
こんにちは。今回は 「ZiiGaat x HBB: Arcadia」です。コラボ展開も積極的なZiiGaatブランドによるHBB氏コラボの2BA+1DD構成のハイブリッドモデルです。Knowles製BAとトポロジー振動板ダイナミックドライバーの組み合わせにより質の高いニュートラルバランスとエネルギッシュな低域を実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「ZiiGaat」は10年以上にわたってOEM/ODMで製品を提供してきた中国の製造メーカーが新たに立ち上げた独自ブランドです。同ブランドの製品では「NUO」「Cinno」および昨年「Fresh Reviews」コラボの「ZiiGaat x Fresh Reviews Arete」をレビューしてますが、今回は数多くのブランドとのコラボで定評のあるHBBコラボモデルですね。
「HBB(Hawaii Bad Boy)」は「Bad Guy Good Audio Reviews」の有名レビュアーですが、同士とのコラボモデルは音質面でも高い評価を得ていることでもお馴染みですね。
「ZiiGaat x HBB: Arcadia」は2BA+1DD構成のハイブリッド仕様モデルで、HBB氏によるチューニング及びデザインについての意見を反映しています。


「ZiiGaat x HBB: Arcadia」の搭載ドライバーは高域用にKnowles「RAD-33518」、中音域用にKnowles「ED-29689」、低域用に ZiiGaat独自のトポロジー振動板を備えた10mmカスタムダイナミックドライバーを搭載します。数多くのIEM製品に搭載され高い実績のある2種類のKnowles製の定番バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載し、さらにダイナミックドライバーで採用されるトポロジー振動板ではナノ粒子分散層を使用し表面に幾何学的パターンを構築することで優れたサステインを維持しながら、低音のスピードとインパクトを高めるように慎重に設計されています。


「ZiiGaat x HBB: Arcadia」は、現在のリファレンスクラスのサウンドシグネチャに完全に一致するように調整されています。完全にフラットで自然な中音域を備え音に濁りや色付けをすることなく表現。高音もKnowles の超高周波ツイーターにより、高音上部が非常によく拡張され、風通しの良い雰囲気と高解像度を提供します。プロのミュージシャンやサウンドエンジニアにとって完璧なスタジオモニターとして、リファレンスクラスのサウンドシグネチャを提供します。


購入はLinsoulの直販サイトまたはAliExpressやAmazonのLinsoulのストアにて。
価格は199ドル、Amazonでは31,462円です。
Linsoul(linsoul.com): ZiiGaat x HBB: Arcadia ※掲載時179.10ドルで販売中
AliExpress(Linsoul Audio Store): ZiiGaat x HBB: Arcadia ※掲載時179.10ドルで販売中
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): ZiiGaat x HBB: Arcadia
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「ZiiGaat x HBB: Arcadia」のパッケージは、従来モデルよりさらに凝ったパッケージデザインに進化しました。モデルごとにパッケージアートが豪華になっていますね。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ウレタンイヤーピース1ペア、ハードケース。今回もイヤホン本体に全振りという感じでパッケージ内容は最小限です。


本体は樹脂製でステムノズルは金属製。フェイスパネルのデザインも華やかな印象でミドルグレードらしい美しいシェルデザインです。シェルサイズは前述の「Arete」(4BA+1DD)とほぼ同様で側面のベント(空気孔)がメッシュパーツとなり多少意匠が異なっています。


シェルサイズはやや大きめですがステムノズル部のリーチがあるため装着感はまずまずです。ステムノズルが太いためイヤーピースは開口部の大きいタイプが付属しますが、少し小さめのサイズで耳奥までしっかり挿入して装着する方が好印象でした。そのため今回は「Spinfit CP100+」を選択しました。


ケーブルは黒い樹脂被膜の4芯タイプ。柔らかく取り回しは良い印象です。プラグは中華2pinタイプで、一般的な2pin仕様のケーブルへのリケーブルも容易ですね。
■ サウンドインプレッション

CIEMなどでもお馴染みのKnowles製の定番BAユニットを高域および中音域に配置し、ハーマンターゲットカーブ寄り若干低域を持ち上げてV字方向の特性を増したHBB氏のターゲットカーブにほぼ準拠したバランスに入念に調整されており、ZiiGaat独自のダイナミックドライバーはHIFIMAN等の高級イヤホンでも採用されている技術であるトポロジー振動板は振動板に精密に描写された模様により歪みを抑制し直線的で解像感に優れた低域をパワフルに鳴らします。

また、インピーダンス12Ω、感度106dB/mWとCIEM的な仕様のため、情報量の多いバランスケーブル等にリケーブルした場合、かなり音量に変化がある可能性があります。同様にケーブルによってはメリハリなども強調された印象に変化することもあります。
「ZiiGaat x HBB: Arcadia」の高域はKnowles製BAらしい硬質でスッキリした印象も感じさせつつ、歯擦音など刺激はほぼ完全にコントロールされており聴きやすくまとめられています。搭載される「RAD-33518」はKnowlesの定番ツィーター「WBFK-30095」とほぼ同仕様のユニットで(中国でライセンス生産されている型番のためFiiO等の中華イヤホンで主に採用)ですが、やや暗めにチューニングすることで明瞭感と滑らかさを両立した高域となっています。

中音域はこれも定番のフルレンジユニット「ED-29689」を採用しています。シングルBA機などでも多く採用されるBAで音像表現の質の高さは定評があり「ZiiGaat x HBB: Arcadia」でも踏襲しています。ただ低域とのバランスを考慮し中高域寄りでチューニングが行われている印象もあり、そのため、再生環境や前述の装着方法などによっては男性ボーカルなど中低音が少し薄く感じる場合があります。音場については分離の良さから前後は結構レイヤー感がありますが、広がりはやや少なめで、曲によっては少し狭く感じる場合があります。
低域はトポロジー振動板の特徴を活かした歪みを抑えた直線的な印象で、硬質になりすぎず自然な印象を維持しつつ高い解像感と深さを持っています。ミッドベースはエネルギーがありパンチ力のある音を鳴らします。直線的で自然な締まりもあるのですが、装着位置によってはかなり強めにブーストされ前面で鳴るため、中音域の中低域付近が多少混雑する印象と鳴る場合があります。しっかり奥まで装着することでBAユニットの主張が増し、相対的にニュートラル寄りのバランスとなります。重低音は深さがあり解像感の高さと伸びの良さを感じさせます。自然な音色でキレ重視ではありませんが、ある程度のスピード感もあるため、EDMはハードロックなども結構楽しめそうです。
■ まとめ

でも付属品が貧弱なので、その分イヤホン本体にコストがかかってるという見方もできるけど、イヤピとケーブルは別で用意しないといけないのがマイナス。