KBEAR KB02

こんにちは。今回は 「KBEAR KB02」です。「KBEAR」ブラントとして初めて骨伝導ユニットを搭載したモデルです。ベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーを搭載し、骨伝導ユニットと組み合わせた構成でニュートラル傾向ながら深い低域と臨場感のあるサウンドを実現。さらに30ドル台、5千円台の低価格を実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

中国のイヤホンブランド「KBEAR」はEasy Earphonesなどのセラーを中心に販売されるブランドで、姉妹ブランドの「TRI Audio」と併せて意欲的な新製品を数多くリリースしています。同社自体はファブレスのため、製造を行うファクトリーごとに複数のラインが存在しまが、同社エンジニアによる一貫したチューニングにより、ブランドとして統一性のあるサウンドを実現しているのも特徴的です。

KBEAR KB02」は10mm ベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載するモデルで、さらに低域を保管するため「KBEAR」初となる骨伝導ユニットを搭載したイヤホンです。
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KBEAR KB02」が搭載する10mm ベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーは「Kiwi Ears Cadenza」が搭載するドライバーと同様のユニットを採用しておりパワフルで安定したサウンドを実現しています。このユニットをよりステムノズルに近い位置に配置され、中高域の性能をさらに向上。同時に低域を補うために骨伝導ユニットを追加することでリスニング特性に優れ、バランスの取れた美しいサウンドを提供します。
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KBEAR KB02」のシェルは3Dプリントされた樹脂製で、精緻な加工とフェイスプレートの仕上がりにより高い質感を実現。さらにシェルキャビティ内に収容された骨伝導ユニットは振動エネルギーを効率的に伝導し、低域および超低域を補完します。より広い音場を実現し、レイヤーとディテールを豊かにすることができます。
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ケーブルは0.78mm 2pin仕様でリケーブルも可能。カラーバリエーションは「パープル」「ブルー」「ブラウン」の3色を選択可能です。

KBEAR KB02」の購入はAliExpressのEasy EarphonesまたはアマゾンのYinyoo-JPにて。
価格は39.99ドル、アマゾンでは5,899円です。

AliExpress(Easy Earphones): KBEAR KB02 ※掲載時セール価格28.70ドルで販売中


Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): KBEAR KB02 ※掲載時24% OFFコードあり


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Easy Earphones より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

KBEAR KB02」のパッケージは本体画像を掲載したデザイン。ボックスサイズなど以前レビューした「KB01」を踏襲しており、モデル名称同様シリーズとして踏襲していることが分かります。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースが3種類でそれぞれS/M/Lサイズ、説明書。イヤーピースは一般的な赤軸グレーのタイプのほか、ブラックの少し柔らかいタイプと、ホワイトの開口部が広いタイプの3種類が付属します。
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KBEAR KB02」の本体は3Dプリントによるレジン製でステムノズルは金属製。骨伝導ユニットを搭載したことで1DD構成の「KB01」より多少大きくなっているものの、耳に収まりやすい形状で比較的コンパクトにまとめられています。そのため装着性も良好な印象です。
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10mmベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーには「Kiwi Ears Cadenza」と同様のユニットを使用しているようですが、製造そのものも同じファクトリーに委託している可能性も高そうです(前述の通り「KBEAR」はファブレスのブランドで、製造そのものはシリーズごとに各ファクトリーに委託し、「KBEAR」により販売のほか、商品企画や一貫性のあるサウンドチューニングを行っています)。
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付属ケーブルは4芯タイプの高純度無酸素銅線で、比較的細く柔らかい線材を使用しており、取り回しは良好です。コンパクトな本体と外観でもしっくりした組み合わせですね。こちらも「KiwiEars」製品のケーブルとよく似ていますね。
イヤーピースはこの価格帯のイヤホンとしては珍しく3種類のタイプが各サイズ付属します。付属品のほかよりフィット感のあるタイプに交換するのも良いと思います。


