
こんにちは。今回は 「EarFun Tune Pro」です。ワイヤレスヘッドホン製品ながら40mm PET複合振動板と10mm LCP複合振動板の2種類のダイナミックドライバーを搭載する2DD構成で、-45dBの強力なANC機能や非常に詳細な設定が可能なアプリなどワイヤレスの機能面でも充実しつつ1万円を大きく下回るお手頃価格で購入可能な魅力的な製品です。
■ 製品概要と購入方法について
「EarFun」は現在では日本でも低価格&高性能なワイヤレス製品のブランドとして広く認知されています。特に完全ワイヤレスイヤホン(TWS)製品では高性能ANC搭載モデルを中心に高い人気があります。
今回の「EarFun Tune Pro」は同社が手がけるオーバーイヤー型のワイヤレスヘッドホン製品で、ヘッドホン製品としては初めて40mmと10mmのデュアルドライバー構成を採用したワイヤレス/有線兼用のモデルです。


「EarFun Tune Pro」のドライバーには40mm PET複合振動板ダイナミックドライバーと10mm LCP複合振動板ダイナミックドライバーのデュアルドライバー構成を採用し、低音から中音域、高音までバランスよく再現します。深みのあるベース、透明感のあるボーカル、繊細な楽器の響きを実現し、まるでコンサートホールの最前列にいるかのような臨場感を提供します。
「EarFun Tune Pro」はBluetooth 5.4対応のワイヤレスモードに加え、USB Type-CおよびAUX接続(3.5mmステレオ)による有線接続に対応。AUX接続ではハイレゾ規格に対応した高音質再生が可能。USB接続ではデジタル接続によりノイズの影響を最小限に抑え、原音に忠実なサウンドを実現します。またBluetoothワイヤレス接続では最大-45dBのハイブリッド式アクティブノイズキャンセリング(ANC)に対応し、飛行機や地下鉄、バスなどの騒音を効果的に遮断できます。


そして、「EarFun Tune Pro」は最大120時間の連続再生(ANC OFFモード時)に対応。ANCを利用した場合も最大80時間の再生が可能です。急速充電では10分間の充電で15時間の利用が可能。
他にも便利機能として、iOS、Android、PCなど2台の機器と同時接続が可能なマルチポイント対応、低遅延のゲームモードなどにも対応。「EarFun Audio」専用アプリを使用することでより詳細な設定が可能。マルチバンドイコライザー、バッテリー表示、カスタマイズ可能なタッチコントロールなど豊富な機能が利用できます。


カラーバリエーションは「ブラック」と「ホワイト」の2色から選択可能です。
「EarFun Tune Pro」はアマゾンの公式ストアまたは主要専門店にて購入可能。価格は8,990円です。
※掲載時1200円OFFのクーポンが利用可能です。※クーポンコード「HPTDPRTY」の提供をいただきました。最終価格6,691円で購入可能です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして EarFun より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「EarFun Tune Pro」のパッケージは同社イヤホン製品同様に製品画像を乗せたシンプルなパッケージデザイン。裏面には製品仕様等が記載されています。


パッケージ内容は、ヘッドホン本体、充電用およびデジタル接続用USB Type-Cケーブル、有線接続用3.5mmプラグケーブル、ヘッドホンケース、説明書、保証カード。


「EarFun Tune Pro」の本体は樹脂製のシンプルな形状で楕円形のイヤーカップを中心にすっきりとまとまった洗練されたデザインですね。高性能なワイヤレスヘッドホンながら289.5gと比較的軽量で、イヤーパッドは低反発クッション素材を採用しています。側圧は「Wave Pro」より強くなっている印象ですが、柔らかいフィット感でしっかり耳を覆い、長時間のリスニングでも痛くならない印象の装着感ですね。


「EarFun Tune Pro」の本体の右側下部には電源ボタンと+/-ボタン、マルチファンクションボタン(MFB)、さらに有線接続用のAUXポートがあり、左側には「ANC」ボタンと、下部にデジタル接続および充電用USB Type-Cポートが配置されます。


再生/停止や受話/終話がMFB、+/-ボタンは1回押しで音量調整、2秒長押しで曲送り/戻しとなります。「ANC」ボタンはノイズキャンセリング→ノーマル→外音取込みと切替えられます。なお、通話中はMFBを2回押しで通話切り替え、2秒長押しで通話拒否となります。
アプリが使用できない専用プレーヤーやPC/Macなどでペアリングした場合もボタンで一通りの操作が可能です。さらにこれらのボタン設定は後述の通りアプリで割当てを変更することが可能です。
■ 専用アプリについて
「EarFun Tune Pro」のペアリングは非常にスムーズに行えます。iPhone、Androidともペアリングしてみると「AAC」コーデックでペアリングされます(メーカーサイトでは「SBC」のみ対応の記載になっている場合もありますが実際は「AAC」「SBC」の対応です)。ペアリング後「EarFun Audio」アプリを立ち上げログインすると、「EarFun Tune Pro」を認識し、各種設定を行えます。またファームウェアのアップデートがあれば起動時に表示してくれるようです(指示通りに操作することでアップデートされます)。


