「NICEHCK」イヤホンケーブルまとめ 2025年版 「その①」

こんにちは。今回から約半年ぶりで「NICEHCK」ブランドのケーブルのまとめレビューを掲載します。前回が9月末でしたので2024年10月以降~2025年2月までに届いている分について2回にわけての紹介となります。昨年後半から仕事が非常に立て込んでいてレビュー全般で滞っていた関係もあり引き受けたケーブル数もちょっと少なめかもしれません(汗)。1回目はAliExpress編です。

■ パープルカラーのハイグレード「6N 純銀線」ケーブル

NICEHCK EpicLite ※コード【EPJP02】+【AEAFF08】
6N Pure Silver Raw Material Earphone Upgrade Wire
【4.4mm/2pin
AliExpress(NiceHCK Audio Store) 229ドル


NICEHCK EpicLite」はハープルとシルバーのコントラストが美しいハイグレードの純銀線ケーブルです。ケース付きで箱入りのパッケージですね。
NICEHCK EpicLiteNICEHCK EpicLite

線材はパープルの被膜とシルバーの被膜の線材を編み込んだ8芯線タイプ。通常価格300ドル超え、セール価格で200ドル台とHCKのケーブルとしてはハイグレードな純銀線のため、結構太さのあるケーブルです。そのため被膜もやや硬めですが、取り回し自体は良いと思います。
NICEHCK EpicLiteNICEHCK EpicLite

純銀線というと低価格の中華タイプの場合、音がちょっと細くなったり高域が過度に強調されるようなケーブルも存在しますが、「NICEHCK EpicLite」は全体の情報量を底上げしつつ、スッキリした印象で目量感を伸ばしてくれるタイプのケーブルです。高域は明瞭かつ鋭い音はより鋭く表現されますが過度に派手に鳴ることは無く、透明感と伸びが向上する印象。
NICEHCK EpicLiteNICEHCK EpicLite
また同時に中音域から中低域付近の厚みをより際立たせる印象で、適度に濃く、キレの良い印象に変化します。低域も細ることは無く、やはり解像感やキレの良さが向上しますね。全体として音のフォーカスがより鮮明に合うような印象で、よりはっきりとした音像に感じられます。見た目にも華やかですが、音質傾向も鮮やかで、ハイグレードらしいケーブルと感じます。


■ 7N OCC銀メッキ線 + 7N OCCカーボンナノメッキ線 + アルミ銅合金線ミックスケーブル

7N High Purity Earphone Upgrade 3 Materials Mixed Wire
【4.4mm/2pin】


NICEHCK AceLitz」はHCKが得意とする、特殊な線材を含めた多種混合線タイプの比較的ハイグレード仕様のケーブルです。こちらもボックス入り、ケース付きのタイプですね。
ケーブルは太さのある2芯タイプの撚り線で、ブラウンの光沢のあ樹脂被膜は弾力があり取り回しも良い印象です。落ち着いていますが高級感がありますね。
NICEHCK AceLitzNICEHCK AceLitz

リケーブル後の傾向は、見通しが良く解像感を引き上げることでイヤホンの傾向を多少強調する印象。シールドのしっかりした高品質OCC線でよくある傾向ですが、「NICEHCK AceLitz」は線材の特徴を活かしたリッツ構造にすることで標準ケーブルより高域及び低域が引き立ち、結果として多少V字方向の変化を感じやすいかもしれませんね。また最近のU字傾向の場合は逆にボーカル域がより近く、引き立つ印象に感じそうです。
NICEHCK AceLitzNICEHCK AceLitz
高品質のOCC線をベースとすることで全体の解像感を引き上げつつ、OCC銀メッキ線が高域を補完し、硬質のカーボンナノコートによるOCC線はグラフェン線に近い印象と推測され、表皮効果による低域の減衰を抑制しつつよりキレと明瞭感を向上させると思われます。そして合金線は情報量は下がるものの雑味を抑えたスッキリした印象に変化する印象があり、これらの特徴をうまくミックスした印象にしあがったケーブルと言えるでしょう。
NICEHCK AceLitzNICEHCK AceLitz
イヤホンによっては傾向の変化が大きいため、もともと派手目のイヤホンだと刺激が強くなる傾向があります。そのためハイブリッドでもニュートラルまたはU字傾向のイヤホンとの相性が良いでしょう。また同様の理由で、ボーカル域にフォーカスしたシングルダイナミック構成のミドルグレードイヤホンとも相性が良く、全体的な透明感や解像感を向上させるのに最適な印象です。


■ 7N 高純度OCC 厚付銀メッキ線 ハイグレードケーブル

NICEHCK S77」 ※コード【S7JP02】+【AEAFF08】
High-end 7N Thick Silver Plated OCC with nylon sleeves Earphone Upgrade Wire
【3.5mm/2pin】【4.4mm/2pin】【4.4mm/qdc】


高純度のOCC圧付銀メッキ線ケーブルです。非常に高級感のある外観でプラグからケーブル分岐部分までが布張り加工され線材自体も硬めの被膜で覆われています。プラグパーツなども少し異なる意匠で重厚なイメージがあります。ケーブル自体は少し硬いため若干のタッチノイズがあります。屋外での利用より気に入ったイヤホンと合せて室内でじっくり聴くタイプのケーブルですね。
NICEHCK S77NICEHCK S77