■ サウンドインプレッション

KBEAR KB02KBEAR KB02」の音質傾向はニュートラルな印象の弱ドンシャリをベースに、骨伝導ユニットにより低域及び重低音の深さや厚みがブーストされた印象。音質傾向自体はシングルドライバー構成の「KB01」とも非常に似ており、搭載挿しているダイナミックドライバー自体はどちらも「Kiwi Ears Cadenza」と同様のベリリウムコート振動板ドライバーを採用しているものと思われます。
ただし、「KB01」がインピーダンス32Ωだったのに対し、「KBEAR KB02」はインピーダンス40Ωと骨伝導ユニットが追加された分、若干駆動力が必要な仕様となっています(感度は109dB/mW)。そのためより駆動力のあるDAPやアンプでしっかり鳴らした方が骨伝導による低域の深さとベリリウムらしいキレ感がハッキリと実感出来るでしょう。
骨伝導ユニットにより低域は強化されているものの量感そのものは大きな変化は無く、全体としてはフラット方向に近いニュートラルなバランスで仕上げられており、同時に軽くならずにしっかりとした深さと強さを感じさせる印象にまとまっています。

KBEAR KB02またリケーブル効果も大きいため、情報量の多い明瞭感のあるケーブルに交換することでより立体的でメリハリのある変化を楽しめます。またほぼ姉妹イヤホンともいえる「Kiwi Ears Cadenza」と「KB01」では「Cadenza」のほうがやや低域寄りの弱ドンシャリで、「KB01」のほうが少し低域を押さえフラット方向の印象でした。これに対し、「KBEAR KB02」では「KB01」で少し控えめな低域を骨伝導ユニットが保管することで全体としてリスニング方向のバランスが向上し、レイヤー感のある音場を実感出来るように変化しています。

KBEAR KB02」の高域は聴きやすいバランスながら、駆動力のある再生環境で鳴らすことで伸びも向上し、ベリリウムコートらしい明瞭で直線的な印象も感じられます。またリケーブルなどでもある程度は透明感や見通しも向上するようです。全体としては最近の多くの製品同様刺激をコントロールし効きやすくまとめられており、刺さりなどは無く聴きやすい印象です。それもでシンバル音などは籠もらず明瞭に鳴らす印象はベリリウムコートならではの解像感だと思います。

KBEAR KB02中音域は癖の無い音をありのままに鳴らす印象。曲によって僅かに凹みますが、滑らかさと見通しの良さを感じます。ボーカル帯域は自然な距離で定位しますが表現に不足はありません。音場は骨伝導ユニットによる恩恵により「KB01」より広さがあり、よりレイヤー感のある奥行きにより空間表現を演出します。ボーカルと演奏の分離も良好です。
KBEAR KB02」では「KB01」や「Cadenza」と同様に解像感やキレ感という点では、より高価格帯のベリリウム系のドライバーで期待するほどの印象は感じないかもしれないものの、レスポンスは良くこの価格帯のリスニングイヤホンとしては自然かつ明瞭な質感を実現していると思います。また骨伝導ユニットの恩恵はそこまで大きくないものの、空間表現などで適度に下支えしている印象です。

KBEAR KB02低域は全体としてのバランスとしては「KB01」同様にニュートラルでブーストされた印象は無いものの、骨伝導ユニットの恩恵により特に重低音の深さなど存在感が増しており、「KBEAR KB02」ではニュートラル系にありがちな軽くて臨場感に欠けるような印象はあまり感じないように補完されています。「KBEAR KB02」では結果として「KB01」よりインパクトや重量感があり、「Cadenza」より全体としてスッキリとした見通しの良さでより解像感を感じられる印象にまとまっています。
重低音はより深く、自然な重量感があり、ミッドベースは過度に膨らむこと無く直線的な印象。スピード感のあるキレの良い低音を鳴らしつつ臨場感のある音場表現を実現しています。また寒色になりすぎず適度な温かみを持っており、ベリリウムコートらしいスピード感との組み合わせで楽しさを感じさせます。


■ まとめ

KBEAR KB02というわけで、「KBEAR KB02」は30ドル台、5千円台の低価格ながら、ベリリウムコートドライバーに加え骨伝導ユニットも搭載し、ニュートラルなバランスと臨場感のある深い低域を両立していました。本気を出すには再生環境やケーブルを多少考慮する必要もありそうですが、手頃な価格でバランスの良いリスニングサウンドを体験できるのは非常に有り難いですね。
実際初回入荷分はリリース後早々に売切れ、本レビュー掲載の数日前に再入荷した分もかなり好調に販売されているようです。今後も人気は継続しそうですね。