TWISTURA D-Minor

こんにちは。今回は 「TWISTURA D-Minor」です。「D」型の個性的なシェルデザインとコストパフォーマンスの高さでスマッシュヒットした「D-Major」のさらにエントリーとなるモデルがリリースされました。ドライバーはLCP振動板を採用し、シェルはフェイス部を3Dプリントの樹脂製にするなど部分的にコストダウンしつつ、充実したアクセサリーとバランスの良いサウンドを実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

新しオーディオブランド「TWISTURA」による「D-Major」に続いて登場したエントリーモデルが今回の「TWISTURA D-Minor」です。リアチャンバーに亜鉛合金製シェルを採用した「D-Major」に対し、「TWISTURA D-Minor」では3Dプリントによる樹脂製で構成され、ドライバーにLCPドーム複合振動板を採用した二重磁気回路ダイナミックドライバーを採用することで、コストダウンを実現。同社はエントリーレベルのベンチマークを再定義し、手頃な価格でハイエンドのパフォーマンスを提供することを目指しています。

TWISTURA D-Minor」のシェルのフロントチャンバー(耳への装着部分)は上位モデルの「D-Major」同様に亜鉛合金製で高い耐久性を持っています。リアチャンバー(フェイス部分)びは高精細3Dプリントによる樹脂製で印象的な外観と優れた耐酸化性を両立しています。
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TWISTURA D-Minor」のドライバーには高性能な10mmの二重磁気回路ダイナミックドライバーをシングルで搭載。振動板には高剛性、軽量応答性、優れた熱安定性を持つLCP (液晶ポリマー) ドーム複合振動板を採用しています。高速かつ正確な過渡応答が得られ、豊かな高周波のディテールとクリアでニュアンスに富んだサウンドが得られます。また、高入力でも安定性を維持し、歪みを最小限に抑えて正確で洗練されたサウンドを実現しています。
TWISTURA D-MinorTWISTURA D-Minor
また「D-Major」同様に3種類のフィルター設計を採用。特定のジャンルに合わせて微調整された 3 つの音響フィルター (リファレンス モード、クラシック モード、ポップ モード) を切り替えることができます。またシェル側面には内部の空気圧を制御する音響エアフロー設計を採用。最適なエアフローを可能する指向性エアベントが採用されておりダイナミック レンジが拡大やオーディオ パフォーマンスの向上を実現しています。
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ケーブルは高純度無酸素銅銀メッキケーブルを付属。ケーブルはマイク付き/無しを選択できます。さらに最大 32bit/384kHzのサンプリング レートに対応したDAC内蔵のUSB Type-Cアダプタケーブルを付属し、スマートフォンでの利用にも対応します。

TWISTURA D-Minor」の購入はLinsoulのストアにて。価格は29.99ドルで購入できます。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回は「TWISTURA D-Minor」のマイク付きモデルが届きました。30ドル級のイヤホンと考えるとかなりしっかりしたパッケージですね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用ノズルフィルター(2種類)および金属製の台座、イヤーピース(2種類S/M/Lサイズ)、USB Type-C変換ケーブル、レザーポーチ、説明書。付属アクセサリーは「D-Major」とほぼ同様ですね。「D-Major」の50ドル級の価格でもかなり充実した印象でしたが、同様の内容を30ドル級の「TWISTURA D-Minor」でも実現しているのは驚きですね。
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TWISTURA D-Minor」の本体は亜鉛合金製のフロントチャンバー(装着部)と3Dプリントによる樹脂製のリアチャンバー(フェイス部)の組み合わせで、アルファベットの「D」をイメージしたような結構個性的なデザインです。形状としては「D-Major」を踏襲しています。側面は0.78mm 2pinコネクタと音響エアブロー構造のためのベント(空気孔)があります。
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サイズ的には耳に収まりやすいサイズ感ですが、耳にフィットするというよりはイヤーピースで固定するタイプのイヤホンですね。「TRN T-Eartips」とほぼ同じサイズの柔らかいタイプのイヤーピースが付属しますが、装着角度などのあって耳に合わない場合は他のイヤーピースを組み合わせて最適なもの選択することをお勧めします。
ケーブルはホワイトシルバーカラーのOFC(高純度無酸素銅)線。マイク付き/無しで同じ線材かどうかは不明ですが、「D-Major」のケーブルより被膜は若干固め。それでも取り回しはまずまずです。
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そして、交換用フィルターは「D-Major」と同様のものを採用。装着済みの標準(ブラックリング)タイプ以外に金属製の台座にクラシカル(レッドリング) とポップ(ブルーリング)の2種類のフィルターが付属します。どちらも標準タイプより長さがあり最も長いクラシカル(レッドリング)はネジ側もメッシュ加工されています。


