TINHIFI C3 MKII

こんにちは。今回は 「TINHIFI C3 MKII」です。TINHIFIの「C3」の高家となるアップグレードモデルです。50ドル以下と価格を据え置きつつドライバーを強化し、大型のケースを付属するなどより使いやすくアップデートされています。今回のアップデートではハーマンターゲット寄りのバランスの良いU字傾向は踏襲しつつより自然で滑らかなサウンドに仕上げることで、メリハリ重視タイプの「C2」シリーズとも差別化を鮮明にしていますね。

■ 製品概要と購入方法について

中華イヤホンの製造メーカーおよびブランドとしてマニアの間でも広く認知されている「TINHIFI」ですが、定番モデルとなった「T2」ラインなどの「Tシリーズ」や、購入しやすい価格帯の「Cシリーズ」、平面駆動ドライバーを採用した「Pシリーズ」など現在は複数のラインで豊富なラインナップを展開していますね。

TINHIFI C3 MKII」は同社の低価格ラインの「Cシリーズ」で3Dプリントされたレジンシェルを採用した「TINHIFI C3」をアップグレードしたモデルです。フェイスプレートには星空を思わせる3D立体浮彫デザインが特徴のカーボンパネルを採用。次世代フルサイズフルレンジLCP振動板を搭載した新しいダイナミックドライバーが新たな音響体験を提供します。
TINHIFI C3 MKIITINHIFI C3 MKII

TINHIFI C3 MKII」のドライバーには次世代フルサイズフルレンジLCP振動板ダイナミックドライバーを搭載。振動板のドーム、エッジなど全面をLCP(液晶ポリマー)で構成することで豊かな低音から透明感のある高音まで、音の細部を鮮やかに再現し、新たな音響体験を提供。効率の高いデュアルマグネット構造によりダイナミックで正確な音響性能を実現。音の広がりと力強さを両立させたサウンドを実現しています。
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TINHIFI C3 MKII」では大型のキャリングケースや高品質無酸素銅銀メッキ線ケーブルなど充実したアクセサリーを備えています。
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TINHIFI C3 MKII」の価格は49ドル前後、アマゾンでは7,529円~です。

AliExpress(GoodSound Audio Store): TINHIFI C3 MKII


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして GoodSound Audio Store より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TINHIFI C3 MKII」のパッケージはシンプルな白箱タイプ。大きめのケースに付属品はすべて収容されており、ケースを覆う形のパッケージとなっています。
TINHIFI C3 MKIITINHIFI C3 MKII

パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは各サイズ2ペアずつ、交換用メッシュパーツ、ケース、説明書、保証書。「C3」ではケースは付属していませんでしたが今回はケース付きとなりましたね。
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本体は4.1gと非常に軽量なピアノブラックのレジン製。「C3」は4.3gなので僅かですがさらに軽量化しています。フェイスはブラックのカーボン柄の「C3」のデザインにさらに星柄をあしらった新しデザイン。シェル形状は「C3」を踏襲しています。比較的コンパクトで耳に収まりやすいデザインで装着性も良好です。
TINHIFI C3 MKIITINHIFI C3 MKII

ケーブルはブラックの樹脂被膜の無酸素銅銀メッキ線ケーブルが付属します。「C3」では上位機種の「T4」と同じシルバーカラーのケーブルが付属していましたが、「TINHIFI C3 MKII」では本体と同じブラックカラーのケーブルになったことで外観上の一貫性がある反面、ケーブル自体は少しコストダウンしているかもしれませんね。コネクタは0.78mm 2pin仕様でリケーブルも容易ですのでいろいろケーブルを試してみるのも良いと思います。
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なお、製品ページの画像ではブルーの軸の液体シリコン製イヤーピースを装着した写真も何枚か有りますが、おそらくコスト的な理由で実際のパッケージには付属せず、黒色のイヤーピースが各サイズ2セット入っていただけでした。写真で見た感じちょうど手許に届いている「KBEAR KT02」や「NICEHCK C04」に近いタイプのようですので、今回はこれらの類似イヤーピースを使用しました。


