こんにちは。今回は 「7HZ G1」です。35ドル、5千円台の低価格ながら金属製のシェルにDLC振動板の高性能ダイナミックドライバーを搭載。ニュートラルな方向性を維持しつつバランスの良いV字傾向で心地よいリスニングサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「7HZ G1」は個性的なイヤホン製品でマニアの間でも独自の地位を確立している印象の中華イヤホンブランド「7Hz(Seven Hertz)」の新しい30ドル級の低価格モデルです。金属シェルに新しい10mm DLC振動板 二重磁気回路デュアルキャビティダイナミックドライバーを搭載したシングルダイナミック構成のイヤホンです。
「7HZ G1」のドライバーは、フラグシップ級の10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載。カスタムDLC(Diamond-Like Carbon)振動板を搭載し、高性能N52マグネットを使用した二重磁気回路、デュアルキャビティ構造を採用することで過渡応答、高周波拡張、解像度などの重要な領域で優れており、高いオーディオ パフォーマンスを実現しています。
「7HZ G1」は熟練したサウンド エンジニアによって細心の注意を払って微調整され、周波数応答は Harman Target Curve に準拠し設計されています。
またケーブルには0.78mm 2pin仕様の高品質無酸素銅ツイストケーブルを付属しています。
「7HZ G1」の購入はLinsoulの直営店またはAmazonなどの店舗にて。
価格は34.99ドル~、Amazonでは5,380円~です。
Linsoul(linsoul.com): 7HZ G1
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): 7HZ G1
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Linsoul(linsoul.com): 7HZ G1
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免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「7HZ G1」は3.5mmのマイクなしとマイクありを選択できます。今回は3.5mmのマイクなし仕様で届きました。製品画像を掲載した化粧カバーに覆われたパッケージです。
パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは「AET07」タイプが4サイズ、シリコン製ケース、説明書。ケースがちょっと大きめのシリコン製なのは最近の7Hzでは特徴的ですね。
本体は金属製でシェル形状は「TRN VX」をちょっと彷彿とさせる形状。30ドル級、5千円台の低価格イヤホンとしては付属品も含め結構しっかりした印象。
耳への収まりは良く装着性も良好です。イヤーピースはAET07タイプなのでそのまま利用しても大丈夫な品質ですが、フィット感や好みに応じて交換するのも良いですね。私は例によって「TRN T-Eartips」に交換しました。
ケーブルは樹脂被膜の銅線タイプで、被膜は適度な弾力があり取り回しはしやすいですね。0.78mm 2pin仕様のためリケーブルの選択肢も多く、変更による違いを試して見るのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「7HZ G1」の音質傾向は比較的聴きやすく調整された弱ドンシャリ。製品説明ではハーマンターゲット準拠という記載もありますが、中音域付近は癖の無いニュートラルな印象ながらバランスとしてはよりV字方向でパワフルな低域と中高域付近を中心によりエネルギッシュな高域が特徴的です。金属シェルを活かした硬質感とDLC振動板の自然な音色を上手く調整しており、明瞭ながら聴きやすいリスニングサウンドに仕上げられています。
またドライバーのポテンシャルは非常に高くリケーブルによる変化も大きめ。特に情報量の多い高純度銅線や合金線と相性が良くバランス良く透明感や解像感、音場感を向上させます。
同様に再生環境でも特に高域の印象でも違いを感じやすく、組み合わせによっては多少高域の刺激が多く感じる場合もあるかも知れません。標準ケーブルの場合は多少駆動力のある再生環境の方が全体的な主張がアップし聴きやすいバランスになると思います。
「7HZ G1」の高域はある程度刺激を抑え聴きやすくまとめつつ中高域付近のアクセントによりエネルギッシュな印象で鳴ります。DLC振動板の特徴を活かし硬質過ぎず自然な印象ながら解像感は高く、見通しの良い伸びのある音です。ただし再生環境やケーブルによっては主張が増す可能性があります。また4k~5kHzのあたりに独特のアクセントがあるらしく、ハイハットなどの輝きがより鮮明に再生される反面、曲や再生環境ではうるさく感じる可能性もあります。個人的には好きな音作りですが好みはあるかも知れませんね。
中音域はバランスとしてはニュートラルで癖の無い音を鳴らしますが、低域および高域が多少ブーストされているため、相対的に凹む印象に感じる場合があります。
女性ボーカルの高音などの中高域にアクセントがあり伸びやかさを感じるあたりに「ハーマンターゲット準拠」ぽさを感じます。そのためボーカル域はあまり凹む印象は無く鮮明でハッキリした音像で再生されます。DLCによる解像感と滑らかさを金属シェルで鳴らすことで若干硬質な方向に調整しており、硬すぎない範囲で明瞭さがあります。
分離の良さから音場も比較的広くV字的なレイヤー感もあります。この辺はリケーブルによりさらに強調され立体的に感じることができるでしょう。モニター的な定位ではありませんが、心地よい臨場感があり、動画視聴やゲーミングの用途でも音像を捉えやすく実用的な印象です。
低域はハーマン的なニュートラルさから若干ブーストされており、特に重低音を中心に力強さとエネルギーがあります。ミッドベースは相対的にやや薄く感じますが締まりが良くスピード感があるためよりタイトな描写を楽しめます。重低音は深く沈み存在感と厚みを与えています。ただしミッドベースほどタイトでは無いためEDMなどの低域の音数の多い曲ではもう少し解像感が欲しいかもしれません。ただ30ドル級のイヤホンとしてはリスニング的なバランスと質感を両立した良い低音だと思います。
■ まとめ
というわけで、「7HZ G1」は改めて7Hzの低価格でも手堅いイヤホンを作る実力の高さを実感したイヤホンでした。とりあえず5千円~6千円程度で使い勝手の良いリスニングイヤホンを探している方には良い選択肢となるでしょう。金属シェルは耐久性もあり、耳への収まりも良い形状のため屋外での利用でも便利そうです。
確かに分析的に聴き込むと高域のチューニングや重低音の解像感などにドライバーの特性を踏まえた価格的な限界も感じさせますが、実用的なアプローチでのチューニングが非常に上手く、高域はハイハットなど可聴域でもっとも高域を感じやすい音域にアクセントを置くことで聴きやすくコントロールしつつも明瞭感を維持し、低域はタイトでスピード感のあるミッドベースで全体的な音像を捉えやすくしつつ重低音の厚みで臨場感を補完するアプローチがあります。またボーカル域はハーマンターゲット的な前傾したニュートラルさで自然で鮮やかなサウンドを演出しています。原音忠実とは異なりますが、使いやすいイヤホンとして有力な選択肢になる低価格イヤホンだと思います。