CCZ MC04 Nocturne

こんにちは。今回は 「CCZ MC04 Nocturne」です。低価格イヤホンを中心に展開する人気ブランド「CCZ」の1BA+1DD構成で開放型設計を採用した特徴的なモデルです。CCZらしい低域をブーストしたウォームなリスニングバランスを踏襲しており、さらに開放型らしい抜けの良さや音場感を楽しめるイヤホンに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

「CCZ」は2021年に登場したEasy Earphones系のブランドで、個性的な低域が特徴の低価格1DDモデル「DC-1」が好評を得て以降、特許技術に基づく装着性の高さや低域にフォーカスしたサウンドチューニングの評価が高く、現在も50ドル以下の特徴的な低価格イヤホンを多くリリースしています。

今回の「CCZ MC04 Nocturne」は「MC(Music)」シリーズの1BA+1DD構成のハイブリッドモデルで、最大の特徴は同社製品としては始めて開放型の構成を採用している点。
なお、「MC」シリーズではシングルダイナミック構成で「MC02」と先日レビューした「MC01 SOUL」もリリースされていますね。また現在CCZでは低域強化型で1DD構成の「DC」シリーズとハイブリッドの「BC」シリーズなど、低価格モデルを数多くリリースしています。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne
ドライバーには高域用の「30095」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーと、10mmのPET振動板デュアル磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。低価格ながらドライバー性能を最大限に引き出し音質を高めたチューニングを行っています。また「MC(Music)」シリーズとして、同社としては初めてオープンデザインを採用。より広いサウンドステージとともに重層的に再生されます。低周波の反射と共振が低減され、低域はよりクリアで濁りが少なくなり、高域はより明るく透明になり、中音域はディテールが豊かになります。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne
またCCZ独自の特許取得のイヤーフィン形状やイヤーピースを採用し、快適で安定したフィット感を提供します。カラーバリエーションはシルバー、ゴールド、ブラックの3色から選択できます。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne

CCZ MC04 Nocturne」の価格は27ドル、アマゾンでは3,399円で販売されています。

AliExpress(Keephifi Store): CCZ MC04 Nocturne ※Choice扱い、セール価格21.03ドル

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして KeepHifi より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

 「CCZ MC04 Nocturne」のパッケージは、「MC(Music)シリーズ」で統一感のあるブラックを基調に印象的なパッケージアートが描かれたコンパクトなボックスでまとまっています。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。イヤーピースはCCZ独自デザインのタイプが付属しています。今回はゴールドのモデルが届きました。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne

シェル形状は1BA+1DDのハイブリッド構成ながら前回の「MC01」と同様の形状の樹脂製のハウジングと亜鉛合金製のフェイスプレートによる構成。ただし「CCZ MC04 Nocturne」の最大の特徴である開放型設計のため、フェイス部分は格子状に空いたフェイスプレートにメッシュパーツで裏打ちされ、そのままベント(空気孔)として音が抜ける仕様になっています。そのため、それなりに音漏れはありますので、他の方がいる静かな場所での利用は注意が必要です。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne
なおシェル形状はCCZ製イヤホンのシェルデザインを踏襲していますが、「MC01」と同様に装着側の特許設計のイヤーウイングは本体と一体形成のタイプ。それでも耳へのフィット感は良く、同様に特許を取得している独自イヤーピースと組み合わせで非常に良好な装着感が得られます。
CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne
この独自のイヤーピースは先端の溝構造により優れた装着性と音質的な効果が得られるとのこと。このデザインもさることながら質感も一般的に20ドル級の中華イヤホンの多くに付属するイヤーピースと比べると格段に良いものでしょう。
付属ケーブルはシルバーカラーのOFC銀メッキ線タイプでコネクタはTFZと互換性のあるカバー形状の2pin仕様を採用しています。リケーブルではTFZタイプのコネクタのほか、通常の中華2pinおよびCIEM 2pinのケーブルが利用できますが、KZなどのqdcタイプのものは利用できないので注意ください。


■ サウンドインプレッション

CCZ MC04 NocturneCCZ MC04 Nocturne」の音質傾向は中低域寄りでV字を描くドンシャリ傾向。開放型設計を採用することで抜けの良い音場感を持ちつつ、最初の「Coffee Bean」から受け継がれる多少ウォーム寄りの中音域と非常にパワフルな低域といったいかにもCCZらしいサウンドがむしろ強調されている印象があります。内容としては同様に1BA+1DD構成の「BC01 PRO」または「BC04 PRO」の開放型バージョンといった感じですが、「MC(Music)」シリーズとして「MC01」と共通の銀メッキ線ケーブルや、ハウジング一体型のイヤーウイング形状など新たなアプローチも加え、専用にサウンドチューニングも実施されている印象です。