■ サウンドインプレッション

TINHIFI C3 MKIITINHIFI C3 MKII」の音質傾向はニュートラルな印象でU字寄りのバランスの弱ドンシャリ。オリジナルの「C3」を踏襲したハーマンターゲットカーブ寄りのバランスで、新しいドライバーにより明瞭感を感じさせつつ寒色系に振りすぎず、より滑らかで自然な印象のサウンドにまとめられています。新しい振動板を搭載したドライバーは解像感や分離感を高めつつもボーカル域はやや温かみがあり、適度に聴きやすい印象にまとめられているようです。
オリジナルの「C3」がPU+LCP振動板ドライバーを搭載し、下位機種の「C2」ほどメリハリ強めではないものの結構寒色系のサウンドでした。また「T4 PLUS」と同様の銀メッキ線ケーブルを付属することで情報量を少し底上げしている感じでした。

TINHIFI C3 MKIIこれに対し、今回の「TINHIFI C3 MKII」では確認した範囲ではインピーダンスや感度などの仕様は公開されていないもののケーブルを少しコストダウンしているためか、やや鳴らしにくく、ある程度ゲインを上げるなど駆動力のある再生環境が望ましいでしょう。駆動力のある再生環境でしっかり鳴らすとトータルとしては「C3」に非常に近いバランスに収まっているように感じました。そのためリケーブル等の効果は「TINHIFI C3 MKII」のほうがより高くなっていると思います。

TINHIFI C3 MKII」の高域は刺激を抑えつつ、比較的スッキリとした明瞭な音を鳴らします。「C3」は多少寒色系の印象でしたが、「TINHIFI C3 MKII」ではより自然な滑らかさを持った印象で僅かに温かみもあり聴きやすく調整されています。また刺さりなどは抑えつつも見通しは良く、スッキリした印象とともに高高域の伸びやかさも感じます。

TINHIFI C3 MKII中音域は凹むことなく癖の無い音を鳴らします。高域同様にオリジナルの「C3」の傾向を踏襲した寒色傾向の印象で、同時にボーカル域には適度な温かみもあります。女性ボーカルの高域などの中高域には適度なアクセントがあります。寒色系のイヤホンと比べると伸びきらない印象を感じる場合もあります。この辺は「TINHIFI C3 MKII」の付属ケーブルによる影響もありそうで、リケーブルにより改善できる可能性があります。情報量の多い銀メッキ線ケーブル等への変更もおすすめです。
全体的により滑らかなサウンドで調整されており、キレ感などはすこし穏やかになっている印象もあります。音場は自然な広さと定位感があります。ボーカルは自然な距離感ですが不満を感じることは無いでしょう。「C3」では寒色系に調整することで若干の粗さもあったのですが、「TINHIFI C3 MKII」ではより滑らで余韻や描写の細やかさも改善されています。空気感を感じる自然な印象へのアップデートと言えるでしょう。

TINHIFI C3 MKII低域は量感があり力強い音を鳴らします。重低音はパワフルで深く沈みますが、過度なブーストは無く自然なバランスで調整されています。そのため強めの低域を好まれる方には多少ブーミーだったオリジナルの「C3」のほうが良いと思う可能性もありますが、個人的には「TINHIFI C3 MKII」の低域の方が自然で好感できます。ミッドベースは直線的で膨らむことは無く鳴ります。適度な解像感と十分な分離感があり、音数の多い曲でも結構楽しめる印象です。「C3」ではちょっとメリハリ感が派手目の印象もありましたが、「TINHIFI C3 MKII」ではより自然な印象になっています。


■ まとめ

TINHIFI C3 MKIIというわけで、「TINHIFI C3 MKII」はオリジナルの「C3」のサウンドバランスを踏襲しつつ、よりニュートラル感のある滑らかなサウンドに再調整された印象の仕上がりでした。メリハリ重視の「C2」シリーズとの差別化をより分かりやすくした感じですね。
新しいドライバーに加えてより細いタイプのケーブルの採用もあって多少鳴らしにくくなっているもののよりしなやかで取り回しも向上しており、屋外などでの利用もしやすくなっている感じもあります。またリケーブルによる変化も感じられると思いますので、さらなるアップデートの余地も大きいとも言えますね。価格も手頃ですしいろいろ使いやすいイヤホンだと思います。