iBasso Audio Nunchaku

こんにちは。今回は 「iBasso Audio Nunchaku」です。iBassoのドングル型オーディオアダプター製品である「DCシリーズ」のなかでも「JAN6418」直熱小型5極真空管をデュアルで搭載した話題のモデルです。非常にコンパクトで低消費電力ながら高出力で質の高い真空管サウンドを楽しむことができます。

■ 製品概要と購入方法について

中国のオーディオブランド「iBasso」はDAPやポータブルアンプ製品、さらにはイヤホンなども含めオーディオマニアにはお馴染みのブランドで、高音質のポータブルプレーヤー(DAP)製品やコストパフォーマンスに優れたオーディオアダプター(ドングルDAC/AMP)製品の「DCシリーズ」など豊富なアイテムが選択できます。

今回の「iBasso Audio Nunchaku」は従来のドングル型オーディオアダプター製品とは一線を画する「真空管ポータブルDAC/AMP」です。コンパクトな本内内部にRaytheon製の直熱小型5極管「JAN6418」を2基搭載。22.5Vの陽極電源設計を採用し2基の真空管を高電圧で稼働させることで、個性豊かな響きと温かみがあり滑らかでアナログライクな真空管サウンドを実現しています。
搭載される真空管は専用機器によるSINAD測定により入念にマッチングされており、1日わずか50組に限られる手作業でピュアな真空管サウンドを実現しています。
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また「iBasso Audio Nunchaku」は真空管サウンドの「TUBEモード」に加え、独立したAB級アンプ回路にて動作する「Class ABモード」を搭載。真空管サウンドを楽しめる「TUBEモード」に対して、「Class ABモード」では解像度とダイナミクスに優れたサウンドを楽しむこと可能。
また本体は「TUBEモード」で120mA/5V、「Class ABモード」で100mA/5Vの低消費電力で稼働しつつ、「TUBEモード」では最大525mW+525mW@32Ω(4.4mm)の高出力を実現しています。シングルエンドでも150mW+150mW@32Ω(3.5mm)の最大出力が可能です。この2種類の出力モードは本体メニューまたは専用アプリにより自由に変更可能です。
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iBasso Audio Nunchaku」では高性能DAP(デジタルオーディオプレーヤー)並みのOPAMP+BUF構造を採用した、AB級アンプ回路を採用。TI製OPAMP×4 およびBUF634A×4 を搭載しておりハイクオリティなサウンドパフォーマンスをコンパクト設計で実現しています。
そしてDACチップにはCirrus Logic製「CS43198」をデュアル構成で採用。さらにサウンドパフォーマンスを向上した自社開発FPGAとKDS社製フェムト・クロック水晶発振器を採用し、「TUBEモード」ではJRC製のハードウェアボリュームコントロールにより低ノイズで高いS/N比を維持した信号制御を行っています。
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iBasso Audio Nunchaku」の本体は設定項目とステータスの表示に対応した、0.96インチOLEDディスプレイと本体マルチファンクションダイヤルを搭載し、ディスプレイとダイヤルで、内部設定へアクセスと閲覧が可能。また試行錯誤を経て最終的にPORON素材を使用してシャーシ内に真空管を吊り下げるサスペンション構造を採用することでマイクロフォニックノイズを効果的に軽減しています。

iBasso Audio Nunchaku」のカラーバリエーションは「グレー」と「レッド」が選択できます。
価格は直営店価格で52,470円(税込)です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで今回は「レッド」で製品を提供いただきました。約1ヶ月程度利用してのレビューとなります。
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パッケージ内容は、本体、OTGケーブル2種(Type-C、Lightning)、Type-A変換コネクタ、レザーケース、ケーブル用ポーチ、説明書、保証書ほか。国内版では初回使用時の注意書きも同梱されています。この辺の細やかさは有り難いですね。
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付属ケーブルが最初からUSB Type-CおよびLightning用と2種類のOTGケーブルが付属するのはiPhone 14以前の機種などを使用しているユーザーには有り難いですね。旧機種のiPhoneやiPadを音楽再生専用で再利用したい、みたいな用途にも良いでしょう。またレザーケースも標準で付属し、ひと通りの付属品が最初から揃っていますので購入してすぐに使用することができます。

iBasso Audio Nunchaku」の本体はアルミニウム合金製で、デザインは以前レビューした「iBasso DC-Elite」を踏襲しています。しかし、本体上面のブラックパネルにはOLEDパネルによるインジケーターが埋め込まれ、背面には小型の真空管が2本装着されているの使用していない状態でもうっすら確認出来ます。
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本体サイズは64mm×34.6mm×15mm、重量50gとサイズは「DC-Elite」とほぼ同じで重量は10gほど軽くなっています。ドングル型オーディオアダプターとしてはやや大きめですが十分に実用的な印象。最近は他社製品でも同様以上のサイズ・重量のアダプターも増えており、個人的には「iBasso Audio Nunchaku」はむしろ軽量で使いやすいサイズ感だと思います。
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iBasso Audio Nunchaku」では前部のボリュームノブ/マルチファンクションボタンの仕様が「DC-Elite」より変更になっており、よりスムーズな音量調整ができるようになりました。またOLEDのステータスとボタン操作で各種設定を確認出来るようになりました。特に現時点で「iBasso UAC」アプリが提供されていないiPhone/iPadや、PCおよびMacなどでUSB Audio Class 2.0デバイスとして接続し利用する場合も本体側の操作で同様の設定ができる点は有り難いですね。

