
こんにちは。今回は 「ND Planet」です。大口径の12mm ベリリウムメッキ振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、ほぼドライバー全振りでアマゾンでも2千円台で購入可能という製品です。ドライバーの背面に惑星をイメージしたドーム状のカバーで覆うことで個性的なデザインに仕上げられており、音質的にも巷でも評判が良いらしいイヤホンですね。
■ 製品概要と購入方法について
「ND Planet」は製品名の通り「惑星」からインスピレーションを得たデザインが特徴的です。透明度の高い樹脂製シェルにより内部構造が確認でき、洗練された雰囲気があります。ハーマンターゲットを意識した綿密なチューニングと12mmサイズの大型ダイナミック ドライバーにより自然で臨場感あふれるサウンドを実現します。細部に至るまで、芸術的なデザインと高性能オーディオのバランスが取れるよう作られています。


「ND Planet」には、最新の12mm ベリリウムメッキ振動板デュアル磁気回路デュアルキャビティダイナミック ドライバーを搭載しています。このドライバーは幅広い周波数範囲にわたって過渡応答と正確なパフォーマンスを向上させるように設計。デュアル磁気回路は強力な磁力を提供し、サウンドステージを拡大。より豊かで広く、より没入感のあるオーディオ体験を実現します。繊細さとパワーの絶妙なバランスにより、「ND Planet」はダイナミックで魅惑的なリスニング体験を提供します。


最新のベリリウムメッキ振動板ダイナミックドライバーは、長年の改良と何千ものテストを経て、従来比20%のパフォーマンス向上を達成。解像度、ダイナミクス、過渡応答が向上し、周波数範囲が大幅に拡大し豊かなディテールが得られます。インピーダンス32Ω、感度112dB、20~40kHzの周波数応答により、深くインパクトのあるダイナミクスを備えた広いサウンドステージを生み出し、ライブミュージックのエネルギーとリアリズムを捉えながら、音質の限界を押し広げます。


カラーは「クリアブラック(ブラウン)」と「トランスペアレント(ブルー)」の2種類が選択可能。
「ND Planet」の価格は15.91ドル、アマゾンでは2,499円です。
AliExpress(Easy Earphones):ND Planet ※Choice扱い
Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): ND Planet
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Easy Earphones より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「ND Planet」のパッケージは惑星をイメージしたデザインのボックス。例によってKZぽいサイズ感と構成になっていますね。今回は「ブラック」カラーで届きました。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書、保証書など。


本体は透明なプラスチック製。「ブラック」カラーの場合はクリアブラックのシェルで、「トランスペアレント(透明)」は透明なシェルを採用しています。本体内部で大半を占める12mmダイナミックドライバーはメタルシャーシに収容され、背面部に惑星をイメージしたデザインのドーム状のカバーが覆っています。


大口径ドライバーを搭載しているもののシンプルなデザインのため耳への収まりは良い形状で装着感もまずまず。ただしイヤーピースで固定するタイプなので遮音性はそこまで高くはありません。というわけで私の場合、イヤーピースは例によって「TRN T-Eartips」に交換しました。


