LETSHUOER DX1

こんにちは。今回は 「LETSHUOER DX1」です。自社開発による、11mm アルミニウム・マグネシウム合金ダイナミックドライバーを搭載し、高級感のある外観とニュートラル方向の質の高いサウンドを比較的購入しやすい価格設定で実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

LETSHUOER」は2016年に創業したユニバーサルIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内ではカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。平面駆動ドライバーを搭載した「S12」で一躍人気ブランドとなり、すっかり定番イヤホンのひとつとなりました。また同社のユニバーサルモデルではマルチドライバー構成のミドル~ハイグレード製品も多く、自社製品および同社ODMと言われている各製品も含め手堅い音作りは定評があります。

今回の「LETSHUOER DX1」は2年の歳月をかけて自社開発した11mm アルミニウム・マグネシウム合金トポロジー振動板ダイナミックドライバーを搭載。ドライバー構造から製造工程、振動板の素材選定に至るまで、細部にわたり徹底的に検証と改良を重ねることで、ダイナミック型の限界を超える自然な音色と臨場感あふれるサウンドを実現しています。
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搭載される自社開発の11mm アルミニウム・マグネシウム合金製ダイナミックドライバーは、特許を取得したダイヤモンドパターン構造による特徴的なトポロジー振動板を採用。振動の周波数と振幅を精密にコントロールすることで、音波の伝播を高精度で最適化することで歪みを大幅に低減し、表現力を飛躍的に高めています。
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また電解メッキ仕上げのステンレススティール製シェルのステムノズル部には5kHz付近の不要なエネルギーや共振を軽減するノッチフィルターを内蔵。歪みを抑制し正確性を高めることでよりスムーズでクリア、そしてバランスの取れたサウンドを実現しつつ長時間のリスニングでも疲れにくくします。またシェルのフェイス部分にはドライバーのダイヤモンドコーティングと調和するシャンパンゴールドのダイヤモンドパターンパネルを採用しています。
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ケーブルには256本の線材を使用した高純度 銀メッキ単結晶銅 Litz線ケーブルが付属。プラグは3.5mmまたは4.4mmを選択可能です。
LETSHUOER DX1」は4月25日より発売を開始しており、価格は23,000円です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして LETSHUOER より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、 LETSHUOERより発売前に「LETSHUOER DX1」のレビュー用のデモ機が届きました。内容は販売モデルと同じですがデモ機のため本体側面に「DEMO」のプリントがされています。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(3種類、各S/M/Lサイズ)、ハードケース、説明書、保証書など。
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本体はステンレススティール製の円筒形シェル。ステンレス製のため多少重量感はありますが耳にすっぽりと収まりやすいデザインですが装着性については多少個人差があり、イヤーピースで調整する必要があるかも知れません。
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イヤーピースは標準で3種類が付属します。軸部分が黒色の一般的なタイプと、白色のやや浅く開口部の広いタイプ、そして「TRI Clarion」と同タイプのイヤーピースが付属します。今回私は最終的に「SednaEarfit XELASTEC II」を合せました。装着性が気になる方は同様の液体シリコンタイプのイヤーピースを試して見るのも良いと思います。
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ケーブルは樹脂被膜の2芯タイプのケーブルで高純度単結晶銅銀メッキ線を採用。透明な薄い被膜で覆われており取り回し自体は良好。コネクタは0.78mm 2pinですがL字型のコネクタ形状のため、リケーブルの場合は装着性に変化がある可能性があります。プラグもL字型で3.5mmまたは4.4mmを購入時に選択できます。


