
こんにちは。今回は 「TANCHJIM MINO Asano Tanch」です。有線イヤホンの分野では低価格からミドルグレード以上までニュートラルベースの音作りで定評のあるイヤホンブランド「TANCHJIM」のワイヤレスイヤホンです。同社の「MINO」をベースに、自社キャラクターの「浅野てんき(Asano Tanch)」を前面に出した限定バージョンとなっています。
■ 製品概要と購入方法について
「TANCHJIM」(タンジジム)は2015年に設立された中国のイヤホンメーカーで、科学的な解析やロジックに裏付けられた専門性の高い調整によるニュートラルでバランスのよい音作りとシンプルな製品デザインでファンも多いブランドです。最近ではイヤホン製品のほかオーディオアダプターやワイヤレス製品などポータブルオーディオ関連の数多くの製品をリリースしています。
→過去記事(一覧):「TANCHJIM」製イヤホンのレビュー
「TANCHJIM MINO Asano Tanch」は同社のTWS(完全ワイヤレス)イヤホン「MINO」の限定バージョンで、「Feather of Starlight」をテーマにしたユニークなデザインを採用しています。「Feather of Starlight」をテーマにした専用のパッケージを採用し、さらに限定のアクリルスタンドとポストカードも付属しています。充電ケースにも 「浅野てんき(Asano Tanch)」 キャラクターをフィーチャーした美しいアートワークが施されています。


「TANCHJIM MINO Asano Tanch」では「浅野てんき(Asano Tanch)」の声優が録音した音声プロンプトが搭載されています。
ドライバーには強力な磁気回路を備えた 10mm ダイナミック ドライバーを搭載し、超低歪みでクリアでクリーンなサウンドを実現。また「TANCHJIM MINO Asano Tanch」には、最大-45dB のANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載しています。


また86msの低遅延ゲームモードの対応、Bluetooth5.3対応で、ケース込みでは最大37時間の長時間再生が可能です。そして専用の「Tanchjim」アプリでも「Feather of Starlight」テーマのインターフェイスを採用しています。


その他機能諸元は以下の通りで、基本的な仕様はベースとなった「MINO」を踏襲しています。
| Bluetooth | V5.3 |
|---|---|
| ドライバー | 10mm 強磁力 ダイナミックドライバー |
| 振動板 | Beryllium-coated dome + ultra-fiber polymer surround |
| コーデック | AAC / SBC |
| ANC | ANC搭載 最大 -45dB |
| 通話NC | ENC機能 |
| 再生時間 | 本体 5時間 ケース 26時間 |
| 低遅延 | ゲームモード (87ms) |
| 防水規格 | IPX4 (本体のみ) |
| アプリ | TANCHJIMアプリ対応 |
| その他 | Asano Tanch 専用音声ガイダンス |
HiFiGo: TANCHJIM MINO Asano Tanch
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TANCHJIM MINO Asano Tanch」のパッケージは限定バージョンならではのデザインですが、パッケージ以外に付属品がいろいろ一緒に届いたのは驚きです。今回はポストカード、アクリルスタンド、缶バッジが付属してました。


パッケージ内容はイヤホン本体および充電ケース、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、充電用USB Type-Cケーブル、交換用メッシュパーツ、説明書、クイックガイド、特典ステッカーなど。


本体デザインはオリジナルの「MINO」を踏襲しており、充電ケースは透明パーツのフタにAirPods Pro型の形状のイヤホン本体。「TANCHJIM MINO Asano Tanch」ではライトイエローのカラーリングで、充電ケースには「浅野てんき(Asano Tanch)」キャラクターイラストがプリントされています。なおケース裏面には技適マークもプリントされており、日本国内利用も問題ないようです。


本体もケースと同様のライトイエローで本体のタッチセンサー部分はゴールドでカラーリングされています。10mmサイズとTWS製品としては比較的大口径のドライバーを搭載しつつ耳に収まりやすいサイズ感で装着感は良好です。


そして前述の通り、限定バージョンと言うことで先着200個に限り「浅野てんき(Asano Tanch)」のアクリルスタンドやポストカードなどの付属品が付いてきます。


タッチセンサーはシングルタップで再生、ダブルタップで送り/戻し、ANCやゲームモードは長押しで設定されています。「TANCHJIM MINO Asano Tanch」では設定変更時の音声が女性声優さんのキャラボイスになっています。
| 再生/停止 | 1回タップ(左 / 右) |
|---|---|
| 曲送り | 右側 2回タップ |
| 曲戻し | 左側 2回タップ |
| 曲送り | 右側 2回タップ |
| ゲームモード | 右側 2秒長押し |
| ANCモード | 左側 2秒長押し |
| 音声 アシスタント | 3回タップ(左 / 右) |
| 受話/終話 | 着信時1回タップ(左 / 右) |
| 通話拒否 | 着信時2回タップ(左 / 右) |
| 再接続 | 5秒長押し(左 / 右) |
■ 接続と専用アプリ
「TANCHJIM MINO Asano Tanch」と接続すると通常は「AAC」コーデックで接続されます。接続後はAndroidおよびiOS用の「TANCHJIM」アプリで詳細設定が可能です。iOS用アプリは対応バージョンが「App Store」でダウンロード可能ですが、Android用は現在「Google Play」から消えているため、製品付属のユーザーマニュアル巻末またはTanchjimサイトに記載されたURLまたは2次元バーコードから.apkファイルをダウンロードしてインストールします。既にインストールされている場合は最新版へのアップデートを求められる場合があります。その場合、アップデートは中国語のダウンロードページが表示されますが、下の方の「下裁」のボタンからダウンロードおよびインストールを行います。「TANCHJIM MINO Asano Tanch」に対応するバージョンのアプリがインストールされれば、製品情報が表示され「接続済み」となります。
出荷時状態では「TANCHJIM MINO Asano Tanch」は中国語版のファームウェアがインストールされているため、音声アナウンスは中国語となります。そのためまず「TANCHJIM」アプリの「ファームウェアOTAアップデート」画面で日本語ファームウェアをインストールします。またファームウェア自体のアップデートがある場合は接続すると自動的にこの画面へ促されます。アップデートでは「日本語」ファームウェアを選択し、アップデートを実施。無事成功すると再接続が行われ、以降は日本語でのアナウンスになります。
「TANCHJIM」アプリではANCモードの変更や、各サウンド設定などを行えます。「カスタムボタン」設定ではタッチセンサーのアサイン変更を、「サウンド設定」では各イコライザ設定の変更が可能です。また「サウンド設定」では装着検知機能のON/OFFがあることがわかります。


