
こんにちは。今回は 「Kiwi Ears Aether」です。「Kiwi Ears」としては過去最大となる15.3mmの超大口径平面駆動ドライバーを搭載しつつ166ドルと購入しやすい価格設定で仕上げられたモデルです。「本気」を出すためにはリケーブルや再生環境を整える必要があるなどある程度マニア向けのイヤホンですが、大口径らしい非常に聴き応えのあるサウンドを楽しめる製品です。
■ 製品概要と購入方法について
「Kiwi Ears」は2021年に登場した新しい中華イヤホンのブランドですが、非常に早いペースで新製品を投入しており急速に知名度が高まっていますね。同社のイヤホン製品は豊富なラインナップと質の高いサウンドで多くのマニアから注目を集めています。
「Kiwi Ears Aether」は画期的な15.3mm平面ドライバーと多層N52ネオジム磁石を搭載し、歪みを抑えた強力な出力が可能。クリーンなサブベース レスポンス、フラットな中音域、自然な高音ピークを実現し、クリアでバランスの取れたオーディオを実現します。


「Kiwi Ears Aether」はこれまでに開発した中で最大の平面駆動ドライバーを搭載。15.3mmの大口径振動板と強力な多層 N52ネオジム磁石を搭載したこのドライバーは歪みを抑えながらより大きな出力を実現。この大型ドライバーにより、解像度を向上のともにより広く正確なサウンドステージと優れたイメージングも提供。


新しく設計されたチャンバーと通気性の改良により風通しの良いリアルなサウンドが生まれます。スピーカーやオープンバックのフルサイズヘッドフォンのようなサウンドを実現します。
また、「Kiwi Ears Aether」はプロフェッショナルなチューニングにより、サブウーファーのような低音とスムーズな中音域、明瞭さと高精度な高音域を実現します。スピード、応答性、音色の完全性を考慮して設計されており正確で魅力的なサウンドを求めるユーザーに最適です。


「Kiwi Ears Aether」の価格は166.99ドル、アマゾンでは29,380円です。
AliExpress(Linsoul Audio Store): Kiwi Ears Aether
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、前回の「Airoso」と併せてセール時に購入してみました。パッケージは製品画像を載せたものですが同社の以前のモデルより少し凝ったものになってきていますね。


「Kiwi Ears Aether」のパッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは白色、グレー、ブラックの3種類のタイプでそれぞれS/M/Lサイズ、ハードケース、説明書、保証書など。


「Kiwi Ears Aether」の本体は3Dプリントによるハウジングと金属製のフェイスプレートおよびステムノズル。フェイスプレートにはカラフルな装飾が加えられ、透明なレジンで装飾部分をコーティングしています。


15.3mmという非常に大口径の平面駆動ドライバーを搭載しているためシェル自体は大きめで、ハウジング部も厚みのあるデザインです。それでも適切なステムノズルの角度などの設計により装着性は良くイヤーピースをしっかり合せれば問題なく装着できました。


イヤーピースは「Airoso」や「Canta」と同様に3種類のシリコンイヤーピースが各サイズ付属します。ただ、「Kiwi Ears Aether」はこれらの機種と比較してもかなり大きいサイズのシェルのため、よりフィット感の高いイヤーピースを用意し装着性を高めることが望ましいでしょう。私は例によって「TRN T-Eartips」を選択しました。


ケーブルは黒い被膜の4芯タイプのケーブルが付属。線材は「Airoso」や「Canta」より太さがあり、弾力のある樹脂製の被膜で覆われた撚り線タイプです。プラグは0.78mm 2pin仕様でリケーブルも容易です。後述しますが「Kiwi Ears Aether」のポテンシャルを活かすためにはリケーブルは積極的に推奨されます。
■ サウンドインプレッション

ただ特に付属ケーブルの場合、一般的なオーディオアダプターやDAPのミッドゲイン程度の出力では、中低域寄りで結構平坦な印象で再生され、15m超の大口径平面駆動ドライバーのポテンシャルはあまり活かされません。駆動力のあるポータブルアンプやDAPのハイゲインでしっかり鳴らすことでようやく本来の明瞭感のあるサウンドが実感出来ます。
再生環境と同様にリケーブルの効果も大きく、十分に情報量が多い線材を使用した比較的ニュートラル傾向の銀メッキ線またはミックス線などのケーブルにリケーブルし、バランス接続を行うことで、通常のDAPやオーディオアダプターでもかなり印象は変化し「覚醒した」サウンドが楽しめます。多くの再生環境ではリケーブルは必須に近いかもしれませんね。またイヤーピースの違いでも印象が変わるためしっかり耳にフィットするものを選ぶ必要があります。

「Kiwi Ears Aether」の高域は直線的で見通しの良い明瞭な音を鳴らします。平面駆動らしく歪みを抑えた伸びやかさがあり、大口径ドライバーならではの風通しが良く広さがあります。定位としては一般的なU字またはV字の(多少前傾した)傾向より若干下がったよりフラットに近い印象ですが同時にエネルギーのある音色のため明瞭感を維持しており、優れた解像感と分離により細かい音も詳細に表現してくれます。煌めきも表現しつつ刺さり等の刺激は無く聴きやすい印象もあります。

男女ボーカルは原音に忠実ながら豊かで存在感があり、生き生きと際立ちます。また演奏との分離も適切で、演奏も自然な音色とレスポンスの良さでエネルギッシュな印象があります。
音場は非常に広く上下も大きい印象で自然な距離感で定位します。それも透明度の高いはっきりした音像で、隅々まで見通しも良好で、かつ鮮やかさもあるため不足を感じることは無く、スピーカーのような空間表現につながっています。まさに大口径平面駆動ドライバーによる醍醐味ともいえる要素ですね。

■ まとめ
というわけで、「Kiwi Ears Aether」ですが、15.3mmという超大口径の平面駆動ドライバー搭載という点だけでも非常に注目度の高いイヤホンながら、個人的にはその期待に十分に応える仕上がりだと感じました。またドライバーや音質面を考慮すると166ドルという価格設定は結構リーズナブルで、私自身も購入した際のセール価格ではより魅力的な価格で購入できた点は非常に良かったと思います。

それでもしっかり環境を整えれば、「Kiwi Ears Aether」は、13mmや12mm級はもちろん、中華イヤホンでも数多ある14mm級とも異なる、15.3mm超大口径平面駆動ドライバーの醍醐味を実感できる製品だと思います。個人的にも結構気に入ったイヤホンのひとつになりました(^^)。