7Hz Timeless II

こんにちは。今回は 「7Hz Timeless II」です。「7Hz(Seven Hertz)」を代表する人気モデルのひとつ「Timeless」が大きくグレードアップしました。14mm級平面ドライバーは14.5mmにサイズアップし、よりブラッシュアップしたサウンドで、付属品や外観はもちろん音質面でも大きく向上しています。

■ 製品概要と購入方法について

7Hz Timeless II」は個性的なイヤホン製品でマニアの間でも独自の地位を確立している印象の中華イヤホンブランド「7Hz(Seven Hertz)」が人気ブランドのひとつとして幅広く認知されるきっかけとなった「Timeless」のアップグレードモデルです。

オリジナルの「Timeless」は、14mm級の大口径平面駆動ドライバーを搭載した数多くのイヤホン製品のなかでも比較的初期にリリースされ、以降このジャンルのベンチマークのひとつとして幅広く認知されるようになりました。「7Hz Timeless II」では、最新の研究開発をベースに、さらに大型化した新しい114.5mm平面磁気ドライバーを採用。さらに調整可能なノズルや再設計された音響ドライバー エンクロージャー、新しくアップグレードされたケーブルなど様々な進化を遂げています。

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7Hz Timeless II」のアップグレードされた14.5mm平面磁気ドライバーでは、独自プロセスによる世界初の両面コーティングによる平面振動板を採用。特殊な銀合金を数ミクロンの厚さで均一に表面に塗布し、振動板の表面張力を大幅に高めます。強力な両面 N52磁石アレイによって駆動される新しい振動板は、卓越した応答性を提供します。
また新しい平面磁気ドライバーはダブルアコースティックリアベンティングシステムとよりロッキングシステムを備えた7層のデザインの音響エンクロージャーへ直接取り付けられ、剛性、安定性、表面張力が向上しています。また平面ドライバーとの組み合わせによりバランスのとれた自然なチューニングを実現しています。
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さらに「7Hz Timeless II」は交換可能なノズルシステムを備えています。このノズルは超高音域の拡張と調整を可能にするスピーカーフェーズプラグからヒントを得ています。通常のノズル形状とコーンノズルの2種類の形状についてそれぞれ、ステンレス製、真鍮製の2種類、合計4種類のノズルを交換して変化を楽しむことができます。
またケーブルも0.78mm 2pinコネクタを備えた4芯の7N単結晶銅ケーブルを新たに付属。プラグも3.5mmと4.4mmに交換が可能です。
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7Hz Timeless II」の価格は229ドル。アマゾンでは35,000円です。

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、パッケージは黒い化粧カバーで覆われた白箱タイプ。裏面の情報量の多さも同社のパッケージデザインの特徴ですね。
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パッケージ内容は、イヤホン本体およびケーブル、交換プラグ、フィルターノズル(固定パネル付き)、イヤーピース、メタルケース、説明書。
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付属するイヤーピースは「AET07」タイプが装着済み(S)を含め、SS/S/M/L/LLの5サイズ、「AET08」タイプがS/M/Lサイズ、独自の高密着タイプがS/M/Lサイズ。金属ケースは円形のUMタイプですが本体デザインに併せた格子模様がフタに刻まれていますね。
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本体は「Timeless」と同様の円盤状のフェイスパネルが印象的なデザイン。「7Hz Timeless II」ではフェイス表面は格子模様が刻まれているのが特徴です。この円形フェイスに対しフロントキャビティ(シェルの装着側)は耳にフィットしやすい形状になっています。「7Hz Timeless II」に搭載される平面ドライバーは14.5mmに僅かに大型化して(「Timeless」は14.2mm)いますが、厚みは抑えられており、実際に装着してみると耳にスッキリ収まる感じで装着感自体は比較的良好です。
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コネクタは「Timeless」がMMCXだったのに対し、「7Hz Timeless II」では「Timeless AE」と同じ0.78mm 2pin仕様となっています。3機種の外観上の相違点は、このコネクタ部分と、フェイスの模様、交換可能なノズルフィルター部分で、シェル形状およびベント位置などは「7Hz Timeless II」もそのまま踏襲しています。
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ノズルフィルターは真鍮製とステンレス製の2種類の素材が使用されており、標準の形状の2種類のフィルターのほか、独特のコーン型形状のフィルターも2種類付属します。

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ケーブルはブラウンの被膜の4芯タイプで単結晶銅線タイプの線材が使用されています。コネクタは0.78mm 2pinの中華2pinタイプでリケーブルの選択肢は多いでしょう。またプラグ交換式となっており、4.4mm、3.5mmの変更が可能です。


