KZ Zenith

こんにちは。今回は 「KZ Zenith」です。お馴染みKZによる12周年を記念したシングルダイナミック構成のモデルで、新たなドライバーを採用など同社がこれまで培ってきた技術を集約しています。実質60ドル前後、1万円以下で購入可能な価格帯でKZとしても1ランク上のサウンドを楽しめます。

■ 製品概要と購入方法について

私のブログでは毎度おなじみ低価格中華イヤホンブランド「KZ(KZ ACOUSTICS)」です。といっても最近のモデルはあまりレビューしてないですが、同社製品もコンスタントに購入しているため、タイミングをみながらレビューしていこうと思います。

さて今回の「KZ Zenith」は12周年を迎える同社の記念モデル的な製品で、新世代のダイナミックドライバーによるシングル構成を採用しています。革新的な「フルレンジ ウルトラリニア ドライバー X」を搭載し、滑らかな高音、強化されたディテール、優れた分離を実現しています。
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この新しいドライバーは、従来の10mmサイズのダイナミックドライバーのボイスコイル(5mm程度)と比較して直径7mmと非常に大きく、より広いサウンドステージと豊かな高周波ディテールを提供します。またネオジム磁石もボイスコイルとあわせて通常は3.5mm程度なのに対し、「KZ Zenith」のドライバーでは6.5mmと大きく、より強力な過渡応答と拡張された低音性能を実現します。より深い低音とよりクリアな重低音が得られます。さらに0.15mm の超小型磁気ギャップにより優れたパフォーマンスを提供。全体的にスムーズかつ正確に振動し、歪みが低減され、サウンドの全体的な明瞭性が向上します。
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ハウジングには高品質な金属素材を使用し、耐久性と美しさを兼ね備えたデザインとなっています。​金属製のフェイスプレートはオープンバックデザインを採用し、通気性を最適化。全体的な透明度が向上し、サウンド ステージが強化され、より自然で開放的なリスニング体験が実現します。
さらに「KZ Zenith」は最近のKZではお馴染みの4系統のスイッチ回路を搭載。スイッチ1、2、3は組み合わせにより低域を段階的にアップし、スイッチ1~4を全てONにすることで全体の周波数帯域をアップします。
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KZ Zenith」の価格は64.99ドル、アマゾンでは9,900円程度で販売されています。

AliExpress(KZ Offical Store): KZ Zenith


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

KZ Zenith」のパッケージは、通常のKZ製品よりかなり大きめのボックスです。レザーケース付きのため同社のテスト的な製品をリリースするサブブランド「Joyodio」のパッケージを踏襲しているような印象ですね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、銀メッキ線ケーブル、イヤーピース(シリコンタイプがS/M/Lサイズ、ウレタン製が3セット)、レザーケース、説明書。
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KZ Zenith」の本体はは全金属製で、背面部分が新規設計となっています。同様に金属製シェルのシングル構成である「​D-FI」とやや近い印象ですが形状は微妙に異なっています。金属製のためそれなりに重量はありますが比較的コンパクトなため装着性は良好です。
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またフェイスプレートは網状のデザインがベント(空気孔)になっており、裏にメッシュパーツが貼り付けられています。いわゆる開放型の構造ですね。
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KZ Zenith」は最近のKZ製品同様に側面に4系統のスイッチがあります。他社のミドルグレード等のスイッチ付モデルは各スイッチに個別に調整した設定を割り当てていることが多いですが、KZの場合はよりシンプルで、スイッチ1~3が低域を1段階アップし(1+2だと2段階、1+2+3で3段階)、スイッチ1~4すべてをONにすると全ての音域がアップする仕様です。
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ケーブル、イヤーピースは現在のKZの他モデルと同じ、銀メッキ線タイプとフジツボ型イヤーピースで、さらにウレタンタイプも3ペア付属します。KZタイプC(qdc)互換のケーブルによりリケーブルも可能です。