「サウンド設定」ではマニュアルのイコライザ設定のほか、プリセットのなかに「ハーマンターゲット」も3種類あるのが特徴的です。またゲームタイトルごとの設定や、ネットで共有されるプリセットが選べるのも興味深いですね。
ちなみに、ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能はスペックでは「-45dB」と比較的高めですが、実際は特定の音域の環境ノイズを減少させるタイプで効果を感じる場面はそれほど多くありません。本体のバッテリ稼働時間も公称値5時間程度で実際はそれよりすこし短くなるので、通常はOFFで駆動時間をかせいだほうが実用的かも知れませんね。
■ サウンドインプレッション
「TANCHJIM MINO Asano Tanch」の音質傾向(「サウンド設定」はデフォルト)は、バランスとしてはU字寄りの弱ドンシャリですが、印象は少しウォームなニュートラルサウンドに仕上げられています。搭載される10mmダイナミックドライバーは「柔性マイクロファイバーエッジ+ベリリウムメッキドーム複合振動板」を採用しており、おそらく同社の「TANCHJIM ZERO」と同じドライバーを搭載しているようですね。印象としては「TANCHJIM MINO Asano Tanch」のほうが「ZERO」よりは多少中低域寄りにチューニングされており、低域の厚みが増しているほかボーカル域もより前傾している印象。それでも一般的には分かりやすいドンシャリ傾向が多い他社のTWS製品と比べるとかなりニュートラルなバランスで、メリハリの少ない淡泊な印象に感じる方も多いかもしれません。低域が増しているとはいえ音場が左右にはやや狭く感じる点も無味無臭感に拍車を掛けます。低価格のドライバーでは粗の出やすいニュートラル傾向のため、チューニングとしてはウォーム寄りで解像感もそれなりの印象。全体としては自然で滑らかな印象に仕上げています。
「TANCHJIM MINO Asano Tanch」の高域は聴きやすいバランスにまとめつつ適度な明瞭感をもっています。刺さり等はありませんが、TWS製品としてはスッキリとした伸び感も感じられます。多少ドライな印象で適度な明瞭感があるため、逆に曲によってはもう少し解像感が欲しく感じる場合もありますね。
中音域は曲によってはやや凹みますが、ボーカル域は前傾して再生されます。印象としてはニュートラルで癖の無い音を鳴らします。ボーカル域が近くで鳴るため左右の音場はすこし狭く感じますが適度に奥行きがあることで窮屈には感じない印象。女性ボーカルの高音など中高域にアクセントがあり、伸びの良い音を鳴らします。男性ボーカルは厚みや深さは少し控えめですが、ややウォームなチューニングで存在感があるため滑らかで自然な印象にまとめられています。演奏は自然に分離し適度なスピード感と締まりがあります。ウォーム系らしくストリングスや木管楽器のような音がとても映えますね。低域は「ZERO」のフラット方向のバランスと比べると少しブーストされており、自然な量感で全体を下支えします。デフォルトの設定では若干重心が中低域寄りですがバランスとしてはハーマンターゲットに近い印象です。ミッドベースは直線的で響きは抑えられており中高域とは自然に分離します。重低音もそれなりに沈み込みがあり「ZERO」よりは重量感もある印象。解像感を感じさせる音ではありませんが50ドル以下のTWS製品と考えれば十分な質感と言えるでしょう。
■ まとめ
というわけで、「TANCHJIM MINO Asano Tanch」ですが、限定バージョンとしてのキャラ推しの部分の良し悪しは購入される方の好みにお任せするとして、本レビューではベースとなっている「MINO」と同様と思われる音質面や機能面を中心に確認してみました。個人的にはアンダー50ドル級としてはまずまずの仕上がりという印象で、音質面についてもニュートラル系のサウンドで定評のある有線イヤホンのメーカーらしい音作りがTWS中心のメーカーとは一線を画しており、とても興味深く感じました。ただ日本に進出しているTWSメーカーはより日本仕様でのローカライズを強化しており、また海外では同価格帯でも円安の現状での日本ではベースとなった「MINO」でも割高に感じる側面もあります。そうなるとやはり「キャラクター製品」としての強みが前面に出るという流れなのかなとも思います。デザインや付属品などに興味がある方であれば製品としてもTANCHJIMらしくまとまっているので良いと思いますよ。







