PULA ANVIL114

こんにちは。今回は 「PULA ANVIL114」です。新興ブランド「PULA Audio」による新モデルで、114という数字は「1DD+1BC+4BA」という構成から来ていると思われます。3Wayの滑らかで均整の取れたニュートラルサウンドを11mmサイズの骨伝導ユニットによりブーストし非常に楽しいサウンドを実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

PULA Audio」 は新興の中華イヤホンブランドで、グローバルモデルとして発売された「PA01」(1DD)、「PA02」(1DD+4BA)の成功を経て新たにリリースされたのが今回の「PULA ANVIL114」です。1DD+1BC+4BAの6ドライバーハイブリッド構成で、CNC加工された木製フェイスパネルを採用し、ユニークな外観とユニークなトライブリッド構成で、優れた音響性能を実現します。

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ドライバーには高域用と中音域用の2種類の2BAユニットによる合計4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー、低域用の10mmサイズのバイオメトリック振動板ダイナミックドライバー、11mm骨伝導ユニットを搭載する6ドライバーハイブリッド構成を採用。正確なクロスオーバー処理により高域用2BA、中音域用2BA、低域用1DDユニットは調整されており、骨伝導ユニットはイメージングとサウンドステージ全体を強化します。
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ケーブルは4芯タイプの高純度単結晶銅ケーブルを採用。プラグは交換可能で3.5mmおよび2.5mm/4.4mmのバランス接続用プラグが同梱されます。
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購入はHiFiGo(hifigo.com)またはAliExpress、アマゾンのHiFiGoストアにて。
価格は199ドル、アマゾンでは31,339円です。

HiFiGo(hifigo.com): PULA ANVIL114 ※現在179.99ドルで販売中


Amazon.co.jp(HiFiGo): PULA ANVIL114 ※掲載時10% OFFクーポン配布中


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージはシンプルな化粧箱デザイン。裏面に仕様がプリントされています。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ(3.5mm、2.5mm、4.4mm)、イヤーピースはAET07タイプ4サイズ、AET02タイプ(ダブルフランジ)2サイズ、一般的なタイプおよび高密着シリコンタイプ(それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース、説明書。
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PULA ANVIL114」の本体は3Dプリントによるレジン製で、フェイスにはウッド製プレートをレジンパネルに埋め込まれています。
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特に10mmのダイナミックドライバーと11mmの骨伝導ユニットを含む6基のドライバーを搭載するハイブリッドモデルのためシェルは厚みがあり、フェイスも丸みを帯びた形状です。耳への収まりは良いですが本体のステム部分が長いため小さめのイヤーピースで耳奥まで入れることでよりしっかりした装着感が得られると思います。
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ケーブルはシルバーの4芯撚り線タイプで適度な太さもあるケーブル。交換可能なプラグは3.5mm、2.5mm、4.4mmの3種類。コネクタは中華2pinタイプです。
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イヤーピースはAET07風タイプが4サイズ、ダブルフランジのAET02風タイプが2サイズ、Candy風タイプ、T-Eartips風タイプがそれぞれS/M/Lサイズとかなり充実しています。好みに応じて最適なイヤーピースを選択できますね。


■ サウンドインプレッション

PULA ANVIL114PULA ANVIL114」の音質傾向は若干中低域寄りのニュートラルバランスで、いわゆるハーマンターゲット的なU字型よりフラット方向に近い印象。曲によってはボーカル域が近くW字寄りともいえるかな、ぐらいのチューニングです。バランスとしてはKXXS系統のMoondrop的なニュートラルさも感じさせますが、さらに骨伝導ユニットにより深さが追加され、あまり淡泊にならずに適度な臨場感を与えています。見方を変えると自然な印象よりリスニング的な楽しさを意図した音作りとも言えるでしょう。
骨伝導ユニット以外の構成では、高2BA、中2BA、低1DDの比較的トラディショナルな3Way仕様で、クロスオーバーの制御は滑らかなつながりの良さがあります。この辺のクロスオーバー技術は「AFUL Performer 5」以降、各中華ブランドでも非常に洗練されてきており、特にミドルグレード以上の製品では意図的にハイブリッド的なメリハリを強調している製品以外では最近はむしろ滑らかに調整されている方が当然、くらいの感じなのかも。
PULA ANVIL114骨伝導ユニットは11mmサイズの大口径のものが搭載されており、全ての音域で深みを提供する役割を担っています。そのため小さめのイヤーピースを使用して耳奥までしっかり装着することでよりしっかりと恩恵を実感出来ると思います。また比較的鳴らしやすいため、小型のオーディオアダプタなどでも楽しめる印象です。

PULA ANVIL114」の高域は、明瞭で解像感も高い印象ですが、主張はやや控えめで刺激を抑え聴きやすくまとめられています。ともすると多少暗めに感じそうなバランスですが骨伝導ユニットによりエネルギッシュさがブーストされ、煌めきを感じやすくなっています。全体のバランスとして楽しく感じ明瞭感もありますが、高域好きの方には多少好みの分かれる印象かも知れませんね。

PULA ANVIL114中音域はフラット方向にニュートラルで、癖の無い音を鳴らします。BAユニットによるハイブリッドのため若干の寒色傾向ですが、中低域に多少アクセントがあり厚みと適度な温かみを持つため、ドライになりすぎす心地よいバランスに調整されています。分離も適切で音場も自然な広さと奥行きがあります。U字傾向またはW字傾向のイヤホンのようなボーカル域の前傾は無く、自然に定位しますし、女性ボーカルの高域を強調するような印象もありませんが、見通しは良く音源を正しい定位で鳴らしてくれる印象です。このような傾向の場合、「Moondrop KXXS」のようにやや淡泊に感じる場合も多いのですが、「PULA ANVIL114」では骨伝導ユニットにより深みが加えられており、リスニング的には物足りなさを感じない仕上がりになっています。もっともHIFI(原音忠実)という意味では異なり、脚色のあるサウンドに分類されます。

PULA ANVIL114低域は自然な量感があり、質感も良く感じますが、バランスとしてはミッドベースを中心に全体を下支えする印象です。重低音もある程度の沈み込みがありますが重量感はやや控えめです。
ミッドベースはスピード感があり、締まりの良さを感じます。そのため量的に多少ブーストされていますが籠もることは無く、適度なアクセントを与え、中高域を下支えします。骨伝導ユニットは控えめの重低音をフォローし、全体的に臨場感を付加する効果を僅かながら与えています。それでもEDMやハードロックなど低域の強い曲ではやや物足りなく感じる場合があります。


■ まとめ

PULA ANVIL114というわけで、「PULA ANVIL114」はフラット方向のニュートラルサウンドにまとめつつ、中低域寄りのバランスで聴きやすく自然な臨場感を与えるサウンドチューニングと、骨伝導ユニットにより全体的な深みを加えることで淡泊にならずリスニング的に楽しく仕上げているのが印象的でした。また高2BA、中2BA、低1DDのマルチドライバーハイブリッド構成ながら滑らかな調整でミドルグレードらしい音作りの良さも感じさせます。
外観およびチューニング、付属品など、総じて全体的な偏差値が相応に高く、さらに骨伝導「らしさ」による楽しさを個性としたイヤホンとしてなかなか興味深い製品だと感じました。199ドルという価格設定もこの構成と内容としては手頃感がありますし、興味のある方は挑戦いただくのも良いと思います。