ボタン操作は、通常はボリュームノブとして機能し、長押しすることで設定モード/モード終了となり、設定モードではノブで選択、プッシュで設定変更ができます。
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iBasso Audio Nunchaku」は設定メニューにて5種類の「デジタルフィルター」および超低域用の「ハイパスフィルター」のON/OFFが設定できます。デジタルフィルターは「Fast」「Slow」(Fast/Slow roll-off)、「LL/F」「LL/S」(Short delay fast/slow roll-off)、「NOS」(Non-oversampling)の5種類が設定できます。個人的には素の状態の真空管サウンドを楽しみたいため、フィルター無しの「NOS」を選択しました。ハイパスフィルターは標準では「OFF」ですが「ON」に変更すると超低域が少し減衰されるようです。

そして、Android環境ではiBassoの専用アプリ「iBasso UAC」を利用することで、より詳細な設定変更が行えます。「iBasso Audio Nunchaku」の最大の特徴である「真空管(Tube)モード」と「ABモード」の切替は本体側では少しメニューが深いため、両方のモードを適時使い分けたい場合は、ワンタッチで切替ができる「iBasso UAC」は便利ですね。
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他にもPC用にはASIOドライバーをサポートページでダウンロードして利用できます。また5月1日に新しいファームウェア(V1.71)がリリースされていますが、このアップデートもASIOドライバーをインストールしたPC上で行います(アップデートの案内)。


■ サウンドインプレッション

iBasso Audio NunchakuiBasso Audio Nunchaku」の接続は各種Androidデバイスはもちろん、iPhoneなどのApple製デバイスでも安定して接続できます。「DC-Elite」は電源環境が多少シビアなところがありましたが、「iBasso Audio Nunchaku」はDCシリーズの下位モデル同様に安定して利用できます。
また、「iBasso Audio Nunchaku」は製品説明にも記載の通り、「TUBE(真空管)モード」でのマイクロフォニックノイズの軽減のためにPORON素材を使用してシャーシ内に真空管を吊り下げるサスペンション構造を採用しており、振動に弱い真空管アンプを持ち歩きでの利用でも安定して再生をします(もちろん、あくまで「軽減」ですので過度の振動や軽い衝撃でも真空管特有のノイズが若干発生します)。また非常に敏感なCIEMなどでは若干のノイズを感じる場合があります。これらの現象はデジタルアンプのみを使用する「Class ABモード」では解消されますので、利用シーンや組み合わせるイヤホンなどによって使い分けるのが良いでしょう。

iBasso Audio NunchakuiBasso Audio Nunchaku」のサウンドはやはり「TUBE(真空管)モード」に最適化されている印象があります。バランス接続時の出力はより高く、優れたノイズフロアと解像感を持ちつつ、真空管らしい適度な温かみと柔らかさを感じさせます。音色は鮮やかさを持ちつつも自然で、一体感のあるハーモニーを奏でます。中低域から低域の豊かさは音場感の広がりを強調しており、オーディオアダプター製品とは思えない広さを感じませます。
また真空管アンプというと一般的には多少ゆったりとしたサウンドのイメージがありますが、「iBasso Audio Nunchaku」では全体としてスピード感があり、さらにデジタルフィルターの組み合わせなどにより非常にスッキリとした見通しの良さも感じさせます。そしてニュートラルより若干中低域が豊かな印象があり、早いBPMで音数が多いJ-POPやアニソンも、逆に音数を減らして質感を強調した最近のチャート曲ともと相性が良く、使いやすい印象がありますね。

iBasso Audio Nunchakuここで「Class ABモード」に切替えるとよりエッジが効いた音像表現となりDCシリーズの中でも低域を多少強調した印象のある「DC07 PRO」などにちょっと近いサウンドとなります。高域の明瞭感が増し、よりシャープな印象のサウンドはCIEMなどのモニターと相性が良いでしょう。低域は量感がありキレの良さが増しますが、「TUBEモード」の特徴的な豊かさは感じなくなります。
iBasso Audio Nunchaku」に搭載されるDACチップは「CS43198」のデュアル構成で、「ABモード」時の印象としては「DC07 PRO」をベースとしつつも「DC04 PRO」との中間くらいでチューニングされている感じですね。
そのため基本は「TUBEモード」を使用し、屋外での利用や高感度のCIEMなどを使用時に「Class ABモード」に切替える、という使い方が正解だと思います。


■ まとめ

iBasso Audio Nunchakuというわけで「iBasso Audio Nunchaku」はオーディオアダプター製品に真空管アンプを搭載するという意欲的な挑戦を行い、高いクオリティで成功しています。全体として消費電力を抑えることでバッテリー無しのドングル型アダプターでも快適で安定した動作を実現しており、また本体およびアプリによる操作性の高さもポイントと言えるでしょう。いっぽうでバランス接続で最大525mWの出力を持つため、鳴らしにくいヘッドホン製品でも十分に稼働し、快適に利用することができます。
個人的には「DC-Elite」と比較して音質傾向が結構異なるため使い分けを楽しめる点は有りがたく思います。逆にどちらかを選ぼうとしている方には悩ましいかもしれませんが(^^)。基本はニュートラルで高解像度、高音質を目指す場合は「DC-Elite」、より没入感のあるリスニングを楽しみたい場合は「iBasso Audio Nunchaku」という選択となるでしょう。どちらも非常に良い製品であり、両方持っててもDAPを2台買うより手頃でいいのでは・・・と、思いますよ(^^;)。