ケーブルは4芯の無酸素銅線で細い線材ですが被膜は弾力がありしなやかで取り回しも良い印象です。コネクタは0.78mm 2pinでカバー形状はqdc互換のKZやTRN等に近い仕様。KZ/TRN用のqdcコネクタのケーブルでリケーブルが可能です(通常の0.78mm 2pinでもいちおう可能)。後述の通りドライバーの性能に全振りのイヤホンのため、リケーブルの効果も高い印象です。
■ サウンドインプレッション
「ND Planet」の音質傾向は、中低域寄りに厚みのある印象ながらバランスの良いV字を描くドンシャリ~弱ドンシャリくらいの印象。バランス自体は「KZ ZSTX」とか以前から評価の高いドンシャリ系の低価格中華イヤホンの傾向を踏襲しています。ただし「ND Planet」のサウンドは搭載される12mm ベリリウムメッキドライバーにほぼ全振りしており、非常に広いダイナミックレンジで上から下まで滑らかに気持ちよく鳴ることで、KZなどの低価格ハイブリッドとは一線を画した印象を与えています。なお、箱出しで多少鮮明さに欠けるような印象の場合も100時間以上の鳴らし込み(エージング)で改善される可能性があります。特にシングルダイナミック構成の場合、エージングの効果については低価格イヤホンならではの理由も考えられます。ダイナミックドライバー製造時も出荷品質の確認を行いますが、一般的に同じ仕様のドライバーでも低価格品の場合は高価格・高品質品より検査が厳しくなく歩留まりも上がる傾向があります。逆に言うと高価格品はより厳密に検査し選別する過程である程度エージングは実施済みという見方もできるわけです。これに対し「ND Planet」に限らず、ドライバー全振りな「低価格」イヤホンという性格上、同品質で出荷されていてもバラツキは出やすいため、ある程度エージングをすすめることで安定化、または平準化できる可能性が高まるわけですね。
「ND Planet」の高域は、やや暗めの印象ながら明瞭感のある音を鳴らします。KZやTRNなどの低価格中華イヤホンのような寒色系で派手めの音とは異なる、自然な伸びの良さを感じる印象。暗めの印象のため刺さりやすい帯域はコントロールされていますが、高高域は籠もること無く直線的に伸びます。リケーブルでより高域の明瞭感は向上します。同時に、例えばより制振性の高い金属シェルなどに収容することで透明感を増した高域にできるのかも、というドライバーのポテンシャルも感じます。中音域はV字傾向のため少し凹みますが、中高域、中低域にアクセントがあるため、女性ボーカルの高音および男性ボーカルの低音は少し強調され、ボーカル域全体として前傾した印象になります。また自然な分離感がありV字傾向特有の前後のレイヤー感があり音場も広めに感じます。
輪郭がやや緩い印象もあるため解像感はそこまで高い印象ではないもののディテールの表現はまずまずで癖の無い自然な音像表現にまとめられています。リケーブルにより情報量を向上させることで鮮やかさやメリハリが良くなり、分離も向上します。ただドライバーへの依存度の高い反面、やはり高域同様にハウジングの制振性の低さが解像感に影響している感じもあります。音場は広さは一般的ですがV字傾向らしいレイヤー感がありあまり窮屈には感じないでしょう。また強調感のない空間描写のため定位もある程度正確で、ゲーミングなどの用途でも実用的な印象です。
低域はドンシャリらしい十分な量感を持ちつつも過度な強調感を感じさせない、自然な締まりのある音で鳴ります。ベリリウムらしい響きをおさえ心地よくアタックで臨場感を与えています。ミッドベースのほうがメインで重低音の沈み込みはやや浅い印象ですが、全体としてはバランス良くまとまっています。やや暗めの高域に対して、多少ドライで全体として暗くなりすぎず、明瞭で自然な締まりのある低音に仕上げられいます。
■ まとめ
というわけで、「ND Planet」ですが、巷での評価も非常に高い(らしい)製品で、印象としては確かに2千円台としてはよくまとまっており、聴き心地の良いドンシャリサウンドとして楽しめるイヤホンだと感じました。外観から見える構成の通り、完全にドライバー全振りのイヤホンで、このドライバーを手に入れたメーカーが「12mmドライバーだけでいい音出せてるからそのままシェルに入れればいけんじゃね?」みたいなノリで作ったのでは、みたいな感じがそのまま伺える製品です(笑)。
ただ、ドライバーの性能の高さを感じるだけに、シェル周りも含めてもっとちゃんと作ればさらに音が良くなりそうなのに、とも感じる点がもったいないというか、ちょっと惜しい気もします。
まあアマゾンでも2千円台で購入できる製品ですし、もし自作派の方がいらっしゃれば、とりあえず殻割って良い感じで3Dプリンタとかで作ったシェルに格納して制振性を高めたり反響を調整すれば、さらに1ランク音質を上げたイヤホンができそうな雰囲気も感じます(自分ではしないので雰囲気だけですが^^;)。そんな風にも感じたイヤホンでした。おすすめです(笑)。