「EarFun Audio」アプリ画面では上から「ANC」モードの変更、「ゲームモード」のON/OFF、「シアターモード」のON/OFF、「EarFun イコライザー」、「キーのカスタマイズ」(ボタン設定の変更)、「USB Audio 充電」(USB Audio使用時に同時充電を行うかどうか)、「デュアルデバイス接続
またイコライザーの設定は「プリセット」では「デフォルト」のほか「プリセット」では「Rock」「Pops」「Country」「R&B」「Classical」「Jazz」「Electronic」「Dance」「Hip-Hop」「Metal」「Blues」「Soul」「Hits」「Latin」「Natural」、さらにボーカル強/弱、低音強化3段階、高音強化3段階、低音減少3段階、高音減少3段階、と、実に30種類のイコライザー設定が選べます。以前レビューした「Wave Pro」は確か10段階だと思いますので、相当なメニュー増加ですね。さらに「カスタマイズ」設定と聴覚検査により自動で最適化する「適応イコライザー」も利用できます。■ サウンドインプレッション
「EarFun Tune Pro」の音質傾向はワイヤレス接続時は多少元気な印象のあるバランスの良い中低域寄りのドンシャリ傾向。デュアルドライバーの特徴を活かし、より厚みと深さを感じる低域と高域用ドライバーのLCP振動板らしいスッキリした明瞭感が印象的です。また「EarFun Audio」アプリでのイコライザー設定で「プリセット」がデフォルトを含めて30種類と「Wave Pro」から一気に3倍増となったことで、「プリセット」を選択するだけでもかなり細かな微調整ができるようになりました。オーディオファンの気軽なリスニングも含め多くの方にとって十分に実用的なサウンドといえるでしょう。ワイヤレスコーデックがAACとSBCだけというのは物足りない気もしますが、LDACは高音質なかわりにビットレートが高く混雑した通勤電車などでは頻繁に途切れる原因にもなりますし、aptX系は最近では音質重視のLosslessなどもありますが、通常のaptXなどは圧縮率を高める関係で原音忠実性がAACやSBCより損なわれているという意見もあります。なによりiPhoneなどをメインで使用する場合は必然的にAACとなるため、実はそれほど困らない、というのが実情かもしれません。
ちなみに、「EarFun Tune Pro」はメインとなるBluetoothワイヤレス接続に加え、USBオーディオ出力、AUXステレオ出力の3系統の出力に対応し、3つのどの接続方法でもANC(アクティブノイズキャンセリング)が利用できる、という点で、より進化した無線および有線接続の兼用ヘッドホン製品といえるでしょう。そのため、たとえば通勤中はワイヤレスで利用し、仕事中はUSB接続で利用したり、ゲームではAUXからゲーム機につないで利用、みたいな使用方法をイメージされる方もそれなりにいらっしゃると思います。ただ、実際は音質面においては「Bluetooth接続」>「USB接続」>「AUX接続」といった感じで音質の差があります。USB接続はデジタル入力のため本来はAACコーデックによる圧縮をかけるワイヤレスより高音質になるはずですが、「Bluetooth接続」以外では「EarFun Audio」アプリを使用することができません。つまりこのアプリによるイコライザー制御はかからないわけです。それ以外にもアンプ等経由している回路の違いから「USB接続」のほうが少し遠く乾いた印象の音で再生されます。
さらに「AUX接続」では電源OFFの状態では「Wave Pro」の有線接続とよく似た印象でさらに遠くなります。ある程度音量を上げたり駆動力のあるアンプ等を経由することで実用的な変化は得られるものの、相応に違いはあるわけです。「EarFun Tune Pro」は「USB接続」や「AUX接続」でもANCが利用できることが特徴ですが、再生音の遠さに対してモード変更のアナウンスが非常に近く明瞭なため逆に驚く、みたいな感じになります。とはいえ音量調節や再生環境の工夫などで活用できるとは思いますので、それぞれの接続方式での「違い」をあらかじめ認識しておく使い方が望ましいでしょう。■ まとめ
というわけで、「EarFun Tune Pro」は普及価格帯のワイヤレスヘッドホンの音質向上、性能向上、という意味でさまざまなアプローチを試みた非常に意欲的な製品だと感じました。接続方式によって音質面の印象に相応に違いがある点は今後の製品での進化にも期待したい要素ですが、それでも3Wayでの接続は実際の利用シーンでは結構ニーズがある部分だと思いますので、ここに取り組んだ点は高く評価できるポイントです。またサイズの異なる2種類のドライバーで音域をカバーすることで音質強化するアプローチも非常に興味深いところです。ヘッドホン製品ではマルチドライバー構成というのはまだまだレアな存在ですが、もともと音域ごとにドライバーを分けて構成するアプローチはスピーカーでは一般的ですし、イヤホンでも非常にポピュラーですね。特に比較的低価格な中華イヤホンで2DDや1BA+2DDなどの構成が多いのもコストを抑えつつより高性能なシングルドライバーに匹敵するサウンドを実現しようという発想から来るアプローチですそういう意味では本体にワイヤレス関連など様々なギミックを搭載しつつ1万円以下というコストで音質も考慮して、となるとヘッドホンでも2DD構成というのは今後は増えてくるのかも知れませんね。「EarFun Tune Pro」はそういった未来も感じさせる魅力的な製品だと感じました。