■ サウンドインプレッション

KZ ZenithKZ Zenith」の音質傾向は標準のモードでハーマンターゲットカーブに比較的近いニュートラルなバランスの弱ドンシャリ。おそらくKZ自身が提唱している「U-Shape」バランスよりもう一段ニュートラル方向に寄せたサウンドだと思います。個人的な印象として「KZでもここまで洗練された印象の音を鳴らせるのね」と感じさせる程度には自然で整った印象。この価格帯のシングルダイナミック構成イヤホンには非常に強力な製品が多いものの、かなり良い線を行っているのではと思います。
標準の状態ではかなり繊細さを感じるサウンドで、1~3のスイッチにより低域の量感を向上させることができます。さらに1~4のスイッチをすべてONにすることで全体的なゲインが向上し、よりパワフルでV字方向の印象が強くなります。また付属ケーブルでも比較的鳴らしやすい印象ですが、外観的にも音質的にもリケーブルしたほうが、よりポテンシャルを引き出せるでしょう。​

KZ Zenith」の高域は直線的な伸びの良さがあり、KZらしい硬質感を感じさせつつ刺激をコントロールし聴きやすくまとめています。新しいドライバーの採用で歪みを抑制し、同社の平面駆動モデルにも近い印象を感じさせつつ、より駆動しやすくまとめられている点は好印象。スイッチをすべてONにすることでよりメリハリのある高域となり、鋭い音をより鋭く、煌びやかを感じる印象になります。この辺は情報量の多い銀メッキ線などのケーブルにリケーブルすることでもある程度変化するため、スイッチの設定との組み合わせをいろいろ試して見るのも良いでしょう。

KZ Zenith中音域は、標準のモードでは僅かに、すべてONにすることでよりV字方向の印象となり、音質傾向並みに中音域は凹む印象となります。しかしボーカル域は適度に前傾しており、適度な温かみがあります。女性ボーカルの高音など中高域にアクセントがあり、男性ボーカルは適度な厚みと響きの良さがあります。演奏との分離も適切で、特にリケーブルにより明瞭感が向上し、演奏の定位もはっきりとします。また開放型の構造を採用することで音場は広く抜けの良さがあり、V字方向のレイヤー感による適度な奥行きもあります。
同価格帯またはそれ以下でSIMGOTの「EW300」または下位機種の「EW200」など、非常に整った印象の製品が存在するため、「KZ Zenith」の解像感や滑らかさといった点でベストというわけではありませんが、リケーブルやスイッチなどで自分好みに変化させられる余地があり、こういったポテンシャルを考慮するとかなり良い選択肢になりうるイヤホンだと思います。

KZ Zenith低域はニュートラルなバランスで自然な量感があり、同時にKZらしい明瞭でキレの良い音を鳴らします。同社のハイブリッド製品のように重く強い重低音をガツンと鳴らすといった印象より、ミッドベースを中心により自然に低域の量感を感じさせ、心地よく中高域を下支えする印象。
スイッチ1~3により重低音の厚みが変化し、印象としては1~3をすべてONにした状態がもっともニュートラルなU字傾向、あるいはKZの「U-Shape」に近い印象となります。
これに対し1~4をすべてONにした状態では一気にKZらしいメリハリ感がアップし、低域全体がV字方向にブーストされます。


■ まとめ

というわけで「KZ Zenith」ですが、パッケージからフラグシップ扱いでこだわった製品だけに、KZ製イヤホンのなかでもかなり完成度の高いイヤホンだと感じました。
KZ Zenith標準またはスイッチ1~3の変更によるバランスは非常にニュートラルでかつ新しいドライバーの採用で全体的に明瞭かつスピード感を持ちつつ、ボーカル域は適度に温かみを持ちつつ滑らかで、ハーマンターゲット傾向の低価格製品にありがちな粗さはほぼ感じない仕上がりでした。同時に1~4のスイッチをすべてONにすることでKZらしいV字方向のバランスを楽しめるのも興味深いでしょう。
もちろん競合の多い同価格帯の製品なかでベストとはいえないですが、全体的な完成度や、KZらしさも維持している点などを含め、1万円以下のイヤホンとして魅力的な選択肢であることは間違いないでしょう。