NICEHCK S77」の傾向は基本的には銀メッキ線の傾向を踏襲しますが、高純度のOCC線を使用する頃で全体の情報量を底上げし、より見通しの良い解像感のある印象で伝達します。そして高域の伸びを向上させる銀メッキ処理ですが、厚付でメッキ処理を行うことで、純銀線のような効果を得られる可能性があります。そのため、より強調された銀メッキ線、あるいは純銀線と高純度銅線のミックスに近い傾向に感じる可能性があります。
NICEHCK S77NICEHCK S77
実際の印象でも女性ボーカルの高音などの主張がより際立ち、解像感と伸びやかさの向上を実感します。全体的に華やかさを持っており、煌びやかさや色彩が豊かな印象を受けます。いっぽうでイヤホンの特徴を継承し、極端にバランスを変化させることはありません。中低域から低域はイヤホンの特徴を引き出し、より明瞭かつ自然に描写します。全体的に見通しが向上しスッキリする印象など銀メッキ線らしい特徴を踏襲しているため、基本的に付属ケーブルが銀メッキ線タイプのイヤホンではドライバー構成に影響せず合わせやすい印象です。
NICEHCK S77NICEHCK S77
ミドルグレード以上のイヤホンでも標準ケーブルと比較して情報量を向上させ鮮やかさや明瞭感、音場感を向上させる効果があり、全般的に使いやすいケーブルだと思います。


■ 7N高伝導性OFC+誘導焼鈍銅線ケーブル(二重シールド構造・銀メッキプラグ仕様)

NICEHCK BlackJam」 ※コード:【JAJP02】
7N High Conductivity OFC+Induction Annealing Copper In-ear Earphone Exchangeable Wire
【4.4mm/2pin】


NICEHCK BlackJam」はもともと昨年のセール時に福袋ケーブルとしてリリースされたケーブル。二重シールド構造を採用した高純度導電性OFCと誘導加熱焼き鈍し銅による銅線ミックスのケーブルで、珍しい銀メッキプラグを採用しているのも特徴。コネクタは0.78mm 2pin(CIEMタイプ)、プラグは4.4mmバランスのみ。
NICEHCK BlackJamNICEHCK BlackJam
NICEHCK BlackJam」の線材はPP・ナイロン編み込みの布張りで、太さはあるもののしなやかな印象。タッチノイズは控えめで取り回しは良好です。特徴的な銀メッキプラグは金メッキより高コストながら伝導率が高い特徴があり、外観も高級感がある印象。
NICEHCK BlackJamNICEHCK BlackJam
リケーブル後の傾向としては高純度銅線らしくイヤホンの傾向を踏襲しつつ低域の厚みの向上があり、伝導性の高さから分離感が向上。情報量を向上させ見通しの良い音場感が得られます。ニュートラル傾向のイヤホンではV字方向の変化があり、高域の伸びや低域の厚みの向上などの変化があります。最近増えているニュートラル方向のイヤホンで低音の厚みを補強しつつ情報量をアップさせたい場合には最適でしょう。逆にV字方向の印象が強いメリハリ重視のイヤホンの場合、高域がきつめに出たり、低域が過度にブーストされる場合もありそうです。


■ 古河製銅線 + 7N OCC線 + OFC線 + 銀メッキOFC線 + 銅銀合金線 ミックスケーブル
Furukawa Copper + 7N OCC + OFC + Silver Plated OFC + Copper Silver Alloy Cable
【3.5mm/2pin】【4.4mm/2pin】【3.5mm/qdc】【4.4mm/qdc】
AliExpress(NiceHCK Audio Store) 53.99ドル ※2/24までセール価格


今回のレビューの中でもっとも複雑な複合線材によるミックス線を採用したお手頃価格のケーブルです。見た目はやや赤みがかったブラウンの2芯線ですがよく見ると複数の色の線材が撚り線となって被膜に収まっているのが分かります。以前のIKKO Audioのオプションケーブルとよく似た線材ですね。あちらは100ドル近かったと思いますので、価格的な魅力も高いようです。
NICEHCK BerryJamNICEHCK BerryJam

NICEHCK BerryJam」の傾向としては基本的には高純度銅線タイプのケーブルの印象を踏襲し、より際立たせたタイプ。上記の「S77」がブーストされた銀メッキ線みたいな印象だったのと対照的ですね。イヤホンの傾向を踏襲しつつ、情報量を底上げし、同時に解像感や分離が向上することで各音域の見通しが良くなり、明瞭感が増します。

NICEHCK BerryJamNICEHCK BerryJam

V字傾向(ドンシャリ)のイヤホンや比較的各音域のメリハリのあるハイブリッドと相性が良く、レイヤー感がよりアップし、派手さを適度に抑えつつ見通しが向上し透明感が増す印象。また「S77」が中高域~高域の明瞭感や伸びがアップしたのに対し、「NICEHCK BerryJam」では中低域付近の豊かさが増すことで音場感や臨場感がアップし、リスニング的な心地よさがアップするのが印象的です。
NICEHCK BerryJamNICEHCK BerryJam
3種類の銅線、銀メッキ線、合金線を組み合わせることで、銅線の線材ごとの癖を適度に打ち消し、同時に適度に銀メッキや合金線の特徴を取り入れることで結果的に、派手すぎない、だけど全体的に聴き応えを向上させてくれるケーブルになっていると思います。


というわけで、次回もHCKケーブルまとめ②として、アマゾンで販売されているケーブルを紹介します。