■ サウンドインプレッション

LETSHUOER DX1LETSHUOER DX1」の音質傾向はフラット方向に近いニュートラルバランスでボーカル域を若干持ち上げた印象のリスニングサウンド。高域はやや硬質で明瞭さがあり、ボーカル域は僅かに温かみがあり適度に広さのある音場感で解像度の高い音を鳴らします。低域は特に付属ケーブルではやや線が細い印象を受けますが、リケーブルなどで情報量をアップさせることでより存在感を実感出来ます。
サウンドチューニングとしては同社の上位モデルである「Cadenza 12」や「Mystic 8」のバランスを踏襲しているようで、ドライバー構成は全く異なるものの、自社開発による新しいダイナミックドライバーは非常に高い解像感を持っており、2万円程度の価格設定ながら質の高いサウンドを目指しているのを実感します。

LETSHUOER DX1LETSHUOER DX1」の仕様はインピーダンス32Ω、感度108dB/mWですが、ドライバーの反応は良く、比較的鳴らしやすい印象。同時にポテンシャルも高く駆動力のある再生環境やリケーブルによりより解像感や音場感を向上させることも可能です。

LETSHUOER DX1」の高域は明瞭で伸びの良い音を鳴らします。 アルミニウム・マグネシウム合金(Al-Mg)による金属振動板らしいやや硬質で寒色寄りのシャープさを持ちつつ自然な空気感と滑らかさを持っています。見通しも良く音色も明瞭感があります。適度な煌めきがありますが刺さり等はコントロールされ歯擦音はほぼ無く、聴きやすくまとめられています。

LETSHUOER DX1中音域はフラット方向でニュートラルな印象で鳴らしつつ心地よい存在感と鮮やかさを持っています。独自のダイヤモンドデザインによるトポロジー振動板により歪みを抑え、自然な音の広がりと滑らかさを持っています。
ただし、「LETSHUOER DX1」の中音域は、一般的にメリハリのあるV字傾向や、ボーカル域にフォーカスしたU字またはW字傾向のイヤホンに比べるとエネルギッシュさやインパクトのある鮮明さといった印象とは異なります。そのため、このれらのサウンドに慣れているとやや薄く感じる場合もありそうですが、ニュートラル方向ながらフラットすぎず、適度な色彩と滑らかさがあり、ボーカル域は自然な距離で定位し、優れた解像感を持ちつつも僅かに温かみを感じさせます。この印象は「LETSHUOER」の上位モデルの音作りを多少踏襲している印象もありますね。
音場は自然な広さと奥行きがあり、窮屈さを感じることはありません。ボーカル域と演奏の分離も適切な印象です。さらにリケーブルにより空間表現をより立体的に感じることもできます。

LETSHUOER DX1低域はフラット方向のニュートラルバランスのため、V字または最近の主流であるU字(ハーマンターゲット寄り)のイヤホンより量的には控えめに感じる場合もあります。
それでも中高域同様に優れた解像感とスピード感、深く沈む重低音により心地よい存在感があります。ミッドベースは適度なタイトさがあり明瞭ですが、締まりやキレ感などについてはリケーブルによりさらにインパクトが増し、はっきりとする印象もあります。バランスの良い質感でまとめられています。多少さっぱりした印象もありますが中高域との分離も良く自然に下支えしてくれる印象です。


■ まとめ

LETSHUOER DX1というわけで、「LETSHUOER DX1」は自社開発による高性能ダイナミックドライバーを搭載し、このドライバーの性能に全振りした音作りを行うことで、比較的低価格ながら非常に高い解像感とニュートラルなバランスの良さを持ったサウンドを実現していました。またドライバーのポテンシャルはさらに高く、好みに応じてリケーブルなどでより追い込んでいく楽しさもあります。
サウンドチューニング自体は上位モデルを踏襲したフラット方向のため、V字傾向(ドンシャリ)やボーカル域にフォーカスしたU字またはW字と比べると濃さや鮮明さみたいな要素を強調するタイプではありませんが、適度に高級感もある外観とともに幅広いジャンルの音楽を楽しめる上質なイヤホンとしてアイテムのひとつに加えるのも楽しいですね。そういった意味で、今回も非常に良いイヤホンだと思います。