
こんにちは。今回は購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」です。
取り上げるのは「KZ PRX」です。 「KZ ACOUSTIC」の「PR」シリーズの最新モデルですね。発売してしばらく経ちますが、ひとつ前の「PR3」を発売後すぐに購入して(結局そのまま放置して)いたのに対し、「KZ PRX」は2025年に入って少し落ち着いてから購入しました。50ドル台の価格設定ながら第4世代の平面駆動ドライバーを搭載し、従来より解像感と透明感を高めつつ、より自然で聴きやすいサウンドにまとめられています。
■ 製品概要と購入方法について
私のブログでは毎度おなじみ低価格中華イヤホンブランド「KZ ACOUSTICS」ですが、最近はいろいろ立て込んでおりレビューがつい後回しになりがちですが(そのため結果的に没ネタも多かったり)新製品はコンスタントに購入をしています。
そんなKZの平面駆動モデルの「PR」シリーズは独自開発の13.2mmの平面駆動ドライバーを搭載しており、世代が進化するごとに価格を抑えつつ評価がアップしている印象ですね。
「KZ PRX」は第4世代の平面駆動ドライバーを搭載したモデルで2024年後半にリリースされています。搭載される平面駆動ドライバーは超薄型振動板の正確な振動によりオーディオ性能を実現。振動板は軽量構造により、高周波数と超高周波数において前例のない拡張性を実現し、あらゆる繊細なディテールが生き生きと表現され、聴覚体験を再定義します。


「PR」シリーズを踏襲したKZにより独自開発された平面駆動ドライバーを採用しており、「KZ PRX」では最新の「第4世代 13.2mm平面駆動ドライバー」を搭載。このドライバーは、約5μの導電性銀で均一にコーティングされたボイスコイルを使用しており、振動板の慣性を低減し、高音域および超高音域の拡張性を向上させています。また、14個のN52磁石のマトリックスを備え、強力な磁気システムを構築しています。


「KZ PRX」の第4世代ドライバーは、第3世代の「PR3」と比較してダンピング構造の最適化およびドライバーの磁気回路の強化、そしてサウンドチューニングの最適化といったアップデートが行われています。ダンピング構造の最適化により歯擦音を大幅に低減し、よりスムーズなリスニング体験を実現。磁気回路の強化では密度を高め、より豊かで充実したサウンドを実現します。


「KZ PRX」の価格は53.99ドル前後、アマゾンでは9,900円~で販売されています。
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免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「KZ PRX」のパッケージはお馴染みのコンパクトな白箱タイプです。KZでも先日の「Zenith」のような豪華パッケージと、多ドラ機のような「黒箱タイプ」、そしてもっとも一般的な「白箱タイプ」がありますが、「白箱タイプ」は低価格機以外にも、「ドライバーなどに全振りでパッケージ等にはコストをかけられない」機種も該当したりします。おそらく「KZ PRX」はこのパターンですね。


購入したのは2025年に入ってからで、そのタイミングでのロットとなります。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)および本体装着済みウレタンタイプ、説明書。ケーブルは従来通りの銀メッキ線タイプですね。


「KZ PRX」の本体は既存の「PR」シリーズを踏襲し、金属フェイスと樹脂製クリアハウジングの組み合わによるシェルデザイン。フェイス部分は光沢感のあるグロスメッキ仕上げです。フェイスパネルのデザインは「PR」シリーズのスリット状のデザインを踏襲しつつ、傾斜のあるサイドカットと中央部分のブルーのカラーリングとよりクールさが増したデザインになっています。搭載される13.2mmの平面駆動ドライバーはクリアシェル越しでも存在感がありますが、第4世代ドライバーはシャーシ部の意匠が少し変わっているのが分かります。


なお、「KZ PRX」も従来の「PR」シリーズを踏襲したサイズ感。ハウジング部分の本体形状は従来のKZのデザインを踏襲しており大口径平面駆動ドライバー搭載ながら同様の装着感を維持しています。ケーブルも最近のKZと同じ銀メッキ線タイプ、イヤーピースもフジツボタイプのシリコンタイプと装着済みのウレタンタイプです。私は最終的には例によってTRNの「T-Eartips」を選択しました。また色々なリケーブルでの変化を試して見るのも良いと思います。
■ サウンドインプレッション

なお、ここ数年で平面駆動ドライバーの搭載イヤホンは一気に普及しましたが、特に大口径では14mm級のドライバーが平面駆動としては比較的駆動させやすい印象なのに対し、KZの「PR」シリーズで搭載される13.2mmドライバーは各世代共通して非常に鳴らしにくく、上流には十分な駆動力(出力及び電流量による馬力的なもの)が必要となります。まあ「本来の平面駆動ドライバーらしい」といえばそれまでですが、あまり情報量の多くないケーブルが付属し、マイク付きモデルなどもある(PCやスマホ直挿しもある程度は想定した)KZ製のイヤホンの中では屈指の鳴らしにくさと言えます。

「KZ PRX」の高域は明瞭で伸びが良く、高高域の透明感や見通しの良さも非常に高印象です。「PR」シリーズの既存モデルと比較すると刺さりやすい帯域が若干温かく感じるいっぽうで、より上の帯域の伸びが非常に良く、結果として直線的な伸びやかさと、見通しの良さを維持しつつ、刺激を抑えた今どきの嗜好に合わせた音作りになっています。KZの多くの製品が硬質で寒色系な印象があるのに対し、「KZ PRX」は歪みを抑え透明感を持ちつつも適度に温かく柔らかい印象の高域となっています。

そして、「KZ PRX」の中音域において特筆すべき点は非常に高いクリアランスを持っていることでしょう。音場自体は自然な広さはあるものの、奥行きなどでドンシャリ傾向のようなレイヤー感は少なく、ともするとやや平坦な印象にも感じそうな空間表現ですが、同時に雑味を無くし、透明で自然にフォーカスが合った見通しの良さを実感させます。そのなかで、凹むことなくボーカル域や演奏が分離し、はっきりと際立って再生されます。以前より多少鳴らしやすくなったことで滑らかな印象とは異なりますし、初期ロットだと多少印象が異なる可能性もありますが、よくまとまっていると思います。

ミッドベースは直線的で締まりも良く、心地よいスピード感とパンチ力のあるアタックが心地よく響きます。明確に感じられつつも、中高域と綺麗に分離し、自然に下支えします。重低音はより深く沈み、心地よい重量感を与えつつ、解像感とキレの良さがあります。
■ まとめ

「KZ PRX」を既存の「PR3」と比較すると全体の解像感や透明感が向上し、バランス的には高域の刺激を抑えつつ伸びを向上させ、低域は量感を増すなどよりU字寄りの弱ドンシャリ傾向が強化されています。「PR3」は高域がやや刺激的で寒色寄りの音色なのに対して、「KZ PRX」は自然な温かみがあり柔らか印象のサウンドでまとめられています。同様に楽器の音色にも温かみがあり、様々なジャンルの曲で楽しめますが特にアコースティックな音源の響きがとても綺麗な印象です。鳴らしやすくなったことで質感に変化があり、ロット違いと思われる評価的なバラツキが少しあるのがいかにもなウィークポイントではありますが、価格的には非常に魅力的なイヤホンであることは間違いないと思います。