■ サウンドインプレッション

TWISTURA D-MinorTWISTURA D-Minor」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。トラディショナルなV字傾向ながら派手すぎず、中低域は適度に温かく、高域は刺激を抑え聴きやすくまとめられています。バランスとしては上位モデルの「D-Major」のほうがニュートラル寄りですが、高域に多少派手めの特徴があるちょっとクセのあるサウンドだったのに対し、「TWISTURA D-Minor」はややウォームで解像感などはそこそこですが、全体のバランスは非常に良く、リスニングイヤホンとしてとても使いやすい印象です。
各フィルターについてもフィルター自体は「D-Major」も「TWISTURA D-Minor」も同じものを使用しているようですが、多少個性的な変化だった「D-Major」に対し、「TWISTURA D-Minor」では「ブラック」を基準に、高域強化の「ブルー」と低域強化の「レッド」という分かりやすい変化となります。
音質面ではもちろん相応の部分もありますが、30ドル程度の驚異的な低価格も踏まえ、個人的には「TWISTURA D-Minor」のほうがトータルでのまとまりは良く感じます。

TWISTURA D-MinorTWISTURA D-Minor」の高域は全体的な中低域寄りのバランスもあり主張は控えめで刺激を抑えた音を鳴らします。ただ伸び自体は良いため、「ブルー」フィルターに加え、高域の情報量の多い銀メッキ線などへのリケーブルで多少「化ける」可能性はあります。特に高域の見通しの良さや解像感を気になる方にとってはリケーブルは必須となるかもしれませんね。

中音域はV字傾向のバランスのため曲によって多少凹みますが、適度なレイヤー感で見通しの良さも確保されており自然なバランスで楽しめます。全体としてはややウォームで明瞭さも付属ケーブルではそれなりの印象ですが(まあ価格相応ともいえます)、トラディショナルなV字のバランスで適度なレイヤー感があるためボーカルは自然な距離感で定位し、男性ボーカルも女性ボーカルも自然な印象で再生され、演奏も自然に分離します。
TWISTURA D-Minor音場も広く感じられ左右の広がりと奥行きにより臨場感を演出します(ただし、分析的には定位は正確ではありません)。多少あっさり目の印象もありますが、それ故に解像感は適度に高く、スッキリ目の音で分離も良く感じられます。ただスピード感やキレ感はあまり感じないため、中華ハイブリッドのような明瞭感を好まれる方には多少物足りないかも。また最近のU字やW字傾向のようにボーカル域を前傾させないため、これらの製品と比較してボーカルを中心に聴く方にはもう少しエネルギーが欲しいと感じるかも知れません。この辺は好みによって選ぶ感じですね。

低域はミッドベースを中心に多めの量感があり、適度に温かく厚みがあります。ただ締まりは良く、中高域が籠もることはありません。ミッドベースは重低音より主張があり心地よいインパクトがあります。ウォーム寄りですが締まりが良いため心地良く刻み中高域を支えます。重低音は地響きようなの重量感はありませんが適度な深さがあります。どのような音源でもそれなりに楽しめる印象ですが、低域も他の音域同様にスピード感はあまり感じずゆったりした印象のため、音数の多いハードロックではちょっと物足りないかもしれません。


■ まとめ

TWISTURA D-Minorというわけで、「TWISTURA D-Minor」は当初、価格破壊なイメージが強かった「D-Major」のさらなる価格破壊、みたいな「どういうこと」みたいな製品ではありましたが、実は「D-Major」のほうが多少マニアックでユーザーを選ぶ感じで、むしろ「TWISTURA D-Minor」のほうがより万人向けのサウンドという印象でした。製品としては非常に良いと思うのですが、メーカー的に、製品的に、やっぱりいろいろツッコミ所のおおいアイテムですね(^^;)。
現在のところ「TWISTURA D-Minor」はアマゾンでは販売されておらず、国内代理店経由でもリリースされていないですが、個人的にはこっちを5千円程度で販売したほうが「D-Major」よりセールス的にも良いような気がします。興味がある方は今のうちに押さえておくのも良いと思いますよ。