■ サウンドインプレッション

7Hz Timeless II7Hz Timeless II」の音質傾向は、緩やかなV字を描く弱ドンシャリで、聴きやすい自然なバランスを維持しつつ、自然に伸びる見通しの良い高域と、自然な量感を平面駆動らしい歪みを抑制した印象を維持しつつ広さと深さを感じさせる質の高い低域があります。また中音域はボーカル域に適度なアクセントを加えつつもバランスとしてはニュートラルで癖の無い音を鳴らします。以前の「Timeless」はU字またはW字方向のバランスを持ちつつも低域の厚みなどを感じさせる多少ウォームな音作りでしたが、より明瞭なV字方向に振ったコラボ版の「Timeless AE」を経て、「7Hz Timeless II」ではより自然で質の高いリスニングサウンドに仕上げられている印象です。
また「7Hz Timeless II」では4種類のフィルターの交換が可能ですが、個人的には標準の真鍮製の「フラットゴールド」型がもっともバランスが良く感じました。

なお、それぞれのサウンドフィルターは、標準の「フラットゴールド」型(真鍮)を基準に、ステンレスの「フラットシルバー」型では中高域から高域付近のアクセントを抑制し、相対的に中低域寄りでU字方向のバランスに変化します。ボーカル曲を中止としたリスニングでは「フラットシルバー」型のほうが好感される場合もありそうです。この2種類のフィルターは材質の違いのほか、模様の異なるメッシュパーツの裏側に種類の異なるフィルターが貼り付けられているのを確認出来ます。
7Hz Timeless II
これら標準タイプのフィルター対して、独特の形状をしたコーン型のゴールドとシルバーでは素材の違いのほか内部にびっしりとフィルター材が詰められており、バランスとしては「フラットゴールド」型に近いもののの全体的に少しウォームで、高域がやや細い印象になります。特にコーン型のシルバーでは全体的に鮮明さが抑制された印象となります。刺激が気になる方向けという感じですね。
ということで以下は標準の「フラットゴールド」型をベースに記載していきます。

7Hz Timeless II」の高域は、自然で伸びやかさのある音を鳴らします。大口径の平面駆動型ドライバーは歪みを抑えた低域やニュートラルな高域に強みがあるのに対し、繊細な高域の表現には粗さを感じるという意見もあります。そのため高域用にBAなどの別のドライバーを組み合わせた製品も実際に存在しますが、こちらも平面駆動らしい一貫した音像表現から変化することにネガティブな意見もあるそうです。個人的にも14mm級平面ドライバーの製品ではシングル仕様のほうが好みの機種は多い気がしますね。
7Hz Timeless IIそんななか「7Hz Timeless II」では「Timeless AE」版を経てより入念なサウンドチューニングを行い、平面ドライバーとしての一貫性を維持しつつより詳細で鮮やかさを持ちつつ質感も向上した印象になりました。標準の「フラットゴールド」型のフィルターは同社によるひとつの回答と言えるでしょう。そのうえで、さらに3パターンの回答もフィルター交換により提供するあたりに、さらなる入念さを感じますね。特にU字またはW字方向に変化する「フラットシルバー」型フィルターではバランスとしては「LETSHUOER S12 PRO」あたりの傾向に近づくため、ボーカル曲を中心に楽しむ場合はこちらを好感する方も多いかもしれませんね。

中音域は弱ドンシャリのV字傾向を描くバランスのため若干凹みます。しかし平面駆動らしいニュートラルさと非常に高い解像感と分離により見通しは良く、物足りなさを感じることはほぼ無いでしょう。
7Hz Timeless II7Hz Timeless II」のボーカル域は自然な距離で定位し、音場の空間表現は音源に忠実です。標準の「フラットゴールド」型のフィルターでは全体的にエネルギッシュな印象で、適度に明るく鮮やかな印象です。女性ボーカルの高音には適度なアクセントがあり伸びの良さがありますが、大きな強調は無く、原音への忠実さも実感出来ます。男性ボーカルは広さと豊かさがあります。演奏は自然に分離し、非常に詳細なディテールを歪み無く表現してくれます。「フラットシルバー」型では少し音量が下がりますが、ゲインを上げるとW字方向の変化を実感でき、ボーカル域も少し前傾します。ただ中高域はややウォームになります。

低域は「Timeless」より量感を増しつつもタイトな印象で、十分な厚みと量感を感じさせつつ、スピード感のある音を鳴らします。アタックは非常に心地よく、重低音も自然な深さがあり解像感も感じさせます。平面駆動らしい分離の良さを感じさせる歪みの少ない広さのある空間表現で原音をしっかり描写させ、自然でかつ存在感のある低音を鳴らしてくれます。


■ まとめ

7Hz Timeless IIというわけで、「7Hz Timeless II」は14mm級平面駆動ドライバー搭載イヤホンのなかでも代表格のひとつとして知られる「Timeless」の個性的なデザインと音作りを踏襲しつつ、平面駆動としてウィークポイントになりやすい高域の質感を向上させ、「Timeless AE」での低域のエネルギッシュな量感を踏襲させるなど、同社の経験を踏まえたアップグレードにより、さらにバランスの良いリスニングサウンドに仕上げられていました。同様なドライバーを搭載する製品のなかでも200ドル超と少し上のグレードの製品ですが、競合機種と比較してもその価格に見合う進化をしたのではと感じます。興味のある方へはより魅力的な製品になったと思いますよ。