
こんにちは。今回は 「CVJ x R2E3 Mermaid II」です。個性的なイヤホンを相次いでリリースしている「CVJ」ですが、今回は独自の特許技術を持つ「R2E3」とコラボし、同ブランドの「Mermaid」を大きく進化させました。ベリリウムクリスタル振動板のダイナミックドライバーを搭載し、ボーカル域にフォーカスした質の高いサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「CVJ」は2019年に誕生した中華イヤホンのブランドで、個性的な低価格イヤホンを中心に最近存在感を一気に増している印象がありますね。中国国内のブランドサイトをみると自社工場を中心とした製造メーカーであることがわかります。現在は同社の「いろいろ攻めた製品」がより際立っている印象もありますね。今回の「CVJ x R2E3 Mermaid II」は「R2E3」ブランドとのコラボモデルで、同ブランドの既存モデル「R2E3 Mermaid」の後継モデルとしてリリースされました。
「CVJ x R2E3 Mermaid II」では「Mermaid」で高評価を得たキャビティデザインを踏襲しつつ、微調整を行うことで装着感をさらに最適化しています。フェイスはロゴ部分をくりぬいた新たなパネルを加え下層のゴールドカラーのプレートとのアクセントを演出ししてます。パネル表面にはテクスチャパターンを施し、シンプルな外観に重厚感とデザイン性を高めています。


また内部構造についてステムノズル付近にベントを設けることで圧力を調整しています。ドライバー配置とエアフローは特性に合わせて最適化されており、コネクタにはベリリウム銅を採用。キャビティは5軸CNC加工されたアルミニウム合金製で陽極酸化処理、レーザー彫刻を採用しています。


ドライバーにはベリリウムクリスタル振動板を採用し、1.5Tの磁束性能を持つ強力N53ネオジム磁石を搭載した10mmダイナミックドライバーを搭載しています。この振動板は高感度(108dB/mW)、超高速過渡応答(< 50ms)を実現し、全高調波歪み0.5%未満(1kHz)という正確なサウンドを実現しています。
ケーブルは1016本の銀メッキ+単結晶銅のミックス線の撚り線ケーブルを採用。交換式のプラグを採用しており、3.5mmと4.4mmのプラグを選択できます。


「CVJ x R2E3 Mermaid II」の価格は80.59ドル、アマゾンでは15,000円です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして CVJ Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「CVJ x R2E3 Mermaid II」のパッケージはキューブ型のボックス。「人魚」イメージのイラストパッケージですが、化粧カバーと内箱のアートデザインが異なるのが興味深いというか、相変わらずパッケージアートへの熱量高めですね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ、イヤーピース(3種類、S/M/Lサイズ)、説明書、保証カードなど。


本体はアルミニウム合金製でシェル形状は「R2E3 Mermaid」の形状をある程度踏襲しています。ただシルバーカラーの素朴なイメージだった「Mermaid」に対して、「CVJ x R2E3 Mermaid II」ではゴールドメッキのパネルが埋め込まれ本体もサンドブラスト加工されたシェルデザインは高級感がかなり向上していますね。


特徴的なのはベント(空気孔)の位置と形状で、「Mermaid」を踏襲し、「CVJ x R2E3 Mermaid II」でもステムノズル横の円形の穴とフェイスパネル側面にスリット状に空いており、「R2E3」の特許技術による音響構造を垣間見えますね。いっぽうで「Mermaid」ではノズルが交換式でしたが今回は固定タイプとなっています。


ケーブルはブラックの4新鮮で樹脂被膜はやや硬く弾力があるものの、編み込みによりケーブルとしては硬くなりすぎず取り回しはしやすい印象。コネクタ、プラグは本体に合わせたブラックのアルミ製です。またプラグが交換式となりました。


イヤーピースは赤い軸の通常タイプと、開口部が大きいタイプ、そして液体シリコン製イヤーピースが同梱されています。
■ サウンドインプレッション
「CVJ x R2E3 Mermaid II」の音質傾向はニュートラル方向に近いU字方向の弱ドンシャリ。ボーカル域にフォーカスした印象で、刺激を抑えつつ明るく明瞭感のある高域により女性ボーカルを中心にボーカル域もやや前傾して再生されます。低域は量感としてはニュートラルですが重低音を中心に深さとパンチの強さがあり全体としてバランスの良いリスニングサウンドにまとめられています。オリジナルの「Mermaid」より派手さは少し抑えられている印象もありますが、ベリリウムコートらしいキレのあるスピード感と解像感があり、同時に過度に硬質すぎない聴きやすさも感じさせます。
仕様としてはインピーダンス22Ω、感度108dB/mWで比較的どのような再生環境でも使いやすい印象。またある程度駆動力のある環境でも歪むこと無く安定して再生されます。
「CVJ x R2E3 Mermaid II」の高域はベリリウムコートらしい解像度の高い明瞭な音を鳴らします。明るく直線的な印象ですが歯擦音などは無く聴きやすくまとめられています。ベリリウム系振動板らしくスピードは速く、また適度な鋭さや煌びやかさを持ちつつ、過度に硬質すぎない印象。また独自の音響構造により多少定位感は代わるものの刺さりやすい音は直接耳にはいらず少し後方で鳴っているような印象で、明瞭ながら聴きやすいチューニングです。中音域はボーカル域を中心に凹むことなく再生されます。ボーカルは女性ボーカルを中心にやや前傾して定位し、明瞭ながら自然な印象です。解像度も非常に高く多少ドライでスッキリした印象ですが硬質過ぎずベリリウムらしい質感を感じさせます。詳細なディテールを実感しつつ滑らかさもあり非常に質の高い中音域です。
女性ボーカルの高音にアクセントがあり明瞭に伸びますが歯擦音などはコントロールされており綺麗ながら聴きやすい印象。また中低域も若干ブーストされておりエネルギーがあるため、男性ボーカルもしっかり駆動力をかけた再生環境では豊かさを感じさせます。演奏との分離も良く演奏も自然な印象で詳細に再生されますが、ボーカル域にフォーカスした音作りのため音場は一般的からやや狭い印象となります。ただシャープな印象で明瞭に鳴るためインストゥルメンタルも結構楽しめる印象ですね。
低域はニュートラル方向の量感ながらエネルギーがあり、重低音は深さとパンチ力があります。ミッドベースは適度に強調されており、特に楽器に適度な厚みとインパクトを与え、全体的に豊かさを感じされます。同時に直線的な音で中高域との分離は良好。角度に膨らんだり響くこと無くタイトに締まる印象です。重低音は深く沈み、力強さがあり、心地よく下支えします。
■ まとめ
というわけで、「CVJ x R2E3 Mermaid II」はベリリウム系の振動板らしいスピード感と解像感を持ちつつ、全体としてはボーカル域にフォーカスしたニュートラル傾向のリスニングサウンドを実現していました。クールで高級感のある外観とバランスが良く聴きやすいサウンドにまとまっていると思います。オリジナルの「Mermaid」はソリッドなシルバーカラーのデザインにあわせてベリリウムらしさを感じつつも派手さもあるやや荒削りな印象でしたが、CVJがメインとなったコラボモデルとしてリリースされた「CVJ x R2E3 Mermaid II」では1万円台の価格設定も踏まえターゲットをより明確にした音作りで、より選びやすい製品に進化したと思います。クールなボーカルイヤホンを探している方には手頃で良い選択肢のひとつになると思います。