一般的な開放型のイヤホンで多い抜けの良いサウンド、というイメージに対して「CCZ MC04 Nocturne」は一線を画しており、まず感じるのは「Coffee Bean」以上にゴリゴリにブーストされた低域。開放型では普通抜けてしまいそうな重低音も非常に深く重く響き、ミッドベースも太さがあります。
CCZ MC04 Nocturne普通だったら低域が強すぎて中高域が籠もりそうになりそうなところを大胆な開放型設計とすることで抜け感を確保する仕様になっています。同時にBAの存在感を強めることで高域の伸びも強調し、全体としては中低域寄りながらよりはっきりとしたドンシャリ傾向に仕上がっています。
考え方としては理解できますがそれを実際に製品化するかどうかは別の話で、「CCZ MC04 Nocturne」は低域をブーストしつつバランスの良い低価格イヤホンを作り続けてきたCCZならではの「変態イヤホン」という見方もできます。ただ実際に聴いてみるとキワモノ感はほぼ皆無で、非常に楽しく心地よいリスニングサウンドにまとめられています。

CCZ MC04 Nocturne」の高域は、ハイブリッドらしくBA的な明瞭でスッキリした音を鳴らしますが、刺激は抑えられており聴きやすい印象でまとめられています。従来のCCZよりBAの主張は強化されている印象で、よりスッキリとした伸びやかさがあり、適度に煌びやかさもあります。リケーブルにより解像感や分離がより向上します。

CCZ MC04 Nocturne中音域はV字傾向のバランスのため曲によって多少凹みますが、見通しは良く明瞭な音を鳴らします。実際のバランスとしては多少U字寄りのチューニングが行われているようで、ボーカル域は少し前傾し、女性ボーカルの伸びなど中高域の明瞭感が向上しています。また男性ボーカルも豊かさがあります。厚みのある低域により多少ウォームな印象もありますが籠もることは無く、適度な解像感や分離の良さも実感します。
開放型の設計により音場は広くV字型らしいレイヤー感と併せて左右や上下の広がりも実感できます。さらにリケーブルにより分離が向上しますがバランスが崩れる可能性もあるため、ケーブルによってほかのCCZ製品より相性の良し悪しはありそうです。

低域はちょっと過剰なくらいブーストされており、最初の「Coffee Bean」から受け継がれるCCZらしいウォームな印象を持ちつつパワフルで力強い音を鳴らします。
CCZ MC04 Nocturne同時に開放型設計を採用することで抜けの良い音場感を持ち、かなり強めの主張ながら中高域へのマスクを最小限に抑え籠もらないサウンドにまとめられています。
重低音は開放型のため多少は抜けているはずですが非常に深く沈み強さがあり、重量感のある音で全体の臨場感を高めます。ミッドベースは適度な温かみと厚みがあり、同時に自然な締まりの良さがあります。開放型なのに濃密さや重さを感じるチューニングが興味深いですね。リケーブルによる変化も大きく前述の通り相性はあるものの解像感の向上など変化を楽しめる印象です。


■ まとめ

というわけで、「CCZ MC04 Nocturne」は開放型設計を採用することで、よりCCZらしい強化した低域を映えさせる、というとても興味深いアプローチを採用した低価格ハイブリッドでした。このイヤホンだけを持って、という使い方をするイヤホンではないと思いますが、何種類かイヤホンを所有している中の1本としては非常に楽しく心地よい製品だと思います。CCZならどれも低価格なので色々買っても財布に優しいのもいいですね(^^)。
CCZ MC04 Nocturne私も含めたいろいろ限界なオタクともなれば数百ドル超えのイヤホンを躊躇無く次々と購入したりするかもしれませんが(自戒)、普通は色々と傾向の異なる製品を揃えるのは無理があるかも知れません。だからこそ、CCZのように複数買っても無理がない低価格特化のブランドで「変態イヤホン」を含めた色々なバリエーションが選べるのはとても有り難いですね。
そういう意味で、今回の「CCZ MC04 Nocturne」を初め、30ドル以下のレンジの中で集中してラインナップを広げているCCZというブランドは「低価格イヤホン」ならではの楽しみ方をちゃんと提示しているなと感じますね。