INAWAKEN」による低価格イヤホンが「INAWAKEN DAWN Ms」です。スパッタリング蒸着によるパープルゴールド振動板を採用した11.2mmダイナミックドライバーを搭載したシングルダイナミックモデルです。ドライバーはCNC加工によるアルミニウム合金製ハウジングに収容され、3Dプリントによる樹脂シェルとアルミニウム製フェイスパネルに描かれた手描きのアートパターンによる美しいシェルデザインが魅力です。
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INAWAKEN DAWN Ms」が搭載する11.2mmダイナミックドライバーは、パープルゴールドによる多層振動板は、低周波の弾力性と高周波性能を実現。さらにN52 高性能マグネット、デュアル リア チャンバーを備えた 6 層高張力コイルを採用。ドライバーはCNC加工によるアルミニウム製ハウジングに収容され、低歪みによる安定したサウンドを実現しています。

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INAWAKEN DAWN Ms」のシェルは Heygears による3Dプリントシェルを採用。低周波の空気圧をダイナミックドライバーのバックキャビティで調整するベーススーパーポジションシステムを採用。銅システムにより低域をより強化します。ケーブルは0.78mm 2pin仕様で高純度OFCケーブルを採用しています。
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INAWAKEN DAWN Ms」の購入はLinsoulの各ストアにて。
価格は49.99ドル、アマゾンでは7,900円で購入できます。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

INAWAKEN DAWN Ms」のパッケージはフェイスプレートのイメージをモチーフとしたパッケージデザイン。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズ)、ケース、説明書、保証書。
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シェエル3Dプリントによる樹脂製で内部も充填されており、メタルシャーシに収容された11.2mmのドライバーが埋め込まれています。手描きデザインが描かれたフェイスプレートおよびステムノズルなどもアルミ製です。ステムノズルはやや太めの口径ですね。
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ドライバーサイズが少し大きめのためフェイス部分は横に広めのデザインですが、TFZなどに近い一般的なサイズ感で耳への収まりも良い印象。50ドル以下の比較的低価格の製品ですが安っぽさは皆無ですね。
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ケーブルはシルバーカラーの線材の2芯撚り線タイプで透明な被膜は弾力があり、ケーブルも比較的柔らかい印象。若干絡まりやすいですが取り回しは良いようです。また2pin仕様のため適時リケーブルを行うのも良いと思います。


■ サウンドインプレッション

INAWAKEN DAWN MsINAWAKEN DAWN Ms」の音質傾向は中低域寄りで緩やかなV字を描く弱ドンシャリ。一言でいうと「バランスが良くまとめられたリスニングサウンド」で、逆に言うと突出した特徴こそないものの、使いやすく、様々な音源で心地よく楽しめるまとまりの良さが最大のポイントといえるでしょう。
何年も前から様々なイヤホンのレビューを行っていると、数年おきくらいで「ある分野や領域、特定のターゲットで100点を目指すより、より広範なユーザーに80点をもらえるような低価格の製品」といったアプローチの、例えるなら「日高屋の中華そば」みたいなコンセプトの製品に遭遇します。異なるのは技術力の進歩であり、「INAWAKEN DAWN Ms」はそういった「美味しすぎない」手頃なイヤホンの最新「2024年版」、みたいな印象があります。もちろんこれは結構な「褒め言葉」で、いわゆる「万人受け」的なライトユーザー向けの製品とは異なり「多くのマニアが聴いてもちゃんと及第点を出せる」という意味ですので、実はやろうと思っても結構難しいのではと思ったりします。

INAWAKEN DAWN Msスパッタリング蒸着による複合振動板ダイナミックドライバーのポテンシャルは高く、付属ケーブルはもちろん、リケーブルでの変化も大きい印象ですが、リスニングサウンドとして破綻無く再生できます。

INAWAKEN DAWN Ms」の高域は低域に比べるとやや下がりますが、明瞭でスッキリした音を鳴らします。付属ケーブルでは多少あっさりした印象もありますが、直線的で伸びは良くハイブリッドのような硬質な明瞭感もあり、シンバル音の輪郭もはっきりしており、より詳細な印象です。滑らかで聴きやすい印象ですが煌めきもあり心地よい高域といえるでしょう。

INAWAKEN DAWN Ms中音域は曲によっては少し凹みますが、癖の無い音を自然にならします。ボーカル域は前傾し、女性ボーカルは伸びやかさがあります。ただ一般的なU字傾向のイヤホンほど中高域にアクセントを感じないため過度な強調感は無く自然でスッキリした印象です。そのため最近のミッドセントリック寄りのイヤホンと比較するとちょっとあっさり目に感じる場合もあるかもしれません。個人的には解像感も高く自然な印象で良いと思います。男性ボーカルは若干温かく厚みと豊かさがあります。V字傾向によるレイヤー感により低域でマスクされることは無く、明瞭さは維持されます。音場は自然な広さがあり、前後のレイヤー感でボーカルと演奏と分離も良く、リスニング的な心地よさがあります。

INAWAKEN DAWN Ms低域は適度な量感とともに洗練された印象があり、非常に魅力的な音を鳴らします。全体的にはやや中低域寄りですが、いわゆる低音を強化したイヤホンではなく、あくまでバランスの良さを維持しながら質の高さを持った低域という印象です。重低音は深く沈みますが極端にブーストされているわけでは無く、よく制御され全体を下支えします。ミッドベースは直線的で適度な締まりが有り、スピード感とある程度の解像感を維持し心地よく鳴ります。自然な臨場感とともに音楽的な楽しさを感じさせる低域です。


■ まとめ

というわけで、「INAWAKEN DAWN Ms」は50ドル級の価格設定のなかでも、「外観」でも「音質」でも非常に手頃感があり、とにかく使い勝手の良さそうという印象のイヤホンです。
INAWAKEN DAWN Msマニア的にもポテンシャルも高いため様々なリケーブルを試して自分好みに追い込む上での「素材」としても良いイヤホンだと言えるでしょう。特に装着した状態での外観も結構高級感があるため、普段使いでも大丈夫な価格設定ながら「ちょっといいイヤホンを使ってる」という雰囲気で楽しめる、というメリットもあるかもですね(^^;)。新興メーカーの製品で今後の展開も楽しみではありますが、今回の「INAWAKEN DAWN Ms」についてはマニアでも幅広く楽しめるアイテムとして「良い意味で」まずまずのイヤホンだと思いました。