
こんにちは。今回は 「OPENAUDIO SIREN」(セイレーン)です。中国のCIEMブランド「OPENAUDIO STUDIO」が2024年末頃にリリースした2BA+1DD構成のミドルグレードモデルです。圧倒的に美しいシェルデザインインにハーマンターゲット寄りのリスニングサウンドを実現。CIEMメーカーらしいバランスの取れたチューニングも魅力的なイヤホンです。
■ 製品概要と購入方法について
「OPENAUDIO STUDIO」は2019年に設立された独立系の中華ブランドで、卓越した職人技と品質によるハイエンドの カスタムIEM(CIEM)メーカーとしても知られています。
「OPENAUDIO SIREN」はミドルグレードの2BA+1DD構成のハイブリッドモデルです。ギリシャ神話に登場する海の妖精である「セイレーン」の名称は海の静寂にインスパイアされており、細なフィッシュテール模様のフェイスデザインと透明度の高い輸入レジンを組み合わせ、ハンドクラフトによるデザインにより静寂のエッセンスを体現しています。爽やかなティファニーブルーのフェイスカラーが水面の美しさを、透明なシェルが月光を反射する水滴のような明るさと鮮やかさを感じさせ、澄み切ったサウンドをもたらします。


「OPENAUDIO SIREN」は第2世代の10mm PUソフトサスペンションロングストロークベリリウムコーティング振動板ダイナミックドライバーとカスタムチューニングされたバランスドアーマチュア(BA)ドライバーを2基を搭載。中域と高域に特化してチューニングされたBAドライバーは、豊かな音色、高い明瞭度、そしてシームレスな位相整合を実現し、調和のとれた自然なリスニング体験を提供します。


ダイナミックドライバーは磁束密度を高めて優れた運動エネルギー効率を実現し、ベリリウムコート振動板は繊細で正確な音の再現とより豊かで繊細なリスニング体験を提供します。フレキシブルな低域ダクトは、低音の深みと量感をさらに高めます。さらに、前後に独立した金属チャンバーが十分な空気容積を最大化し、振動板のリニアなレスポンスを制御し、共振を効果的に抑制することで、卓越した低域再生を実現します。


「OPENAUDIO SIREN」には0.78mm 2pin仕様の高純度OCCケーブルを採用。耐久性を高めるシールド層を備えたプレミアムケーブルで、3.5mmおよび4.4mm交換式プラグを採用しています。ケーブルの外装はイヤホンのデザインに完璧にマッチするよう、丁寧にカラーマッチングされています。また最新のOA05リキッドシリコンチップを含む2種類のイヤーチップが付属します。
「OPENAUDIO SIREN」の価格は249.99ドル、日本円では36,900円です。
The HiFi Cat(thehificat.com): OpenAudio Siren
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして The HiFi Cat より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、私のブログでは初となる「OPENAUDIO」の製品です。非常に美しいシェルデザインのCIEMブランドと言うことで結構気になっており実は購入するモデルを物色していたりしました。今回の「OPENAUDIO SIREN」は昨年後半にリリースされた2BA+1DD構成の新しいモデルですね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズが2セット)、クリーニングクロス、ケース、説明書、製品ガイド、保証書など。


本体は透明度の高い透明シェルに淡いブルーグリーンのフェイスプレートが特徴的です。フェイスカラーはいわゆる「水色」ではなく、ライティングによりグリーンとブルーの中間ぐらいで輝く印象。CIEMメーカーらしい非常に美しいシェルです。ただ2BA+1DDの構成としては結構大きめのシェルサイズのため、装着は小さめのイヤーピースで耳奥までしっかり挿入したほうが良さそうです。


ダイナミックドライバーは真鍮製の金属シャーシ内に収容されており、ダンパーフィルターを通して音導管で出力されます。同様に2基のBAユニットもフィルターによりチューニングされています。ベントは側面に用意され、金属製のダクトが配置されます。ハンドメイドによる非常に丁寧な仕上がりです。


ケーブルは0.78mm 2pinコネクタによる落ち着いたグリーンの被膜のOCCの2芯ケーブルです。こちらも非常に美しい質感ですね。スライダーやコネクタ、プラグ等は鏡面処理されたアルミ製で3.5mmと4.4mmの交換式です。


イヤーピースは水色の軸の液体シリコン製の「OA05」イヤーピースと、ライトグレーのタイプの2種類。それぞれ3サイズが2ペアずつ付属します。
■ サウンドインプレッション

一般的に、ハイブリッドを含むマルチドライバー機ではドライバー数を増やすことで音域間のクロスオーバー制御がより緻密になり、個々のドライバーの出力を分散させることで歪みを抑えるなど、質感を高めることに効果があります。またより広く立体的な音場感を得ることもできます。反面、和音により1音1音の解像度やキレ感などが下がる傾向にあり、場合によってはより複雑な調整の必要性や、ESTやPZTなど性質の異なるドライバーを組み合わせることで対応するなどのアプローチが望まれます。

「OPENAUDIO SIREN」は厳選し性能アップさせたドライバーを使用し、CIEMメーカーとしてのハンドメイトによる丁寧な仕上げによりこれらのアプローチを実現しているわけです。外観の美しさとともにハンドメイドによる機能美も感じさせるイヤホンだと言えるでしょう。
なお、「OPENAUDIO SIREN」はインピーダンス10Ω、感度107dB/mWと、CIEM製品同様に非常にインピーダンスが低い設計になっていますので、ノイズ特性の高いDAPやオーディオアダプターの利用が望ましいでしょう。またある程度駆動力のある再生環境でもバランスを崩さず再生することができます。

中音域は、凹むことなく明瞭になります。ハーマンターゲットに寄ったU字傾向で音色は癖の無いニュートラルな印象ですがボーカル域はやや前傾しています。

女性ボーカルの高音などの中高域にアクセントがあり明瞭な存在感とがあります。ただし歯擦音などはコントロールされている印象です。男性ボーカルも解像感があり明瞭ですがややドライで自然な定位に収まっている印象。男性ボーカルの臨場感や艶感を求める方には少し物足りないかも。演奏との分離は良く定位も自然です。シェルの大きさと関係があるかどうかは分かりませんが、音場は非常に広く、立体的な空間表現が楽しめます。
低域はニュートラルバランスで調整しつつ、重低音を中心とした存在感のある音を鳴らします。ミッドベースはやや控えめですがスピード感があり、中高域との分離が良くスッキリした印象にまとめています。重低音は深く沈みつつインパクトがあり豊かさがあります。ベリリウムコート振動板のダイナミックドライバーにより同時に解像感やスピード感も高く、質の高い印象を受けます。
■ まとめ
